ゴシップ記者:名称未定。主人公。厳密にはオリジナルではありません。祟殺し編のラストで圭一にインタビューした記者です
犬飼寿樹:学生。新聞部所属。厳密にはオリジナルではありません。暇潰し編の誘拐された大臣の孫です
由佳:苗字未定。ゴシップ記者の娘。学生。新聞部所属
他:新聞部部長と部員数名。新聞社同僚と後輩。名称未定
ゴシップ記者:名称未定。主人公。厳密にはオリジナルではありません。祟殺し編のラストで圭一にインタビューした記者です
犬飼寿樹:学生。新聞部所属。厳密にはオリジナルではありません。暇潰し編の誘拐された大臣の孫です
由佳:苗字未定。ゴシップ記者の娘。学生。新聞部所属
他:新聞部部長と部員数名。新聞社同僚と後輩。名称未定
-オヤシロサマの使い-
昭和64年。某月某日。某県某市某所。
道路に面した、大通りから外れた雑居ビル。その一室は外の静けさとは対照的に喧騒に包まれていた。
「ボツ? これがボツか!!」
「ダメだ。この程度じゃ今更、記事にならんよ。もっと過激に、もっとセンセーショナルな記事じゃないとなぁ」
「オレにありきたりの与太記事を書けってのか?! このオレに!!」
「君は確かに優秀な記者だったよ。だが、最近思い上がりすぎてないか? 今の君程度の記事を書ける奴は他にも居る。文句があるなら、実力で示さないとなぁ」
「ぐっ・・・・・・もういいッ!!」
ドアを壊さんばかりの勢いで閉め、編集室から出ると、手に持った紙をぐしゃぐしゃに破り捨て、ゴミ箱へと叩き込むとそのまま廊下へと行く。
懐を探りタバコを取り出す。口にくわえ火を着けようとしたところで、向かいの壁に貼ってある文字に気づく。
舌を鳴らし、階段に向かい、屋上へと向かう。
屋上に出ると、愛用のライターで火を着け、柵にもたれがかりながらタバコを吹かす。
タバコの煙が肺を満たす。満たされた煙が心を落ち着かせる。高ぶった感情が静まってゆくのが分かる。
そう、編集長の言うことは正しい。
記者になりたての頃は、無茶もやった。それなりにスクープもモノにした。
だが、最近はどうだ?。他紙と遜色の無い追随記事ばかりだ。何の独自性も意外性も無い。
こんな三文記事ボツになって当たり前だ。
何故だ? 何がおかしくなったんだ?
事件は、今も昔と変わらず起きている。そう、世間は変わっていない。むしろ、凶悪犯罪の低年齢化に伴い、物騒な事件は、確実に増えている。
なのにスクープをモノに出来ない。ネタが取れない。記事が書けない。
スランプ? 違う。それならまだ良い。釣りでも行って気分転換すれば克服できる。
ならば何が変わった?
世間が変わっていないなら、変わったのはオレの方か?
記者になってから色んな事件を追ってきた、どれも凄惨な事件ばかりだ。
惨劇を見すぎたのかもしれない。
否。断じて否。他人は他人。オレはオレだ。他人がいかに不幸であろうとオレにはメシの種でしかない。
オレが心を痛める必要など無い。
事件はオレに金と名声をくれた。だが、同時に、恨みもくれた。
それが逆恨みであるなら、オレの知ったことではない。
突きつけられた真実で誰が不幸になろうと、それはなるべくしてなった結果だ。
だが、それは、本当に逆恨みだろうか? 中には、逆恨みではない、正当な・・・・・・。
「うぉッと!」
思考を妨げる、突然の震動に愕き、思わず声が漏れる。慌てて懐に手を入れ、携帯電話を取り出す。
仕事柄、着信音を鳴らしては不味いことが多いため、普段からマナー設定にしているのだが、これでは意味が無いとひとり苦笑する
使い始めてから日が浅いこともあるかもしれないが・・・・・・実にみっともない。
「誰からだ? デスクか?」
ディスプレイに映った名前を見る。亡き妻、唯一の忘れ形見、娘の「由佳」からだ。
中天よりやや傾いてはいるもの、まだまだ日は高い。学校は? と疑問に思いつつも着信ボタンを押す。
「あ、お父さん? わたしよ。えへへ・・・。わたし、今何処に居ると思う?」
軽くため息をつく。携帯を買い与えてからと言うもの、どうでも良いような用事でちょくちょく掛けてくる。
友達に携帯をもってる奴は少ないから、かける相手がいないだけだろうが、わずらわしい反面、少し嬉しくもある。
「学校か? それともサボったのか?」
聞き返すと同時に思い出したが、開校記念日だか何だかで休みだった気がする。
「ぶ~!。は・ず・れ。それに今日はお休み。ふふ・・・ぜーったい分からない所よ」
元気が有るのは良いが、誰に似たのか時々予想外の行動をとるのが困りモノだ。
「特に用が無いなら切るぞ? あ、それと夕飯までには帰れよ」
「それは分かってる。ね、それで何処にいると思う? ね ね」
「絶対分からないと言ったのはお前の方だろうが・・・で、何処に居るんだ? 迎えはいるか?」
娘の口ぶりから遠出したモノと推察できる。行動力があるのも困りモノだ。
「迎えに来れるの? 友達も居るけど良い?」
