問題児たちが特異吸血鬼と共に箱庭に召喚されるそうですよ?―終焉なる真祖は月神の末裔!?―   作:問題児愛

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第五話 今後の方針と〝箱庭の騎士〟の軌跡―――数十年前の真祖の過去Ⅰ

 ―――〝アンダーウッド〟上空。吸血鬼の古城・城下街。

 一夜明けて、城下街に連れ去られていた者達も一息つくことにした。上空ということでやや風が強く肌寒いが、夜風を凌げる程度には廃屋も使える。

 最初は水と食料に不安のある耀だったが、ガロロとジャックがギフトカードに水樹の幹と乾燥食材を常備していたため、その問題は早々に解決した。

 

「いいか、耀お嬢ちゃん。対魔王を謳うなら、持久戦の備えを常備していないといけねえ。そうでなくてもこの箱庭じゃあ、何時どんなアクシデントで孤立するか分からねえからな。水樹や水珠のような水を確保できるギフトは必須だぜ」

 

「そ、そうなんだ」

 

「ヤホホ!それにギフトカードは己の領地を耕して収穫した実りや、育てた家畜の精肉も保存できます。備えあればなんとやらって奴ですね」

 

 陽気に笑うジャックと、感心する耀。

 

「そう………そんなに便利なギフトだったんだ」

 

「おうよ。何せ()の有名な〝サウザンドアイズ〟の大幹部〝ラプラスの悪魔〟が対魔王用に作り上げた逸品だ。〝ラプラスの紙片(ギフトカード)〟を所持しているかどうかで対魔王の生存率は大幅に上がるってぐらい、重要なギフトさ」

 

 ………そう、と相槌を打つ。

 ガロロが用意した羊の干し肉を焼いた料理や、ドライフルーツなどの保存食を口に運んで噛み締める。………決して不味くはないが、美味しいとは言えない。耀は不意に、本拠の食事を思い出して切なくなった。

 

「………リリの作るご飯が恋しい」

 

「うん?何だって?」

 

「何でもない」

 

 それでも食べられるだけいいか、と纏めてリスのように頬張る。

 隣に座っていたアーシャだったが、その様子に瞳を瞬かせた。

 

「お、おい、そんなに頬張ると喉に詰まるぞ。干し肉なんだからしっかり噛んでだな、」

 

「――――――――――――――……………ッッ!!?」

 

「って言ってる傍から詰まらせてんじゃねえかッ!!!」

 

「嘘だよ」

 

「嘘かよ!!?ちょっと心配するから止めてよそういうのッ!!!」

 

 アーシャをおちょくりながら食事を進める。隣ではキリノがアーシャが作ったガラス製の釜でスープを作っていた。火にかけても熱膨張で割れることがなく、茹でられている釜の中で具材が変化していく様は見ていて楽しい。

 

「アーシャもこういう不思議なガラス細工を作れるんだね」

 

「当然。私の場合は火だけじゃなく、ガラスを構成している素材から弄ってるからな」

 

「………そっか。地精なんだっけ?」

 

「そうだよ。まあ、ジャックさんみたいな繊細なガラス細工はまだまだ作れないけどさ」

 

「それでも凄い。こうして一からギフトを作れる才能なんて私にはないもの」

 

 耀は真っ直ぐに称賛し、焼けた肉を取って頬張る。

 アーシャは褒められて恥ずかしかったのか、にへへと少し照れくさいような苦笑を浮かべる。耀はその隙に次の肉を取って頬張る。

 食事をする必要がないジャックは、その様子を微笑ましく見ながら呟いた。

 

「そういえば春日部嬢。その首から下げているヘッドホンですが………まだお渡ししてなかったのですか?」

 

 指摘された耀は、思い出しながら次の肉を詰め込む。

 もきゅもきゅと肉を噛み締め、スープで流し込んだ耀は少し咳き込みながら、

 

「うん。宿舎も壊れちゃったし、自分で持ってるのが一番安全だと思って」

 

