【更新停止中】ソードアートオンライン 記憶の欠片 作:ショウユー
最前線第25層。それは、1/4地点であるが故 ”クォーターポイント” と呼ばれた。
俺達攻略組が迷宮区の攻略を進めている間、《鼠》のアルゴを筆頭とした情報屋達がボスの情報集めに奔走している。
情報屋から徐々に開示されるボスが、どんな強さなのかが明らかになってきており、プレーヤー達も不安な気持ちになりつつある。
ボス攻略戦はPTでレイドが組まれて行われる。2層以降は偵察戦を行い更に詳しい情報を集めてからボス戦に挑むのが定例になっている。
昨日、ボス部屋が発見された。今回も例にもれず、偵察戦が先ほど行われ今は毎層恒例のボス攻略会議である。
さて、これが会議と言えるのかわからないが。内容など有って無きに等しい感じだ。
巨大化したALFが聖龍連合&血盟騎士団に突っかかっている。どちらが先にやるか等々。
ALFのボス戦参加プレーヤーがやたらと多く、他のギルドも合わせるとレイド上限(1PT6人、8PTまで)を遥かに超える人数なのだ。
俺達ソロ組は、もしかしたら今回参加できない可能性もあったり・・・。
この会議中、下層では姉さんがサチを弄って遊んでいるとはこれっぽっちも思っていなかった俺である。まぁ、ボス戦に関して姉さんはノータッチなので連絡は入れていなかったが。
段々収集が付かなくなりそうなところをKobの団長様が出てきて纏めていた。
そういやこの間迷宮区でアスナと会って、話があると言われた時は少しドキッとしたが姉さんについての話だった。
『ねぇエミリーさんって、うちの団長と知り合いだったの?』
と聞かれたが、俺は姉さんの交友関係を全て把握していない。と話してその話は終わった。
よく考えてみると、現実の世界での姉さんに関しても良く分からない人物だったりする。
俺が記憶しているのは俺が10歳までに会った姉さんで、その後会った記憶が・・・・あれ?
そんな曖昧なのに、あの時(鏡で顔が現実の自分と同じになった時)よくわかったなぁ、俺・・・・。
俺が10歳まで、姉さんは週に2日は遊びに来ていた。姉さんに遊んでもらうと凄く楽しくて、楽しくてしょうがなかった。
だからあの時、すぐにわかったんだな。うん。違いない。
4・5年は会っていなかったのだが、何か大事なことを忘れているような・・・
「・・・ト・・! キリト君!!」
「ほへっ?」
「聞いていなかったのかね?」
「あっ、すみません。聞いていませんでした」
「どうしちゃったの?キリト君にしては珍しい」
「面目ない」
「今回のボス戦だが・・・
どうやらボス戦のPTレイドが纏まったらしい。4PTはALF、2PTは聖龍連合、残りの2PTをKobとソロ組。
それで片付かなかった場合、残りのメンバーで組んだレイドでボス戦をやるそうだ。俺は最初のレイドに組まれた。
その他、どのPTが何処へ配置になるかも決まっていた。俺はそんなに長い間、思考の海を泳いでいたのだろうか。
ボス戦は明日だ。
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キリ君からメッセージが入った。どうやら、ボス攻略会議に出ていたらしい。昨日ボス部屋が見つかって先ほど会議が終わったと。
ボス戦は明日だから買い物を済ませてから宿へ戻ると書いてあった。返信しておこう。
『攻略、会議、遅くまでお疲れ様。ボス部屋見つかってたんだね~。遅い時間で悪いんだけど、黒猫団の宿へ向かってくれるかな?良いもの見られるよ!私も今から黒猫団のところへ向かいま~す♪』
よし、これでOK!返信っと♪さぁ、サッちゃんのところへ急いでレッツゴー♪
「みんなー、あっそびに来ったよ~!!」
「あ、エミリーさんいらっしゃーい」
「おっ、サッちゃん居るね!もうちょっとしたらキリ君来るはずだから!あの服着て来てね♪」
「えぇー!!!嫌ですよ!恥ずかしいぃ・・・」
「おろ?みんなは?」
「皆は、夕飯の買い出しに出かけました」
「あら、サッちゃんはお留守番なの?」