会話の向こうから複数の話し声が聞こえる。確かに、友人たちも一緒のようだ。
「構わんよ、仕事用のバンが空いてる。十人くらいまでなら大丈夫だ」
「十人もいないよ。私も含めて5、6人だし。じゃあ、それじゃあ、夕方、興宮まで迎えに来てね」
「はぁ? 興宮って、そんな遠くに何しに言ったんだ?」
嫌な予感が頭をよぎる。得てしてこういう予感は当たるものだ。
「えへへ・・・・・・実はわたし、雛見沢に居るの」
たまには外れて欲しいものだ。
-愚か者の証左-
娘の話を要約するとこうだ。
誰の影響か、学校の部活は新聞部に入ったそうだ。
その新聞部は、取材と称して部費を使って豪遊するお遊びの延長のような部活だったらしい。
それが原因か、確固たる成果を出さないと部費を削ると、生徒会に忠告されたらしい。
そして、売り言葉に買い言葉で、あっと驚くようなスクープを取らなきゃ廃部。逆に取れたら部費倍増と言う勝負と相成ったらしい。<BR>
しかし、スクープなど中々取れるものではない。
モタモタするうちに期限が近づき、進退きわまった部長が提案したのが「雛見沢大災害に隠された真実」と言ったモノだったそうだ。
確かに、あの災害は不明瞭な点が多い。現にオレ自身も疑問に思っていることがいくつかある。
だが、被災者唯一の生き残りにインタビューしても、まともな答えは出なかった。
雛見沢自体に直接行こうにも、自衛隊の警備が厳しく近づくことすら出来なかった。
それに、近づけたとしても残留ガスの問題もあったので実際に立ち入ったかはどうかは分からない。
アレから6・・・いや7年か? ガスの発生は治まってるはず。だが、封鎖が解かれたという話は聞かない。
危険性は高い。そもそも大災害の被災地で、とんでもない数の死者の出た場所だ、近づこうとする奴は普通いない。
オレですら、わざわざそんな危険を冒そうとは思わない。
・・・・・・つくづく。学生とは怖いもの知らずだと思う。
オレもその頃は色々と無茶もした、いや、今だって無茶をすることがあるから人のことは言えない。
ハイウェイを制限速度ギリギリで突っ走る。
電話を受けた後。編集部に戻り、過去に集めた大災害関連の資料をバンに放り込み、興宮に向けて出発した。
娘には、封鎖されてるってことは、危険がまだ残ってるって事だと説き伏せ、雛見沢からでるように伝えた。
だが・・・由佳の性格を考えるとおとなしく従うとは思えない。ならば一刻も早く現地に言って連れ戻すしか無い訳だ。
娘の話では、ガス災害に関しては調査済みで、現在ガスは確認されてないらしい。
さらに念のために部員の一人がカナリアを連れてきてるとのこと。
それに、移動用に用意した折りたたみ自転車に、通信販売で買ったガスマスクさえもあるとか・・・・・・。もはや、溜息しか出ない。
こうなってしまえば、無事に終わる事を祈るしかない。
サービスエリアに入り、買物と給油を行う。
その傍ら、乱雑に積み込み、適当に持ってきた資料を流し読みする。
雛見沢大災害。昭和58年発生。被災者2000人以上。オヤシロサマ信仰。オヤシロサマの祟り。
生存者1名。ガス災害についての公式見解。証言とシミュレーションとの食い違い。
旅行者と診療所所長の自殺。看護婦の焼死。神社での巫女の殺害。
ダム誘致と鬼ヶ淵死守同盟の対立。それにまつわる不穏な噂話。
そして、雛見沢で囁かれた連続怪死事件。その最後の被害者と思われるのは旅行者と看護婦。
接点や繋がりは不明。
極めつけは、大災害直前に起った。御三家と呼ばれる。古手、園崎、公由。そのひとつ、古手家の長女殺害事件。
それも腹部を解体されるという猟奇じみた方法。
くだんの長女は、オヤシロサマの生まれ変わりとされており。大災害の原因はその長女が殺害されたことによる、祟りだという説だ。
オレとしては祟りだとか信仰だとかの与太話には興味が無い。
重要なのは、その与太話を利用してる奴が居るか、どうかだ。
そして、それがスクープとなりうるか? だ。
だが、その真偽は不明となった。ならざる得なかった。何故なら全てを、雛見沢大災害が飲み込んだからだ。
唯一の手がかりと踏んだ人物も、精神がイカレてて役に立たなかった。
そいつが何か呪詛を吐いた気もするが、そんな事は些細なことだ。
何の収穫も無かったことの方が、痛手としては大きい。
また、大災害が人為的なものだとする説もある。それも、国家犯罪であるとする説だ。
だが、こんな根拠も無い珍説では、与太記事にしかならない、スクープとは程遠い
・・・・・・。あれから6年とちょい。娘たちは雛見沢に入った。入ることが出来た。
これは、チャンスかもしれない。
6年前に諦めた、真実を掴むための絶好の機会だ。興宮で、由佳たちを回収した後、調べてみるのも良いかもしれない。
期待は薄いが、やる価値はありそうだ。
「おわっ、と」
着信。チッ、まだ慣れない。
「由佳か?」
「あ、お父さん・・・」
心なしか声が震えている。何かあったのか?