「だけどそのヘッドホンは、目的のものとは違うものなのでしょう?」

 

「そうだけど………その、どんな形にせよ誠意を見せるのが大事かなって。特に十六夜はそういうのに敏感な人だから」

 

 茶髪頭を掻いて半信半疑なまま答える。

 ジャックはしばし耀を見つめた後、微笑ましいとばかりに笑った。

 

「………ヤホホ!どうやら杞憂だったようですねえ!」

 

「杞憂?」

 

「いえいえ、此方(こちら)の話ですよ!」

 

 ヤホホホホ!とカボチャ頭を揺らして笑うジャック。

 耀は小首を傾げつつも追及はせず、次の肉を頬張るのだった。

 

 その後一通りの食事が済んだのを見計らい、ガロロは主要メンバー―――耀・ジャック・アーシャ・そして子供達の代表としてキリノを呼び出し、今後の事を話し合う。

 

「さて、今後の活動だが………まずは意見を募りたい。誰か案はあるか?」

 

「うん」

 

 耀が即答する。ガロロは首肯して促す。

 

「私は………全員で此処に残って、ゲームの謎解きに挑むべきだと思う」

 

「………ほう?」

 

 耀の提案に、ガロロは低く唸り声を上げる。

 

「残って戦うべき、か。そりゃ真祖のお嬢ちゃんが身体張ってるからにゃ逃げんのは悪いな」

 

「うん。それに昨日ジャックと話していたんだけど、私達はペナルティを受けることが確定している。このまま逃げても十日後にはペナルティで死ぬことになる。だけど審議決議が行われている今なら、子供達でも安全に廃墟や城の探索が出来る」

 

 耀の提案を受け、ガロロの顔が更に強張った。

 

「ちょ、ちょっとまて!耀お嬢ちゃんはガキ共も戦わせるつもりか!?」

 

「だから戦う必要なんてない。審議決議の間は主催者と参加者の戦闘行動が禁止されている。今だけが、安全かつ自由に散策するチャンスなんだ」

 

 隣で話を聞いていたジャックも、カボチャ頭を撫でながら半ば同意した。

 

「確かに、春日部嬢の提案はゲームクリアに向けて大きく貢献出来るでしょう。………しかし本人達の意志はどうです?子供達の承諾はとってあるのですか?」

 

 一同が一斉にキリノを見る。怯えたように身を縮める彼女だったが、それでもハッキリと答えた。

 

「ご、ご心配いただきありがとうございます。しかし我々も〝アンダーウッド〟に住む同士の一人。ましてや眠ったままの大精霊(かあさん)の窮地を放ってはおけませんっ」

 

 ムンッ、と気合いを入れるキリノ。

 耀はキリノに内心で感謝した。

 

「(ありがとうキリノ。………だけど審議決議が行われている今は安全なはずなのに、月夜の帰りが遅いのはどうして?まさか、あの子の身に何かあったのかな……)」

 

 耀は僅かに表情を曇らせると、ガロロがそれに気づき、されどあえてその事に触れないようにした。懐に仕舞っていた黒い羊皮紙を取り出して条件を出す。

 

「………おし、分かった。若い連中がそこまで言うからにゃ俺も腹括ろう。しかし具体的にはどうする?無闇に探索するんじゃ骨折り損だ。もし耀お嬢ちゃんが無策だってんなら、許可は出せないぜ」

 

「うん。それについては私から提案………というか、勝利条件について暫定的な解答があるというか………」

 

 途端、声のトーンを落とす耀。

 しかし周囲はそれどころではない。他四人は一斉に声を上げた。

 

「か、春日部嬢は謎が解けたのですか!?」

 

「と、解けたというほどのものじゃないけど………辻褄は合うかなって、」

 

「マジかよスゲーじゃん!」

 

「ああ、大したもんだ!休戦した初日から謎が解けたってんなら、勝ちの目も十分に見えてくる!」

 

「耀さん、凄いです!」

 

 四人から一斉に称賛を受けて冷や汗を掻く。

 もしもこれで間違っていたら取り返しつかないなー、なんて肝を冷やしながら、

 

