問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?― 作:問題児愛
「‥‥‥くくく、今頃は我が息子があの忌々しい吸血鬼を殺し終わっている頃だろうな!」
「―――それは不可能ね」
「―――!?」
女性の声に、康二は慌てて振り返るとそこには―――
「おお!〝
「‥‥‥〝ジョーカー〟と呼ぶのをやめなさい?私はコーデリアよ。―――話を戻すけど、
「それはすみませんね。―――ん?あの方‥‥‥だと!?」
コーデリアの不可解な発言に、訝しく思う康二。
ふと彼女の双眸が―――真紅に染まっていることに気がついた。
「コーデリア殿!?瞳が紅い!まさか、あの忌々しい吸血鬼に毒されたのですか!?」
「違うわ。私は、自ら吸血鬼になったのよ。―――大切な家族を守るために、ね?」
「な、」
クスクス笑うコーデリア。
彼女は自ら吸血鬼になることを望んだ。
―――大切な家族を。
それを聞いた康二は、カタカタと歯を鳴らしながら問う。
「い、何時からだ!?何時から貴女は―――
「うふふ。何時からってそれは―――――二度目に真祖の城を攻め落とした時に、よ」
「!?十年前に真祖の姫君とその
驚愕の声を上げる康二。
そして、次の瞬間。怒りの籠った声で言った。
「まさか!貴様か!?貴様が真祖の姫君と眷属を―――
「ご明察♪―――だって可哀想じゃない。あの子達は真祖の血を飲んで生きてきたのよ?人間の生き血は一滴たりとも啜っていない、
「貴様ァア―――!!」
怒号と共に〝銀の弾丸〟が入った拳銃を、目の前の吸血鬼に向ける康二。
すると―――
「キャハハハハ!私のリアちゃんに何しようとしてんの?人間♪」
ゾブッ!
不意に康二の胸元から小さな紅い手が生えた。
それは即ち―――
「ぐ、おおおおお!!?」
「康二様!?」
側近が蒼白と共に眼を見開いて駆けつけようとするが、足が動かなかった。
足下を見ると―――
「何!?」
「うふふ。行かせないわ。それに―――私の
刹那、コーデリアは―――否。剣咲
「異能―――
「―――――ッ!?!?」
側近の全身は瞬時に凍りついた。
その氷は『絶対』に溶かすことが出来ない
そして、栞は右手を前に出して握り締める。
すると―――
ガシャンッ!
と音を立てて凍っていた側近ごと、跡形もなく砕け散った。
「あ、あ‥‥‥私の側近が‥‥‥‥‥貴様らァアアアア!!!」
「五月蝿い♪」
ズボッ!
貫いていた小さな紅い手を一気に引き抜くフラン。
「ゴボッ!?」
夥しい量の血を流しながら康二は―――絶命した。
その血を浴びたフランは、露骨に嫌そうな顔で呟く。
「うえっ、
「あらあら?それは大変ね。今度新しい服買ってあげるから、それで手を打ってくれない?」
「ホント!?やったぁ!!絶対だからね!リアちゃん♪」
「はいはい。わかってるわよ、私の可愛い
「エヘヘー♪」
フランの朱髪頭を撫でる栞。
フランは気持ち良さそうに眼を細めて栞に微笑む。
「‥‥‥‥‥譲」
愛しの夫、譲の血の匂いを感じながら涙を流す妻・栞。
姿がないが、血の匂いだけが濃厚に残っていたため、栞は此処に立ち寄ったのだ。
暫く静かに泣いた栞は―――涙を拭って、フランと共にこの場を後にした。
――――――――――
栞とフランは剣咲家に訪れていた。正確に言えば、栞は帰ってきただが。
扉を開けた途端、異臭が鼻を刺激した。
その匂いは鉄。即ち―――血だ。
「うっわ!何この匂い!?クッサ!!」
「‥‥‥‥‥ッ!」
その異臭の中に、栞の愛息子・衛の匂いを感じ取った。
嫌な予感がした栞は、血の海と化した家内を駆け出した。
「え?ちょ、ちょっと待ってよリアちゃん‥‥‥!」
その背を慌てて追いかけるフラン。
パシャパシャ。
血の海を駆ける二人は、階段を駆け上がり、衛の部屋の前に来た。
そして中に入ると―――四人の少年少女が血の海に倒れていた。
黒髪は祐也と沙那。
金髪は吸血鬼の真祖・ライム。
茶髪は―――栞の愛息子・衛だ。
「あ、あ‥‥‥衛ッ!!」
栞はすぐさま衛を抱き寄せる。血が付こうが関係ない。
衛の体を見て、青ざめた。
銃痕が三ヵ所。額、左胸、右脚を撃ち抜かれており、即死であることを悟った。
「―――っ、うあああああああああああああああ!!!」
衛の亡骸を強く抱き締めながら泣く栞。
衛の母親として、守ってやれなかったことを悔いて泣きじゃくる。
譲に続き衛まで失った哀しみは計り知れない。
暫く泣きじゃくった栞は―――ソッと衛を床に寝かせると、
「この血の量‥‥‥そう。―――――人を殺してしまったのね、ライム」
栞はライムを抱き上げて、顔を覗き込み―――驚いた。
ライムの顔が、涙に濡れていたのだ。
それを知った栞は―――強く抱き締めた。ライムもまた、自分と同じく衛の死を悲しんでくれたことに。
暫くして、栞はライムをソッと床に寝かせ、
「―――私は、貴女との誓いを果たすわ」
覚悟の瞳をライムに向けて、告げた。
「私は必ず―――――貴女を
そう告げた栞は、フランの手を取り―――この場を後にするのだった。
十年前に彼女と誓った―――――あの約束を果たしに。
『もし‥‥‥もし、我が人殺しをして〝悪〟に堕ちてしまったらその時は―――――――――――――――
三巻終了が延期しました。
エピローグは次回に持ち越しです。