問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?― 作:問題児愛
そして中々本題の過去に入れない(苦笑)
「……………ん」
ふと私は目を覚ます。
其処は何もない
色は白。モノは一切無い謎の白い世界。
ぐるりと回って三六〇度確認するが、やはり何もない世界。
「……………?」
私は理解出来ずに小首を傾げる。
どうしてこんな場所にいるのだろうか?
どうしてこんな場所があるのだろうか?
ここはどんな場所なのだろうか?
「………………」
取り敢えず私は、前に向かって歩いてみる。
しかし背景は何も変わらず歩いているのかすら怪しく思えるような錯覚を起こす。
ならば、と歩く足を止め、今度は駆けてみる。
しかし背景は歩いていた時と何ら変わりなく、走っているようにさえ思えなくなってる。
「……………」
私は駆けるのを止め、今度はその場に座り込んでみる。
床も真っ白な為、座っているのに浮遊感に襲われる。
なら、立ち上がって空を翔んでみよう。
空も真っ白な為、逆に翔んでいる感覚がまるでない。
「…………………………………………………………………?」
私が行っている行動と真逆な錯覚に囚われるのは、その行為を実行しているように思えないからなのかもしれない。
再度小首を傾げる私。すると―――
『―――さっすがは月神が誇る最強のアホ神だなあ、アンタ』
「―――――ッ!?!?」
ハッとして声のする方に勢い良く振り返ると其処には―――靄のようにうっすらと浮かんだ男らしき姿があった。
『よう、月の―――様?寝起きのホワイトハウスはどういう気分だ?』
「……………誰?」
『おいおい、俺を見紛うとは悲しいぜ?―――の魔王様よぉ!』
「―――――ッ!??」
ドクン、と私の心臓が脈を打つ。何故この男はその名を知っているのか?
『何故知っているかって?そりゃあ俺がアンタの活かした魔王っぷりに惚れたからに決まってんだろうがッ!』
「―――――っ………!?」
『不可解みてえな顔すんなよアホ神。アホ面すると更にアホ神(改)に進化するぜ?』
「~~~~~ッ!!!」
アホアホうっさいわよッ!!とでも言いたそうな顔で男を睨みつける私。
対して靄のような男はゲラゲラと下品に笑い声を上げた。
『ククク、まあアホ神弄りは置いといて―――本当に何も覚えちゃいねえのか?』
「……………何を?」
『何をって―――――ハァ。幻滅させないでくれよクッソアホ神』
「……………む、」
アホの前置詞に〝クソ〟が追加されて更に不機嫌な表情を見せる私。
その表情に男はニヤリと笑って続ける。
『まあ、忘れちまったってんなら俺がアンタの犯した最ッ高にイカれた罪を教えてやってもいいぜ?』
「私が………犯した、罪?」
『ああ。俺は〝
「…………………………」
〝遊興屋〟と名乗る男は両手を広げて嗤うと、私は無言で暫し考えた後、首を縦に振った。
それを確認した〝遊興屋〟は三日月型の笑みを魅せた後、話し始めた。
『んじゃ、簡潔に教えてやるぜ?―――の魔王、アンタが犯した罪は――――――――――
「―――――――…………え?」
『え?じゃねえって。アンタは
「―――ッ―――――!!?」
私は〝遊興屋〟が何を言っているのか理解出来なかった―――否。
私が罪の無い私の家族を………手にかけた!?
違う!私はそんなこと―――知らないしヤってなど……………いないッ!
『ハッ、違わくなどねえよクッソアホ神!テメェはその手でテメェの家族を!無惨に殺したんだよ!』
「っ!違う!私は―――愛する家族を殺すはずが………っ!」
『何を言ってやがる!テメェの家族をテメェが愛しただあ?ふざけたこと抜かしてんじゃねえぞ小娘がッ!!』
「……ひぅ………!?」
〝遊興屋〟の一喝に怯む私。
そして〝遊興屋〟は私に歩み寄ると、無造作に金髪を鷲掴んで引き上げる。
「あ、ぐ!?」
『テメェは何泣いてやがんだよ!テメェの家族はテメェが殺したってのによ!………まさか、テメェで殺しておいて悲劇のヒロインを演じようって魂胆じゃねえだろうなぁ!?』
「―――――っ!?そ、それは」
『もしそうなら胸クソ気持ちワリいよテメェは!あぁそうだ!ゲロっちまうほど最ッ高にキモいぜッ!!!』
「……………………………………、」
髪を引っ張られている痛みのことさえ忘れて、〝遊興屋〟の罵声に萎縮する私。
〝遊興屋〟は私が無言になった事を確認すると、鷲掴んでいた金髪を放して落とす。
「………痛っ、」
『まあアンタが自分のやった罪を認めるってんなら、俺はアンタに知恵を貸してやっても構わねえぜ?』
「……………知恵?」