「ええと、説明する前に。私の用意した解答が正しいかどうかを検証するために、幾つか聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

 

「おおう、いくらでも聞いてくれ!」

 

「ヤホホ!協力は惜しみませんよ!」

 

 ズズイ、と身を前傾に乗り出す一同。ますますもって間違えられないな、と苦笑した耀だが、一転して真剣な顔になる。

 

「―――まず前提として確認する。箱庭の吸血鬼は、月夜と同じで外界から来た外来種なんだよね?」

 

「ああ、そうだ」

 

「じゃあこの空飛ぶ城もその時のもの?」

 

「確証があるわけしゃねえが、残っている文献じゃそうなってる。何でも故郷の世界にいられない理由が出来たとかで、一族ごと箱庭に逃げ延びたという話だ」

 

「………つまり、故郷の世界から脱出してきたということ?」

 

「ヤホホ!そう珍しいことではありませんよ!何らかの事情で故郷の世界を追われてきた種族など、箱庭ではよくあることです」

 

「そうさな。以前南側を騒がした〝(ばつ)〟の末裔や、故郷を追われ敗残した巨人族なんかもそうだ。吸血鬼の一族も同じように、故郷を追われる事件があったんじゃねえかな?」

 

「そうですねえ。有名な話ですと………吸血鬼は箱庭で太陽の光を初めて浴びて、それ以来〝箱庭の騎士〟として秩序を守っていた………というものもありますが。もしかしたらそれに関係する事件だったのかも」

 

 そう、と一度相槌を打って黙る耀。

 

 ―――曰く、彼らが〝箱庭の騎士〟と呼び称されるようになったのは、太陽の恩恵を受けることが出来る箱庭の都市を守るためだという。

 故郷では決して浴びることの出来なかった太陽の光を享受できる箱庭の環境は、吸血鬼にとって夢のような場所だったに違いない。

 しかし、此処で一つ疑問が湧いた。

 

「………でも、箱庭を守る役目は〝階層支配者(フロアマスター)〟のものだよね?なのに〝箱庭の騎士〟として別の二つ名を与えられてるってことは………吸血鬼の一族は一時、〝階層支配者〟だったんじゃない?」

 

 おっ、と感心したように笑うガロロ。

 

「察しがいいな、耀お嬢ちゃん。2/3ぐらい正解だ」

 

「うーん、微妙。正しい解答は?」

 

「そもそも〝階層支配者〟制度ってのは箱庭開闢(かいびゃく)の時には存在しなかったらしい。当時は〝外門の支配者(ゲート・ルーラー)〟って奴が各外門に決められていて、そいつらが独自の裁量で地域を治めていたのさ」

 

「………。なら、地域ごとの独裁とかも多かったんじゃ?」

 

「おおよ。特に箱庭の黎明(れいめい)期といえば、修羅神仏入り乱れの大魔境!下層のコミュニティが魔王に外門利権を奪われた日にゃ、悲惨なもんだったらしいぜ?〝境界門(アストラルゲート)〟の使用料を一人につき金貨一〇〇枚!とかにされれば最後、外門の中から出ることも叶わねえ。後は奴隷のように飼い殺しよ」

 

 言って首を竦めるガロロ。

 しかし意外にも、耀が食いついたのは別の事だった。

 

「………え?〝境界門〟の利権があったら、使用料を決められるの?」

 

「うん?おお、勿論だ。今でも〝階層支配者〟が定めた範囲内なら、自由に上げ下げして構わないことになっている」

 

「ヤホホ………ちなみに北から南に移動する場合、通常より五〇〇%増というぼったくり価格になっております」

 

「ご、」

 

 思わず絶句する。五〇〇%ということは、一人につき金貨五枚。

 もし〝ノーネーム〟が同じように料金を設定した場合、その八〇%が此方に支払われるわけだから―――

 

「―――……え、えっと。話を戻そう」

 

「あいよ」

 