「あのね。どうしよう・・・わたし、みんなとはぐれちゃったの・・・・・・」
「それは、はぐれた、じゃなくて、迷子になったと言わないか?」
「ちがうよ。迷子は、みんなの方だよ!」
やれやれ・・・荷物から、雛見沢の地図を探さないとな。
-判断ミス-
地図を広げ、娘のたどたどしい説明を聞きながら場所の特定を試みる。
電波状況はかなり悪く、頻繁に通話が切れる。そして切れるたびにアンテナを探す。
かなりてこずったが、場所の特定が出来たので、娘に伝える。
「村外れだな。そこから道なりに南にいけば石段に出るはずだ、その上が古手神社。で、待ち合わせ場所の県道に出るには、そこから・・・」
はぐれた時のために、待ち合わせ場所を決めていたらしい。
いくら疾風怒濤の馬鹿学生とはいえ、そのくらいの知恵は回るようだ。
その場所を教えてすぐ、通話が途切れる。それからしばらくたつが電話は来ない。
雛見沢はド田舎だ。それも携帯普及前に封鎖されている。アンテナは1本も設置されていないはずだ。
しばらく連絡は出来ないだろう。もどかしいがしかたがない。
むしろ、場所によるとは言え、興宮からの電波が届いてることに感謝するべきかもしれない。
と、そこに着信。
「どうした? また迷ったか?」
「は? 何言ってんですか先輩。そんなことより、今朝の件ですけど・・・・・・」
気の利かない後輩からの、業務連絡だった。
今はそれどころではない。適当に相槌をうって、適当にあしらって電話を切ることにしよう。
「ちょっと、先輩聞いてますか? 実はですね・・・」
「いいからいいから、それはお前に任す。じゃ、今、忙しいんだ切るぞ」
地図の距離からみて、神社から県道に行くにはかなり時間がかかる。給油も終わった。ならば、こっちも出発するとしよう。
ま、日が暮れる前にはつくだろう。
-不審の芽-
「おいおい。どうなってんだ?」
興宮に到着した時点で、由佳に電話をかけるが、通じない。これは予想済み。
とりあえず雛見沢に向かおうと、興宮と雛見沢を繋ぐ、唯一の県道を進む。
入り口にあった立ち入り禁止の看板とクルマ止めが、通行を邪魔する。これも予想済み。共に無視して先に進む。
だが、雛見沢と興宮の境界に差し掛かった頃、警備の人間に出くわしたのは、完全に予想外だった。
「止まりなさい」
「注意書きは見なかったのか?。ここから先は立ち入り禁止だ。引き返しなさい」
ここで騒ぎを起こすのは得策ではない。おとなしく、その場から離れる。
警備をしていたのは迷彩服を来た自衛官2名。災害ゆえに警察ではなく自衛官が封鎖にあたっているのは、さほどおかしくは無い。
だが、問題は、災害発生から6年も経つのに未だに警備として常駐してると言うことだ。
通常ならありえない。
そして、もっとありえない事がある。
それは、ライフルを持っていたことだ。
自衛隊が要所で武装しているのはあたりまえだ。そこに疑問は無い。
だが、ここは雛見沢。大災害の被災地。
被災地で救援活動をする自衛隊が武装するなどありえない。
戦場や無法地帯じゃあるまいし、日本の被災地で武装する意味などありやしないのだ。
たしかに、警備と言うなら武装は当然だが、そこまで厳重に警備する必要が、はたしてあるのだろうか?
ありえない。そう、ありえない。・・・・・・・・・ありえ・・・ない?。
「雛見沢では、ありえないことなんて、ありえない」
誰かが言った言葉を思い出す。誰だ? いつ聞いた? 確か・・・・・・。
「うぉっと」
不意の着信。由佳からだ。
「あ、お父さん? うん。みんなとは合流できたよ・・・でもね、はぐれたの私だけじゃないみたい。
寿樹くんも、いないの」
誰だ、そいつ?
