【更新停止中】ソードアートオンライン 記憶の欠片   作:ショウユー

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時間をいただくと言いつつ、何となく書けました。
前回、後書きにてエミリーさん視点でなんて言っていたのに、キリト君視点になりました。
ゴメンナサイ。

そしてシリカちゃんファンには先に謝っておきます。
物凄く短くなってしまいました。ゴメンナサイ。

で、『心の温度』が『圏内事件』を挟んだため長くなってしまいました。



第12話

 

 

 

 

調査開始から5日目、またタイタンズハンドのロザリアが動きを見せた。

街で男2人が1人のフェザーリドラを連れた少女に一生懸命に声をかけて、やっとそのビーストテイマーの少女とPTを組めた所にロザリアが猫なで声を出してPTに入れてもらっていた。

 

どうやら、今日は迷いの森へ狩りに行くようだ。俺は気づかれないように後をつけた。様子を見ていると、ロザリアは前衛には出ず後ろで余り狩りに参加しているようには見えなかった。

そのままお昼近くまでPTは続き、今日は街に戻るようだ。アイテムの配分で揉めているようだったが、ビーストテイマーの少女が怒ってPTを抜けて歩いていってしまった。

 

俺は何となく嫌な予感がして、ビーストテイマーの少女の後をつけた。ただ、ここは《迷いの森》。少し見失ってしまい、探していると悲鳴が聞こえた。この声はさっきの少女の声だ。

 

駆けつけた時には彼女が3体のドラゴンエイプに囲まれていたので、慌てて敵を葬った。だが少し遅かったようで彼女が連れていたフェザーリドラがいなくなっており、羽が1枚落ちていた。

その羽のアイテム名を確認したら≪ピナの心≫とあった。俺は姉さんに聞いていたことを思い出し、彼女にその使い魔はまだ蘇生できると伝えると、彼女は必死に情報を求めてきた。

俺も又聞きだったため、詳しい情報を知っている人を紹介すると彼女に伝え、取あえずこの森を抜けることにした。その間に、自己紹介をした。彼女の名前はシリカ、使い魔の名前がピナというらしい。

 

35層ミーシェに到着し宿へ向かっているとき、ロザリアが現れ話しかけてきた。奴は目ざとく使い魔がいなくなったことに気づき、獲物を見るような目でシリカを見ていた。シリカは、ロザリアに反抗するように蘇生アイテムを取りに行く宣言をしていた。

それを聞いたロザリアは口角を少し上げた嫌な笑みをして俺たちを見送っていた。

 

シリカが美味しいケーキがある店を紹介するというのでその店に入り、姉さんにメッセージを入れた。

 

暫くすると姉さんが店にやってきて、シリカを見て驚いていた。シリカも姉さんを見て驚いていた。ツバサはなんだか悲しげな顔をしていた。

俺が事情を話すと姉さんはシリカを慰め、シリカは絶対にピナを蘇らせると決意の表情をして涙を拭いて笑顔を見せた。シリカは俺が姉さんの従弟だとわかると完全に警戒を解いてくれた。

 

姉さんは《プネウマの花》の話をしてくれた。話を聞いたシリカは、1人ではレベルが足りないので行けないと肩を落としていた。使い魔の蘇生は死んでしまってから3日しか猶予がなく、3日を過ぎると形見アイテムになってしまうそうだ。

俺が一緒に行くと言うと姉さんとシリカが驚いた顔をしていたが、姉さんはそれが良いわと納得してくれた。その後姉さんは自分の宿へ一旦戻り、俺はシリカが泊っている宿の隣の部屋を借りた。

 

夜になり、姉さんが宿へ夕飯を持って訪ねて来てくれた。3人で夕飯を食べ、明日の予定をシリカと打合せシリカは自分の部屋へ戻った。

 

 

「姉さん、タイタンズハンドの奴らは絶対に《プネウマの花》を狙ってくると思うんだ。シリカを囮にすることになると思うんだけど、俺が絶対に守るから」

 

「えぇ、そこはキリ君を信じてるから問題ないのよ。ただ、捕縛の時は私も同行するわ。私ははじめからタイタンズハンドをつけておくから。何かあったら援護するわ」

 