 邪な誘惑を振り払うように続きを促す耀。 アーシャは弄り返すタイミングを見計らっていたが、空気を読んでそっと笑いを噛み殺すだけに留めた。

 

「ま、そんな末世だった下層に秩序を取り戻そうと旗を掲げたのが〝箱庭の騎士〟―――つまり吸血鬼の一族だったわけだ。彼らはその持ち前の力と知恵、そして勇気を持って次々と凶悪な魔王達を打ち破って行った。ちょうどその頃、中層と上層の外門で行われていた星々の主権争いにも一段落が付き、中下層の魔王があらかた駆逐された。それでも手に負えない魔王や、外界に取り逃した魔王もいたそうだが……何にせよ、箱庭は安定期を迎えることに成功した。その後下層は〝箱庭の騎士〟を中心に全外門で共通の規定を取り決め、法整備をし、〝階層支配者〟と〝地域支配者(レギオンマスター)〟制度を設け、東西南北の下層を見守る〝全権階層支配者(アンダーエリアマスター)〟として広く認められましたとさ」

 

 パチパチパチーと手を叩く音。

 

「………それで、めでたしめでたし?」

 

「なわきゃねえ」

 

 だよね、と苦笑い。

 

「かくして下層を守る〝階層支配者〟制度の投入に成功した吸血鬼の一族だったが………その後間もなく、吸血鬼達は吸血鬼の王によって虐殺されることになる」

 

「え?」

 

「それを行ったのが〝串刺しの魔王〟―――僅か十二歳で〝龍の騎士(ドラクル)〟にまで上り詰めた最強の吸血姫。レティシア=ドラクレアさ」

 

――――――――――

 

 ―――一方、〝銀の銃弾〟に倒れた月夜は、昔の事を思い出していた。

 

 そこは、誰も住まなくなった古ぼけた屋敷。金髪の少女は眷属達を失った悲しみに堪えきれず、その屋敷の中にあった棺桶の中で幾百年の長い眠りに就いていた。

 しかし、ある日の昼頃。誰も訪れる筈がないこの屋敷内に、子供の声が響き渡った。

 

「―――駄目だよ―――君!勝手に人の家に入っちゃ!」

 

「別にいいだろ―――ちゃん。どうせ誰も居ないんだしさ!」

 

 くっくっと笑って茶髪の少年は蒼髪の少女の制止を無視して屋敷の中に侵入する。

 タタタタタと子供達が屋敷内を駆け回る。が、ふとその足音が止み、子供達は口を揃えて―――

 

「―――こんなところに棺桶?」

 

「………棺桶だな。開けて中身を確認してみようぜ!」

 

「え!?………開けるの?」

 

「おうさ!お前も気になるだろ?中身。よし開けようぜ♪」

 

 蒼髪の少女の不安顔を無視して茶髪の少年は棺桶を開けようとしていた。

 だが茶髪の少年一人の力では開けることが叶わず、蒼髪の少女は仕方なさそうな顔をして手伝ってあげることにした。

 茶髪の少年は上を、蒼髪の少女は下を持って棺桶の蓋をゆっくりとずらす。

 ガシャァアン!と大きな音を立てて蓋が棺桶から落下すると、二人は〝やばっ〟といった顔で慌てて辺りを見回す。

 しかしすぐに誰も居ない事を思い出してホッと胸を撫で下ろした。

 そして二人は棺桶の中を覗き込むとそこには―――漆黒のドレスを身に纏っていた、黒い二つのリボンで髪を括られたツインテールの幼い少女が眠っていた。

 

「………女の子?」

 

「女の子だな。しかし………ふむ」

 

 茶髪の少年は眠っている金髪の少女の全身を見つめた後、うんと頷いた。

 

「………金髪でロリなのに巨乳とは、実にけしからん奴だ!」

 

「は?」

 

「そんなけしからん奴のおつぱいは俺様が揉んでやろう!」

 

「止めなさい、この変態メガネ!」

 