-傍観者の憂鬱-
「・・・・・・。分かった。じゃ、オレは指定のとこで待機してるからな。時間に遅れるなよ」
指定の場所。興宮にある妙なファミレス。そこの駐車場にクルマを止める。
クルマから出て、ドアにもたれかかり一服する。
日が落ちかけている。あと1時間くらいで真っ暗になりそうだ。
日が落ちる前に合流できるかは微妙そうだ。
娘からの話をまとめるとこうだ。
雛見沢に行くにあたって、当然のことだが、下調べをしたそうだ。
そして、警備の存在も知った。
普通なら、そこで諦めるところだが、どうやって調べたかしらないが、交代時間に隙があることを突き止めたらしい。
なんでも警備は3交代で、決まった時間に引継ぎをするらしい。
それでだ、その引継ぎの時に20分ほど無人になる時があると言う。
そのタイミングを計って警備を抜けたらしい。
素人目に見ても、ずさんな警備体制だと思うが、こんな辺鄙な場所に来る奴は普通いない。油断が生じてもおかしくはない・・・か?
いずれにせよ、由佳たちが警備を抜け、雛見沢に入ったことは事実だ。
あとは、行きと同じく、交代のタイミングを計って帰るだけ。
残る問題は、いなくなった奴を、時間までに見つけれるかってことだ。
見つからなかったらどうするか?
「時間までに戻って来ず、見つけることも出来ないなら、とりあえずお前たちだけでも戻って来い。後はオレが何とかする」と伝えてはいる。
夕方の交代を逃したら、次はもう真夜中だ。ろくに明かりも無い状態で、街灯すらなく、舗装もされてない道を行くのは困難だろう。
そうなると、さらに次の交代を待った方が良いと事になる。だが、それは、あの村で一晩過ごすことを意味する。
山手にある雛見沢は少々冷え込むかもしれないが、気候的には凍死の心配する必要は無さそうだ。
なら、一晩くらい、我慢してもらうしかあるまい。
一晩経っても戻って来ないようなら、警察に通報し、捜索してもらうしかない。
そうなれば騒ぎとなり、受験をに向けた、大事な内申書に傷がつくだろうが、自業自得だ。
いなくなった奴がどんな奴か知らないが、ドジ踏んだものだ。
カナカナカナカナカナカナ・・・・・・・・・。
ひぐらしが鳴き始めた。そろそろ予定の時間だ。
警備は抜けれたか? 居なくなった奴は見つかったのか?
仕事柄「待つ」という事には慣れている。それこそ何十時間と張り込んだこともある。
だが、不安とあせりが拭えない。
慣れてるはずなのに。気持ちが落ち着かない。
ふと目をやったクルマのサイドグラスに今にも泣きそうな顔をしている中年男性の姿が写る。
誰だ? オレか? このなさけないツラ下げた親父がオレか?
「ククク、ざまぁねえな・・・」
自重気味の笑いが漏れる。
リスクなど怖かない。この身に危険が降りかかろうと払える自信はあるし、それでリターンが得られるなら問題はない。
だが、今の状況は違う。
リスクを負ってるのはオレではなく娘の由佳。オレは傍観者でしかない。
リスクを選択したのは本人である以上。他人にどうこう言われるいわれは無い。
オレは今までそうやって生きてきた。生きてきたのだが、今日、初めて、その生き方に疑問を持った。
視線を時計に戻し時刻を見た後、雛見沢の方を振り返る。
そろそろ合流の予定時間だが・・・・・・。
すると、ちょうど、自転車に乗った学生が数人、駐車場に入ってくるのが見えた。
彼らは誰かを探すそぶりをしたので、こちらも手を振りそれに答える。
「由佳ちゃんのお父さんですか?」
顔色が良くない。息も切らしている。疲労と不安が見て取れる。
「ああ、そうだ。それで、全員揃ってるのか?」
人数を確認する。明らかに少ない。
「それが・・・・・・、結局、寿樹くんが見つからなくて」
そんな奴はどうでもいい。それより・・・・・・。
「由佳はどうした?」
姿が見えない。その時点で答えが予想できたが、尋ねずにはいられなかった。
「それが、その、寿樹くんを探してくると言って・・・止めたんだけど・・・」
予想が当たって嬉しくないのは久々だ。
-トラブルはメシの種-
ひぐらしの合唱も止み、日が落ちた頃。戻ってきた学生らを乗せて、高速道路を走る。
「なるほどね。それで立案者は?」
携帯電話は繋がるかどうかは、こちらではなく、あっちの状態しだいだ。こっちの場所は関係ない。
「それは、部長のわたしです。ごめんなさい。こんなことになるなんて・・・」
それに、次の交代時間は深夜。一度引き返してから、また戻って来るだけの余裕は十分にある。
「まったくだ。と、言いたいが・・・・・・それはもういい。過ぎたことだ」
ならば、無理に引き止める理由はない。こいつらの保護者が騒ぎ出す前に帰らした方が良い。
「それより、いきさつを聞かせてくれないか?」
娘もいない以上、車で送る義理も無いが、道中、聞きたいことが有ったので予定通り、車で送ることにする。
「はい。最初は生徒会の意地悪が発端で・・・」
そのあたりの話は聞いている。正直、くだらないとしか言いようが無い
「・・・そこで私が、スクープを取れば見返せると・・・」