「すまない。よろしく頼むよ」

 

「じゃ、明日ね」

 

 

姉さんはそう言って宿へ戻って行った。

 

 

そろそろ寝ようかと思っていたところに、ドアをノックする音が聞こえた。誰かと思ったらシリカで、少し赤い顔をしてドアの外にいた。47層へ行ったことがないので、詳しく聞きたいと訪ねてきた。

俺の部屋で良いと言うので、部屋へ入れて椅子にシリカを座らせる。テーブルに詳細マップアイテム <ミラージュ・スフィア> を展開し、47層を拡大して明日行く道を説明した。

説明している最中、ドアの外で物音が聞こえたので俺はシリカに静かにするよう合図し、勢いよくドアを開け放し誰が聞き耳しているか確認しようとしたが、逃げ足の速い奴の様で過ぎ去る影が少し見えただけだった。

心配していたシリカを落ち着かせ、明日の為にシリカの装備を強化するのに俺が持っていた防具と、姉さんから預かった防具をシリカに渡し装備できるか確認してもらった。

シリカは『これでは少ないかもしれませんが』と言ってコルを渡そうとしてきたがそれを断り、俺たちが持っていてもストレージを圧迫するだけだからと言うと素直に受け取った。

 

 

 

 

 

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翌日俺達は47層へ移動し、シリカが風景に感動していたが今日の目的を済ませてしまおうと声をかけると『そうですね。またゆっくり来たいです』と言って歩き始めた。

道中、トラブル?らしき事が少しあったが無事に≪思い出の丘≫に到着した。シリカが東屋に近づき、台の傍へ寄ると《プネウマの花》が早送りする様に咲いた。それを手折り、シリカは『これでピナは生き返るんですね』と涙を流し喜んでいた。

姉さんから聞いていた通り、『ここでピナを生き返らせるのは危ないから、街に戻ってから生き返らせてあげよう』と言うとシリカは『はい!』と元気に返事をし、転移門広場へ向かった。

 

街に入る少し手前の橋で、俺の索敵に複数人ひっかかったのでシリカを制し転移結晶を渡して俺の背中に庇い声をかけた。

 

 

「そこに待ち伏せしている奴ら、出て来いよ」

 

「あら、私の隠蔽スキルを見破るなんて中々高い索敵スキルじゃない?剣士さん」

 

「ロ、ロザリアさん?!なんで?」

 

 

ロザリアと、7人の男たちが木の陰から出てきた。

 

 

「その様子だと、首尾よく《プネウマの花》をゲットできたみたいね。おめでと、シリカちゃん。じゃあ、その花を渡しなさい」

 

「えっ?なっ、何を・・・?」

 

「夕べ、盗み聞きしてたやつもあんた等の仲間だろオレンジギルド『タイタンズハンド』のリーダー、ロザリアさん」

 

「あら、良くご存じね」

 

 

ロザリアがそう言うと、タイタンズハンドのメンバーは俺達を囲むように近づいてきた。

 

 

「ソロで全身黒い衣装?!ロザリアさん、こいつ攻略組の黒の剣士だ!」

 

「攻略組がこんなところにいるわけないだろ!やっておしまい!」

 

 

奴らが総攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「シリカ、危なくなったらその転移結晶でどの街でもいいから飛ぶんだ。」

 

「えっ、でも!私も戦います!」

 

「俺は大丈夫だから」

 

 

俺は前に出て、奴らの攻撃を無抵抗で受けた。

 

 

「キリトさん!・・・っどういうこと?」

 

 

シリカが慌てているが、奴ら全員が俺に与えるダメージ総量より俺のバトルヒーリングの方が高いからいくら攻撃されても、俺のHPは減ることはない。不思議に思っているタイタンズハンドのメンバーに説明してやった。

奴らにHPがレッドゾーン手前になるくらいに攻撃をしてやる。するとロザリアが吠えてきた。

 

 

「グリーンの私に攻撃すれば、アンタはオレンジに」

 

 

そう言っている途中で、ロザリアの背後から姉さんが武器を構えてロザリアを拘束していた。

 

