問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?―   作:問題児愛

18 / 60
今回の話は〝造物主達の決闘〟と番外編で月夜と耀の出店巡りです。


第四話 〝造物主達の決闘〟開幕―――真祖(あるじ)と眷属(よめ)の出店巡り(デート)であるぞ?

『お嬢おおおおお!!そこや!今や!後ろに回って蹴飛ばしたれええええ!!』

 

 レティシア達についてきた三毛猫がセコンドで叫ぶ。月夜に抱っこされた状態で。現在、ギフトゲーム〝造物主達の決闘〟の最後の決勝枠が争われていた。

 舞台で戦っているのは〝ノーネーム〟の春日部耀と、〝ロックイーター〟のコミュニティに属する自動人形(オートマター)、石垣の巨人。

 

「これで、終わり………!」

 

 耀はグリフォンから貰ったギフトで旋風を操り、石垣の巨人の背後に飛翔。その後頭部を蹴り崩す。加えて耀は瞬時に自分の体重を〝象〟へと変幻させ、落下の力と共に巨人を押し倒す。石垣の巨人が倒れると同時に、割れるような観衆の声が起こった。

 

『お嬢おおおおおおお!うおおおおおお!お嬢おおおおおおおお!』

 

 三毛猫は耀の雄姿に雄叫びを上げる。月夜にはニャーニャーとしか聞こえないが、なんとなく耀の果敢に戦う姿に歓声を上げているのだろう。と思い苦笑いする。耀は三毛猫と月夜を見つけると目配せと片手を向け、微笑。月夜も手を小さく振り微笑で返す。

 宮殿の上から見ていた白夜叉が柏手一つ。すると観衆の声がピタリと止んだ。白夜叉はバルコニーから朗らかに笑いかけ、耀と一般参加者に声を掛けた。

 

「最後の勝者は〝ノーネーム〟出身の春日部耀に決定した。これにて最後の決勝枠が用意されたかの。決勝のゲームは明日以降の日取りとなっておる。明日以降のゲームルールは………ふむ。ルールはもう一人の〝主催者(ホスト)〟にして、今回の祭典の主賓から説明願おう」

 

 白夜叉が振り返り、宮殿のバルコニーの中心を譲る。舞台会場が一望できるそのテラスに現れたのは、深紅の髪を頭上で結い、色彩鮮やかな衣装を幾重にも纏った幼い少女。

 龍の純血種―――星海龍王の龍角を継承した、新たな〝階層支配者(フロアマスター)〟。

 炎の龍紋を掲げる〝サラマンドラ〟の幼き頭首・サンドラ=ドルトレイクが玉座から立ち上がる。

 緊張した面持ちのサンドラに、白夜叉は促すように優しく笑いかける。

 

「ふふ。華の御披露目だからの。緊張するのは分かるが、皆の前では笑顔を見せねばならぬぞ。我々フロアマスターは下層のコミュニティの心の拠り所なのだからな。私の送った衣装も、その様な硬い表情では色褪せてしまうというもの。此処は凜然とした態度での」

「は、はい」

 

 サンドラは大きく深呼吸。鈴の音の様な凜とした声音で挨拶した。

 

「ご紹介に与りました、北のマスター・サンドラ=ドルトレイクです。東と北の共同祭典・火龍誕生祭の日程も、今日で中日を迎える事が出来ました。然したる事故もなく、進行に協力くださった東のコミュニティと北のコミュニティの皆様にはこの場を借りて御礼の言葉を申し上げます。以降のゲームにつきましては御手持ちの招待状をご覧ください」

 

 

『ギフトゲーム名〝造物主達の決闘〟

 

 ・決勝参加コミュニティ

  ・ゲームマスター・〝サラマンドラ〟

  ・プレイヤー・〝ウィル・オ・ウィスプ〟

  ・プレイヤー・〝ラッテンフェンガー〟

  ・プレイヤー・〝ノーネーム〟

 ・決勝ゲームルール

  ・互いのコミュニティが創造したギフトを比べ合う。

  ・ギフトを十全に扱うため、一人まで補佐が許される。

  ・ゲームのクリアは登録されたギフト保持者の手で行う事。

  ・総当たり戦を行い勝ち星が多いコミュニティが優勝。

  ・優勝者はゲームマスターと対峙。

 ・授与される恩恵に関して

  ・〝階層支配者〟の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームに参加します。

〝サウザンドアイズ〟印

  〝サラマンドラ〟印』

 

