問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?―   作:問題児愛

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第十四話 吸血姫vsネズミ使い―――駄真祖の復活と新たな眷属は吸血姫だそうだ!

「見つけたぞ!ネズミを操る道化が描かれたステンドグラスだ!」

「それは〝偽りの伝承〟です!砕いて構いません!」

 

 捜索隊の一隊から上げられた声に、ジンは即答。すぐにパリン、とステンドグラスの砕かれる音がした。ジンは街道に描かれたネズミの模様を確かめ、周囲の建造物に目をやる。

 

「間違いない………此処がブンゲローゼン通り。一三〇人の子供達が攫われた街道だ」

 

 ジンは足元を見る。街道の煉瓦には、所々にネズミの絵柄が描き記されていた。その模様をなぞりながら、ジンは地図を広げ、ステンドグラスが発見された場所と照らし合わせる。

 

「(舞台区画でステンドグラスが展示されていた場所と、ハーメルンの街の展示場所はそれほどずれてない。つまり呑み込まれた、ではなく、ハーメルンの街を召喚したという事―――?)」

「はーい、其処まで♪」

 

 ハッと街道の脇にある建造物を見上げると、その屋根の上に立っていたのは、ラッテンだった。

 

「お前はあの時の………!飛鳥さんをどうした!?」

 

 ジンが叫ぶが、ラッテンはそれを笑って聞き流し、仰々しくお辞儀した後、魔笛を掲げ、

 

「ブンゲローゼン通りへようこそ皆様!神隠しの名所へ訪れた皆様には、素敵な同士討ちを御体験していただきます♪」

 

 途端、屋根の上から何十匹もの火蜥蜴が、〝サラマンドラ〟の同士達が姿を現した。

 捜索隊の者達も直ぐ様臨戦態勢を取る。だがジンは顔を蒼白させそれを止める。

 

「だ、駄目です!参加者を相手に戦っては、」

「そんな事を言っている場合か!?魔王の配下に操られている以上、我々が倒すしかない!それが同士への手向けにもなる!」

「そういう問題ではありませんッ!改正されたルールに目を通していないのですか!?同士討ちになれば、貴方達も失格になってしまいます(・・・・・・・・・・・・・・・)ッ!」

 

 ジンの言葉に、ハッと〝サラマンドラ〟の同士達も気が付く。これ以上の人員減少は捜索にも支障が出かねない、と。

 その様に、ラッテンはケラケラと笑い飛ばした。

 

「そうよねぇ。でも殺さなかったらいいんじゃない?殺さないように手加減しながら、自分も殺されないようにすれば、ほら。万々歳って奴よ」

 

 艶美な唇を歪ませジン達を見下すラッテン。

 ジン達が歯噛みする中、ラッテンは躊躇うことなくフルートを振るって火蜥蜴達に命令を下す。

 

「さあ!仲間同士で戯れてごらんなさいな!」

 

 屋根から一斉に火球を吐き出す火蜥蜴達に、緊張が走る参加者達。

 最早戦う選択肢しか残されてないのかと意を決したその時―――嵐の様に迸る黒い影が火球の雨を打ち砕く。

 

「何ッ………!?」

 

 ラッテンの唇から余裕は消え、黒い影は瞬く間に頭上に収束し戻る。

 ラッテンは視線を上空に上げると、途端、輝く様に揺れる光が瞳を刺した。

 煌々と靡く金髪の姿。純血の吸血鬼、レティシアが翼を広げてラッテンを見下ろしていた。

 

「見つけたぞ、ネズミ使い」

 

 射殺す様な爛々とした瞳で睨むレティシアは、普段の温厚さがまるで見えない。

 ラッテンはレティシアの美貌に思わず声を上げた。

 

「うわおおお………!本物!本物の、純血の吸血鬼!うわぁ………超美少女じゃない。何あの煌めきまくってるスーパープラチナブロンド。ああだめ、今から興奮してきたかも」

 

