問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?―   作:問題児愛

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第九話 梅雨時にまさかの○○○!?―――その正体は月の真祖

 あれから数日後。

 剣咲(けんざき)衛(まもる)は、何時ものように高校生活をエンジョイしていたのだが、

 

「あ?やけにうちの教室が騒がしいな。‥‥‥何かあったのか?」

 

 自分の教室が異常な賑わいを見せていた。

 それに不思議に思いながらも、何時ものようにロッカーにカバンを仕舞って自分の席につく。

 すると、隣にいる黒髪ロングの男が衛の肩を叩いて言う。

 

「なあ衛、聞いたか?」

「何がだ?」

「何が、ってお前な‥‥‥今日からこのクラスに転(・)校(・)生(・)が来るんだよ!知らないのか?」

「は?転(・)校(・)生(・)だと!?」

 

 衛は目を丸くして驚くと、男の両肩を掴んで叫ぶ。

 

「おい祐也(ゆうや)。今春じゃねえよな?」

「うん、そうだけど?」

「笑顔で答えんな!‥‥‥この梅雨の時季に何でまた唐突に、」

 

 はぁ、と深い溜め息を吐く衛。

 それに祐也と呼ばれた男がキランと瞳を光らせて続ける。

 

「ふふ、そう落胆するな我が親友よ。僕の噂によれば謎の転校生は―――金(・)髪(・)美(・)少(・)女(・)らしい!」

「―――――‥‥‥は?」

 

 祐也の言葉に、素っ頓狂な声を上げる衛。

 だが、それと対照的に、

 

「何!?金髪美少女だと!?」

「うおおおおお!何だそれ!?期待しかないだろ!」

「容姿は何だ!?幼女(ロリータ)系!?お姉さん(シスター)系!?」

「ヤンデレ!?それともツンデレ!?まさかのクーデレ!?」

 

 祐也の情報を耳にした男達(ギャラリー)が興奮しながら声を荒くしていた。

 

「(見事に食い付いてんなあ‥‥‥つか最後の二つは誰だ?早急に殺してやりてえええええ!!)」

 

 衛は最後の二つの言葉を言った男達を血眼になって捜す。

 だが衛のことが視界に入っていない祐也は、右腕を高らかに上げて宣言する。

 

 

「金髪美少女で―――ロ(・)リ(・)巨(・)乳(・)だッ!!」

「「「「「なん‥‥‥だと!?」」」」」

 

 驚愕の事実―――否。噂を聞いた男達は口をあんぐりと開けたまま暫く硬直し、

 

「来たああああああ!金髪ロリ巨乳!!」

「これで我等の空間領域(クラスルーム)に華が増える―――!!」

「うおおおおおおお!うおおおおおおおおお!!」

「俺のビッグマグナムが吼えるぜえええええええええ!!」

 

 各々歓喜の雄叫びを上げる男達。

 それに、女子高生はドン引きして、中には余りの気持ち悪さに昏倒しかけるものもいた。

 そして衛も盛大に痛い頭を抱えていた。

 

「(おいおい此処は動物園じゃねえぞ。‥‥‥あと最後の言った奴は―――校舎裏に連れて屠(ほふ)っとくか♪)」

 

 物騒な事を考えながら、衛は最後の発言をした男をいい笑顔で見る。

 その殺気ダダ漏れの視線を向けられた男は、冷や汗をダラダラと掻きながら後ろを振り返らない。

 振り返らないのは、目が合ったら殺られると思っているからだろう。

 

「‥‥‥ん?金(・)髪(・)の(・)ロ(・)リ(・)巨(・)乳(・)―――!?」

 

 ハッとして嫌な予感がした衛は、教室の扉を凝視し始めた。

 すると、ガラッと扉が開いて―――

 

「‥‥‥何だ。親(・)父(・)か(・)」

 

 ボサボサの茶髪が綺麗に整い、眼鏡ではなくコンタクトをつけた衛の父親・剣咲譲(ゆずる)が現れた。

 

「何だとはなんだ衛?それに、学校では先(・)生(・)と呼べ」

「‥‥ああ。なら先生。俺の事も〝衛〟って呼ぶな。〝剣咲〟にしろ」

「はいはい。んじゃ皆、席に着け。出席の確認―――の前に」

 

 ニヤリと笑った譲は、片手をドアの前に立っているであろう少女に向けて招く。

 

「君達の新しい仲間!転・校・生を紹介する!!入ってきたまえ!」

「うむ!」

 

 その声に元気よく返事した少女。

 そして次の瞬間。

 

「え?きゃあ!?」

「う、うわっ!?何だ!?」

「何だよコレ!?」

「‥‥‥金(・)色(・)の(・)粉(・)!?」

 突如発生した金色の『何か』にあわてふためく男女達。

 一方、衛と譲だけは冷静に『ソレ』に触れて、

 