 

「お疲れであるぞ、耀」

「うん。ありがとう月夜」

『お嬢!ええ戦いだったで!流石ワシのお嬢や!』

「うん。三毛猫もありがとう」

 

 月夜の労いと三毛猫の称賛に耀は微笑で返す。月夜は三毛猫を降ろすと、三毛猫は耀の元に駆け寄る。耀は三毛猫を抱き抱えた。

 月夜はそれを確認すると、耀に問いかけた。

 

「此からどうする?真っ直ぐ〝サウザンドアイズ〟支店に戻るか?」

「うーん。戦ったら小腹が空いちゃったから出店で少し食べたいかな」

 

 耀はお腹を擦ってお腹空いたアピールをする。それに月夜は苦笑して返した。

 

「ふむ。ならば屋台巡りと行こうではないか。………今日は耀がギフトゲームで頑張ったのだし褒美に我が奢ろう」

「え?いいの?」

「うむ、構わぬよ。あの時も言ったがお主はもっと我に甘えて良いのだぞ?我は耀の主であるからな」

「………でも」

「くどい!我が良いと言ったら良いのだ!さあ、行くぞ!」

「え?わわっ!」

 

 問答無用に耀の手を掴んだ月夜は、そのまま出店巡りを開始した。

 

――――――――――

 

「………奢るとは言ったが―――――チョコバナナ両手に五本ずつ、とはな」

「パクパク、モグモグ」

 

 月夜が言うように、耀の両手にはチョコバナナが右手に五本、左手に五本と扇のように広げた形で持っていたのだ。

 呆れながら呟いた月夜は、チョコバナナを両手で持って小さな口に運ぶ。冷えたバナナとそのバナナをコーティングしたチョコレートの甘味に思わず頬が緩み笑みを零す月夜。

 二口三口と食べていく月夜は、チラッと耀の方を見る。そして眼を丸くした。

 

「は?………10本もあったチョコバナナをもう平らげてしまったのか!?」

「え?う、うん。美味しかったよ月夜」

 

 口元に付いたチョコレートを舌でペロリと舐めて言う耀。月夜は口をあんぐりとさせて固まっていると、耀が月夜の持つチョコバナナを物欲しげに見つめている。

 それに気づいた月夜は苦笑して右手に持ち変えて耀の前にチョコバナナを差し出して問う。

 

「ふふ。喰うか?」

「うん。食べる!」

 

 耀は頷いてすかさず月夜の右手に持つチョコバナナをパクリと加えて食べ始める。月夜と間接キスになることを知らずに。

 耀が半分ほど食べ終わってる時に、月夜はニヤニヤと笑いながら言った。

 

「そういえば、耀」

「ふぁに?(なに?)」

「我が食べたモノをお主は食べた。つまり我と―――間接キス(・・・・)とやらをしたのぅ?」

「ぶふっ!?」

 

 耀は盛大に噴き出した。〝間接キス〟という言葉を聞いて。そして耀の頬が見る見る内に紅くなる。

 月夜はそれを確認してクスクスと笑った。

 

「ふふ。汚いぞ耀。それに食べ物が勿体無い」

「つ、月夜がいきなり変なこと言うから………!」

 

 顔を真っ赤にして怒る耀。月夜はニヤニヤとそれを見つめると、唇に右手の人差し指を当てて悪戯っぽく笑う。

 

「くくく、ホントお主は可愛い眷属(ヤツ)だな!………とはいえ我が唇を強引に奪ったのは耀であろう?今更照れるでない」

「う………それは………うん。そうだけど……………」

「だろう?間接キス程度で騒ぐでないぞ、耀」

「…………………………………………………………うん」

 

 赤面したまま俯く耀。からかう月夜に、三毛猫が鋭く睨んで言った。

 

