問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?― 作:問題児愛
月yこほん。某変態真祖の乱入は次話になります(笑)
耀のキャラ崩壊と月夜のキャラ激変が見たくない方はブラウザバックッ!!(五月蝿い)
そして、十六夜・飛鳥・耀が戦果報告。審査役はジンとレティシアが執り行った。
飛鳥は牧畜を飼育するための土地の整備と、山羊十頭を手に入れた。準備が調い次第〝ノーネーム〟に連れてくる予定。
耀は〝ウィル・オ・ウィスプ〟主催のゲームに勝利し、ジャック・オー・ランタンが製作する、炎を蓄積できる巨大キャンドルホルダーを無償発注した。
十六夜は白雪姫を隷属させたことで白夜叉の提示した〝水源となるギフトを手に入れて来い〟というゲームにクリア。且つ白雪姫を貸し出すことによって〝サウザンドアイズ〟が預かっていた外門利権証を取り戻し、〝ノーネーム〟が
十六夜の戦果に黒ウサギが奇声を上げながら彼に抱きついたことや、十六夜が〝役得〟と黒ウサギの身体の感触を楽しんでいたのはまた別の話である。
――――――――――
―――その夜。黒ウサギが腕をふるった川魚は、表面を軽く焼いてから油で揚げたモノに、とろみのある餡を掛けた料理について十六夜の―――
「黒ウサギ。これ多分、餡を掛けないで酢漬けした方が美味い」
―――というデリカシーの欠片もない発言で、色々と台無しになった。
その後、耀と三毛猫は自室に戻っていた。
夜も更け込み、やや肌寒い風が吹き込む窓際に腰掛ける。
耀は溜め息を吐いた。
「三毛猫。私は収穫祭が始まってからの参加になったよ。残念だけど、前夜祭は御預けだね」
『………そうか。残念やったなお嬢』
「うん。でも仕方ない。十六夜は本当に凄いもの。水不足を解決したり、レティシアを助け出したり。魔王の謎を解いた時も、本当にとんでもない男の子だなあって感心しちゃったよ」
だから―――仕方がないんだ。
そう言い聞かせるように細く笑って、満天の星空を見上げる。
「………でも、凄いのは十六夜だけじゃない。飛鳥だって凄い。あんなに酷かった土地を、たった一ヶ月で土壌を整えたんだ。本当に凄い」
『ふん。そんなもん、ワシらが居ったところじゃ全然凄くも無かったやないか』
「それは技術が発達していたからだよ。人の手であの土地を農場にしようと思ったら………きっと、何世代もかけて復興しなきゃいけなかったはずだもの」
友人の華々しい成果を誇る耀だが、その笑顔はどこか物寂しい。
気になった三毛猫は喉を鳴らして問う。
『お嬢………何かあったんか?』
「………何もないよ」
ただ―――と、言葉を切って窓から農園区の方へ視線を向ける。
「………三毛猫。あの農園はね。十六夜が水を供給して、飛鳥が土地を育んだんだ。だから最後に私が苗をを用意すれば、〝農園は三人で造ったんだ!〟って、胸を張って言えるかなあ………とか。それで一日でも多く収穫祭に参加したくて、今回は頑張ってたんだ」
しかし駄目だった。自信一杯に挙げた戦果は、呆気なく一蹴された。
「………三毛猫」
『うん?』
「十六夜と飛鳥は、凄いね」
『………。せやな』
「でも、私は………あんまり凄くないね」
『―――――……、』
「やっぱり、投げやりな気持ちでコミュニティに所属したのが駄目だったんだ。偶然素敵な友達が出来ただけで………私には、その関係を維持する力がない」
『………お嬢……』
三毛猫は掛ける言葉が見つからず、黙って耀の手に擦り寄った。
耀もそれに応えて顎の下を撫でてやる。そのまま両手で抱え、膝ごと抱き締める様に丸くなる。
そうしていると不意に、コンコンと控え目なノックが聞こえてきた。
「………誰?」
「我だ。中に入って良いか?」
「―――――ッ!?」
最悪なタイミングで耀の主にしてメイドの―――否。大好きな女の子、紅月夜が訪れてきた。
彼女にだけは今の悲しんでる顔を見せたくないと思い耀は黙りしていると、
「―――開けてくれぬなら勝手に入るが、後悔しても遅いからな?」
「……………え?」
どうやって?と耀が口にする前に、ドアの隙間から黄金色のナニかが侵入してきた。
そして〝ソレ〟は耀の眼前で収束して人型に戻ると―――
「な、」
「ふふ。生憎我は姿を〝霧〟に変えられるのでな。セキュリティが確りしている部屋だろうと隙間さえあれば侵入は容易いのだ!」
バァアアアンッ!!