 

「え?エミリーさん?」

 

「あら、私はそんなに甘くないわよ。それにソロだもの、一時オレンジになっても問題ないわ♪」

 

「諦めるんだな。これはシルバーフラグスのリーダーが全財産はたいて買った回廊結晶だ。これで黒鉄宮へ飛んでもらう」

 

 

ロザリアは頭を垂れて降参した。全員を回廊結晶で黒鉄宮へ送った。

 

 

「シリカ、怖い思いをさせて悪かった」

 

「ごめんね、シリカちゃん。囮に使うようなことしちゃって」

 

「大丈夫です。ビックリしましたけど・・・」

 

「さぁ、戻ってピナを生き返らせてあげよう」

 

「はい!」

 

 

宿へ戻ってシリカは《ピナの心》と《プネウマの花》をストレージから出した。

 

 

「そのプネウマの花の雫をピナの心にかけるのよ。そうすればピナは戻って来るわ」

 

「はい」

 

 

シリカが雫をピナの心の羽にかけると、眩い光が目の前に広がった。

 

 

「きゅるるー」

 

「ピナ!」

 

 

ピナを抱きしめて泣いて喜んでいた。姉さんも泣いていた。俺はそれを見届けて、部屋を出ようとした。

 

 

「キリトさん、もう行っちゃうんですか?」

 

「あぁ、最前線を離れてだいぶ経ってしまったからな」

 

「また、会えますよね?」

 

「そうだな、今度は現実世界で会おう」

 

「はい!」

 

 

姉さんはそれを少し悲しそうな眼をして見守っていた。

 

 

「エミリーさんは、もう少しいてくれますか?」

 

「えぇ。ピナちゃんが戻ってきたお祝いをしなきゃね♪」

 

 

そんな姉さんたちを見て俺は宿を出た。

 

 

 

 

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ツバサはピナに近づき、頬ずりして喜んでいた。

 

 

「ツバサはとても悲しんでいたわ。折角できたお友達ですものね」

 

「ツバサちゃん、ありがとう。心配かけちゃってごめんね」

 

「シリカ様、ピナさん、本当によかったです」

 

「きゅるー♪」

 

「ありがとうって言ってます」

 

 

私はピナちゃんの頭を撫でてあげる。するとピナちゃんは近づいてきて私の頬を舌でペロリと舐めた。

 

 

「ピナー!本当にごめんね!!ピナも会えたら良かったんだけど、エミリーさんの従弟さんもいたんだ。キリトさんって言ってね、お兄ちゃんみたいだった」

 

「きゅるるるー」

 

「クスッ」

 

「え?なんて言ったの?ツバサちゃん教えて!!」

 

「ピナさんと私の秘密です」

 

「えぇー」

 

 

そんな微笑ましい光景をみてホッコリしてしまった。その後、シリカちゃんが好きなケーキを色々作ってケーキパーティーをした。

 

 

「さ、もう大丈夫ね。私も前線に戻るわ。またリズちゃんの所で会えたら良いわね♪」

 

「はい!ありがとうございました」

 

 

宿を出ると外は暗くなっていた。

 

 

 

 

 

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ピナが生き返り、2ヶ月が経った。アスナちゃんからメッセージが入り、急いで会いたいとのことだった。

 

 

「エミリーさん!リズと連絡がつかないんです!!」

 

「アスナちゃん、落ち着いて。フレンドリストで何処にいるか確認したんでしょ?」

 

「58層にいるのは判っているんですけど、メッセージを送れないんです」

 

「・・・あら?キリ君も58層にいるわね」

 

「あっ!」

 

「ん?何か思い当たることでも?」

 

「キリト君が新しい剣が欲しいって言っていたので、リズに作って貰えばいいじゃないって言ったんですよ」

 

「ふーん。じゃあ、素材でも一緒にとりに行ったのかしら?」

 

「なるほど。でも・・・心配ですよ!」

 

「そうね。わかったわ、私が調べに行ってみるわ♪」

 

「よろしくお願いします」

 

 

アスナちゃんはギルドの事があるから、そうそう単独行動はできない。私はツバサと一緒に58層へ移動した。

 