「はい。私が買い物に行くって言ったんですが、俺たちが行ってくるからサチは留守番しててって。なので、買い物リストを渡してお願いしちゃいました」
「そう。サッちゃんも料理するんだものね♪」
「ギルドホームの事がありますから。節約するには、自炊が一番です」
「そうね。しっかり者のサッちゃんが居てみんな良かったわね♪」
サッちゃんに、ケイタの為と言い例の洋服を着てもらい私の予備のエプロン(もちアシュレイ作)をつけさせ、皆が帰ってきたら(食材が到着したら)夕食を一緒に作ろうとお茶をしながら待っていた。
カランコロン♪
宿のドアが開いて、入ってきたのはキリ君だった。
「姉さん、来たよ。良いものってなに?・・・・・・・」
「来た来た!!待ってたよ~キリ君♪」
「えっ!・・・・きゃーーーーーー!!」
サッちゃんは、みんなが帰ってきたと思って思いっきり笑顔でドアの方へ向いていた。そこへ来たのはキリ君。サッちゃんは悲鳴を上げて部屋へ走って行ってしまった。
「うふふ。大成功♪」
「・・・・・・・・・・・・姉さん!俺が・・・俺が頑張って攻略行ってるってのに、遊んでたのかよ!!!」
「そんなに怒らないでよ~。サッちゃん可愛かったでしょ?あれ、私がプレゼントしてね♪」
「・・・・・はぁ」
あらら、盛大にため息つかれちゃいました。
「まったく・・・用事はこれだけか?だったら帰るぞ?」
「もぉー。サッちゃ~ん、キリ君帰っちゃうってぇ~!」
「姉さん?叫んだって聞こえないぞ?」
「あぁ、そうだっけ。ちょっと待っててよ!サッちゃん呼んでくるからぁ!」
「・・・・」
私はサッちゃんの部屋へ行きドアをノックすると、サッちゃんはドアを少し開けてくれた。中を見るとサッちゃんはもう着替えていた。
「・・・エミリーさん、酷いです・・・」
「ごめんなさい。だってサッちゃん可愛いんだもの。その可愛さをキリ君にも見せてあげたかったのよ」
「私の意思は無視ですか?」
「だって、サッちゃんキリ君に絶対あの服着てるところ見せないだろうと思って・・・」
「キリトから頼まれれば見せたかもしれませんけど。ああいう不意打ちは卑怯です!」
「本当に本当に、ごめんなさい。・・・あ、キリ君が怒ってもう帰るって言ってるの」
「え、怒ってるんですか?」
「えぇ、私がやらかした事に対してだけど・・・」
「あぁ、そっちでしたか。私のこの洋服の事で怒ったのかと・・・」
「いや、いくら何でもそれで怒るってことはないんじゃない?」
「で、キリト何か言っていました?」
「何も・・・直接聞いてみて♪」
「・・・はぁ」
「あらら。サッちゃんにまでため息(涙)」
「わかりました。とりあえず、下に行きます」
「ありがと~」
下に行くと、ケイタ君たちも帰って来ていた。なにやらキリ君と話してます。
「エミリーさん、サチで遊ばないでください」
「えへへ♪ごめんね。お詫びにご飯作ります」
「私も一緒に作りますね。キリト、食べて行って」
「あぁ、サチ。すまない。ありがとう。・・・さっきの・・・可愛かった」
「えっ!・・・・ありがとう♪」
ふふ。キリ君もだいぶ女の子と喋るの慣れてきたね。うんうん。いい傾向♪
それから私達は食事をし、キリ君と宿へ戻ってお風呂に入り就寝した。
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翌日、キリ君は時間になりボス戦へ行った。心配は心配だが、信じて帰りを待つ。これも毎度の事。
ただ、何となく今回は嫌な予感がする。アインクラッドがまた新たに動き出す、きっと。
あの人はきっと死なない。それは決まっていること。まったく・・・・
どうしようか。ここままだとキリ君はきっと思い出す。私の事を。
思い出したとき、あの子はどうするのか。どうなってしまうのか。私以外にあの子を支えてくれる人が必要だ。
あの子の心はきっと脆い。だから、私の事も疑問に思わず受け入れている。
あの事を思い出す前に、あの子を優しさや愛情で包んでくれる存在を探さなければ。
