問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?―   作:問題児愛

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二巻はこれで完結です。
エピローグなのにオールオリジナルで締め括ってしまった(苦笑)


エピローグであるぞ?

「……………ここは?」

 

 私は真っ白な世界の中で目を覚ます。

 辺りをキョロキョロと見回す。其処は白以外何もない空間が広がっていた。

 

 そしてこの空間を私は知っている。前に一度だけ踏みいった事のある場所。

 そう。―――ペストに我が身を討たせた後に、気が付けばいた場所だった。

 

「………そうか。私は、死んだのか」

 

 私は死なない身体を持っている。だが今の(・・)私は完全なる不死ではない。

 (わたし)を殺す事が出来る恩恵で討たれた為、二度目の死を迎えてしまった。

 そして、私を殺す事が出来る恩恵は―――〝星(月)を砕く一撃(・・・・・・)〟か〝月の死を意味する『新月(・・)』の恩恵に討たれること(・・・・・・・・・・)〟だ。

 その二つの条件の内、私はペストに『新月の鎌』を奪われ、それで心臓を貫かれた。これが私の死因だった。

 

「………〝――――〟様。どうして貴女様が魔王何かに落ちてしまったの………?」

 

 心優しかったカノジョは何処へ行ってしまったの?

 カノジョが復讐何かに血で綺麗な手を染めるわけない。

 私が黒死病に罹ってしまった時は、カノジョが優しく看病してくれた。

 そして―――私が死のうとしたことに全力で止めようとしてくれた。

 そんな、人の命を大事に思っていたカノジョが魔王に―――人殺し(・・・)に走る筈がない。

 なのにどうして………ああ、思い出しただけで涙が出そう。

 

「―――ルーナ?泣いているんですか?」

「―――――………ぇ?」

 

 これまた聞き覚えのある優しい声が私の鼓膜に響いた。

 そして声のする方に振り向くと―――

 

「―――――御母様!!」

 

 私とは対照的に白装束を纏い、白い僧侶の帽子を被っている。

 その帽子には黒い三日月の付属品。

 胸元には紫色のトリカブトの花。

 右手には松明の杖を携えていた。

 黒髪短髪で胸の貧しい幼い少女は―――紛れもなく私の大好きな御母様だった………!!

 

「悪かったですね、胸が貧しいロリババアで」

「え?―――あ、いや!御母様はとても美しいですよ………!」

「―――なあんてね。好きありッ!!」

「へ?―――――んっ!」

 

 御母様は一瞬で私の背後を取ると―――揉みしだいてきた。

 

「フフ。見ない内にまた立派になってますね?御母様、嫉妬しちゃう♪」

「私の胸は―――んっ、成長してませんよ………!」

「ふぅん?本当に?」

「ふぅっ……本、当です………!」

「―――――そう」

 

 私の豊胸を揉む手を止める御母様。良かった。此で助か―――

 

「………じゃあ次は下ね♪貞操を奪われてないか―――チェックしませんと♪」

「ふぇ?―――ちょ、御母様!?それは」

「フフン♪問答無用ッ!!!」

 

 私は咄嗟にスカートの裾を押さえようとしたが、それよりも速く御母様の色白の綺麗な手は、私のメイドスカートの中に、下着の中に入ってきて―――

 

「―――――ふあっ!?」

 

 

 

 

《しばらくお待ちください》

 

 

 

 

「―――――うぅ、御母様酷い………ぐず、」

「~~~♪」

 

 私は御母様に下を遠慮無用にまさぐられて―――御母様に背中を預けて涙目でぐったりとしていた。

 御母様は久しぶりに私に《禁則事項です☆》をしてご満悦のようだ。

 私の身体が持たないよ………。

 

「それでルーナが此処に居るってことは―――遂に御母様とイケナイ関係を」

「結びませんッ!!それは断じて有り得ないです………ッ!!」

 