 ゲシッ、と蒼髪の少女の容赦ない蹴りが茶髪の少年の弁慶にクリティカルヒットした。

 弁慶を蹴られた茶髪の少年はぐおぉ、と脚を押さえながら悶絶する。

 蒼髪の少女は自業自得とばかりに冷たい視線を彼に向けた後、棺桶の中に視線を戻してボソリと呟く。

 

「それにしても綺麗な子………羨ましいな」

 

 蒼髪の少女は羨望の眼差しを向けていると、眠っていた金髪の少女は「ん」と微かに声を発して、ゆっくりと目を開けた。

 

「……………?」

 

「あ……ごめんなさい!起こしちゃった?」

 

 蒼髪の少女は目が合うや否やで頭を下げて謝る。

 金髪の少女はゆっくりと上体を起こすと優しく微笑んで返す。

 

「ふふ、謝らなくていいですよ。蓋が開いていたのには驚きましたが、起こされたことに関しては気にしてませんから」

 

「え?あ、はい!ありがとうございます!」

 

 笑って許してくれた金髪の少女にお礼を言う蒼髪の少女。

 すると、脚を押さえながら悶絶していた茶髪の少年が立ち上がって金髪の少女を見つめた。

 

「………紅い瞳、か。さてはお前―――吸血鬼だな?」

 

「え?」

 

「はい、吸血鬼です」

 

「ええ!?」

 

 茶髪の少年の問いに即答する金髪の少女。隠す気がない彼女に驚く蒼髪の少女。

 茶髪の少年はやっぱりな、と確証を得たように笑い吸血鬼の少女を見つめた。

 

「親父が吸血鬼の話をしていたからまさかとは思っていたんだけどな。本当に実在してるとは思わなかったぜ」

 

「………私もお母様から聞いてたから遥か昔に存在していたって知ってたけど……貴女がその吸血鬼だったなんてね」

 

「意外、ですか?」

 

 小首を傾げる吸血鬼の少女。茶髪の少年はニヤニヤと笑いながら答える。

 

「ああ、意外だ。お前みたいな金髪美少女が伝説の吸血鬼だもんな。俺としては嬉しい限りだが!」

 

「はいはい、厭らしい目でその子を見つめないの。この変態メガネ」

 

「はん!そういうお前も好奇な眼差しで吸血鬼ちゃんを見つめてんじゃねえかよ」

 

「変態メガネに見つめられるよりかは百倍マシよ」

 

「なんだと!?」

 

 睨み合う二人。それに吸血鬼の少女はクスクスと笑って見つめた。

 

「ふふ、仲がいいんですね。宜しければお二人の名前をお伺いしてもいいですか?」

 

「おうともよ!俺は(ゆずる)だ。剣咲(けんざき)譲。よろしくな、吸血鬼ちゃん」

 

「私はこの変態メガネ………もとい譲君の幼馴染みの水蓮寺(しおり)だよ。よろしくね、吸血鬼さん」

 

 簡単に自己紹介する茶髪の少年・剣咲譲と蒼髪の少女・水蓮寺栞。

 吸血鬼の少女は二人の名前を記憶するように呟いた。

 

「ユズルさんにシオリさんですね。はい、覚えました」

 

「そっか。なら次は吸血鬼ちゃんの名前を教えてくれないか?」

 

「はい、勿論ですよ」

 

 クスリと笑うと、吸血鬼の少女は胸の前に手を置いて自己紹介した。

 

「私はライム。ライム・ストーン・クイーンと申します。そして私はただの吸血鬼じゃありません。吸血鬼の―――真祖です♪」

 

「「―――――………は?」」

 

 とんでもない発言の吸血鬼の少女・ライム・ストーン・クイーンに、譲と栞は素っ頓狂な声を上げたのだった。

 

 ―――そしてこの瞬間。ライム(彼女)の止まっていた時の歯車が動き出すのだった。




月夜が眠ってしまって登場回数が減るので(まもる)の両親との出逢いとマリアと彼女の人狼(けんぞく)の話をちょくちょく混ぜていきます。
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