「‥‥‥コレは霧だな」

「黄金の霧とは、随分と派手な登場の仕方じゃないか―――ラ(・)イ(・)ム(・)ちゃん?」

 

 その正体を見破る。

 それに驚きの表情と共に―――

 

「ぬ、済まぬかったユズル殿。悪ふざけが過ぎてしまった」

 

 金髪ロリ巨乳こと、吸血鬼にして〝純潔の真祖〟。

 ライムが此処、霜月高校の制服を身につけ、霧化を解き、教卓の前に姿を現したのだ。

 そして、それを確認した譲は、黒板にスラスラとチョークを奔らせ紹介する。

 

「ええ。今日からこの高校に通うことになった、転校生の〝ライム・ストーン・クイーン〟だ。‥‥‥んじゃサクッと自己紹介よろしく、ライムちゃん」

「うむ」

 

 金髪のツインテールを揺らして豊胸の下で腕を組んだライムが自己紹介した。

 

「ユズル殿に紹介されたように我が名は〝ライム・ストーン・クイーン〟だ!我の事は『ライム様』と呼んでくれ!それと―――」

 

 フッと表情を曇らせたライムは、組んでいた腕をほどき、急に重くなった口を開いて―――

 

「我は皆を騙したくないから本当の事を言う。我は―――――吸(・)血(・)鬼(・)だ(・)。しかもただの吸血鬼ではなく―――――真(・)祖(・)だ」

 

 とんでもないことを口にしてしまった。

 本当は言わないで秘密にするべきだったのだが、今となってはもう何もかもが遅い。

 俯いて返答を待つ吸血鬼・ライム。

 それをハラハラしながら見守る衛。無言の譲。

 そして暫くすると、ある女子生徒が起立して言う。

 

「‥‥‥素直に吸血鬼であることを自白したライムさんは‥‥‥‥‥悪い子じゃないと私は思います―――!」

 

 その女子生徒の髪はライムの金髪と対の、漆黒のように黒いが艶があり綺麗な黒髪ロングである。

 それを見た衛は、ボソリと呟く。

 

「‥‥‥沙那(さな)」

 

 沙那と呼ばれた黒髪ロングの綺麗な少女は、ライムに負けず劣らずの美少女で、抜群のプロポーションを持つ、衛の女友達(ガールフレンド)だ。

 そして彼女の言葉に感化されたのか、祐也が立ち上がり言う。

 

「‥‥‥たしかに沙那さんの言う通りだね。一般の吸血鬼は人の姿に化けて、機会があれば人間の生き血を吸いに襲いかかる生き物だ。だけどライムさんは違う。人の姿をして僕達の目を誤魔化せてるのに、わざわざ〝吸血鬼〟であることを言う必要はないよね?それってつまり―――僕達を襲(・)わ(・)な(・)い(・)意(・)思(・)表(・)明(・)じゃないかな?」

「―――!!そうだったのか。なら俺達は、あの子を拒まずに受け入れるべきだな!なあ?お前ら」

「!!そ、そうだな!此処でライムちゃんを拒めば、吸血鬼と仲良く出来なくなっちまうしな!」

 

 うんうんと頷き合うクラスメイト達。

 予想外の反応に瞳を丸くするライム。

 これには衛と譲も驚いた表情で固まる。

 そして、ある男達は口を揃えて、

 

「「「「「まあ、ライムちゃんは金髪ロリ巨乳の美少女吸血鬼だし、是非ともお近づきになりたいというのが俺達の本音!!!」」」」」

「結局お前らはそっちかーい!!つーか良いムードぶち壊すんじゃねえよ!!?」

 

 せっかくのムードをぶち壊しにされて激怒する衛。

 それを見た譲はニヤリと笑ってライムの背後に回ると、

 

「ソレッ!」

「は?―――――んっ!」

 

 彼女を持ち上げて教卓の上に座らせると、そのまま豊胸を揉みしだき始めた。

 徐々に頬を紅潮させていくライムの表情に、男達は「おおおおおおおおッ!!!」と興奮しながら歓喜の雄叫びを上げる。

 一方、衛は何処から取り出したのか、分厚い本を振りかぶって―――

 

「テメェは一辺死んどけ、エロ教師(クソオヤジ)ーーー!!!」

「ぶべらっ!?」

 

 投げつけると、見事に本の角が譲の顔面に突き刺さって後ろの黒板に叩きつけられた。容赦ない投擲だった。

 それにクスリと笑うライムは、やっと吸血鬼(わたし)を受け入れてくれる者達に出逢えて―――独り嬉し涙を浮かべるのだった。

 

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