 恍惚とした顔でレティシアを見つめるラッテン。その隙に、ギフトカードから取り出した槍を投擲するレティシア。

 ラッテンはステップを踏むようにクルリとかわし、再度レティシアとジンに向き直る。

 

「あら、せっかく褒めてあげたのに。この仕打ちは酷いんじゃない?」

 

 茶化して笑うラッテンだが、眼光の鋭さは先程までの比ではない。

 膠着するように睨み合うレティシアとラッテン。

 その時、彼方で黒ウサギの雷鳴とサンドラの赤い炎、ペストの黒い風の奔流が数多の柱となって立ち昇る。戦いが始まったのだろう。

 十六夜とヴェーザーの戦いもこの場まで震動が伝わる程に激化している。

 

「ふふ。いい感じに祭りっぽくなってきたじゃない。じゃ私も、切り札(ジョーカー)投入といこうかしら?」

 

 ラッテンは魔笛を唇に当て、奏で始める。

 高く低く、疾走するようにハイテンポなリズムを刻む曲調。まるで何かを目覚めさせるかのようなその曲調は、やがて大地を迫り上げ、陶器で出来た巨躯の兵士―――シュトロムを数多に造り始めた。

 シュトロムのその数、軽く十体を超え、一斉に雄叫びを上げた。

 

「「「「「BRUUUUUUUUUM!!!」」」」」

 

 嵐の中心のように全身の風穴から大気を吸い上げ放出するシュトロム。

 ステンドグラスを捜索していたコミュニティからも各所で悲鳴が上がっている。

 想像以上の戦力を投入してきたラッテンに、レティシアは緊迫した口調で問う。

 

「………あの陶器の巨兵。〝ハーメルンの笛吹き〟とは無関係の魔物だな?」

「まあねー。とある神様が造った泥人形のオマージュのレプリカのその眷属から派生した超雑種って奴?どちらにせよそんなご大層なモノじゃ御座いませんよ。どっかのパワー馬鹿と違って、私は神格も持ってませんしぃ?」

 

 ラッテンの最後の投げ槍な言葉は、ヴェーザーに対する嫉妬が籠っていたのだろう。

 レティシアは〝神格〟と聞いて衝撃を受けていた。

 

「神格だと………?」

「あれ?私達の謎を解いたんじゃなかったの?うちのマスター、あれで神霊の部類なのよ。だから神格の一つぐらいならどうにか出来ちゃうわけ。………一つぐらいならね」

 

 ケッ、と不貞腐れるラッテン。

 

「ま、別にいいけど。おかげで貴女みたいに素敵な女の子を見つけられたわけだし?そっちのちっこいのもマスターがご執心みたいだから、降参するなら高待遇で受け入れるわよ?」

「魅力的な話だが、御断りしておくよ。………ジン、大丈夫か?」

「大丈夫。特に怪我も無い」

「それは良かった。ここは私に任せて、ステンドグラスの捜索に急げ。あの巨兵が暴れ出せば、それどころではなくなるだろう」

 

 ジンと捜索隊は頷いてレティシアに背を向け、ラッテンはにやつきながらそれを見逃した。吸血鬼と彼らでは天秤に掛けるまでも無いようだ。

 一人残ったレティシアは、火蜥蜴達とシュトロム三体に囲まれ完全に四面楚歌だ。

 しかしレティシアは周囲を気にせず、美麗な目元を歪ませて威圧的に問う。

 

「ネズミ使いの道化。飛鳥を攫ったのはお前か?」

「だったらどうするの吸血鬼さん?〝箱庭の騎士〟の力を見せつけてくれるのかしら?」

「残念ながら、今の私が所持しているギフトはどれも三流まがいのモノばかりでな。唯一戦力になりそうなのが………この〝影〟のギフトだけなんだ」

「影?」

 

 ラッテンの視線は自然とレティシアの影に落ちていく。

 するとレティシアの影は、無尽の刃へと姿を変えていく。

 数多の刃が擦れ合う姿は影というよりはむしろ―――

 

