問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?―   作:問題児愛

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今回の話は耀と月夜が造物主達の決闘の説明を聞く。
飛鳥をレティシアが捕獲するところまで


第二話 造物主達の決闘の説明と問題児とウサギの追いかけっこは最終ラウンド突入のようだ!

「ふふ。なるほどのう。おんし達らしい悪戯だ。しかし〝脱退〟とは穏やかではない。ちょいと悪質だとは思わなかったのか?」

「それは………うん。少しだけ私も思った。だ、だけど、黒ウサギだって悪い。お金が無いことを説明してくれれば、私達だってこんな強行手段に出たりしないもの」

「普段の行いが裏目に出た、とは考えられんのかの?」

「それは………そ、そうだけど。それも含めて信頼の無い証拠。少しは焦ればいい」

 

 拗ねる耀を、くっくっと笑う白夜叉。月夜は合点がいったようにポンと手を叩いた。

 

「―――ふむ。黒ウサギが本気で怒っていた理由はコレだったのか………お陰で頭がまだ痛い」

「………あの時黒ウサギをからかった月夜が悪いよ」

「ぬ………我も彼処まで怒っておるとは思わなかったのだ!」

 

 言い訳をする月夜を、耀は金髪頭を優しく撫でて宥める。それはまるで子供(月夜)をあやす母(耀)であった。

 その光景をニヤニヤと見つめた白夜叉が笑って言う。

 

「くくく、これでは真祖の小娘の方が眷属だの!」

「ぬ?それは断じてあり得ぬぞ白夜叉」

「……………私が月夜の主?なにそれ凄くいい響き」

「な………ぬ?」

 

 耀の瞳はキラキラと輝いていた。月夜はキョトンとした表情のまま固まる。

 

「そういえば、大きなギフトゲームがあるって言っていたけど、ホント?」

「本当だとも。特におんしに出場して欲しいゲームがある」

「私に?」

 

 小首を傾げる耀。白夜叉はチラシを着物の袖から取り出して見せた。

 

 

『ギフトゲーム名〝造物主達の決闘〟

 

 ・参加資格、及び概要

  ・参加者は創作系のギフトを所持。

  ・サポートとして、一名までの同伴を許可。

  ・決闘内容はその都度変化。

  ・ギフト保持者は創作系のギフト以外の使用を一部禁ず。

 

 ・授与される恩恵に関して

  ・〝階層支配者〟の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームを開催します。

〝サウザンドアイズ〟印

〝サラマンドラ〟印』

 

 

「………?創作系のギフト?」

「うむ。人造・霊造・神造・星造を問わず、製作者が存在するギフトのことだ。北では、過酷な環境に耐え忍ぶために恒久的に使える創作系のギフトが重宝されておってな。その技術や美術を競い合う為のゲームがしばしば行われるのだ。そこでおんしが父から譲り受けたギフト―――〝生命の目録(ゲノム・ツリー)〟は技術・美術共に優れておる。人造とは思えんほどな。展示会に出しても良かったのだが、そちらは出場期限が切れておるしの。その木彫りに宿る〝恩恵〟ならば、力試しのゲームも勝ち抜けると思うのだが………」

「そうかな?」「うむ。幸いなことにサポーター役としてジンもおる。本件とは別に、祭りを盛り上げる為に一役買って欲しいのだ。勝者の恩恵も強力なものを用意する予定だが………どうかの?」

 

 白夜叉の誘いに小首を左右に折る耀。だが、耀はふっと思い立ったように質問する。

 

「ね、白夜叉」

「なにかな?」

「その恩恵で………黒ウサギと仲直りできるかな?」

 

 小動物のように小首を傾げる耀。それを見てやや驚く白夜叉だったが、次の瞬間には温かく優しい笑みで頷いた。

 

「出来るとも。おんしにそのつもりがあるならの」

「そっか。それなら、出場してみる」

 

 耀はコクリと頷いて立ち上がる。それに続くように月夜も立ち上がると、耀がふと呟いた。

 

「………そういえばこのギフトゲームに月夜は出れないの?」

「ぬ?」

「む?………うーむ。ライムのギフトネームは〝終焉の真祖(ラスト・オブ・ルーツ)〟のみだからのう。なんとも言えんな」

 

 唸る白夜叉。それもそのはず、月夜のギフトは〝終焉の真祖〟只一つのみなのである。他に武具らしいギフトが見当たらないので微妙といったところ。

 それに月夜が頷いて答える。

 

「ああ、我のギフトは一つだけだな。―――あと創作系のギフトらしいモノもあるが、コレで出場出来るか微妙であろうな」

「む?それはどういう意味だ?」

 

 白夜叉が問う。それに月夜は頷くと、自分の指を噛み切って三日月形に鮮血()を宙に舞わす。そしてそれを掴み取るように握ると―――鮮血で出来た真紅の鎌『紅月の鎌』を出現させた。

 

「「―――――………は?」」

 

 一体どんな手品だ?と、白夜叉と耀が素っ頓狂な声を上げた。鮮血が瞬時に鎌に変わったのだから驚くのは無理もないだろう。

 

「この鎌は我が鮮血で創造したモノ。とはいえ自身で造ったモノは駄目だったりするか?」

「おんしが?………うーむ。サポーター役としてなら可能かもしれんが、何せ、得体のしれない霊造物だからのう………その点はなんとも言えんし微妙だの」

 

 難しい顔で渋る白夜叉。月夜はガクリと肩を落とした。真祖(あるじ)として、眷属である耀のことが心配で心配で仕方がないのだろう。

 

 それを察した耀が、今一度問いただす。

 