文句の一つも言ってやりたいが、言った所で状況が好転するわけでもない。ただの八つ当たりだ。意味が無い。
そんなことより、今、オレが欲しいのは情報だ。
娘の安否の為にも、今後の対策のためにも、オレ自身のためにもだ。
そう、一石二鳥とは言わない。だが、災い転じて福と成させる事は出来そうだ。転んだ以上、タダで起きる気は無い。
「でも、なかなかスクープと言える事件も無くて・・・」
一度事務所に戻る。そして、暇な奴を連れて興宮に戻る。そして深夜、雛見沢に入るのだ。
「そしたら、犬飼・・・寿樹の奴が面白い話があると言い出して・・・」
無茶は承知。だが、オレはそんな状況をなんども切り抜けた。いまさら躊躇する理由など無い。
それにだ、どういう状況だろうと、人気の無い場所で、娘が知らない男と二人っきりで一晩過ごす事実に変わりはない。
ならば、親として、意地でも乱入してみせようじゃないか!。
さあ、インターチェンジを超えた。あと、小一時間もすれば到着する
「・・・大体分かった。しかし、自衛隊の交代時間なんて良く調べられたな・・・プロでも難しいことだぞ?」
当初から疑問に思ってたことを尋ねる。たかが学生がどうやって「警備体制」と言う、機密情報を手に入れたのか?
「それは、それも、犬飼くんが・・・なんでも、親のコネだとかなんとか・・・」
コネ・・・か。ま、順当な答えだ。自衛官か何かかだろうか? そいつの親は?
「あ。僕らはここで良いです。自転車もありますし・・・」
「それならわたしも、ここで・・・」
「え? え? じゃ、僕もここで・・・」
問い詰めたつもりは無いのだが、流石にこいつらも気まずいらしい。
あたりまえか、オレが逆の立場ならとっくに逃げ出してる。
「おっと」
学生らをクルマから降ろし見送る。軽くだが口止めもした。その直後、着信が入る。あいかわらず、慣れないものだ。
着信は、由佳からかと思ったが、どうやら後輩からのようだ。
「あ。先輩ですか? 用事終わりましたか?」
残念だが、ちょど良い。向こうから来てくれた。
「いや。まだだ。それよりおまえ。暇か? 暇なら手を貸せ。暇じゃなくてもいいから、とりあえず手伝え」
「ちょっ、強引な・・・。こっちも今朝の事件で忙しいんですよ」
「事件? ああ、どこかの主婦が殺されたって話だろ? そんなありきたりの事件なんざ、後回しにしろよ」
「それが、ちょっと面白い展開になったんですよ。容疑者は「犬飼寿樹」学生です。これは、昼頃分かったことなんですが・・・・・・」
ああ、確かに面白い。面白すぎて涙が出そうだ。
-籠の鳥-
事件の概要はありきたりなモノだ。
某大手建設会社の社長の妻が何者かに殺害された。死因は脳挫傷。鈍器で撲殺されたものと見られる。
外部から進入された形跡や物色の痕もなく、夫婦関係が破綻してた事から、当初、その旦那が容疑者とされた。
だが、当日正午、明白なアリバイが成立したため容疑から外れた。
次に容疑がけけられたのは、旦那の浮気相手だ。だが、これも旦那同様、アリバイが成立。
犯行時刻は昨日の午後。死体が発見されたのは今朝早く。第一発見者は、通いの家政婦。不審な点は無い。
被害者のひとり息子の犬飼寿樹は、犯行時刻から現在まで消息不明。ただし、朝食を食べた形跡があった為、明け方まで、家に居た可能性が高い。
以上の点を踏まえて、警察は、少年を、有力な第一容疑者として手配中である。
犯行動機は依然不明。凶器は、現場で発見された金属バットでほぼ確定とされている。
また、事件の一ヶ月ほど前に、付近の住民から、探偵と名乗る不審者が居るとの通報があったものの。関連性は不明。身柄も特定もされていない。
大事件だが、スクープには程遠い。特筆すべき所もなく、いつもなら歯牙にもかけず別の事件を追うところだ。
だが、今回は違う。まるで違う。
まさか、自分が当事者となろうとは思いもしなかった。
ましてや、娘にその矛先が向けられるなど考えもしなかった。
「それで、それから連絡はあったんですか?」
「無い。電波事情を考えるとおかしくはないが・・・・・・」
後輩を連れてハイウェイを突っ走る。
状況が一変した。もはや一刻の猶予も無い。
「しかし、その少年は何を考えてるでしょうね?」
「知るか。それよりもっと飛ばせ!」
「無茶いわないでくださいよ これでギリギリなんですから」
騒ぎがどうのと言ってる場合ではない。
たった一人の娘が、殺人犯と一緒にいるかもしれないのだ。
「資料はコレで全部か?」
「ええ。言われたとおり全部ですよ」
ワンボックスの後部に詰まれた資料をひっくり返す。
名前を聞いたとき。微かにひっかかりがあった。
どこがで見た記憶があるのだ。
そう、たしか・・・・・・鬼ヶ淵同盟の噂話で・・・・・・。
「むっ?」
着信。由佳か? 相手を確かめる間もなく、慌てて電話に出る。
「あ、お父さん?」
「由佳! 無事か? 怪我はないか? 大丈夫か?」
思わず声が上ずる、よかった、まだ無事なようだ。
「え? うん。わたしは大丈夫だけど・・・・・・寿樹くんが・・・」
その名を聞いてハッとなる。まさか、近くにいるのか?