胸を張って宣言する月夜。耀は驚いて瞳を瞬かせる。
そらセキュリティの意味ないな、と三毛猫がうんうんと頷いた。
耀はスッと何時もの無表情な顔に戻して問う。
「それで月夜は何しに来たの?」
「うん?それは―――耀が心配だから来たに決まっておろう!」
「………私が心配?」
「そうだ。御主は隠し通せてると思っているようだが―――――我が眼は誤魔化せぬ。悔しいのだろう?十六夜に、飛鳥に負けたことが」
「―――――ッ!??」
耀は自身の弱さ以外にも、友人に負けたことに悔しい思いをしていたことを、月夜に悟られてしまった。
何時もお馬鹿な彼女だが、こういうことは鋭かったりするのである。
月夜は耀の元へ歩み寄り、フワリと優しく抱き締めた。
「月………夜?」
「すまぬ。耀に満足に
「………っ!月夜は関係無い!悪いのは………弱い私ッ!」
「いいや、我が悪い。耀に与えた異能はな、どうして攻撃系統のモノじゃなかったと思う?」
「え?」
月夜は耀の両肩を掴んでまっすぐ彼女を見て問いかける。
耀はその意味が理解できずコテンと小首を傾げる。
「耀の手に入れた異能が防御系統のモノだったのは―――我がそう強く願ってしまったのが原因なのだ」
「………月夜が?」
「ああ。本来ならば耀が開花させる異能は攻撃系統のモノ。だが結果は違った。我が―――耀を失いたくないと強く想ってしまったせいで(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)、その想いに準じた異能になってしまったのだから」
「―――!!」
知らなかった。私の覚醒めた異能にそんな温かい気持ちが籠められていたなんて、と耀は怒るよりも有難い、嬉しい気持ちになった。
一方、月夜は自分のせいで、耀が開花させる筈の異能を感情移入でねじ曲げてしまったことに、気持ちが申し訳無さで一杯だった。
月夜は耀にあわせる顔が無くなって黙りで俯いていると―――
「―――――ありがとう。月夜」
「………え?」
耀が抱き締め返した。御礼を言いながら。
耀のその行為に月夜は驚いていると、彼女がそのまま続けた。
「ありがとう。月夜が私のことをそこまで大事に想っていてくれて………嬉しい」
「何を、言っている!責められることは覚悟していたが、其の様に感謝される筋合いは我には無いぞッ!」
「そんなことないよ。逆に月夜を責める方がおかしいもの。だって―――」
耀は月夜に優しく笑って告げた。
「だって私が死なないように月夜の
「………っ……」
「それに私は月夜のことが―――」
大好き、とは流石に恥ずかしくて言うことは出来なかった。代わりに赤面した耀は月夜を強く抱き締めた。
耀の温かい気持ちを感じ取ったのか、月夜は抱き締め返して紅い双瞳から泪を流す。
「………あーあ。耀お姉ちゃん(・・・・・)を慰めに来たつもりが、逆に慰められちゃうなんてね」
「え?」
『なにゃ?』
〝お姉ちゃん〟と月夜に呼ばれて耀はキョトンとした顔で固まった。三毛猫も同様に固まっていた。
月夜はハッとして自分の発言に気がついて、小首を傾げながら問う。
「………もしかしてお姉ちゃんって呼ばれたくなかった?」
「え?そっち?―――ううん!別に私はお姉ちゃんって呼ばれても問題ない。それよりもどうして急に?」
「うん、それはね―――耀お姉ちゃんって呼びたいから!」
『「………は?」』
意味がわからないよ、と耀と三毛猫は思った。というより理由があっさりしすぎである。
月夜は潤んだ紅い瞳で耀におねだりする。
「………だめ?」
