問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?― 作:問題児愛
全部書いているとキリがないので‥‥‥
何れ番外編として書こうとは思っていますが。
それよりも四巻に入りたいので(笑)
「ふぅん?ようやくお前を受け入れてくれる人間と出会えてめでたしめでたしってところか?」
「‥‥‥いや。我としてそうであってほしかったのだが、」
「現実はそう甘くなかった、か?」
「ああ」
楽しそうに思い出を語っていた月夜の表情は一転して暗くなる。
その様子に、レティシアは恐る恐る訊ねた。
「それで‥‥‥その後はどうなったのだ?」
「‥‥‥‥‥そうだな。此処からは悲しい話になってしまうが―――心して聞いてくれ」
真剣な表情で告げた月夜。
それに頷く十六夜とレティシア。
そして月夜は話を再開した。
――――――――――
ある冬の日。何時ものようにライムと衛は、肩を並べて登校していた。
「ぬぅ‥‥‥最近はメッキリ冷え込んできて寒いであるぞマモル!」
「寒いってお前‥‥‥吸血鬼は寒がりなのか?」
「うむ。寒いのは苦手だ!寒水などには浸かりたくもないのぅ」
「へー。じゃあ今度冷えきったプールにでも投げ込んでみるか!」
「マモル!?お主それは幾らなんで酷くないか?」
「普通」
「酷っ!?」
ニヤニヤとからかう衛。それに怒るライム。
そんな会話をしながら仲睦まじく教室の入口に立つ。
だが、ライムの姿を見たクラスの全員が一斉に睨んできた。
衛はその不可解な視線にスッと目を細めて問いかけた。
「なんだよお前ら。そんな怖い顔でライムを睨んで―――」
「―――し」
「‥‥‥え?」
衛は一瞬、なんと言ったのか聞き取れなかった。
だから、今度は危機漏らさないように耳に全神経を集中させ、聞こえてきた単語は―――
「―――この
「‥‥‥‥‥は?」
とんでもない言葉を耳にした。
〝人殺し〟。その単語を聞いた衛は、素っ頓狂な声を上げた。
一方、ライムはその言葉を、首を横に振って否定した。
「違う‥‥‥我は人を殺してなど」
「何が違うんだよ吸血鬼の真祖様?てめぇが殺らなくても、他の吸血鬼がその行為に走ってんだ。それは即ち、てめぇも同罪になんだよ!」
「‥‥‥‥‥っ!」
それを言われては反論の余地がない。
ライムこそがその人殺しを行っている吸血鬼を生み出してしまった元凶なのだから。
だが、衛はキッと男子生徒の一人を睨んだ。
「お前!それは幾らなんでも横暴過ぎるだろ!?真祖だからって―――」
「もういい、マモル。あの者の言う通りだ。我が殺らずとも、我が眷属が過ちを犯しているのだからな」
「―――っ、ライム‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
俯きながら教室に入ろうとするライム。
だが、
「おい真祖」
「なん―――――ッ!?」
「てめぇの高校生活は今日を持って終了だ。二度と俺達の教室に―――学校に現れるな!!」
男は〝銀の弾丸〟が入った拳銃を胸のうちポケットから取り出し、
ズガァアンッ!!