 速攻で断じた。御母様は唇を尖らせて拗ねているけれど、油断は出来ない。

 ちょっとでも隙を見せれば忽ち私の全身を御母様の魔の手がまさぐりにかかるだろう。

 考えただけで身震いものだ。

 

「―――まあ冗談は置いといて………死んだのね、ルーナ」

「う、………は、はい」

「仕方がない娘ね。―――とは言わないです♪可愛い愛娘の為なら何度だって復活させてあげますよ」

「!!御母様―――!」

 

 やっぱり御母様は優しい私の、

 

「条件は御母様にルーナの全てを捧げることだけどね♪」

 

 ………前言撤回。私の御母様は―――究極の変態神だった。

 

――――――――――

 

「……………ん、」

 

 月夜は眠りから目を覚ました。そこは死後にいた真っ白な世界ではなく―――

 

「―――――月夜!」

 

 そこは春日部耀の膝の上。所謂膝枕というものである。

 月夜の金髪頭をひたすらに撫でて目覚めるのを待っていたのだろう。

 そして耀の表情は―――泣いていた。

 そんな耀を見て、月夜は驚いたような表情で問い掛けた。

 

「………耀?何故(なにゆえ)御主は泣いておるのだ?」

「―――だって、月夜の心臓………止まってたからだよ(・・・・・・・・・)ッ!」

「何?」

 

 耀の言葉に、月夜は一瞬驚いたような表情を見せる。だがすぐにその意味を理解して申し訳なさそうな顔をして手を伸ばし耀の頬に触れる。

 

「………そうか。我は耀に悲しい思いをさせてしまったのだな……………済まなかった」

「駄目。許さない」

「…………………ぬ?」

 

 月夜はキョトンとした顔で固まると、耀は―――ふわり、と優しく抱き締め悪戯っぽい笑みと共に囁いた。

 

「嘘。許すよ。でも―――――死んだように眠っていた月夜を見て、凄く悲しかった。だからもう二度と私を心配させないでね?」

「……………ああ。我は御主の―――耀の主であるからな。誓おう。もう二度と………我の可愛い眷属に心配を掛けぬと」

 

 フッ、と笑って耀のことを抱き締め返す月夜。耀も抱き締め加減を強くして笑う。

 二人は暫く笑い合って、誓いのキスを―――

 

「ヤハハ、見せつけてくれるじゃねえか。春日部」

「本当ね。月夜の寝起きを襲うのだもの。積極的なのね、春日部さん」

「―――――ッ!!?」

「ぬ?」

 

 しようとして、毎度お馴染みの問題児―――逆廻十六夜と久遠飛鳥のヤハハとクスクスに耀はハッとして声のする方に振り向く。

 耀は、十六夜と飛鳥の姿を確認するや否や、顔を真っ赤にして俯いた。

 一方、キスシーン寸前を見られても平然としている月夜は、小首を傾げて二人に問う。

 

「………御主ら、何時から其処にいたのだ?」

「俺とお嬢様なら月夜が眠ってて春日部が泣きながら手を握ってる―――ってところからだな」

「……………ッ!??」

 

 つまり、最初からである。

 耀はそれを知って更に顔を、耳を紅潮させて「あぅ………」と小さく呻いた。

 キスシーン寸前に加え、号泣しているところを見られてしまったのだ。相当堪えたのだろう。

 そんな可愛すぎる耀を見た月夜は―――

 

「―――――ふふ。全く耀は何て可愛い娘だッ!!」

「え?―――きゃあ!」

 

 十六夜と飛鳥がいるのにも拘わらず、容赦なく耀を抱き締めてそのまま後ろに倒れ込んだ。

 それに耀は可愛らしい悲鳴を上げ、月夜を見つめる。

 

「………月夜?」

「ふふふ!折角観客がいるのだし、さっきの続きといこうではないかッ!!」

「―――――ッ!?それは………駄目っ!!」

「問答無用ッ!!!」

 

 耀は咄嗟に吸血鬼化して逃れようと必死にもがくが、所詮は眷属。主である月夜の腕力に敵うわけがない。

 そして十六夜と飛鳥がニヤニヤとそれを観ている中、月夜は耀に襲い―――

 

「――――何をやってんでございますか!?こんのエロ真祖がッ!!!」

 

 ズドパァアアアンッ!!!