「その影……〝顎〟?いえいえちょっと待った!そもそも吸血鬼に影は無いはずじゃ、」

「如何にも。コレでも昔は系統樹の守護者、〝龍の騎士(ドラクル)〟まで上り詰めた事があってな。この〝遺影〟は、その時に信仰していた龍のモノだ」

 

 ラッテンの余裕が一転する。聞き間違いかと思考した一瞬の隙に、レティシアの影は膨張してその姿を変える。

 レティシアの温厚な表情は一変して険しいモノになり、

 

「この前の御礼参りだネズミ使い。我が同士を傷つけた報いを、此処で受けるがいいッ!!」

 

 無尽の刃は巨大な龍の顎となり、平面的に広がって周囲を薙ぎ払う。

 三体のシュトロムは龍の顎に噛み砕かれ、一撃で散った。

 間一髪跳び上がって避けたラッテンだが、上空からみたその影に驚愕した。

 

「龍の騎士に、無尽の刃を持つギフトですって………!?貴女まさか、神格を持った吸血鬼!魔王ドラキュラだとでもいうの!?」

「懐かしい二つ名だが、それはもう捨てた名だ。魔王ドラキュラと称された吸血鬼は、とっくに倒されたんだよ。お前達〝幻想魔道書群(グリムグリモワール)〟が没した数百年後にな」

 

 血の気が引いた様に慌てて屋根の上に逃げたラッテンを、追い詰めるレティシア。

 

「逃がすかッ!!」

 

 双掌で影を巧みに操り、平面的な刃でラッテンを捉える。

 屋根を飛び回って避けていたラッテンは、堪らず火蜥蜴を盾にして叫んだ。

 

「蜥蜴共、私を守りながら奴に跳びかかりなさい!」

 

 火蜥蜴達は灼熱の吐息を吐きながら、一斉に跳びかかる。レティシアは影を引っ込めて火蜥蜴達を相手取る。この龍の遺影のギフトは、破壊力が大きすぎて無傷で押さえる事が難しい。レティシアが本気を出せば命までも奪ってしまうだろう。

 ラッテンはその隙に路地裏へ下り、姿を隠しながら逃走していった。

 

――――――――――

 

「………ネズミ使いには逃げられたか」

 

 レティシアはラッテンを取り逃がしたことに悔いるが、今はそんなことを思っている暇はない。

 レティシアは数十体の火蜥蜴達に囲まれているのだ。

 純血の吸血鬼である彼女ならば、この程度の相手を押さえるのは容易い。

 だが相手は〝サラマンドラ〟の同士達だ。なるべく無傷で押さえたいところなのである。

 どうすれば―――と考えていたその時。

 

「―――私の可愛い義妹(いもうと)をたぶらかす愚者共は誰ですか?」

「………え?」

 

 ハッとレティシアと火蜥蜴達は一斉に上空を見上げると、そこには―――

 

 

 一週間もの間、黒死病で斃れていた金髪ツイテールの幼い少女。

 豊胸の下で腕を組み悠然と飛翔する仮称・漆黒巨乳ロリ駄真祖メイド。

 耀の主兼ねメイド関係を結ぶがたまに子供くさい。

 レティシアと義姉妹関係を結んだけど義妹よりもお馬鹿様な駄義姉(あね)

 変態属性も兼ね揃える残念な―――三つの名を持つ吸血鬼・純潔の真祖(笑)

〝   ・    〟(生前)

〝ライム・ストーン・クイーン〟(吸血鬼後)

〝紅 月夜〟(問題児命名)

 の登場であった―――!!!

