問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?―   作:問題児愛

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今回の話は白夜叉の芸術論(笑)からギフトゲーム開始前まで。
長くなるから一旦切りました。
そしてサブタイトルが長い………


第六話 駄神の説法『見えなければ芸術だッ!!!』に最強問題児は衝撃を受けてお嬢様は幻滅!?―――ギフトゲーム前のお遊戯だそうだ!

『長らくお待たせいたしました!火龍誕生祭のメインギフトゲーム・〝造物主達の決闘〟の決勝を始めたいと思います!進行及び審判は〝サウザンドアイズ〟の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお務めさせていただきます♪』

 

 黒ウサギが満面の笑みを振り撒くと、

 

「うおおおおおおおおおお月の兎が本当にきたあああああああぁぁぁぁああああああ!!」

「黒ウサギいいいいいいい!お前に会うため此処まできたぞおおおおおおおおおお!!」

「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉおお!!」

 

 観客は奇声じみた雄叫びを上げた。それに黒ウサギは笑顔で、だがウサ耳を垂れさせ怯んだ。

 

「……………………………………………。随分と人気者なのね」

 

 『L・O・V・E 黒ウサギ(ハァト)』の文字。それを掲げた観客を飛鳥は生ゴミの山を見るような冷めきった目で見下ろす。

 

「(これも日本の外の異文化というものなのかしら………頭を柔軟にして受け入れないと……)」

 

 黒ウサギは事実可愛いから文句のつけようもない、と飛鳥は思う。

 十六夜は観客の様々な雄叫びのような声を聞き、ハッと重要なことを思い出す。

 

「そういえば白夜叉。黒ウサギのミニスカートを絶対に見えそうで見えないスカートにしたのはどういう了見だオイ。チラリズムなんて趣味が古すぎるだろ。昨夜に語りあったお前の芸術に対する探究心は、その程度のものなのか?」

「そんなことを語っていたの?」

 

 お馬鹿じゃないの?と飛鳥は言うが、二人には届かない。

 一方、白夜叉は双眼鏡から視線を外して十六夜を不快そうに一瞥。その表情には、彼に対する明確な落胆の色が見え隠れしていた。

 

「フン。おんしも所詮その程度の漢であったか。そんな事ではあそこに群がる有象無象となんら変わらん。おんしは真に芸術を解する漢だと思っていたのだがの」

「………へえ?言ってくれるじゃねえか。つまりお前には、スカートの中身を見えなくすることに芸術的理由があるというんだな?」

 

 無論、と首肯する白夜叉は、まるで決闘を受けんばかりの気迫で凄んだ。

 

「考えてみよ。おんしら人類の最も大きな動力源はなんだ?エロか?成程、それもある。だが時にそれを上回るのが想像力!未知への期待!知らぬことから知ることの渇望!!小僧よ、貴様程の漢ならばさぞかし数々の芸術品を見てきたことだろう!!その中にも、未知という名の神秘があったはず!!例えばそう!!モナリザの美女の謎に宿る神秘性ッ!!ミロのヴィーナスの腕に宿る神秘性ッ!!星々の海の果てに垣間見るその神秘性ッ!!そして乙女のスカートに宿る神秘性ッ!!それらの神秘に宿る圧倒的な探究心は、同時に至る事のできない苦渋!その苦渋はやがて己の裡においてより昇華されるッ!!何物にも勝る芸術とは即ち―一―己が宇宙の中にあるッ!!」

 

 ズドオオオオオオオオオオン!!