「月夜は出ちゃ駄目なの?」

「う、うーむ。得体のしれないモノだが創造物であるのはたしかだ。出ても問題ないと私は思うがの」

「ほ、本当か!」

 

 月夜は嬉しさの余り白夜叉の手を掴む。突然の出来事に白夜叉は面食らうが、眼前に月夜の顔があったせいかニヤニヤと笑って言う。

 

「うむ。とはいえ鮮血から鎌を取り出すのは駄目だの。せっかく私がギフトカードを贈呈してるのだし、ソレに仕舞ったらどうだ?」

「ふむ?それをすれば何か変わるか?」

「性能向上になるわけではないが、少なくともギフトカードに仕舞っておけばカモフラージュになる。武具として見えなくもないだろ?」

「成る程。そう言われてみればそう思えてくるであるな」

 

 月夜は納得して右手に携えている『紅月の鎌』をギフトカードに仕舞う。すると〝終焉の真祖〟の下に〝紅炎の魔剣(レーヴァテイン)〟と表記された。

 

「「「―――――………は?」」」

 

 それを見た三人は素っ頓狂な声を上げた。どうやら月夜の『紅月の鎌』という得体のしれないモノは、邪神ロキが造ったとされる〝紅炎の魔剣(レーヴァテイン)〟と〝ラプラスの紙片〟に誤認されてしまったようだ。

 あらゆるモノを切り裂く武具だったため、〝魔剣〟扱いされたのだろう。

 とはいえ〝魔剣〟なら神造物として認められるので、月夜のギフトゲームへの出場は可能となった。

 

「………〝紅炎の魔剣〟か。―――うむ。これならおんしも出場可能になったの。元々得体のしれないモノだったのだし、コレが正しい武具の名かもしれんな」

「ぬ………だが〝魔剣〟はおかしいぞ?我の武具は〝鎌〟だ。〝剣〟ではない」

「まあそれはそうだが、〝紅炎の魔剣〟も実際の姿は剣ではなく杖のようなモノだからの。鎌にせよ何にせよ、何の問題はない!」

「………いや。問題大有りだと我は思うぞ?」

 

 冷静にツッコミを入れる月夜。魔剣=鎌がおかしいのと同様に、杖のようなもの=鎌も大概おかしいのである。とはいえ耀と出場出来ることが何よりも嬉しい月夜は、結局白夜叉の話を鵜呑みにするのだった。

 

「―――だがライムの出場はおんしが決勝に進めたらになるが………それで良いかの?」

「うん。月夜と出れるならそれで文句ないよ」

「うむ。ではライムもその条件で良いか?」

「ああ、承知した。―――決勝時はよろしく頼むぞ、耀」

「うん。決勝時はよろしく、月夜」

 

 真祖と眷属、月夜と耀は笑みを交わして頷き合うのだった。

 

――――――――――

 

「そうね。何時かお礼するために、白夜叉を招くのに相応しい〝主催者〟を目指しましょう」

「とはいえ、今はまだ無理だけどな。まずは色々なギフトゲームに勝たないと」

「もちろん。こんなに大きなお祭りなんだもの。凄いギフトが貰えるゲームがあるはずよ」

「YES!祭典では創作系のギフトを競い合う二大ギフトゲームが進行中なのですよ!」

「創作系?何か作るの?」

「はいな。耀さんの持つ〝生命の目録〟のように人造・霊造・神造・星造を問わず、様々な創作系ギフトを持つ者達が参加できるギフトゲームなのでございます♪」

「へえ?よく分からんが、凄いギフトが貰えるのか?」

「それはもう!新たにフロアマスターとなったサンドラ様から直々に恩恵を与えられるとなれば、よっぽどのものでございますよ!」

「そう。なら春日部さんに連絡して出場してもらおうかな。伝言お願いね、黒ウサギ」

「YES!任されたのですよ♪それではそれでは御二人様!今から向かうので黒ウサギニオトナシク捕マッテクレマスヨネ?」

 

 黒ウサギは壮絶な笑みで問う。それに飛鳥と十六夜は即答した。

 

「「断る!」」

 

 十六夜は歩廊にクレーターを作り出さん勢いのある脚力でスタートダッシュ。飛鳥は反対方向に逃げていくが、空から舞い降りた金の髪に特注のリボンを身につけ、蒼と白のフリフリスカートのメイド服を着た吸血鬼、レティシア=ドラクレアに飛びつかれて捕まる。

 

「きゃ!」

「フフ。観念してもらうぞ飛鳥」

 

 黒い翼を畳み、微笑しながら飛鳥にブラブラと抱き付くレティシア。

 仕方なさそうに降参して両手を上げる飛鳥。最後に一声、十六夜に向かって叫んだ。

 

「十六夜君!貴方が最後の一人よ!簡単に捕まったら許さないわ!」

「了解、任せとけお嬢様!」

 

 ヤハハハハハハ!と笑いながら歩廊を走り抜ける十六夜。しかし黒ウサギも負けておらず、それを猛追する。

 

「逃がさないのですッ!!今日という今日は堪忍袋が爆発しました!捕まえたら黒ウサギの素敵なお説教を長々と聞かせて差し上げるのですよーッ!!」

「ハッ、そりゃ素敵な申し出だ!帝釈天の眷属のご説法、聞かせたいなら捕まえてみろ!」

 

 十六夜は更に加速。黒ウサギもそれに合わせるように加速。

 問題児と黒ウサギの追いかけっこは、最終ラウンドを迎えようとしていた。




〝紅炎の魔剣(レーヴァテイン)〟は本当に〝ラプラスの紙片〟の誤認という設定です。
月夜の武具は得体のしれない鮮血で創造された真紅の鎌『紅月の鎌』ですので悪しからず。
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