 

「うぎゃぁあああああ!?!?」

 

 いつの間にか現れ、激怒した黒ウサギの必殺ハリセンが月夜の金髪頭を強襲。

 絶叫もとい断末魔を上げた月夜は―――頭を抱えて涙を流しながら蹲った。

 耀は助かったが、それよりも容赦無い一撃を見舞われた月夜が心配なようで、寄り添って優しく金髪頭を撫でてあやす。

 

「………大丈夫?」

「ふぐっ………な、何とかな」

 

 涙を流すも泣かないように必死に堪える月夜。

 耀はそんな月夜を優しく抱き寄せ抱き締めて背中をさすってあやす。

 月夜は耀の温かさに、胸の中で遂に泣き出した。

 

「うわぁああああん!」

「………よしよし」

 

 耀はお母さんモードに突入してすっかり御子様モードに突入した月夜をひたすらあやす。

 そして耀は黒ウサギをキッと睨んで、

 

「やり過ぎちゃ駄目!」

「う、ごめんなさいなのです………」

 

 何故か怒られる黒ウサギ。助けただけなのに………と、黒ウサギはしょんぼりする。

 一方、十六夜と飛鳥は耀と月夜の戯れを見て、十六夜はニヤニヤと、飛鳥はにこやかな笑みを浮かべていた。

 

「それはそうと………おい黒ウサギ」

「へ?何ですか十六夜さん?」

「いいところで邪魔しやがって、これだから駄ウサギは」

「は?だ、誰が駄ウサギですか!」

 

 うがー!とウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。

 十六夜の言葉に飛鳥が便乗して頷く。

 

「全くね。駄ウサギのせいで春日部さんが大人の階段に上れなかったのだから」

「飛鳥さんまで!?って大人の階段ってなんです!?」

「「誓いのキッス」」

「な、な、なんですってぇえええええ!!?」

「「五月蝿い」」

 

 グイッ!

 

「フギャァアアアアア!??」

 

 十六夜と飛鳥がウサ耳を引っ張って黙らす。

 黒ウサギは断末魔のような絶叫を上げた。

 

「うぅ、御二人は黒ウサギの素敵耳を何だと思ってるのですか!」

「「え?玩具ッ!」」

「黙らっしゃぁあああああいッ!!!」

 

 ズパパァアアアアンッ!!!

 黒ウサギの必殺ハリセンが問題児二人の頭に奔るのだった。

 

――――――――――

 

 黒ウサギ達と別れた月夜は、レティシアに会いに向かった。

 

「―――レティ姫。御待たせ!」

「ん?―――ああ、お義姉(ねえ)ちゃんか。御待たせってのはなんだ?」

「え?異能を使ったから私の鮮血()を求めてるんじゃないんですか?」

「………?いや。特に吸血衝動らしき状態には陥ってないぞ?」

 

 レティシアの言葉に、キョトンとした顔で固まる月夜―――否。ライム。

 レティシアは真祖に近い吸血鬼だから、吸血衝動も然程起こらないのだろう。

 だが幾ら真祖に近い純血の吸血鬼といえど、ライムからもたらされた異能を使用したのだから吸血衝動に駆られていないのは可笑しい話である。

 ライムは小首を傾げて呆然としていると―――

 

「―――ふふ。冗談だ」

「え?」

「本当はお義姉ちゃんの血が欲しくて欲しくて堪らないよ。―――だから、戴くぞ?」

 

 カプッ!