 

「うーん、寒い・・・こんな寒いところで大丈夫かしらねぇ」

 

「お母さん、あの丘に白竜がいます。迂回できますが、どうしますか?」

 

「ん?キリ君たちはその白竜の方に居るの?」

 

「その様です。プレーヤー2名の反応があります」

 

「どうやら、一緒の様ね。よし、ツバサ単独で大丈夫?」

 

「はい、キリト様の所へ行ってきます」

 

「よろしくね♪私はここで、暖を取って待ってるから・・・ブルッ」

 

 

 

 

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俺とリズは大きな縦穴に落ちてしまった。新しい剣を作ってもらおうとリズの店へ行って、俺がリズの作った最高の剣を折ってしまったんだ。

怒ったリズが一緒に『クリスタライトインゴット』を取りに行くと此処へ来たのだが、白竜との戦闘中に隠れていたリズが出てきてしまって白竜の攻撃で吹き飛ばされ落ちてしまった。

 

 

「それにしても、よく生きてられたわね」

 

「ホント、無事で良かったよ。・・・ん?あれは?」

 

 

穴の上を見上げると、小さな何かが凄い勢いで落下してきた。

 

 

「キリト様!リズ様!ご無事でしたか!!」

 

「ツバサじゃない!」

 

「アスナ様が心配なさって、マスターをこの層へ寄越しました。上空から飛んできた方が早いので、私が探しに来ました」

 

「そっか。姉さんこの層へ来てるんだ。どうしようか・・・ツバサが来たってことはメッセージが送れないって事か。もしかして・・・」

 

 

リズも気が付いたようで、転移結晶を出して転移しようとしたが出来なかった。

 

 

「結晶無効化エリアか」

 

「そうみたいね。どうする?まだインゴットも見つかってないし」

 

「そうだなぁ・・・取あえず、姉さんに長くて耐久値が高そうなロープでも頼めるか?」

 

「わかりました、マスターに伝えます。他に入用なものはございますか?」

 

「あ、ご飯・・・頼めるか?」

 

「ではお食事とロープを届けにまた来ますので、それまでお待ちください」

 

「あぁ、わかった。頼むなー!」

 

 

ツバサはかなりのスピードで姉さんの所へ戻って行った。

 

 

 

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ツバサが戻ってきた。かなり短時間だったが、この間新しいスキルが出たのだ。《高速飛行》まるでソードスキルの様なエフェクトを纏ってぶっ飛んだ速さで飛べるのだ。

 

 

「キリト様とリズ様、ご無事でした。耐久値の高い長いロープと食事を所望されていました」

 

「了解。ロープね・・・ご飯・・・ツバサ!早く移動しよう・・・寒い!!」

 

「クスッ。お母さんは本当に寒いのが嫌いですね」

 

 

50層アルゲートのエギルさんの店へ向かった。食事はどうとでもなるが、ロープが中々見つからない。

 

 

「エミリーさん、耐久値の高いロープっつてもこれが限界ですよ。そんなに長さがないですよ」

 

「結んで、使えるものなのかしら?」

 

「やったことねぇなぁ」

 

「物は試しね。それ、3本買うから結んで試してみましょ♪」

 

「まいどあり」

 

 

ロープを結んでエギルさんと軽く引っ張ってみる。どうやら耐えられそうだ。

私は料理を作りに宿へ戻った。

 

 

料理が出来たのでバスケットに入れてストレージにしまう。今度は防寒着を用意しないと寒すぎる。また58層へ向かった。

 

58層に着いてすぐに厚手のコートを羽織る。

 

 

「ツバサ、案内よろしくね」

 

「はい。その状態で戦闘できますか?」

 

「大丈夫よ。弓にしておくから」

 

 

ツバサについて行き、1時間ほど歩いた。途中、何回か戦闘をしたが問題なく目的地まで着いた。飛べるツバサが羨ましい・・・。

バスケットを取り出し、ツバサに持たせる。

 

 

「じゃ、ツバサ。これお願いね。ロープは破壊不能オブジェクトの水晶を探して括り付けてくるから」

 

「はい。届けて、伝言してきます」

 