これからあの子は沢山の人と接していくはず。その中であの子は相手を愛することができるだろうか。
そして、あの人。アキさんと話をしなきゃならないわね。いつにしようかしら・・・それともアキさんから接触してくるまで放置しておいた方がいいか。
まぁ、なるようにしかならないか。今の私はただのプレーヤー。悩んでいてもしょうがない。
よし!稼ぎに行こう。
考え事を放棄して、私は出かけることにした。
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今、迷宮区近くの安全地帯で休憩中。迷宮区へ1人で行きたくないからだ。
やはり、クォーターポイントのボスは強かったようだ。この時間になってもキリ君が戻ってこない。
様子を見に行こうか・・・でも、やっぱり行けない。どうしよう・・・。そんな事を考えていたら、突然声をかけられた。
「エっちゃん!」
「うわ!吃驚した。アルゴちゃんかぁ。相変わらずのハイディングね」
「わはは!どうしタ?考え事してるって顔にかいてあるゾ」
「うん、ちょっとキリ君のことが心配になってきてね」
「エっちゃんが行って様子を見てくればいいじゃナイカ」
「うーんそうなんだけどぉ」
「ボスとはご対面したくないカ。いい加減、理由を教えてほしいものダヨ」
「理由ねぇ・・・」
誤魔化すための言い訳を考えながら、何となく目線が迷宮区の方へ行ったとき
「ねぇアルゴちゃん、あれ・・・アスナちゃんよね?」
「ん?・・・・そうダナ。アーちゃんダ」
物凄い速さで、こっちに向かってくる白い制服を着ている髪の長い娘がやって来るのが見えた。
「!! エミリーさん、良いところに!!大変なんです!キリト君が突然、倒れて!」
「えっ、倒れた?ボスのデバフじゃなくて?」
「名前を呼んでも反応がないんです!気絶しているみたいで」
私はアスナちゃんが案内する後を走りながら状況説明をしてもらう。
「キリ君は何処かへ移動させているの?」
「えぇ、2レイド交代で戦闘なので、後発のレイドPTがキリト君をボス部屋から出して様子を見てもらってます」
「わかったわ。急ぎましょう」
あ、アルゴちゃんに何も言わずに来ちゃった。まぁ、後でメッセしておこう。
「そろそろボス部屋に着きま・・・あれ?」
「キリ君は?」
「ボス部屋を出てすぐのところへ移動させて1人ついていてもらってたはずなんですが・・・いないですね」
「あら、大丈夫だったのかしら?どうやらアスナちゃんに要らぬ心配をかけたみたいね、あの子」
「・・・エミリーさん、せっかく来ていただいたのに」
「いいのいいの。私は気にしてないから」
「では、私は戻ります」
「うん、気をつけて。無事に帰ってきてね」
「はい!いってきます」
どうやら、キリ君は戦線復帰出来たようだ。ここから、キリ君がボスに突っ込んで行ったのが見えた。
「よし!宿へ戻ろう。ちょっと勿体ないけど、転移結晶使っちゃお♪」
え?ここまで来て帰るのかって?そうよ、この後のボスの強さが変わっちゃうからね。
どういうことかって?まだ教えられないわ♪それに、ヒースクリフには会いたくないしね。
転移結晶で25層主街区へ飛んだ。
そのまま街をブラブラしながら宿屋へ戻った。
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お昼過ぎ、アスナちゃんからメッセージが届いた。ボスは何とか倒せた。会って話がしたいので、この宿へ来てもいいか?と。私は了解の返事をし、アスナちゃんを待った。
アスナちゃんが来ると、ボス戦の内容が語られた。
始めこそ順調だったが、中盤からボスに変化が起き先発で出たALFがほぼ瓦解。後発にいたKob率いるヒースクリフが戦線をたて直してボスは倒された。
ALFから死亡者が十名弱でて、ディアベル君がキバオウさんを庇い死亡してしまったそうだ。
聖龍連合からも数名死亡者がでており、指揮系統がぐちゃぐちゃになった為後続で控えていたKobのヒースクリフがレイドの指揮をとりその後は順調に進んだそうだ。