「―――ッ!!?大丈夫!問題ない!いや寧ろお姉ちゃんって呼んでくれても大いに結構ッ!!」
「ホント!?やったー!ありがとう耀お姉ちゃん♪」
「……………っ!??」
月夜は満面の笑みで耀に抱きつく。
耀はまるで子供のような月夜の笑顔に鼻から
こら真祖の嬢ちゃんにお嬢の
月夜は耀を見上げてふと呟く。
「―――そうだ!耀お姉ちゃん」
「何?月夜」
「………私、耀お姉ちゃんの力になりたいな!」
「うん?それはどういう―――痛っ!」
『な………』
耀が話している途中に、月夜が彼女の首筋に噛みついた。そしてそのまま鮮血を啜る。
「んっ!」
「んくんく―――――ぷは!………耀お姉ちゃんごめんね?いきなり噛みついたりして………」
「ホントだね、うん許さない」
「………え?」
耀に許さない、と言われて月夜はジワッと瞳を涙で滲ませる。
耀はクスッと笑って月夜の金髪頭を優しく撫でて慰める。
「嘘。でも力になりたいってどういう意味?吸血したのと関係あるの?」
「う、うん。耀お姉ちゃんに与えた異能が防御系統に変化しちゃったのは覚えてる?」
「え?あ、うん。そうだね。………それで?」
「うん。それで吸血した理由は―――耀お姉ちゃんにもう一つ異能を与えたんだ。………初めての挑戦なんだけど」
え?と耀と三毛猫に嫌な予感が過る。〝初めて〟ということは―――
「え?ちょっと待って!」
「はぇ?」
「〝初めて〟ってことは異能を二つ持った月夜の眷属は―――私だけってこと!?」
「………そうだけど……………耀お姉ちゃん?」
青ざめる耀を見上げて、月夜は小首を傾げる。
耀は蒼白して宣言する。
「どうしよう月夜!私……………爆死するかも」
「………ほぇ?」
「うん。爆死する!それも月夜のせいで………!」
「………う、そ……」
「嘘じゃない!どうしよう!私、死にたくないッ!!」
勿論、耀の演技である。可愛い
案の定、月夜は泣きながら耀に抱きついてきた。
「だ、だめ!………ひぐ!……耀お姉ちゃんっ!……えぐ!………死んじゃ、やだッ!!…………ぐず、」
「―――――大丈夫!耀お姉ちゃんは無敵ッ!だから死なないッ!!心配無用ッ!!!」
ドォオオオオオンッ!!
耀は小さな胸を張って宣言した。
こりゃ真祖の嬢ちゃん―――お嬢に弄ばれとるな、と三毛猫は苦笑を零す。
月夜は泣きじゃくりから一転して、パアッと明るい表情になり、
「………ホント!?よかったあ!大好きな耀お姉ちゃんを失わずにすむよ!!」
「(大好き!?あーもうっ!私も月夜が大好きだよッ!!)」
再び抱きついてきた笑顔の月夜を、ギュッ、と抱き締める耀。
耀は心の中でガッツポーズして密かに喜んだ。
そして月夜から貰った二つ目の異能。耀はどんな攻撃系統の
一方、月夜は可愛い義妹兼ね眷属(レティシア)に続き、失った義姉(ペスト)は可愛い義姉兼ね眷属(耀)が成ってくれて、喜色満面だった。
彼女はペストを二度も失ってしまい、甘える相手がいなかったのだ。
耀が姉のような存在になると知り、嘘偽りなく嬉しかったのだろう。
三毛猫は耀が悲しんでいたことに心配していたが、月夜が来てくれたことで彼女の心が和らぎ、彼が心配する必要がなくなった。
彼は月夜は只のお馬鹿な真祖娘だと思っていたが、今回のことで耀を大事に想っている心優しい主であることが分かり、ホッとしたのだろう。
それにしても―――
『真祖の嬢ちゃんはえらい変わりようやな。もしやそういう態度が素なん?』
「流石耀お姉ちゃんの猫ちゃんだね!うん。そうだよ?吸血鬼の真祖になる前まではこれが本当の私なんだ♪」
『そかい。―――って、え?』
「………え?」