ライムに照準を合わせると、遠慮無用に彼女の胸板を撃ち抜いた。
躱すことも出来ず、胸の中央を撃ち抜かれたライムは、血塊を吐きながらそのまま前のめりに倒れ伏した。
彼女の美顔は激痛に表情を歪め、胸元からは夥しい量の鮮血が流れ出る。
それを見て悲鳴を上げる者や、口元を押さえて嘔吐する者、青ざめる者などがいた。
衛はライムの容体をみるためにしゃがもうとしたが、
「動くな!」
「っ!?」
「動いたらてめぇも吸血鬼と見なし、殺す!」
「くっ‥‥‥!」
男の殺意が籠った声がそれを許さない。
衛はその男を睨み返すが、動けば本当に殺されかねないのだ。
一方、拳銃を手にする男はライムに近づき、
「てめぇのせいで俺のお母さんは―――!」
「うぐっ!?」
先程撃ち抜いた胸元をローファーのつま先で容赦なく蹴り抜いた。
ライムの小柄な身体は宙を舞い、廊下の壁に叩きつけられた。
それを見た男は、教室の外に出て仰向けに転がっているライムの傷口を踏みつけようとして、
「―――させるかよ!」
「がっ!?」
衛が彼の頬を拳で打ち抜き、吹き飛ばした。
男が廊下の床に倒れたのを見た衛は、血塗れのライムを抱き抱えて走り去っていった。
――――――――――
衛が血塗れのライムを抱き抱えて走り去ってから数十秒後。
「―――っ!逃がすかよ剣咲!!」
男は立ち上がり、衛の背を追いかけていった。
それを確認した祐也が安堵の息を漏らす。
とはいえ、彼は衛の大の親友であり、ライムともこの半年間、良き
そんな彼らを見捨てるわけにはいかない、と気持ちを奮い立たせて立ち上がる。
「沙那さん!僕たちもライムちゃんを守りに、親友を助けに行こう!」
「は、はい!」
頷いた沙那も立ち上がって、祐也と共に教室を出ようとした。
だが、それをある女子生徒が呼び止める。
「だ、ダメだよ祐也くん!沙那ちゃん!あの人が言ってたでしょ!?吸血鬼に肩入れする者は殺すって―――っ!」
「そうだ!あいつの目は血走ってる!本当にアンタらも殺されるぞ!?」
「ああ!悪いことは言わねえ!俺達と此処に残らねえか!?」
女子生徒に便乗するように、口々に言うクラスメート達。
しかし、祐也は首を横に振って告げた。
「皆の気持ちは嬉しいよ。だけど―――衛とライムちゃんは僕の大切な親友であり、仲間だ!そんな彼らを見捨てるわけにはいかないさ」
「私も、祐也君に賛成です!衛君とライムちゃんには色々とお世話になりました。だから―――今度は私たちが助ける番なんです!」
沙那も祐也に便乗して、クラスメート達に背を向ける。
それにクラスメート達は一瞬呆れるが、すぐに笑顔をつくり言った。
「そうか‥‥‥ならしっかり二人を連れて帰って来いよ!」
「死んだなんてことになったら、許さねえからな!」
「沙那ちゃん気をつけて!愛しの衛くんを守ってあげて!」
「か、
花菜と呼ばれた赤茶髪のショートの女子生徒にからかわれて、顔を真っ赤にして剥れる沙那。
それに男子生徒一同が、
「うおおおおおおお!我らが霜月高校のアイドル沙那ちゃんが赤面している!!」
「くそ!衛ってヤツが羨ましいなこの野郎おおおおおおお!!」
「我らがアイドルを独り占めするとは隅におけん!ライムちゃんだけで衛のクソ野郎は戻ってくんなあああああああ!!」
「落ち着け!俺の右手ッ!!落ち着くんだ!!」
沙那の表情に興奮する
そして、そんな
「お前らが死ねえええええええ!!!」
女子生徒達が投げた教材の角が
そんな光景に苦笑した祐也と沙那は、衛の下へ急ぐのだった。
そしてこれが最期の会話になろうとは、祐也達は知るよしもなかった。
――――――――――
「‥‥‥失礼します」
「来たか。剣咲」
「はい。ところで何のようですか霜月校長?」
「うむ。お前には礼を言おうと思ってな」
「お礼、ですか?」
「ああ」
衛の父親・譲は、霜月校長に呼び出されて校長室を訪れていた。
校長の言葉に譲は首を捻って問うと、校長はニヤリと笑って一言。
「私がずっと探していた―――真祖の吸血鬼を連れてきてくれて」
「何!?」
譲は嫌な予感を察して腰に提げているホルスターから拳銃を取り出そうと手を伸ばすが、
「動くな」
「―――――ッ!?」
それよりも早く胸のうちポケットから拳銃を取り出した校長が、譲の額に銃口を押し付けた。
「くっくっく!いや、本当にお前には感謝しているぞ、〝
「き、貴様!」
憤慨する譲。だが隙がまったくなく、身動きが取れない。
〝
彼は霜月高校の校長が表向きの仕事で、裏では譲がかつて所属していた組織の副リーダーを務めているのだ。
彼は、何十年か前に妻を吸血鬼に殺された被害者だった。
それを知った譲は、一瞬、ライムと愛する我が息子・衛の姿が頭に過った。
それはいい意味でではなく―――悪い意味で。
「まさか、ライムを学校に入れていいと言ってくれたのは―――この為だったのか!?」
「如何にも。半年間という猶予を与えてやったが‥‥‥やはり妻を失うきっかけを生み出した吸血鬼の真祖を生かしておくわけにはいかん!―――故に私はあの吸血鬼を殺す。殺して殺して殺し尽くしてやるのさ!」
「野郎!」
「おっと。少しでも変な動きをすれば―――」
康二が言うよりも先に拳銃を持つ腕を掴み、
「オッラアアアア!!!」
「グフゥ!?」
脚をかけて背負い投げを繰り出す譲。
康二は話の途中に仕掛けられるとは思っていなかったのか、呆気なく床に叩きつけられた。
「き、貴様ァ!」
「おっと、動くんじゃねえ。形勢逆転だ!」
「ヌグゥ!」
激怒した康二の眉間に拳銃を突きつける譲。
これで形勢は逆転―――したように思えた。
だが、
ドシュッ!