「ねえ、どうしょう! どうしても見つからないの」
涙声で、悲しそうに訴えてくる。
だが、それは朗報だ。よし、間に合う。これなら最悪の事態は避られる。
「みつからないのはしかたないさ。それよりもだ。今、村の何処にいる?」
余計な心配をかけぬように、勤めて平静に話しかける。
「えーと、電話ボックスがあるから・・・多分・・・・・・あたりだと思うけど」
「その村に電話ボックスは一つしかない。そこで間違いない」
地図を見て確認する。あとは、オレがそっちに行くまでに、殺人犯のクソガキに見つからなきゃ良い。
「近くに店があるはずだ。鍵は開いてるはずなんで、そこで待ってろ」
「え? それは良いけど・・・寿樹を探さないと」
「いいから待ってろ。迎えに行くから」
「え? え?」
「ついたら一緒に探してやるから、そこで大人しくしてろ」
探す気などない、嘘も方便だ。
「・・・わかった。ごめんね・・・お父さん」
「いい、いい。泣くな。それより電話のバッテリーは大丈夫か?」
「それは大丈夫。予備もあるから」
「寒くないか?」
「ちょっと寒い。でも、それよりちょっと恐い・・・かも」
当然だ。夜中の大災害被災地。人気は全く無い。灯りは懐中電灯一つ。あたりは真っ暗。コレで怖くない方がどうかしてる。
・・・それだけ、探すのに夢中になってたんだろう。
「何を今更。それより、勉強してるのか? そろそろ試験だろ?」
「え? もう! こんな時に何言ってるのよ。へへ、ちゃんとしてるよ。お父さんこそ約束忘れてないでしょうね?」
「ああ。結果さえ出せば、約束は守るさ」
声に元気が戻る。話題を変えたのは正解だったようだ。後はこのまま、到着するまで雑談で気をまぎわらせてやれば良い。
-致命的なミス-
「あれ?」
興宮に到着する。雑談も続けたままだ。そして、そろそろ日付も変わろうかと言うとき。
「どうした?」
「何か・・・。うん。灯りが見えるの・・・・・・。何か燃えてるみたい」
「燃えてる? 火事か?」
「わかんない。でも、結構遠く。多分神社方だと思う」
遠いのか。ならば、ここから動く必要はないな。
交代時間まであと一時間弱。もうすぐ合流できるはずだ。問題は無い。あっちゃいけない。
「・・・もしかして。寿樹くんかも・・・」
「まて、そこを動くな。もう少しでそっちに行ける。オレが着くまで動くんじゃない」
「でも・・・。ううん。ちょっと見てくる」
「ダメだ! ダメだ! それにそこにそいつがいるとは限らないだろ。動か無い方が良い」
冗談じゃない。あと少しだ。合流さえ出来りゃどうとでもなるんだ。
「だから、確かめてくる」
「ダメだったらダメだ! お前まで殺されたらどうする!!」
「え?」
うかつもいい所だ。プロのジャーナリストとあろうものが口を滑らすなど・・・。
「今のは、どういうこと?」
「・・・・・・今朝、殺人事件があった・・・・・・彼は、その容疑者だ」
「う・・・そ・・・でしょ?」
「事実だ。正確には昨日の夜に起った事件だ。そいつは母親殺しの犯人だ」
「じょ、冗談はやめてよ・・・いくら、お父さんでも・・・本気で怒るわよ?」
狼狽した様子が伝わってくる。無理も無い。だが、奴に近づけさせるわけには行かない。
「彼が犯人だと確定したわけではないが、可能性は高い。そもそも、彼の行動は不審な点が多すぎる」
「・・・・・・信じない。そんなの信じない!」
「そいつが犯人かどうか分からん。だが、行動がおかしいのは事実だ。だから・・・・・・」
「・・・・・・お父さんのバカーッ!!!」
「おい! だから、オレが着くまで待てと・・・」
くそッ! なんてっこった。