 

 

 

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「あ、ツバサが戻ってきた」

 

「バスケット持ってる!って事はあれは飯だな」

 

「あんたって、逞しいわね」

 

 

リズに呆れられてしまった。

 

 

「お待たせしました。これはお食事です。すぐに召し上がらないようでしたら、ストレージに入れておいてください。あと、マスターが上でロープを水晶に括り付けてますので、直にロープが下りてくると思います」

 

 

ツバサからバスケットを受け取ると、上の方からスルスルとロープが下りてきた。

 

 

「ロープの耐久値、確認してみる」

 

 

リズはそう言ってロープの方へ近づいて行った。

 

 

「うん、確かに高い耐久値だけど・・・このまま放置したらいずれ消滅しちゃうわね。早いとこインゴット見つけないとロープで戻れなくなるよ」

 

「そうか・・・わかった。ツバサ、姉さんに伝言。ご飯サンキュって。インゴット探して見つかったらこのロープ使って戻るって。見つからなかったら・・・まぁこっちで何とかするって言っておいてくれ」

 

「了解しました。では、私は戻ります」

 

 

ツバサはまた、凄い速度で上に上がって行った。

 

 

 

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「マスター、渡してきました。まだインゴットが見つかっていないようなので、探してから戻るそうです。その間にロープが消えてしまったら、キリト様が何とかするそうですよ」

 

「うん、わかった。じゃあ、戻ってアスナちゃんに報告しよう。ここは寒くて嫌!!」

 

「・・・はぁ。では戻りましょう」

 

 

ため息つかなくってもいいじゃないねぇ・・・人間とはそういう生き物なのよ。プログラムとは違うのよ!!とツバサに言いたいが、黙っていよう・・・

 

 

 

最前線63層の宿に戻り、アスナちゃんへメッセージを送った。

 

 

『58層の白竜がいる近くの大きな穴に2人で落っこちちゃったみたいだけど、リズちゃんとキリ君は無事でした。まあ、脱出用のロープは用意しておいたからキリ君が何とかすると思うよ』

 

 

さ、2人が帰ってきたら詳しい話を聞かなきゃね。キリ君の剣もどんなのが出来上がるか気になるしね。たぶん、今使っているのと同等の剣が欲しかったんでしょう。あれを使えるようにするためにね♪

 

 

 

----------

 

 

 

翌日の朝、キリ君とリズちゃんが帰ったと連絡が入った。私はリズベット武具店へ行き2人の姿を見て安心した。工房でリズちゃんは剣を作製しており、静かにその様子を伺っていたのだ。

 

炉に入れられ真っ赤になったインゴットを決まった回数打ちあげると、それは輝きだし剣が姿を現した。その剣の名は《ダークリパルサー》。闇を払うものと言う意味だ。エシュリデータに負けず劣らずの素晴らしいものが出来上がった。

キリ君はそれを受け取り、軽く素振りをしてから剣技を繰り出した。そして、納得がいったようで満足そうにその剣を鞘に納めた。

 

 

「凄く良い剣だ。ありがとう、リズ。代金はいくらだ?」

 

「・・・・代金はいい。・・・あのね、キリト。私を貴方の専属スミスにしてほしい。わたし・・・」

 

 

リズちゃんは顔を赤くしてキリ君にそう告げ、更に何かを言おうとしたところで勢いよくドアが開いた。

ドアの方を見ると、アスナちゃんが慌てて飛び込んできた。

 

 

「リズ!!心配したんだから!!」

 

 

そう言い、リズちゃんを抱きしめた。

 

 

「ア、アスナ。心配かけてごめんね~・・・」

 

「私にも声をかけてくれても良かったじゃない!素材を取りに行ったんでしょ?エミリーさんから聞いたよ」

 

「う、うん」

 

 

アスナちゃんはリズちゃんに抱き付きながら、キリ君の方をキッっと睨んでこう言った。

 

 

「私の親友に変なことしなかったでしょうね?」

 

「なっ!何にもしてないよ!!」

 

「慌てる所が怪しいなぁ」

 

「ホント、何もなかったてば」

 

 