たて直す間、ヒースクリフはボスからのタゲを1人で10分近く取っていたそうだ。新しいスキルで可能だったと。詳しくはこれから説明があるそうだ。
キリ君は私達が駆けつける少し前に復活していたんだそうだ。ボス戦終了後アスナちゃんがキリ君に話を聞くと、ディアベル君がキバオウさんを庇って死んでしまったところまでは覚えているらしい。
それを見て気を失ったのかもしれないと言っていた。
説明を終えたアスナちゃんは『今日は疲れたので帰ります』と言い戻って行った。
キリ君からの連絡はなく2日が過ぎ、宿の契約期間が終わった私は次の宿を見つけ腰を落ち着けた。
今回の25層ボス戦がもたらした被害は大きく、ALFはシンカーという人がギルドリーダーになり、今後ボス戦には参加せずはじまりの街を拠点に治安維持に重点を置いて活動すると発表があった。
少し前から詐欺・恐喝・窃盗etcの犯罪が増えており、それを取り締まるというのだ。はじまりの街には黒鉄宮があり、そこには監獄エリアが存在する。そこへ犯罪者を入れる牢屋がある。これも管理すると言っていた。
暫くして、ケイタ君からメッセージが届き遂に『ギルドホームを購入出来る資金が貯まった。これから購入しますので、お越しください』と書かれていた。
私はケイタ君たちが前に一緒にと言ったことを覚えていてくれたことが嬉しくて、急いで彼らのもとへ向かった。
彼らのもとへ着くと一緒にギルドホームのあるところへ行き、ギルドホーム購入の手続きを終えた。
直ぐに家具はどうしようかと言う話になり、少し狩りに出て家具代を稼ぎに行こうと言い出したので「私が、家具を1つだけプレゼントするわ。他の家具代は貸しておくので、今日は買い物をして購入記念パーティーをしましょ!」
と提案した。サッちゃんは悪いですよと言っていたが、他のメンバーが遠慮しないで、借りておこう!と言ってくれたのでそのまま家具屋へ行った。
私は余り無駄遣いをしなかったので、結構コルが貯まっていたのだ。『貸す』ということにしておけば、彼らに会う理由ができる。私もその方が嬉しいのだと話した。
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俺(キリト)は25層ボス戦から、もう3ヶ月近く姉さんのところへ帰っていない。本当は帰りたいのだが、何かが引っ掛かる。
あの時、ディアベルがキバオウを庇って死んでしまった時、俺の脳裏にフラッシュバックがあった。脳にかなりの負荷がかかったようで、気絶してしまったのだ。
あの映像は、きっと俺の奥深くにしまってあった記憶なんだと思う。一瞬だったのでよく覚えていないのだが、あの映像が事実で昔あった出来事ならば姉さんは何者なのか。
その疑問が解けないと、姉さんに会う自信がない。だが、1人で悩んでいても一向に解決できない。何か、まだピースが足りないのだ。
俺が戻らないのに、姉さんはメッセージを送ってこない。なんでなのか。姉さんがわからない。本当にあの人は俺の従姉なのだろうか。
もし、姉さんが本物ならあの記憶はなんなんだろうか。そんな堂々巡りで答えが出ない。
俺は敵を倒しながら、思考の渦にいた。そんな時、見知った奴が視界に入った。
「よぉー!キリトじゃねーか!!」
「・・・クライン。生きてたか」
「久しぶりに会ったってぇのに、随分ごあいさつじゃねぇかよ!やっとお前に追いついたぜ」
「そうか」
「まぁったく、おめぇは何やってるんだ?エミリーさんが心配しまくってたぞ?」
「え?・・・だって姉さん、俺にメッセージもくれないぞ?」
「・・・はぁ。エミリーさんはなぁ、お前から連絡を寄越さない限り自分から連絡をとるつもりはないって言っていたぞ。おめぇの為だって」
「・・・何もかもお見通しか。流石だな」
「まぁ、何にしろ一回ぐらいは連絡入れろよ!」
「・・・余計なお世話だ」
「可愛くねぇ奴だな、おめぇは!じゃあな!」
クラインが去って、俺はまた考える。
そうか、姉さんは俺の事を気にかけてくれていたんだ。まだ、甘えてもいいのかもしれない。でも、今更姉さんのところへ戻るのか?