「‥‥‥な、に!?」
「我が主に銃を向ける愚者は死ね」
不意に男が背後から譲の胸を、心臓を長刀で串刺しにした。
彼の言い方からして康二の側近のようだ。
それを見た康二はニタリと嗤った。
「―――くっくっく!息子より一足先に逝くがいい!」
「―――――ガハッ!?」
康二の側近は勢いよく長刀を引き抜くと、譲の胸元から夥しい量の鮮血が飛沫、倒れ落ちた。
譲は薄れ行く意識の中、最期に心の中で叫ぶのだった。
「(逃げ、ろ‥‥‥衛!ライ、ム―――!!!)」
――――――――――
剣咲家についた衛は、血塗れで気を失ってしまったライムをベッドに寝かす。
彼女は血塗れだが、今はそれどころではなく、ベッドに血がつこうが関係ない。
追っ手がある以上、呑気にライムの復活を待っているわけにはいかなかったのだ。
「‥‥‥たしか、血を与えれば回復が早くなるんだったっけ!?」
父親に聞いた話では、一日待たずとも血を与えれば回復すると言っていた。
だから衛は自分の机の
「―――痛っ!」
人差し指の皮を薄く切って血を滲ます。
そしてその指を―――
「―――――ん、」
「ほら。俺の血を飲んで復活してくれ―――!」
ライムの小さな口の中に突っ込んだ。
流石に首筋に噛みつかせて血を吸わせるのは衛が吸血鬼化してしまうからそれは避けた。
一番効率的なのは噛ませて吸わせる方なのだが。
チュゥチュゥ。
衛の人差し指から流れ出る鮮血を飲むライム。
かなり危険な絵面だが、吸っているのは血だから問題は―――
「きゃあ!」
「!?」
ないと思っていた矢先、聞き覚えのある悲鳴が聞こえた。
振り返ってみると其処には―――
「ま、ま、衛君!?ライムちゃんににに、何をしてるんですか!?」
「おー。沙那さんという方がありながら、堂々と浮気かな?というよりライムちゃんが弱ってるからってそれは頂けないねえ?」
「沙那に祐也!?何で此処に―――って何ヒトん
衛はとんでもない誤解をされて絶叫を上げるのだった。
――――――――――
先程の誤解を解くために、衛は祐也と沙那に説明した。
二人は納得したように頷いてくれた。
「そ、そうですか‥‥‥ライムちゃんに血をあげてたんですね」
「そうだ。決して疚しい気持ちはない!決してだ!」
「‥‥‥どうだか」
「なんだと!?」
ニヤニヤと笑う祐也に怒る衛。それを慌てて止めに入る沙那。
ニヤニヤ顔をスッと真面目な表情に変えた祐也は告げる。
「―――まあ、それはおいといて。僕達も協力しに来たよ、親友」
「私も、ライムちゃんと衛君の味方です!クラスメート達も本当はライムちゃんのことを嫌ったりはしてないですから‥‥‥!」
「な、お前ら!―――それにアイツらもライムのことを嫌ったわけじゃなかったんだな!」
ライムを嫌ってるわけじゃないことを知り、衛は安堵の息を吐く。
そして真剣な表情で呟く。
「‥‥‥霜月
「そう。彼は霜月康二―――校長の一人息子で吸血鬼に母親を殺されているからね‥‥‥」
「その吸血鬼を生み出した元凶が、ライムちゃんなんですよね‥‥‥」
そう。霜月直樹の母親は昔、吸血鬼に殺されて失ってしまったのだ。
それは即ち、吸血鬼の真祖であるライムの存在を認めない。許さない。
半年間は父親・康二がライムに与えた執行猶予であり、その期間は手を出していけないと言われていた。
だが、その猶予は解かれ、遂に親子揃ってライムの殺害を決行した。
つまり、今まで様子見をしていた〝
それを悟った衛、祐也、沙那の表情に緊張が走り―――
ズガァアンッ!!