『ああ。俺の提案に乗っかりてえならテメェが犯した罪を認めな!何時までも真実から目を逸らしてえんならそれはそれで構わねえが、俺はテメェを助けたりはしねえがよ』
「…………………………」
私は暫し沈黙して〝遊興屋〟の提案に伸るか反るか、考え込む。
そして―――
「―――――分かった」
『お?何が分かったんだ?言ってみな!』
「……………私は貴方の提案に伸るよ。だから―――――私が家族を殺してしまった
『よしよしそうと決まりゃあ教えてやんねえとな!アンタが家族を殺さなきゃならねえ理由をッ!』
両手を広げて嗤うと、〝遊興屋〟は語り始めた。
『まず、アンタの家族の苗字は《
「うん。合ってる」
首肯する私。
それを確認した〝遊興屋〟は続ける。
『ああ。それで〝満月〟は月の
対して〝――〟のアンタは月の
「……………?それが何か?」
『おいおい気付かねえのか?生と死は相容れねえ。そして―――生は
―――――
私は目を見開いて驚いた。〝生まれ持った悪〟。それは即ち―――
「私が悪を受け入れない
『正解だ。アンタは
「―――――っ!?だが、今の私は〝善〟にまみれている。これは一体どういう」
『そりゃあ、アレだ。アンタに生を狩られる寸前に〝満月〟がアンタに、
「な、」
私は絶句した。〝善なる心〟を植え付けようとしたことにではなく―――――
そして同時に私は何て愚かな奴だったんだろう、と涙を流した。
それを見た〝遊興屋〟は肩を竦めて笑う。
『まあ、善なる心を植え付けられたことを知らずにアンタは〝箱庭〟に喧嘩を売っちまって、結果―――――最強の魔王殺しコミュニティ〝――――――〟連盟に敗北して力を封印されちまったってわけだ』
「……………私が弱くなっているのはその為か」
『ああ。これでアンタが何の為に生まれ、何の為に家族を殺したかっつう
「…………………………」
私の
〝―――の魔王〟―――月と――の神霊・月星――。
月(神)の末裔にして、親族殺しの魔王。
幾星霜も昔〝箱庭〟に喧嘩を売って、最強の魔王殺しコミュニティ〝――――――〟連盟に敗北・力を封印された。
『さあ、俺の言葉を信じてくれたアンタに〝知恵〟を与えてくれてやる』
「……………それは何?」
『それは―――――死から復活するための〝知恵〟だ』
「―――――っ!?」
私は〝死から〟という言葉に驚愕して、そしてカノジョに我が身を討たせたことを思い出す。
それを〝遊興屋〟は察すると、ニヤリと笑って続ける。
『アンタはもう一度蘇って会いたいんだろ?ソイツに。それなら会えるいい方法がある』
「……………死者が生き返る方法があるの!?」
『おう。正確には―――死者が不死の力を得て復活する。即ち、
「
『まあ、そうとも取れるな。丁度アンタは蘇りたい理由を持っている。なら〝吸血鬼〟になる条件は満たされてるってわけだ』
「………吸血鬼?」
〝吸血鬼〟と聞いて小首を傾げる私。
それに〝遊興屋〟は頷いて答える。
『ああ。伝承の吸血鬼には様々あってな。一度死んだ人間が蘇ったモノ、生きているモノ、幽霊のように実体が無いモノ、魔女、精霊や妖怪などetc。まあアンタは神霊の力を封印された人間同然みたいな存在だからな。目的を持った人間が不死者として蘇る
「………随分と強引な解釈じゃないか?」
『そうでもねえよ。オリュンポスの神々の内の月神ヘカテーから神格を授かってるみてえだが、結局それも神格を解放しなきゃ使えねえんだろ?なら今のアンタは月の恩恵を宿しているちょっぴり頑丈な人間程度じゃね?』
「……………なるほど」
『それに吸血鬼に成れば力も手に入る!会いたい奴に会えるかもしれない!さらにアンタは月の恩恵を所持してんだ。本来弱点の太陽の光で死ぬ心配もないッ!不死性も純血の吸血鬼を軽く凌ぐだろうなッ!!月の吸血鬼とか最ッ高に活かしてると俺は思うぜッ!!!』
どうだ!?悪くない条件だろ?と私に勧めてくる〝遊興屋〟。
確かに今の私は力がちょっと強い程度の小娘だ。吸血鬼としての力を得れば、カノジョを守護するだけの力が得られるかもしれない。
そう考えれば悪くない条件だと私は頷いた。喩えこの身を不死以上の怪物に変えようとも。
「……………分かった」
『お?分かったってことはつまり』
「うん。成るよ。吸血鬼に」
『おう、そうか!そいつはいい心掛けだ。―――――んで行く前に一つ教えてもらうが』
「うん?」
『アンタがもう一度会いたい奴ってのは、どんな奴だ?』
名前は何て言う?と〝遊興屋〟が最後の別れに私に問う。
それに私は満面の笑みで答える。
「それは―――〝――――〟様だよ♪」
『な、』
最後に見た〝遊興屋〟の表情が、驚愕に染まっていた気がしたけど、私は特に気にせず真っ白としたこの世界から去っていった。
それを確認した〝遊興屋〟は独り、呟いた。
『…………………………ハァ。