そういえば姉さんは俺を独り立ちさせようとしていた。そうか、俺はここで頑張って1人でいるのも良いかもしれない。
よし、一先ず姉さんにそのことだけを伝えよう。連絡だけは入れておけば、姉さんも安心するはずだ。
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3ヶ月ぶりにキリ君から連絡が入った。
やはり、色々悩んでいたのだろう。メッセージにはこう書いてあった。
『姉さん、久しぶり。連絡しないでごめん。さっきクラインに会って怒られた。これからはまめにメッセージを送ることにするよ。とりあえず、1人で頑張ってみる』
無事なのはフレンドリストで確認できるし、アスナちゃんから聞いて知っていた。そうか、クライン君がキリ君に言ってくれたんだね。今度クライン君達を呼んでご馳走しよう。
早速、返信をする。
『久しぶりね。やっと連絡をくれて嬉しいよ。キリ君の決めたこと、良いと思うよ。頑張って。次のメッセージ待ってるね』
よし。これで心配事が一つ減ったわ。本当はアルゴちゃんにキリ君の動向を探る依頼をしようかと思っていたところだった。
黒猫団の借金はもうすぐ完済だ。彼等もレベルが大分上がり、準攻略組になった。最前線の2層下でレベル上げ出来るまで成長した。もう私の助けは要らないだろう。
キリ君から連絡をもらった2日後、私はアシュレイに頼まれた素材を取りに6層まで降りていた。
入った森で小鳥型モンスターに出会い、やり過ごそうと思ったらその小鳥が近づいてきた。
攻撃してくるかと思っていたのだが、一向にその様子がなく私は急いでストレージから赤い小さな木の実をあげてみた。
するとその子は私の手から木の実を啄んで食べた。これはもしや?と思った時、『モンスターのテイムに成功しました』とウィンドウが表示された。
そして『名前を入力してください』と出たので《ツバサ》と入力。そしてカーソルを見ると私の名前の下に《ツバサ》と表示がでた。
「よろしく。ツバサ」
「ヨロシク。マスター・・・イイエ、オカアサン」
「えっ!もしかして・・・」
「ハイ、ワタシノオカアサンデス」
やはり、そうか。テイムモンスターはAIがMobより少し高く設定されていた。ボスより学習能力は低いのだろう。と、言うことは・・・
この子は私が何かを解っているのね。
「ツバサ、私以外のプレーヤーがいる時は、決してお母さんと呼んではダメよ」
「ハイ、ワカリマシタ」
ツバサの姿は、オウムに近い。だから話せるのだろう。SAOの細かい情報までは確認しなかった。中々によく作りこんである。アキさんが考えたのかしら・・・。
私はツバサを連れて素材集めを再開し、指定された数が集まったところでアシュレイのところへ届けに行った。
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「きゃー、そのオウムどうしたのぅ?」
「頼まれた素材取りに行ったら、テイムに成功してね♪名前はツバサよ」
「ツバサちゃん!かぅわうぃいー!!こっちにおいでぇ~」
「ツバサ、アシュレイよ。ご挨拶してね♪」
「ハイ、マスター。ハジメマシテ。ツバサデス。ヨロシクオネガイシマス、アシュレイサマ」
ツバサは私の左肩からテーブルに下り、頭を垂れて挨拶した。