 

「ん、レティ姫。不意打ちは卑怯ですよ………」

「んくんく、んくんく」

 

 レティシアはライムの色白の首筋に噛みついて鮮血を啜る。

 ライムはその不意打ちに苦笑いを浮かべるものの、嫌がらずにレティシアにされるがままでいた。

 

 

 

 

《数分後》

 

 

 

 

「―――ふふ。御馳走様、お義姉ちゃん」

「………吸い、すぎですよ……………レ、ティ姫」

 

 レティシアはペロリ、と唇についたライムの鮮血を舐め取る。

 ライムはレティシアに鮮血を殆ど吸われてぐったりとその場に座り込んでいる。

 耀といいレティシアといい飲欲旺盛な眷属だな、とライムは一人苦笑した。

 

「―――そういえばお義姉ちゃん」

「何ですか?」

「ペストとはどういう関係なんだ?」

「ペストとの関係?」

「ああ。トドメをさせた状況で、逆にお義姉ちゃんが討たれたのがどうも不可解でな。もしかしたらあの魔王と関わりがあるのかと思ったんだ」

 

 ジッ、と見つめてくるレティシアに、ライムは苦笑して頷いた。

 

「ええ。そうですね。ペストとは―――家族に近い関係を築いてましたから」

「は?」

「彼女は私の姉のような存在で、いつも私に寄り添って優しくしてくれた娘でしたよ」

「………そうか。それじゃあペストを殺す事に狼狽してしまったということだな?」

「はい。彼女を殺す事は私には出来なかったです。すみません、レティ姫が作ったチャンスなのに私は其をいかせなくて………」

「え?あ、いや!殺したくなかったんだから、殺せなかったのは仕方ないよ。私だって殺したくない相手は殺す事に躊躇ってしまうだろうからな」

「励ましてくれるんですか?―――ふふ。レティ姫は優しい娘ですね」

 

 クスッ、と笑うライムは―――レティシアを抱き寄せる。

 その行為にレティシアは見る見る内に顔を真っ赤にさせて抗議した。

 

「は?ちょ、ちょっとお義姉ちゃん!?いきなり何を」

「え?何をって―――可愛い義妹(いもうと)へのスキンシップですよ?励ましてくれた御礼も兼ねてですね♪」

「そ、そうか。―――ってそれが私に抱きつく理由にはならないだろ!」

「なります!」

「断じてならないぞ馬鹿お義姉ちゃん!」

 

 ニヤニヤと笑うライム。赤面したまま激怒するレティシア。

 美少女二人は暫し戯れるのだった。

 

――――――――――

 

 そして舞台は〝造物主達の決闘〟の優勝者へ火龍のフロアマスター・サンドラ=ドルトレイクによる、恩恵の授与へと移る。

 

「〝造物主達の決闘〟優勝者・コミュニティ〝ノーネーム〟春日部耀!」

「はい!」

 

 凜とした鈴音のようなサンドラの声に、耀は元気良く返事した。

 耀は式場に上がりサンドラと対峙する。

〝ノーネーム〟の面々や観衆が見守る中、サンドラは耀に向かい合いそして告げる。

 

「優勝者である貴女に、私から恩恵の進言をする権利を与えます。貴女は私に何を希望しますか?」

「私は―――」

 

 途端、耀は周囲を見回して〝ノーネーム〟の面々がいる方向に振り向くと、

 

「―――黒ウサギ!」

「………へ?何でございましょうか耀さん?」

「黒ウサギが今欲しい恩恵を言って!それで決めるから!」

 

 黒ウサギに向かって叫ぶ耀。いきなり名指しされて瞳を丸くして固まる黒ウサギ。

 これには〝ノーネーム〟の面々も、観衆からもどよめきが起きる。

 それを白夜叉が柏手を打って沈静化させる。

 

「静まらんかおんしら。式の最中なのだから静粛にだ。異論はこの私が認めんぞ」

 

