問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?―   作:問題児愛

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というわけでプロローグの続編スタートです!
衛と月夜(ライム)の織り成す物語をお楽しみください。


第七話 狩りの少年が吸血鬼狩りする理由(わけ)―――同士(なかま)達との再会と別れ

「………………………………………ぐず、」

 

 突然だが………ライム・ストーン・クイーンは頭を抱えて蹲っていた。―――涙目で(・・・)。

 こうなってしまったのは《プロローグ参照》なのである。

 剣咲衛(けんざきまもる)は拳銃片手に眼を丸くして驚いていた。真祖と名乗るからこの程度効かないと思っていたからだ。

 しかし、結果はコレだ。驚くなという方が無理な話だろう。

 衛は困ったように茶髪頭を掻き、蹲る少女にスッと手を差し伸べる。

 

「お前が悪いんだからな。俺のことをエロガキエロガキ言いやがるからこうなるんだ!だから手くらいは貸してやるが、謝る気は更々ねえからな!」

「……………ああ。我にも非があったからな。謝罪は求めぬ。―――だが、痛かった。凄く痛かったぞ!泣きたいほど!………今回は手を貸してくれる優しさに免じて、許してやるがな!」

 

 ふふ、と笑って衛の手を掴んで立ち上がるライム。

 彼女の笑みに衛は頬を染めてそっぽを向いた。

 

「(そういやコイツ、吸血鬼だけど見た目が人間の女の子なんだよなあ………あークソッ!手を繋いだくらいで意識すんなクソ脳ミソッ!!)」

「……………?どうしたのだ、マモル?」

「―――――ッ!いや、別に。なんでもねえよ。つかいきなり呼び捨てかよ!?」

「ぬ………別に良いではないか!御主も我を『ライム様』と御呼びしても良いのだぞ?」

「あ?ふざけんな!お前が俺を呼び捨てにしておいて、俺がお前に〝様〟付けさせようってんのか!?」

「うむ!」

「うむ!じゃねぇえええええ!!お前が呼び捨てなら俺もお前を呼び捨てにしてやる!これは決定事項だっ!異論は認めねえ!分かったか!ロリっ子吸血鬼、ライムッ!!」

 

 有無を言わさぬ物言いの衛に、凄むライム。

 

「う、うむ。納得いかぬが―――良いだろう!我のことを『ライム様』と」

「何でそうなる!?全然分かってねえだろ!アホロリライム!!」

「な、何だと!?このエロガキマモルッ!!」

「エロガキ言うなぁああああああああああッ!!!」

 

 ズドゴォオオオオオオオオオオンッ!!!!

 

「うぎゃぁああああああああああん!?!?」

 

 衛の〝秘技・拳銃の使い方間違えてますよ!?〟がライムの金髪頭を超強襲。

 その後に聞こえたのはライムの真祖らしからぬ、可愛らしい断末魔の叫び声だった。

 

――――――――――

 

「うっぐ!―――ひっく!……ぐすん」

「(本当にこんなヤツが真祖の吸血鬼なのか?信じられねえって………)」

 

 そう思うのは衛の〝洗礼♪〟を受けた後、ライムは―――堪えきれずに泣き出してしまったのである!

 現在、衛は泣きじゃくる彼女の金髪頭を優しく撫でてあやしている状況なのだ。

 

 

 

 

《数分後》

 

 

 

 

「……………お見苦しいところを御見せして済まぬ、マモル」

「ああ、全くだな………アホライム」

「む、」

 

 ギロリ、と衛を睨みつけるライム。が、先程の出来事を目の当たりにした彼には怖くなどなかった。

 やがて、立ち上がった二人は一先ず公園を出ることにした。

 

「………マモルは我を〝ジョーカー〟に引き渡すのか?」

「いいや。ライムは確かに真祖の吸血鬼として人間の血を吸い、人間を吸血鬼に変えていったらしいが、殺したことはないらしいな?」

「う、うむ」

「なら俺はアンタを〝組織〟に売ったりはしない。生き血が無きゃ生きていけない身体なら仕方ねえしな」

「……………え?」

 

 衛の言葉にキョトンとするライム。彼が吸血鬼を狩る理由と、〝組織〟が吸血鬼を狩る理由が違うからである。

 衛は苦笑して続けた。

 

「俺は〝組織〟の連中と違って人殺し経験のある吸血鬼以外は狩ってないよ。生きるために生き血を啜るのは仕方がないし、悪道に走っていない吸血鬼を狩る程冷酷な人格は持ち合わせてないからな」

「……………マモル」

「なんだ?」

「御主は良い奴なのだな!惚れてしまいそうだ!!」

 

 ムギュッ!