口先勝負のジャーナリスト様が、自分の娘一人も説得できないとはな・・・。
「先輩。もうすぐ雛見沢行きの県道に出ますけど?」
無神経な後輩の声にいらだち、八つ当たり気味にどなる。
「止めろッ!」
「はい?!」
クルマが急停止する。止まったのを確認すると、クルマから降り、運転席のドアを開ける
「降りろ。そして、そのまま警察に行け」
「はぁ? なんでですか?」
「状況が変わったんだよ! 警察に着いたら俺と由佳の捜索願を出せ。全部話してかまわん」
「本気ですか? ・・・本気みたいですね。それで、先輩はどうするんですか?」
「雛見沢に向かう」
それだけ伝えると、返事も待たず、クルマを急発進させる。
予定では、由佳だけを連れ戻し、犬飼のクソガキはほっとくつもりだった。
クソガキが有罪だろと無実だろうと関係ない。
そいつが容疑者である事は間違いなく。封鎖されたところに不法侵入した事実も変わらない。
もはや、穏便に済ませることは不可能なのだ。
なら、そいつは見捨てるのがセオリーとなる。
それで、今回の騒動は、そいつひとりの犠牲で一件落着となるはずだった。
幸い、他のガキどもにも口止めをしてある。あとは、口裏を合わせるだけだけで良かった。
生きていようと死んでいようと、ひとりのバカ学生による騒ぎとしてケリが着くはずだったのだ。
だが、こうなってしまってはどうしようもない。
事件が明るみとなって、娘の将来に大きなハンデを与えることとなっても、手遅れになるよりマシだ。
「クソガキが!! 娘に何かしてみろ。てめえを八つ裂きにしてやる!」
後は、警備の自衛官を説き伏せて、現場に急行するだけだ。
クルマを走らせる。
祈る気持ちでアクセルを踏み込み、山道で出せる限界までスピードを上げる。
警備の自衛官は居なかった。
理由は分からない。
いくつか推測は立つが、どうでも良い。むしろ、説得の手間が省けたと言える。
そのまま、速度を落とさず雛見沢へと向かう。
ダメもとで、由佳の携帯に、こっちからかけてみる。
さっきの剣幕では出てくれる可能性は低いが、ためしてみずにはいられない。
何もしないでいると、心がどうにかなりそうだ。
コール音が数回なる。電波は届いているようだ。
しばらく鳴らし続ける。
舗装道路が、舗装されてない所に切り替わる。
激しい揺れにハンドルを取られ、慌てて停車する。
チッ、ここからは、片手じゃ無理か・・・。
あきらめて電話を切ろうとすると、反応があった。
「・・・だ・・・」
「由佳か? 無事か? 待ってろすぐに行くからな!」
「・・・」
声をかけるがすぐに返答が無い。
「おい?」
最悪の予想が頭をよぎる。だが、現実は、時として予想を上回るものだ。
「来ないでいいよ。むしろ邪魔」
それは、由佳の声ではなかった。
-親の因果は子に巡る-
「オヤシロサマが怒ってる」
「由佳は・・・。由佳はどうした?」
感情を無理に抑えたような声の少年。
「オヤシロサマが僕を呼んだんだ」
「質問に答えろ!!」
背後で、パチンパチンと、木が火で爆ぜる音が鳴る。
「あの時からずーっと、オヤシロサマは僕に語りかけてたんだ」
「聞こえてるのか?! 娘を・・・由佳をどうした!!」
焚き火。いや、焚き火にしては音が大きい。
「でも。僕はそれに気づかなかった」
「おい、おまえ・・・?」
火事? それにしては音が小さい。
「だから、祟られた」
「・・・」
やぐら? キャンプファイヤーか?
「オヤシロサマは怒ってる。怒りを静めなきゃいけない」
「祟りだと? ふざけるな!!」
やぐら・・・祭壇・・・祭り・・・祭り?!
「最初は部長を。次に・・・くんを。次は・・・さんを」
「おい?!」
綿流し・・・?