 白夜叉の言葉に、一転して静まり返る舞台会場。

 それを確認したサンドラは頷いて黒ウサギに問いかけた。

 

「〝箱庭の貴族〟の方。優勝者である春日部耀の希望通り、貴女からお訊きします。何を求めますか?」

「………黒ウサギは―――」

 

 サンドラの問い掛けに、黒ウサギは暫し考え、そして満面の笑みで答えた。

 

 

「黒ウサギが望む恩恵は―――――皆様の〝笑顔〟でございます!」

 

 

「―――――………は?」

 

 黒ウサギの言葉に、舞台会場にいた誰もが素っ頓狂な声を上げて固まった。

 まあそれもそのはず、恩恵じゃなくても黒ウサギが皆に頼み込めばやってくれそうなモノを口にしたからである。

 そしてそれに問題児三人はクスリ、と笑って呟いた。

 

「………なんて欲の無い駄ウサギなんだ」

「そうね。笑顔を欲しがるなんてモノ好きな駄ウサギだわ」

「………流石にそれは予想外だったな駄ウサギ」

 

「駄ウサギ駄ウサギ五月蝿いのですよ!?―――駄目でございましょうか?」

 

 黒ウサギは怒った後に小首を傾げる。

 それにサンドラはハッとして我に返り、頷いて応える。

 

「―――分かりました。貴女もそれで構いませんね?」

「え?あ、うん。黒ウサギが望む恩恵ならなんだって」

 

 サンドラの確認に、耀は頷いてYESと答える。

 それにサンドラも頷いて、宣言した。

 

「与える恩恵は今決定しました。そして此処に進言します。―――――皆様に笑顔の恩恵(まほう)が有らんことを!」

 

 サンドラは天に右手を掲げ宣言すると―――眩い光が、温かい光が波紋のように広がり舞台会場を満たしていく。

 そして忽ち〝ノーネーム〟の面々、観衆の表情は笑顔に変わり、それら全ては黒ウサギに向けられた。

 

「(ああ。皆様の温かい笑顔………確かに受け取ったのでございます♪)」

 

 黒ウサギは胸に両手を当て、それら全てを受け止め、一人ホロリと涙を流すのだった。

 

――――――――――

 

 此処はとある廃墟の病院。

 其処には辺り一面に紅が―――鮮血の海が広がっていた。

 

「―――キャハハハ!ホントお前らツマンナイ!弱すぎ!」

「う………が、」

 

 血溜まりに佇む一人の幼い少女は狂喜に嗤っていた。

 その目の前にはある男が血溜まりに倒れ込んでいた。

 その男は腹部を無惨に抉られ、風穴が空き、其処からは夥しい量の鮮血が飛沫、止めどなく流れ出ていた。

 他にも人間だったものが、今は肉塊と化して辺りに散乱している。

 そう。この血溜まりは狂喜に嗤っている少女によって惨殺された人間達の鮮血で作り出された惨状だった。

 

「………あーあ、ツマンナイ。もういいや、お前―――死んで♪」

「ひ………ぐ!?」

 

 男は危機を察して咄嗟に逃げるように少女に背を向けて逃げ惑う。

 そんな無様な醜態を晒す男を一瞥した少女は狂喜に嗤って、

 

「―――異能『破壊の魔弾(デストロイ・ブレッド)』♪」

 

 少女は右手を翳して紅黒の魔弾を造り出し、男に向かって放つ。

 それが男に被弾した瞬間。

 

「ぐがぁあああああ!??」

 

 ドパァアンッ!!