 という効果音が聞こえて来そうな雰囲気で、十六夜は自分の知らない新境地に、

 

「なッ………己が宇宙の中に、だと………!?」

 

 衝撃を受けて硬直。

 一方、別の意味で衝撃を受けるサンドラ一同。

 

「し、白夜叉様………?何か悪いものでも食べたのですか………!?」

「見るな、サンドラ。馬鹿がうつる」

 

 マンドラは不安そうなサンドラの顔をそっと隠し、何も知らぬ存ぜぬの姿勢を貫くが、その視線は冷え切っていた。

 だが白夜叉は気にせず握り拳を作って、己の説法をこう締めた。

 

「そうだッ!!真の芸術は内的宇宙に存在するッ!!乙女のスカートの中身も同じなのだ!!見えてしまえば只々下品な下着達も―――見えなければ芸術だ(・・・・・・・・・)ッ!!!」

 

 ズドオオオオオオオオオオン!!

 白夜叉は言い切った。そして十六夜に双眼鏡を差し出す。

 

「この双眼鏡で、今こそ世界の真実を確かめるがいい。若き勇者よ。私はお前が真のロマンに到達できる者だと信じておるぞ」

「………ハッ。元・魔王様にそこまで煽られて、乗らないわけにはいかねえな………!」

 

 ガッ!と双眼鏡を受け取り、二人は黒ウサギのスカートの裾を目で追う。

 だがふと十六夜は思い出して白夜叉に問う。

 

「そういえば白夜叉。レティシアと月夜のメイドスカートにも黒ウサギのスカートと同じ恩恵が宿ってんのか?」

「無論。乙女のスカートの中身を見えなくすることに私は躊躇しない!何故なら己が追い求める神秘を簡単に拝められてはそんなものは価値がない!!無意味だッ!!敢えて見えなくすることで難易度を高くし、中々拝むことの叶わぬその神秘を遂に拝めた時に感じるその達成感は比ではないわッ!!分かったか小僧!見えなければ芸術だッ!!!然れど何れは拝める日が訪れるかもしれないその新世界をッ!!奇跡の一瞬をッ!!この私と共に追い求めて逃す事なく()ようではないかッ!!!」

「―――――………ッ!!!ああッ!!」

 

 白夜叉と十六夜は再び双眼鏡で黒ウサギのスカートの裾を目で追いかけた。

 

 そして飛鳥はそんな二人を空気と思うことにしたのだった。

 

――――――――――

 

「―――〝ウィル・オ・ウィスプ〟に関して、僕が知っている事は以上です。参考になればいいのですが………」

「大丈夫。ケースバイケースで臨機応変に対応するから。それに、月夜がいるから問題ない」

「………責任重大であるな、我は。だが、うむ。任された!」

「ふふ。そうだな。おね―――ごほん!ライムが居れば大丈夫だろ」

 

 ちなみにレティシアと月夜が義姉妹になったことは二人だけの秘密である。 秘密にしている理由は―――――レティシアが恥ずかしいからだそうだ。

 二人っきりの時だけなら人目を気にせずに月夜に甘えられるが、流石に黒ウサギ達の前では恥ずかしくて出来ないのである。

 

 舞台の真中では黒ウサギがクルリと回り、入場口から迎え入れるように両手を広げた。

 

『それでは入場していただきましょう!第一ゲームのプレイヤー・〝ノーネーム〟の春日部耀と、〝ウィル・オ・ウィスプ〟のアーシャ=イグニファトゥスです!』

「呼ばれた。行こ、月夜」

「うむ」

 

 耀と月夜は舞台に続く道に出た―――その瞬間。

 

「YAッFUFUFUUUUUuuuuuu!!」

「わっ………!」

『お嬢!』

「よっと」

 

 堪らず仰け反った耀の背中を月夜が支えた。

 耀は体制を立て直すと月夜に振り返って、お礼を言う。

 

「あ、ありがと」

「ふふ。気にするな」

 

 月夜は微笑で返す。

 頭上を見れば、火の玉の上に腰かけている人影。

 強襲した人物―――〝ウィル・オ・ウィスプ〟のアーシャは、ツインテールの髪と白黒のゴシックロリータの派手なフリルのスカートを揺らしながら、愛らしくも高飛車な声で嘲った。

 