キリ君とアスナちゃんの会話を聞いて、リズちゃんの顔が暗くなっていった。あぁ、リズちゃん・・・キリ君に惚れちゃったのね。

アスナちゃんがキリ君を好きなことがわかってしまったからだ。

 

 

キリ君とアスナちゃんの距離が縮まったのは、リズちゃんが店を開店させてしばらく経った頃に圏内でPK事件が起きたのが切っ掛けだ。(キリ君とアスナちゃんが話してくれたのよ♪)

 

フロアボスの討伐方法で、キリ君とアスナちゃんが衝突してデュエルで決着をつけて決めたらしい。(キリ君が勝ったそうだ)で、フロアボスを倒した翌日キリ君が木陰で昼寝をしてたそうだ。

それをアスナちゃんが咎めたらしいんだけど、キリ君が『今日はアインクラッド1気象設定が良い日だ。こんな日に迷宮区に潜るのは勿体ない、お前も試してみれば?』なんて言ってまた寝ちゃったんだって。

アスナちゃんも物は試しって事で、キリ君の隣でぐーすか夕方近くまでお昼寝したそうだ。キリ君が目が覚めた時、隣で寝ていたアスナちゃんを見て驚いたが、アスナちゃんが起きるまで見張りをしたそうだ。

目が覚めたアスナちゃんは恥ずかし怒りながらもご飯を一回奢るって事で貸し借りなしにしようと、主街区のレストランに2人で入ったんだって。食事が出てくるのを待っていたら悲鳴が聞こえたそうで。

慌てて現場へ行ってみると、1人の男性プレーヤーが宿の2階からロープで吊るされて、その胸には剣が突き刺さっていたそうよ。助けようとした時、そのプレーヤーは死亡エフェクトを出して消えてしまったんだって。

その男性はカインズさんと言い、彼と食事をしようと一緒に来ていたヨルコさんという女性が発見して悲鳴を上げたそうだ。ヨルコさんはカインズさんとはぐれて、探していたらこの状況だったと証言した。

その後、キリ君とアスナちゃんは圏内PK事件として調査を始めたの。カインズさん殺害に使われた武器を手がかりに調べて行くうち、半年前ギルドリーダーが謎の死を遂げて自然消滅したギルド『黄金林檎』の存在が明らかになった。

レアモンスターから敏捷値を上げる指輪がドロップして、その指輪を使用するか売却するかをメンバーで話し合い、売却することが決まった。そのため黄金林檎のリーダー、グリセルダが競売に行ったが戻ってこなかったとヨルコさんが話してくれた。

同じギルドだった、今は聖龍連合に所属しているシュミットさんと話をしている最中にヨルコさんも殺されてしまった。

実は真相を明らかにするために偽装殺人を装ったヨルコさんとカインズさんの芝居だった。2人は生きており、一番怪しいと思ったシュミットに告白させるために事件を起こしたそうだ。シュミットはただグリセルダを殺した犯人に利用されただけだった。

だが、真実は悲しい結末を迎えた。グリセルダさんのお墓の前で3人は殺人ギルドラフィンコフィンに狙われたが間一髪でキリ君が現場に間に合い、機転を利かせてラフコフを追い払った。

後から駆けつけたアスナちゃんが、木の陰で隠れていた犯人であるグリムロックを拘束し3人の前に連れてきた。

グリムロックはグリセルダさんの夫で、現実世界でも夫婦だったのだ。この世界にとらわれた後、グリムロックは精神を病んでいき、グリセルダは生き生きとしていたそうだ。

グリムロックはそれが許せなく、愛していた昔の彼女ではなくなってしまったと嘆き、このゲームにいる間に彼女を殺そうと思い、殺害してしまったと告白した。

それを聞いていたアスナちゃんは『それは愛情ではなく、所有欲だ』と切り捨てたそうだ。(うん、素晴らしい)グリムロックの処遇は元黄金林檎の3人に託し、事件は解決した。

 

この事件によりキリ君はどうかわからないが、アスナちゃんはキリ君の事を意識しだしたってところだろう。

 

 

まったく空気と化している私は声を出すことさえ忘れて、甘酸っぱい空気を醸し出している3人を見ているだけだった。

 