 

 

「お、お、お義姉(ねえ)ちゃん!?」

「はい。何ですか?」

 

 レティシアの絶叫に平然と答えるライム。どうやらもう心配する必要はないようだ。

 ライムは地にスタッ、と降りると、新たな獲物を見つけた火蜥蜴達が、一斉にライムに襲い掛かった。

 ライムは彼らを見てクスッと笑った。

 

「私を捕らえるんですか?出来るものならやってみなさい」

「―――――………っ!?」

 

 ライムは異能『魔眼』を使用。ライムの紅眼は怪しく真紅の光を放ち、火蜥蜴達の精神を支配していく。

 ラッテンの支配をライムの支配が上書き、ラッテンの霊格を上回って支配権を剥奪した。

 それを確認したライムは火蜥蜴達を一瞥して命令する。

 

「貴方達は元の持ち場に戻りなさい?」

 

 ライムの命令に頷いた火蜥蜴達は、己の持ち場に戻っていった。

 これにレティシアが驚きの声を上げた。

 

「ライムお義姉ちゃんはネズミ使いの支配を上回るのか!?」

「ちょ、レティ姫………それは流石に酷いですよ!吸血鬼の真祖である私が木っ端悪魔の支配に負けるわけありません!!」

「ふふ。確かにそうだな。悪いこと聞いてしまった」

「全くです!これはもう傷付いた心を癒してくれるのは可愛い義妹の抱擁だけですね!!」

「は?」

「は?ではありません!―――――問答無用ッ!!」

 

 え?と言うレティシアにライムは強烈な抱擁(タックル)を仕掛けた。

 だがレティシアは咄嗟に漆黒の翼を広げて上空へ―――

 

「甘いです!」

「………っ!?」

 

 逃げれなかった。ライムはまるでそうなることを読んでいたかのような跳躍を見せ、そのままレティシアの小柄な身体に抱き付く。

 レティシアは見る見るうちに顔を紅潮させてライムに激怒した。

 

「な、は、ちょっといきなり抱き付くとはどういう了見だっ!?馬鹿お義姉ちゃんっ!!」

「可愛い義妹を抱き締めたい症候群に」

(かか)るかっ!というかなんだその病名は!?聞いたことないぞ馬鹿お義姉ちゃんっ!!」

「ふふん♪この病は私にしか発症しない素敵病名なんですッ!!」

 

 バァアンッ!!

 とドヤ顔で言ってのけるライム。

 やっぱりコイツは馬鹿だな、とレティシアは結論付けて呆れたような視線をライムに向けた。

 

「………で、何時になったら私は解放されるんだ?馬鹿お義姉ちゃん」

「え?解放しませんよ?」

「は?」

「は?ではありません。レティ姫には魔王討伐の協力をしていただきますので」

「………私に?」

「はい」

 

 ライムはペストと戦う際にレティシアを同行させると言った。

 だがレティシアは苦笑いを浮かべて首を横に振って否定した。

 

「必要とされるのは嬉しいが………私では役不足だよ」

「はい?それなら私だって役不足ですよ?神格を持っていないのは一緒じゃないですか」

「いや………君の方がギフトも豊富な上に強力な武具もあるじゃないか」

 

 レティシアの言う強力な武具とは『紅月の鎌』の事だろう。確かにこの鎌は全能だが、己より霊格が高い相手、即ち最強種を殺せば、共斃れ。連戦には向かない致命的な弱点を持っているのだ。

 そしてペストは神霊で〝死神〟だ。神格を持たないライムより霊格は上な為、鎌で殺せば共斃れは免れないだろう。

 だがライムは喩え戦闘不能が約束されている戦いであっても、躊躇なく鎌を使用するだろう。敵に捕まるという失態を犯してしまったのだから。

 

「………つまり、レティ姫は異能(ギフト)が欲しいんですね?」

「は?どうしてそうなるんだ?」

「え?だって〝私はギフト不足だから手伝えない〟と言っているんじゃないんですか?」

「……………強ち間違いではないが………というよりどうやってギフトを得るんだ?」

 

 ライムの不可解な発言に小首を傾げるレティシア。

 それにライムはクスッと笑って答える。

 

「―――私の眷属になることです♪」

「―――――………は?」

「私の眷属になれば異能は手に入ります。ですが得るギフトは強力な為、代償もあります。―――なるかならないかは(・・・・・・・・・)レティ姫が決めてください。強制で鮮血()を啜りたくはありませんので………」

「……………そうか」

 

 ライムの言葉に、レティシアは難しい表情で考え込む。

 ギフトを得られるのは嬉しい話だが、代償というのが何なのか気になる。

 レティシアはその事について、ライムに問う。

 