「鬼ヶ淵に捧げるつもりだった。でも、準備に時間をかけすぎてしまった」
「おまえ。自分が何を言ってるかわかってるのか?」
それはたしか、雛見沢の代表的なお祭りのはず。
「だから僕は謝ったんだ・・・ごめんなさい、と」
「友達じゃなかったのか? そいつらは、仲間じゃなかったのか?」
それは、精霊流し似た、よくある儀式。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな・・・」
「母親を殺ったのは、おまえだな?」
だが、綿流しにはもうひとつ意味があったはず。
それは確か・・・・・・。
「そしたら、オヤシロサマがチャンスをくれたんだ」
「まて。まてまてまてまてまてまてまてまてまてッ!!」
腸流し。
「あはははははははははははははははははははははははははははは!」
「やめろーッ!!!!」
ぐちゃぐちゃ、ザスザスと、何かをかき混ぜる、不快な音。
ずるずると何かを引きずり出す、不快な音。
そう、ひぐらしのなく前に、全ては終わりを告げたのだ。
-終わらない惨劇-
平成元年。某月某日。某県某市某所。
道路に面した、大通りから外れた雑居ビル。その一室は外の静けさとは対照的に喧騒に包まれていた。
「さすがだよ。大スクープもいいところだ。良く気が付いたものだよ」
「偶然ですよ」
「いやいや、謙遜しなくていい。連日、世間もこの話題で持ちきりだよ」
「ま、これが最後の仕事ですから」
「いや、実に残念だ。身体はなんとも無いのだろ?? 考え直してくれないかなぁ?」
「働く理由がないんですよ」
「確かに娘さんのことは気の毒だが・・・あれは不運としか・・・、と、す、すまない」
「・・・。じゃ、そういうことなんで」
無神経なセリフを吐いたバカを背に、部屋から廊下に出る。
タバコを取り出そうとして、廊下の張り紙に気づく。
屋上に行こうとしたが、立ち止まり、下へ降りてビルから外に出る。
タバコをくわえたまま、大通りへと歩き出る。
町の騒がしさがわずらわしい。だが、今はそのわずらわしさが欲しかった。
この喧騒の中にいれば、余計な足音を聞かずに済むからだ。
由佳は死んだ。
クソガキも死んだ。
「えーですから。お父さん。あなたが電話で聞いたのは妄想なんですよ」
共に仲良く殺された。
「貴方が山道で発見されたとき、あなたは意識を失っていた」
残ったヤツラも死ぬだろう。
「火山性のガスの中毒症状には、幻覚や妄想などの、認知障害も含まれます」
オヤシロサマの祟りは実在するからだ。
「あの日、夜半過ぎにはガスの再発生が、確認されています」
なぜなら、あの日から、ずーっと。着いてきてるからだ。
ヒタヒタ、ヒタヒタと背後にそっと。ぺっとりくっついている。
「現に、あなたの娘さんを含む、二人の被災者は、あなたが到着する前に亡くなられています」
クソガキから、オレにターゲットを変えたらしい。
「車の中にいた貴方同様に、家の中にいた分、娘さんは長生きできたようですが・・・・・・」
だが、オレは謝らない。
クソガキとオレは違う
オレは、お前を恐れない。
やつが、どんな禁忌に触れたのか? そんなことは関係ない。
おまえがどれだけ怒っていようが、それも関係ない。
「隠蔽? 何の話ですか?」
神であろうが鬼であろうが、オレはおまえを許さない
おまえは、娘を祟り殺した。
理由はこれだけで十分だ。
「娘さんの亡骸をお渡しできないのは、行政解剖が終わってないからです」
おまえはいずれ、オレを祟り殺すだろう。
轢死か? 頓死か? それとも、憤死か?、ああ、そうか、誰かが予告してたな、溺死だったかな?
だが、その前に、オレがおまえを殺してやる。
「災害とは言え、一応、変死ですから・・・・・・」
呪いの種は撒いた。
いや、元々撒かれていたのかも知れない。
あとは、その呪いが、おまえの祟りを、陵駕するのを持つだけだ。
オヤシロサマに、呪いあれ。
オヤシロサマを生んだ雛見沢に、呪いあれ。
惨劇を生んだ、雛見沢関係者に、呪いあれ。
「質問は終わりですか? ならお帰りを・・・・・・」
オレが名づけ、オレが生み出した呪い。
祟りを呪いに変え、雛見沢の名を貶める、オレの呪い。
ドタンバタンと騒がしい!。
もう遅い。呪いは撒かれた。もう、オレにも止められない。
「・・・ねぇ。またよ。やーねぇ」
「ほんと。これだから・・・・・・出身者は・・・」
おまえが滅ぼし、おまえが再生しようとする雛見沢。
自分で滅ぼしときながら、さらに信者を求める傲慢な存在。
雛見沢の守り神よ。オレの呪いから、守れるものなら、守って見せろ。
祟ってまでも連れ戻そうとする、大事な信者たちをだ!!
「次のニュースです。・・・で起った連続殺人事件の・・・」
「・・・以上から。この事件もまた、一連の・・・出身者による連続・・・」
立ち止まり、ふと街頭テレビを見上げる。
新たな惨劇が報道されている。
無責任なコメンテーターが、無責任に煽りたてる。
無知蒙昧な大衆は、メディアの扇動に乗り、これまた無責任に騒ぎ立てる。
予想通りだ。
そして、惨劇は連鎖する。
あたかも伝染病のように。
それがオレの呪い。
祟りを呪い返し、てめえの野望を挫く。
渾身の呪い。
それが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「では、俗に”雛見沢症候群”と呼ばれる一連の事件の続報です」
-Fin-