刹那、剣咲家の外で銃声音が鳴り響いた。
そして、
『貴様らは包囲されている!愚かな抵抗はやめ、大人しく吸血鬼の真祖を引き渡せ!!』
メガホンか何かを使用した男の大音声が、衛達の鼓膜に響いたのだった。
銃声音を聞いた衛は、窓は開けずにカーテンを開くとそこには、
「‥‥‥マジか‥‥」
何十人もの黒色の格好をした大人の男達―――〝
メガホンを持って衛達に声をかけたのは、霜月直樹だった。
見た目は、立て籠り犯をこれから裁こうとしている突撃隊のように見える。
だが、この光景は逆で、衛達が抵抗すれば皆殺しにしようとしているのだ。
衛は舌打ちしてカーテンを閉めて祐也と沙那に呼びかける。
「‥‥‥チッ。祐也!沙那!こうなったら突撃隊に奇襲をかける!」
「奇襲、ですか?」
「ああ。失敗は許されない!逃げるなら今のうちだが―――どうする!?」
奇襲をかけるにしても何分、数が多すぎる。
二、三人は倒せても、後の数十人に押さえられるだろう。
だが、それを悟っても尚、祐也と沙那は首を横に振って答える。
「お断りだね。僕達だってライムちゃんを守りたい気持ちでいっぱいだから逃げないよ!」
「私も、祐也君と同じ気持ちです!微力ながらお力添えします!」
「お前ら‥‥‥!―――ああ。なら俺達でライムを守るぞ!」
「「おー!!」」
こうして衛達は、吸血鬼の真祖・ライムを守るために、奇襲作戦を開始するのだった。
――――――――――
「‥‥‥返事はなし、か。仕方がない―――総員、突撃ッ!!」
「「「「「オー!!!」」」」」
直樹の号令の下、一斉に剣咲家に突入する吸血鬼ハンター達。
一階に数十人、二階に残りの数十人を向かわせてライムを探させる。
そして、衛の部屋に三人が突撃すると―――
「!!いたぞ、吸血鬼だ!ベッドの上でぐったりしている!」
「残り三人の姿が見えない。油断はするな!」
「おうよ!」
ライムを発見した。
すぐさま捕獲に向かうが、
「―――!?」
ハンター達はワイヤートラップに引っ掛かり、バランスを大きく崩す。
そこへ、
「隙だらけだ!」
「もらいましたよ!」
「ごめんなさい‥‥‥!」
真正面から木刀でハンターの脳天を打ちのめす衛。
右から木製バットで二人目のハンターの後頭部を打ちのめす祐也。
左から鉄製のフライパンで三人目のハンターの前頭部を叩きのめす沙那。
これで見事三人の吸血鬼ハンターを倒すことに成功した衛達はハイタッチを交わす。
「「「イエーイ♪」」」
だが喜びを分かち合うのはまだ早い。
すぐに元の配置につこうとして、
ズガァアンッ!!
突如銃声音が聞こえたかと思うと、
「―――ゴフッ!?」
「「え?」」
祐也が胸元を押さえながら血塊を吐き、壁にもたれかかりながら倒れ落ちた。
衛達は一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
だが、
「―――まずは、一人」
「―――――!?」
拳銃の銃口から白い煙を出しているソレを見た衛と沙那は、祐也が撃たれたことを察した。
沙那は慌てて祐也に駆け寄る。
「ゆ、祐也君!?死んじゃ、嫌あああああ!!」
「‥‥‥‥‥」
返事は返ってこない。
それもそのはず、祐也は直樹の撃った銃弾が、心臓を捉え、吹き飛ばされたのだ。
大抵の吸血鬼でも、生命の根源たる心臓を破壊されれば生きていけない。
人間ならば尚更だ。苦しむのは一瞬で、即死である。
「祐也君!祐也、君‥‥‥!!」
沙那は祐也の肩を揺する。
だがやはり返事は返ってこない。
そして、泣きじゃくる沙那の無防備な背中に銃を向けた直樹は―――
ズガァアンッ!!
「‥‥‥‥‥カフッ!?」
「沙那!?」
狙いを寸分狂わさず、心臓を吹き飛ばした。
これもまた、即死だった。
衛は蒼白して沙那に駆け寄ろうとするが、
「動くな!」
「―――――ッ!?」
「動けば即殺す!!」
「‥‥‥く、」
直樹に銃を向けられて行動の自由を奪われた。
彼の背後には五名ほどの吸血鬼ハンターが待機しており、とてもじゃないが逆転劇は不可能だった。
そして、一番引っ掛かる点が一つあった。
それは―――
「‥‥‥なんでお前は、俺を殺さない!?」
「くく、安心しろ。言伝てをしたあとに―――殺してやるからよ!」
「な、言伝て‥‥‥だと!?」
直樹の不可解な発言に怪訝な顔で睨む衛。
そして、直樹は嘲笑と共に告げた。
「お前の父親、譲って奴は―――死んだ!」
「な、に‥‥‥?」
「俺の父上に銃を向けた罰で側近に心臓串刺しで死んだ!アハハハハハ!ざまあないね!俺の父上にそんな態度をとったからだ!ああ!いい気味だ!!」
「―――――き、貴様あああああ!!!」
衛は我を忘れて木刀を直樹に投擲した。
ドズッ!