「………強力なギフトを得る代わりに課せられる代償とはなんだ?」

「代償ですか?それはですね……………私の鮮血無しでは生きていけない存在になってしまう、ということです」

「………ふむ。つまり、私は君の鮮血を飲まないと不死であるにも拘わらず―――死ぬ、ということなんだな?」

「はい。強力な異能を得る代わりに主である私の鮮血を飲まなければ絶命します。これは不死であっても絶命します。絶対です」

「そうか……………」

 

 レティシアは再び難しい表情で考え込む。

 

 

 ライムの眷属になれば身体能力の向上の他に強力な異能が得られる。

 しかもその異能は所有者によってもたらされる恩恵(ギフト)はさまざま。

 代償はライムの鮮血無しでは生きていけない。飲まないという選択肢を選べば鮮血は枯渇、死は免れない。

 異能使用後は渇きを潤したくて吸血衝動に駆られる。

 

 

 レティシアはフッとにこやかな笑みを浮かべて、

 

「ふふ。そうだな。君とは義姉妹関係になったんだ。そういう関係も悪くない。それに―――」

「………それに?」

「―――――ギフトもそうだが、真祖の鮮血を味わって見たかったんだ。真祖の鮮血は美味しいと聞いたことがあるからな」

「………本当に?」

「ああ。本当だ」

「本当に本当?」

「本当に本当だ」

 

 ライムのしつこい問いに、苦笑いを浮かべながらもYESと答えるレティシア。

 それを確認したライムは、躊躇うことなくレティシアを―――――押し倒した(・・・・・)。

 

「………は?」

「ふふ。レティ姫?覚悟は―――――出来てますね?」

 

 レティシアを組み敷き、両手両膝を地につけて跨がり、レティシアの顔を覗き込みながら笑うライム。

 レティシアは微かに頬を赤らめながら微笑を浮かべ、

 

「………ああ。覚悟は出来ている」

「よろしい。―――――では、」

 

 ライムはクスッと笑った後、レティシアの色白の細い左首筋に牙を突き立て―――カプッ、と噛み付いた。

 

「……………っ、」

 

 レティシアはライムに首筋に噛み付かれて苦痛に表情を歪ませるが、黙って受け入れる。

 そのまま数秒、レティシアの鮮血を啜ったライムは牙を抜き取り、

 

「御馳走様。此でレティ姫、貴女も私の眷属の仲間入りです」

「………あっという間の儀式だったな。私の種族と変わらないのか」

「はい?次は貴女の番ですよ?レティ姫」

「……………は?」

 

 レティシアは不可解とばかりに小首を傾げる。

 するとライムが金の髪を掻き上げ色白の細い左首筋を晒す。〝噛みつけ〟と。

 レティシアはそれを察するとまずライムを―――――押し倒し返した(・・・・・・・)。

 

「………え?」

「ふふ。さっき押し倒した御返しだ」

 

 全くその通りである。状態はライムが下でレティシアが上。そしてそのまま晒された首筋に牙を突き立てカプッ、と噛みつき鮮血を啜る。

 

「……………ん、」

 

 レティシアはライムの鮮血を数十秒啜った後、牙を抜き取り、唇に付いた鮮血をペロリと舐め取る。

 

「………ふむ。〝純潔の真祖〟の鮮血は甘いのだな」

「ふふ。それは私が甘党だからですよ!」

「………いや。それは関係ないと私は思うぞ?」

 

 苦笑するレティシアと、お馬鹿様発言するライム。

 二人は各々立ち上がり、メイド服に付いた塵や埃をはたく。互いに目配せして、

 

「それじゃあ行きましょうか♪」

「ああ。黒ウサギ達の助太刀に行くか!」

 

 ライムとレティシアは頷き合うと、黒ウサギとサンドラの助太刀に向かうのだった。




月夜はレティシアの主になった。
どうしてこうなった!?
だがこれで耀とレティシアのダブルヒロインは確定したッ!!
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