『オイワレ小娘!真祖だか心臓だか知らんがお嬢を苛めるんやったらワシが許さへんで!?』

「………?」

 

 しかし月夜は異種と会話出来るギフトを持っているわけではないので、三毛猫の言葉は不明。ニャーニャーと言っている三毛猫の言葉が分かる耀が首を横に振ると、三毛猫に注意した。

 

「駄目だよ三毛猫。そんなこと言っちゃ」

『し、しかし!』

「三毛猫が私のことで怒ってくれるのは嬉しいよ。でも私は大丈夫。ありがとう三毛猫」

『………お嬢がええならワシからは言うことは何もないな』

 

 どうやら三毛猫は引いてくれたらしい。とはいえ三毛猫は月夜を未だに睨みつけているが。

 月夜は肩を竦めて笑うと、耀が月夜の右手を掴んで言った。

 

「私をからかった罰でもう一件………付き合ってもらうから」

「ぬ?………ふふ、いいだろう。次は何処へ行くか?」

「うん。あそこがいいな」

 

 あそこがいい。といって耀は鯛焼き店を指さす。

 それを見た月夜は頷いて、そして問う。

 

「うむ。それで何味の何個食べたいのだ?」

「カスタードクリーム味で20個」

「―――………は?」

 

 突飛な数字に思わず素っ頓狂な声を上げる月夜。耀は「駄目?」とうるうるした瞳で懇願してきた。そんな可愛らしい表情で頼まれては断れるはずもなく、やがて苦笑いを浮かべて月夜は承諾した。

 

――――――――――

 

「―――ふむ。はい、鯛焼きカスタードクリーム味20個だ。受け取るがよいぞ」

「うん。ありがとう!」

「ふふ。礼は要らぬよ」

 

 月夜は鯛焼きが大量に入った大きめの袋を耀に渡すと、耀はそれを嬉々として受け取った。早速物凄い勢いで鯛焼きを食べ始める耀。

 月夜はそれに苦笑して、自分用に買った鯛焼きを両手で持って小さな口に運ぶ。出来立てほやほやの温かい鯛焼きの柔らかい生地の食感と中身の餡子の甘味にこれまた美味だったらしく頬を緩まし笑みを零す月夜。

 半分ほど食べ終えて、チラッと耀の方を見る。そしてやはりというべきか、耀は鯛焼き20個をペロリと完食していた。

 

「………相も変わらず喰い終わるの早いな、耀」

「そんなことないよ。月夜が食べるの遅いだけ」

「………ぬ。そうであるのか?」

「うん。遅い」

「ぬぅ………」

 

 ガクリと頭を項垂れさせる月夜。それに苦笑した耀はふと不思議に思ったことを口にした。

 

「………そういえば月夜」

「うん?」

「月夜ってもしかしてお金持ちなの?」

「………なんだそんなことか。うむ!我は傍目八目(おかめはちもく)であるぞ!」

「それ違う。お金持ちなの?」

「………ぬ?ああすまぬ。………お金持ちであるぞ?我は〝貴族〟であるからな!わっはははははは!」

 

 左手を腰にあて鯛焼きを持った右手を口元に持っていき、ふんぞり返って豪快に笑い飛ばす月夜。右手に鯛焼きを持っているせいか、その絵面は全く締まらないが。

 耀がポカーンと口を開けて呆ける。月夜の持つプラチナカード(へそくり)は金貨数百枚に相当するそうだ。

 月夜は鯛焼きを食べ終えると口元に付いた餡子をペロリと舐めとる。

 

「………ふむ。では〝サウザンドアイズ〟支店に向かうか?」

「え?あ、うん。そうだね」

 

 耀は三毛猫を抱え、月夜と共に〝サウザンドアイズ〟支店を目指すのだった。




オリジナルは難しいです。
本当は月夜は白夜叉に拉致られて原作通りに進めようと思ってたんですがね。
それではつまらないという勝手な理由によりオリジナルに走りました♪
チョコバナナと鯛焼きが北側にあるかは知りませんが。
クレープがあるなら上記のもあるというこれまた勝手な理由ですが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。