まるで三毛猫と月夜が会話しているかのような台詞に、耀と三毛猫が驚いて目を見開く。
月夜はそうとも知らずにコテッと小首を傾げている。
耀はすかさず月夜の両肩をガシッと強めに掴んで問う。
「え?月夜?もしかして………三毛猫の言葉が分かるようになったの!?」
「い、痛い!………う、うん。月神としての記憶を取り戻した時から猫ちゃんの言葉が分かるようになったんだ!………あと耀お姉ちゃん、痛い…………ぐす、」
「え?―――っ!ご、ごめん!」
耀は手を離すと、月夜は涙ぐんでいた。
どんだけ繊細なんだ、と耀は思わず苦笑を零した。
「そっか。月夜も三毛猫の言葉が分かるようになったんだ。………うん!三毛猫とも仲良くしてあげてね?」
「うん!勿論だよ耀お姉ちゃん!」
「ふふ。三毛猫も月夜と仲良くね?」
『了解やお嬢。そいと―――改めてよろしゅうな、真祖の嬢ちゃん』
「うん!改めてよろしくね、猫ちゃん♪」
ムギュッと三毛猫を抱き締める月夜。
『猫ちゃんやめい!三毛猫でええ。―――それにしても、中々ええ感触やな!真祖の嬢ちゃん♪』
「ふふ。それはどうも三毛ちゃん♪」
三毛猫はどさくさに紛れて月夜の豊胸の感触を楽しむ。
それを―――耀(ご主人様)が絶対零度の眼差しで三毛猫を睨む。
「……………三毛猫」
『にゃ!?』
「月夜に変なことしたら―――――許さないからね(・・・・・・・)?」
『―――――………ッ!?!?』
不機嫌極まりない耀の瞳に三毛猫はダラダラと冷や汗を流す。
月夜は不思議に思い小首を傾げるばかりである。
耀はハァ、と溜め息を吐いたあと、月夜を抱き抱えて―――
「―――――………ふぇ?」
「月夜。耀お姉ちゃんの抱き枕になって?」
「え?で、でも………その、……………恥ずかしいよぅ……!」
モジモジと恥ずかしそうに両手を擦り合わせる月夜。
この子………本当にさっきまで優雅だった吸血鬼の真祖?と耀は赤面しながら月夜を見つめて思った。
耀は羞恥を振り払って―――
「えい」
「ひゃわ!?」
―――問答無用にベッドに倒れ込んだ。月夜を抱き抱えてまま。
そしてそのまま後ろを向いてる耳まで真っ赤にさせた月夜を振り向かせる。
「―――……ぁ」
「ふふ。顔をよく見せて!お姉ちゃんの言うことが訊けないの月夜?」
「―――――うぅー!」
「唸っても駄目。問答無用ッ!!」
「いやぁ!?」
嫌がってる月夜は耀の腕の中で必死にもがくが、脱け出せない。
そして月夜は耀に顎を持ち上げられて―――――あっさり二人の視線が交差した。
「………あぅ……………ぐず、」
「―――――ッ!?!?」
耀が月夜の顔を強引に覗き込むと―――月夜は耳まで紅潮させて更に、紅い瞳は泪で一杯になって潤んでおり、もうちょっと刺激を与えれば泣き出してしまいそうだった。
耀は再び鼻から鮮血を噴出しそうになるが、なんとか堪えて月夜を抱き寄せる。
そして―――
「………耀お姉ちゃん?」
「―――――すぅ、すぅ………すぅ、すぅ」
―――耀は規則正しい寝息を立てて眠り始めた。月夜を抱き締めながら。
それを確認した月夜も、にこやかな笑顔で耀を見つめたあと―――
「―――――すぅ………すぅ………すぅ」
―――月夜も規則正しい寝息を立てて眠りに就くのだった。耀に抱き締められて。
二つの寝息を確認した三毛猫は―――
『―――今日はお嬢を頼んだで、真祖の嬢ちゃん』
―――そう呟いた三毛猫は一人、耀の私室からコッソリと脱け出していった。
のちの、十六夜のヘッドホン消失事件に発展するトリガーを絞りに。
次話から過去編入りたいけど………無理かな(苦笑)