 

「は?―――――ッ!!?抱きつくな!鬱陶しいっ!!」

「何故だ?我との抱擁は嫌なのか?」

「いや凄く嬉しいッ!!―――――ハッ!?」

「ふふ、そうか。嬉しいか!やはりマモルはエロガキであるな!」

「――――――――――おけ。このまま持ち帰って包帯グルグル巻きにして吊るして『エロガキ』言った回数分をたっぷりイタぶってやろうじゃねえの?なあ?ライム様(・・・・)?」

「……ひ………っ!?」

 

 青筋を立ててにこやかに笑う般若(衛)を見て、サアッと血の気を無くす子供(ライム)。命の危機を察したからであろう。

 ライムは咄嗟に自分を抱え込む衛の腕を振り払って数歩後ろに下がる。

 衛は逃がすまいと彼女が下がった分詰め寄って腕を伸ばす。

 

「うぅ、来るな!来るな!来るでないぞ!バカマモルッ!!」

「クハハハハ!だが断る!―――大人しく俺に捕マットケヨ?ライム様?」

「嫌だ!嫌だ!絶対に嫌だ!捕まるものかッ!!」

「逃ガサナイッ!!」

 

 ライムと衛は全力でスタートダッシュして彼女の生か死か!を決める追いかけっこが始まったのだった………!

 

――――――――――

 

 数分後。ライムはなんとか衛の魔の手から逃れることに成功してホッと息を―――

 

「居たぞ!ヴァンパイアだッ!!」

「―――――!?くっ、」

 

 ―――吐けなかった。ライムは肝心なことを忘れていたのだ。そう―――〝組織〟に追いかけ回され中だったことに。

 

「待て!今日という今日は捕まえてやるッ!」

「お前達は先回りしろ!挟み撃ちだッ!」

「「「オウッ!!」」」

 

 しかも増援で〝組織〟の連中―――〝十字架〟のバッチを胸元に付けた黒服の男達五人が追いかけてきた。

 ライムは盛大に舌打ちして、疾風の如き速さで夜の街を駆け抜ける。が、

 

「………何!?」

「真祖のクセにトロいな!」

「ああ。これなら簡単に捕まえられるな!」

 

 ライムは速度についてこれている黒服の男二人に驚愕する。確かに人間が吸血鬼の―――しかも真祖の吸血鬼である彼女の速度についてこれているのは可笑しい話だ。

 だがもし彼らが〝組織〟の者ではなく―――同士(・・)なら?

 

「(いや。そんなはずはない!我の眷属で吸血鬼の同士は………〝組織〟に殲滅されたはずだッ!!)」

 

 そう。ライムの吸血により眷属の吸血鬼となった同士は、何百年前に滅ぼされた。生きているはずがない。

 だが、真祖についてこれるのは、真祖の血を得た吸血鬼(眷属)達のみだ。

 

「オラァ!おいかけっこはお終(しめ)えだッ!!」

「―――――ッ!?回り込まれた………!?」

 

 急ブレーキをかけて止まるライム。前には黒服の男三人。後ろには二人。

 彼らは恐らく自分と同速で動ける者達だろう。つまり、逃げ場はなし。詰んだのである。

 そして止まった彼女を確認した黒服の男達四人(・・)は一斉に襲い掛かった。これで彼女を捕まえられる―――――はずだった。

 

「「「「何!?」」」」

 

 そう。ライムは捕まる寸でのところで跳躍―――飛翔したのだ。

 

「ふう。これで追っ手は振り切―――」

「俺様を忘れてもらっちゃあ困るぜい?主様(・・)よお!」

「―――――………っ!?しまっ―――」

「オッラァッ!!!」

 

 黒服五人目の男は、ライムが空に逃げることを読んで待ち構えていたのだ。先程一人足りなかったのはそのためである。

 そして気合い一閃。振り向いたライムの頭目掛けて蹴り抜く。

 ライムは咄嗟に腕を頭を庇うようにクロスしてガードしたが、

 