「え?―――――ぐ、あああああ痛い痛い痛いッ!?」
「霜月坊っちゃま!?」
嘲笑していた直樹の脇腹に木刀が深々と突き刺さった。
それを確認した衛は、ざまあみろと嗤った後、
「よ、よくも‥‥‥よくも、俺の身体に傷をつけたなあああああ!?」
「―――――ッ!!?」
直樹は引き金を引いて―――
ガガガァアンッ!!!
衛の額、左胸、右大腿を撃ち抜いた。
そして、各所を撃たれた衛は、走馬灯のようにゆっくりと後ろに倒れ、そのまま動かなくなってしまった。
それを見た直樹は、脇腹の痛みより、達成感に悦びを覚え高らかに嗤った。
「アーッハハハハハハハハ!!!やった!俺はやり遂げたよ父上!!後は―――ッ!?」
吸血鬼を狩るだけ、といい終える前に、いつの間にか床に立ち尽くしていたライムの姿があった。
彼女の真紅の双眸からは、溢れんばかりの涙が零れ落ちていた。
「ユー、ヤ?‥‥‥サナ?―――――マモ‥‥ル?」
三人を求めるように一歩ずつゆっくりと前進するライム。
だが、それを許さない吸血鬼ハンターの四人がライムの左右上下に立ち塞がると、銃口を彼女に向けて威圧する。
「動くな!動けば、貴様を殺すッ!!」
「―――――――か」
「何?」
「―――――貴様らが殺ったのかと聞いているッ!!」
「―――!??」
涙を流しながら激昂するライムに怯むハンター達。
それに直樹が嗤って答えた。
「ああ。そこの邪魔者なら俺が殺った!殺って殺って殺り尽くしたよ!!アハハハハハ!!!」
「‥‥‥そうか、貴様か」
衛達を殺した相手を知ったライムは―――フッと無感情の表情と瞳になると、金の髪が
それを見た直樹とハンター達が驚愕の表情を見せる。
そして、いつ取り出したのか、漆黒の大鎌を右手に携えたライムの姿が掻き消え、
「―――――え?」
直樹は悲鳴を上げる暇さえなく、
それを確認して、悲鳴を上げようとしたハンター達四人も、目の前に立つ漆黒の死神に粉微塵にされた。
ライムの手に持つ漆黒の大鎌は先程切り刻んだであろう者達の血がべっとりとこびりついていた。
「‥‥‥‥‥」
それを無感情の瞳で見つめながら血を舐めとる。
途端、異変に気がついた他の吸血鬼ハンター達が衛の部屋に入ってきて息を呑んだ。
「―――――なっ!?」
ハンター達に映った光景は血溜まりに立ち尽くすライム―――否。漆黒の死神・
その表情と瞳は無感情だが、殺しを愉しんでるかのように不気味に薄く嗤っているようにも思えた。
「ウ、ウワァアアアアアアアッ!!?」
悲鳴を上げながら逃げようとするハンター達。
だがそれを漆黒の死神が許すはずもなく―――次々とハンター達を粉微塵にしていく。
一人あたり数秒で数千数万回切り刻んで、ハンター達を粉微塵に変えていった。
――――――――――
「‥‥‥‥‥」
漆黒の死神・新月は全てのハンター達計三十人を粉微塵にして殺し尽くした後、衛の部屋に戻った。
血の海と化したその床に座り込んだ漆黒の死神は、やがて元の金の髪に戻り、吸血鬼の真祖・ライムに戻った。
そして、衛の頭を膝の上に乗せ―――
「う、うくっ、うああああああああああ!!!」
ライムは大泣きした。
たった一日で、大好きな友達を三人も失ってしまった悲しみと。
衛と誓った約束を―――人を殺さない、という約束を破ってしまったことにだ。
暫く大泣きした後。急に糸が切れたかのようにライムは血の海に倒れ伏した。
そして―――――自分が真祖であること以外、全ての記憶を失ったのだった。
次回で三巻は終了予定です。