 男の身体は一瞬膨張したかと思いきや、無惨に弾け飛び、肉塊ではなく塵と化した。

 そう。まるで内側から弾けるように破裂し粉微塵にされたのだ。

 その際に少女は男の穢れた鮮血を浴びて不快そう顔を歪めた。

 

「うげっ!臭いしマッズい!何これ最悪!」

 

 ペッ、と吐き捨てるように呟く少女。すると、不意に懐かしい鮮血の匂いがしてそれに気づくとニヤリと笑う。

 

「―――リアちゃん♪」

「リアちゃん♪ではないわよ?私の名前はコーデリア。いい加減に覚えなさい、フラン」

 

 呆れたような声が返ってくる。

 〝コーデリア・フリード・ジョーカー〟。此が蒼髪の吸血鬼の名前だ。

 蒼の髪をカールさせている紅い瞳を持つ美しい女性。

 相も変わらず魔女を彷彿させるような格好をした黒いローブの女性は元探偵の人間だったらしい。

 

 一方、コーデリアの登場にはしゃぐ少女。

 〝フランシスカ・フレイメア〟。此が朱髪の吸血鬼の名前だ。

 ハーフアップの朱の髪に黒いカチューシャをつけている紅い瞳を持つ幼い少女。

 真紅の長袖、膝丈まであるスカートのロリータ服に身を包む少女は元人間である事件に巻き込まれて吸血鬼になったらしい。

 

「アハハハ!だってコーデリアちゃんじゃ長すぎるんだよ!だからリアちゃん♪OK?」

「………はぁ、まあいいわ。それにしても人間相手に容赦しないのね。ま、どうでもいいけれど」

「うんうん!それにコイツらか弱いフランちゃん相手に容赦なく襲い掛かって来たんだよ!?ヒッドくない?」

「………いえ、貴女の何処が弱いのかしらね?どう見ても貴女の圧勝にしか見えないわ」

「バレちゃった?アハハハ!さっすがリアちゃん!伊達に探偵業ヤってたわけじゃないね♪」

「探偵じゃなくても判るわよこれくらい」

 

 ハァ、と再度深い溜め息を吐くコーデリア。それをニヤニヤと見つめて笑うフラン。

 まあこんなところで下らない話をしている場合ではない、とコーデリアは思考を切り換えて本題に入る。

 

「あーそうそう、フラン」

「なぁに?」

女王(クイーン)の居場所が割れたわ」

「……………ホント!?」

「ええ。本当よ。それで今から〝箱庭〟に向かおうと思ってね。貴女を勧誘しに来たってところ」

「は、〝箱庭〟!?行く行く、絶対行く!彼処は愉快な人間がイッパイいるからね♪」

 

 箱庭と聞いてはしゃぐフラン。これだと昔一度訪れたような言い回しだ。

 コーデリアはニコリと微笑して頷いた。

 

「ウフフ、決まりね。そうと決まれば行動に移すわよ?」

「うん!………あ、でも―――――行方不明のマリアちゃんと人狼娘はどうするの?捜さないの?」

「姫とその眷属なら女王を捕らえれば向こうから来るわ。問題はなしね」

「アハハハ!そうだね!サクッとライムちゃん捕まえてイタぶればイヤがオウでも助けにくるもんね♪」

「そういうこと。―――って女王相手にちゃん付けってどうなのよ?彼女は殺して死なない正真正銘の怪物(バケモノ)。そう簡単にはいかないものよ?」

「大丈夫大丈夫!ライムちゃんは怪物でも心まで怪物じゃないし、油断してると思うからね!私の異能でイチコロだよ~♪」

 

 物騒に笑うフラン。それを見たコーデリアはやれやれ、と肩を竦めながら呟いた。

 

 

「―――ウフフ。追いかけっこは終了よ、女王様。貴女のことは私達が殺して―――――吸血鬼の歴史に幕を下ろしてあげるわ♪」




ヘカテーの変態素質は母親譲りデス!
元探偵のコーデリアは現在は人殺しの吸血鬼に………何やってるんだか←
フランちゃんのイメージは可愛い狂喜な戦闘狂の吸血鬼デス。進んで人殺し☆を愉しむイケナイ娘なのです(笑)
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