「うわー!!!!お話出来るの!?お利口さんねぇ~♪こちらこそ、ヨロシク♪」
「アシュレイ、取引は?」
「あまりの衝撃に肝心な事を忘れる所だったわ!はい。依頼料込のコル」
「はーい。お仕事終了♪」
「ねぇねぇ。この子何が出来るの?」
「ちょっと待ってね。私もまだ確認してなかったの」
ツバサのステータスを確認すると
「えっとー・・・・。え?これだけ?ねえ、ツバサ。これだけしか出来ないの?」
「ハイ、ソレダケデス。ゴメンナサイ」
「えっ?えっ?何?どうしたの?」
「・・・非常に申しあげにくいんだけど。《会話》スキルしか書いてない・・・・・・・」
「エミリー、いいじゃない!鳥と会話出来るなんて、素敵!うらやましい!!」
「・・・アシュレイ(涙)、ありがと。ホント貴女と友達で私は幸せ♪」
「ここまで来るの大変だったんじゃない?」
「えぇ。色々なプレーヤーに声かけられまくった。そのうちアルゴちゃんが現れるかも・・・」
「早く宿へ戻った方が良いんじゃない?」
「うーん・・・どうだろうねぇ。宿に帰ってもぜーったいアルゴちゃんが嗅ぎ付けて来て、その後は色々な口止めをしなきゃならない。あー、面倒!!」
そんな会話をしていたら店のドアが開いて、お客さんが入ってきた。
私はもしやアルゴちゃん!?と思って振り返ると、予想を斜めに行く人物が立っていた。
「いらっしゃいませ~」
「・・・・・・・・・」
「・・・お久しぶりですね、エミリーさん」
「・・・えぇ。お久しぶりです」
「あら、2人はお知り合い?」
「・・・えぇ、まぁ」
「本日はどの様な物を?」
「・・・あぁ、今日は私の部屋着を作って貰おうと思ってね」
「いつも、ありがとうございます。では、ご要望をお聞きしましょう。こちらへどうぞ」
「アシュレイ、私は帰るわね。またね」
この場を去ろうとドアノブに手をかけた時、お客で来たヒースクリフに話しかけられてしまった。
「あっ、エミリーさん。貴女にお話があります。この後お時間ありますか?お困りの様ですし、貴女を匿える場所があります。私と一緒にいらっしゃいませんか?」
「・・・えぇ、わかりました。行きましょう」
「ありがとうございます。ではアシュレイ氏と打合せをしてきますので少々お待ちください」
ヒースクリフはアシュレイと奥の作業場へ消えていった。
「オカアサン、ダイジョウブデスカ?」
「えぇ」
ツバサが心配してくれたが、彼が此処へ来たのは私がツバサをテイムしたからだろう。運悪くか、或は計画的にか。とにかく迂闊だったとしか言いようがない。
取あえず匿ってはくれそうだ。・・・軟禁したりしないよね?・・・あわわ、早まったかなぁ。
などと考えていたら、奥から2人が出てきた。
「お待たせしました。では、行こうか」
「・・・はい。アシュレイ、今度こそ『またね!』」
「ありがとうございました。またのご来店お待ちしてます」
アシュレイは定型文を述べ、お辞儀をしたあと私に手を振っていた。
黒猫団はキリトをあまり絡ませず、オリ主で全滅を回避させていただきました。
オリ主、作者の性格が一部でちゃってますなぁ。
そしてキリトさん突っ込みどころ満載になってしまいそうです。
ツバサはオリジナルになります。そして、シリカ嬢用のフラグ・・・。
次回はヒースさんとの関係を少し出そうと思います。