リズちゃんは気持ちの整理がつかず、やり場のない思いを抱えて工房を出ようとした。

 

 

「どこ行くの?リズ!」

 

「えっ・・・あー、うん、そうそう!ちょっとこれから商談があったのよ!」

 

「店はどうするのよ!」

 

「・・・アンタ達留守番しててよ!よろしくね!!」

 

 

そう言ってリズちゃんは裏口から出て行ってしまった。

 

 

「はぁ、あなた達留守番しててね」

 

「えっ!!エミリーさん!?いたんですか!!?」

 

「アスナちゃんに至っては私の事気が付いてなかったのね・・・まぁ、良いわ。リズちゃんの様子を見てくるわ」

 

「姉さん、すまない」

 

「あー、はいはい」

 

 

私は急いでリズちゃんを探しに出たが、ツバサが見つけてくれた。

 

 

「リズちゃん・・・」

 

「エミリーさん・・・わぁーん」

 

「よしよし。あんなの見たら、辛いわね。でもね、まだ諦めなくてもいいのよ?キリ君はまだ、大切な人を見つけてないわ。今はアスナちゃんの片思いだからね」

 

「でも、キリトも満更じゃなさそう・・・」

 

「うーん・・・あの子の好みは良く分からないのよ。私のせいで、コミュ障になっちゃったみたいだし。それにね、まだリズちゃんにもチャンスはあると思うわよ。現実世界に戻ってからでもね」

 

「そう思いますか?なら、私は諦めなくてもいいんですか?」

 

「そうね。少なくとも、きちんと相手に自分の気持ちを伝えるまでは、諦める必要はないと思うわよ」

 

「・・・ありがとうございます。そうですよね。今はこの熱い気持ちを大切にして、頑張ります」

 

「うん、それでこそリズちゃんだわ♪」

 

 

リズちゃんはエヘヘと笑い、涙をぬぐって店へ向かって歩き出した。

 

 

 

店に戻ると、アスナちゃんだけが留守番をしていた。

 

 

「あら、キリ君は逃げたのね・・・」

 

「・・・はい。何か急に用事を思い出したとか言って、すまないと一言行ってしましました」

 

「あの子も相変わらずね。少しは正面から人とぶつかればいいのにねぇ」

 

「アスナ。留守番ありがとね」

 

「うんん。それより、リズが無事で本当に良かったよ」

 

「心配かけてごめん。ありがと、アスナ」

 

「エミリーさん、色々ありがとうございました」

 

「何言ってるのよ。保護者の身としては当然よ」

 

「マスター・・・ほとんど役に立っていないじゃないですか・・・」

 

「てへっ☆だって~、寒かったんだもの。仕方がないじゃない!それでも後半は頑張って現場までは行ったわよ!」

 

「まぁ、そうですね」

 

「ところでリズちゃん。どうやって脱出してきたの?あの時間に帰ってきたってことは、ロープは消滅しちゃったんじゃないの?」

 

「あぁ、ロープは無理でした。朝、目が覚めた時、キリトは先に起きていて積もっていた雪を掘ってたの。そこにインゴットが埋まってたんだ。あの落ちた穴がドラゴンの巣だったのよ。で、ドラゴンって夜行性でしょ?」

 

「そうね・・・ってまさか!」

 

「うん、丁度ドラゴンがご帰宅してきてね。キリトが何とか回避してくれたんだ。それで、ドラゴンに飛び乗って攻撃したってわけ。ドラゴンは堪らず穴の中から出たのよ。それで脱出できたってこと」

 

「うわー・・・大冒険って感じじゃない!」

 

「怖い思いもしたけど、久しぶりにドキドキもしたよ」

 

「そんな方法で・・・あの子らしいわね」

 

「「そうですね」」

 

 

アスナちゃんはギルドの仕事を放って来たらしく、慌てて帰って行った。

私もそろそろ前線に戻ると言って店を出た。

 

 

 

 

 





初めて1万文字超えました。

ちょっとグダってきてますが・・・頑張ります。

書きたい話があとちょっとで書ける・・・かな。
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