「あっははははははははは!見て見て見たぁ、ジャック?〝ノーネーム〟の女が無様に尻もちついて―――ないッ!?チッ、素敵に不敵にオモシロオカシク笑ってやろうと思ったのに!」「YAHOHO………」

 

 悪態をつくアーシャ。苦笑するジャック。

 一方、観客席の一部から昨日はいなかった月夜の存在に気づいて声を上げた。

 

「ん?誰だあの金髪ツインテールの漆黒メイドな少女は!?〝ノーネーム〟のサポーターか!?」

「本当だ!しかもロリなのに巨乳美少女だと!?実にけしからん奴だ!そして〝ノーネーム〟が羨ましいぞ畜生おおおおおお!!」

「全くだ!ていうか何でメイドなんだ!?〝ノーネーム〟は使用人を住まわせているのか!?おのれズルいぞ〝ノーネーム〟!!」

 

 月夜の存在に気づいた観客が口々に叫ぶ。その声に月夜は苦笑いを浮かべて手を振る。

 一方、耀は火の玉の中心に見えるシルエットに釘付けだった。

 

「その火の玉………もしかして、」

「はぁ?何言ってんのオマエ。アーシャ様の作品を火の玉なんかと一緒にすんなし。コイツは我らが〝ウィル・オ・ウィスプ〟の名物幽鬼!ジャック・オー・ランタンさ!」

「YAッFUUUUUUUuuuuuuuuu!!」

 

 アーシャが腰かけている火の玉へ合図を送ると、火の玉は取り巻く炎陣を振りほどいて姿を顕現。

 轟々と燃え盛るランプと、実体の無い浅黒い布の服。

 人の頭の十倍はあろうかという巨大なカボチャ頭。

 それを見た飛鳥は興奮気味にはしゃいだ。

 

「ジャック!ほらジャックよ十六夜君!本物のジャック・オー・ランタンだわ!」

「はいはい分かってるから、落ちつけお嬢様」

 

 らしくないほど熱狂的な声を上げて十六夜の肩を揺らす飛鳥。十六夜はそれに苦笑する。

 一方、アーシャが耀と月夜を嘲笑して言った。

 

「ふふ~ん。〝ノーネーム〟のくせに私達〝ウィル・オ・ウィスプ〟より先に紹介されるとか生意気だっつの。私の晴れ舞台の相手をさせてもらうだけで泣いて感謝しろよ、この名無し共」

「YAHO、YAHO、YAFUFUUUuuuuuuuu~~~♪」

『せ、正位置に戻りなさいアーシャ=イグニファトゥス!あとコール前の挑発行為は控えるように!』

「はいは~い」

 

 アーシャは小馬鹿にしたような仕草と声音で舞台上に戻る。耀と月夜も舞台に上がり、耀は円上の舞台をぐるりと見回し、最後にバルコニーにいる飛鳥達に小さく手を振った。月夜もそれに倣って微笑して小さく手を振る。

 それに気が付いた飛鳥は耀と月夜に手を振り返す。

 その仕草が気に入らなかったのか、アーシャはチッ、と舌打ちして皮肉気に言う。

 

「大した自信だねーオイ。私とジャックを無視して客とホストに尻尾と愛想ふるってか?何?私達に対する挑発ですかそれ?」

「うん」

 

 カチン!と来たように唇を尖らせるアーシャ。効果は抜群らしい。

 負けず嫌いな一面を見せた耀に、月夜は思わず苦笑を零した。

 

 それからというもの。ゲームの舞台は三三四五番の招待状を持っていた〝アンダーウッド〟のコミュニティ、樹霊の少年に決定。

 パン!と会場一致の柏手一つで全ての世界が一変した。

 




とりあえず、月夜とレティシアの関係は義姉妹で一応留めておきます。保留です。

次話は遂に〝アンダーウッドの迷路〟突入です!
ジャックvs月夜をどう書こうかな♪
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