「―――――っ!」

 

 男の一撃はかなり強力なものだったのか、受け止めきれずに後方に吹き飛ばされ―――――地面に背中から叩きつけられた。

 

「がっ、」

「………よっと!」

 

 着地した男を含めた黒服の男達五人は、ライムを囲んで拳銃の銃口を向けて牽制する。

 

「………先程の力。―――――まさか、御主らは!?」

「おう。やっと気がついたか、我らが主様(・・・・・)?」

「―――――ッ!!?」

 

 ライムは驚愕に目を一杯に開いて黒服の男達五人の顔を見る。そして、よく見るとどの顔も―――見知ったものだった。

 

「御主達………生きていたのか―――!」

「ああ。なんとかな」

「こうして〝組織〟の格好をして奴等の目を欺いてきたからな!」

「それに比べて我らが祖のライム様ときたら―――」

「変装も一切せずに逃げ回ってるとかホントに馬鹿だよね」

「〝どうぞ捕まえてください!〟っていってるようなものだぜい?」

「―――――それを言われてしまっては返す言葉もないのぅ………」

 

 ライムは苦笑いを浮かべて自嘲する。吸血鬼の同士達もそれに苦笑した。

 だが、フッと真剣な表情をした同士達五人は―――ライムに銃口を向けて告げた。

 

「―――それでアンタの罪。覚えているか?」

「ああ。我は御主らの主でありながら、人間の策略にまんまと嵌められた挙げ句―――――同士達を救えなかった憐れな真祖だ………」

「そうだ。つまり今ここにいる俺達五人は―――アンタを怨み、憎み、殺したいと思っている連中共だ!」

「……………」

「僕達が君を捕まえた理由はね?―――殺す為なんだよ?」

「……………っ、」

 

 ライムは怒りよりも悲しい気持ちに支配された。〝やはり我のせいで彼らにツラい思いをさせてしまったのだな〟と。

 

「出来れば俺達はアンタを殺したくない。だが、それをしないと怒りが収まらないんだ!」

「だから主様を殺して我々の怒りを収めたいんだよ!」

「―――――………分かった」

「……………え?」

 

 同士達が一斉に驚き固まった。それもそのはず、彼らの望みを意外とあっさり、ライムは引き受けたのだからである。

 ライムは申し訳なさそうな顔をして告げた。

 

「御主達の怒りや苦しみが、我を討つことで和らぐなら―――我はそれを受け入れる」

「………アンタはそれでいいのか?」

「ああ。御主達に討たれるなら寧ろ本望だ。―――〝組織〟に討たれるよりもな」

「………主様」

 

 ライムは〝友〟達になら討たれても構わない、本望だと告げた。

 同士達五人は顔を見合わせ、どうするか相談する。そして―――

 

「―――ああ。せっかく我らが主様のご厚意だ。だから、」

 

 同士達五人の代表として、黒髪長髪の青年吸血鬼がライムの胸元に―――心臓のある部位に銃口を向けて告げた。

 

「安心して眠りにつけ。もし生き延びれていたら―――もう俺達には二度と会うな。………再び、主様の命を狩りに来ちまうからよ」

「ふふ。なんとも守ることが出来そうにない願いだな。―――――うむ。善処してやろうではないか!」

 

〝最後の最期まで偉そうな真祖(あるじ)だな〟と苦笑した同士達五人は―――代表の黒髪長髪の青年吸血鬼はトリガーを絞って……………ライムの胸板を一発の〝銀の弾丸〟が撃ち抜いた。

 心臓を撃ち抜かれたライムはコフッ、と口から血塊を吐き出し―――――前のめりに倒れ伏した。

 そして彼女の胸元からは夥しい鮮血が流れ出して、血溜まりを作り出していく。

 それを確認した吸血鬼の同士達は最後に―――〝済まなかった〟と呟くと、その場を後にした。

 

 

 衛が大量出血で倒れ伏している瀕死のライムを見つけ出したのはそれから数分後のことだった。




瀕死っていっても一日経てば完治する怪物なんですがね。

次話は衛の父親登場ッ!………え?需要ない?(苦笑)
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