記念すべき十話は、説明とキャラ紹介がメインという残念仕様に。しかも本来一話にまとめるはずの話を分割したので区切りも悪いです。この作品の読者の方って、おそらく両方既読>俺ガイルのみ既読>ログホラのみ既読って感じだと思うので、ログホラ関係の説明は多めにしておかないと、多分意味不明になる方が多数出ると思うんですよね。そんなん知っとるわ!!って方は生暖かい目で流し読んでいただけると助かります。
さて、アニメのログ・ホライズンが最終回を迎えたわけですが、カナミ関連でなんか飛んでもない爆弾が降ってきたんですがwまあこの作品ではまだカナミのカの字も出てなかったので、設定変更がまだまだ余裕で出来るのが幸いではありますw
イサミにとって八幡という
それは〈西風の旅団〉に所属する大抵のメンバーとっても同様であり、彼女たちにとってはギルドマスターであるソウジロウ以外は、添え物のポテト並みの意味しか持っていなかったのだ。
もっとも、自分たちの想い人であるソウジロウと(ソウジロウからの一方通行に見えるが)かなり仲が良さそうであったし、八幡への接し方のせいでソウジロウに嫌われてはたまらない。
そのため、八幡とイサミを含めたメンバーたちは、可もなく不可もなくな状態が続いていた。
そんなある日……
「「「
ギルドマスターのソウジロウの口から、新メンバーたちを引き連れての〈西風の旅団〉初の
「ええ、そうです。ボクたちもそろそろ動き始めたいと思います!やるのならいつも『最高』を目指さないと!!」
ソウジロウからの訓示はメンバー全員(-八幡)の士気を大いに高め、レイドは即日決行されることとなった。
パーティーの振り分けは事前に決められていたらしく、イサミが配属されたのは三番隊。サブギルドマスターの八幡が指揮する部隊だった。
イサミとしては当然ソウジロウと同じ隊が良かったのだが、ある意味これは仕方がないことと言えた。なにせイサミとソウジロウ、二人の
「え、え~とじゃあ、今からレイドに行くわけですが、みんなで一度、
自分の班員に声をかける八幡だったが、人前に立つのに慣れていないのか若干どもりながら喋るその姿は、イサミの目から見ると頼りなさげに見えた。
ただし、イサミの目から見ても自分の隊員たち、〈西風の旅団〉三番隊のメンバーは一癖も二癖もありそうな人物揃いであり、正直彼女たちを指揮しないといけない立場である八幡に若干の同情を覚えないでもなかったが。
まず、三番隊の隊長はサブギルドマスターの八幡。
続いて班のトップツーである副隊長に指名されたのは、筋骨隆々の
戦闘の要、メインタンクを務めるのは、
そして
最後の一人は
(……あれ?この隊のメンバーって、ウチ以外なんか変な人ばっかりじゃない!?というか3分の1変態なんですけど!?)
ちゃっかり自分を変人の枠から外したイサミだったが、その考えは概ね間違っていなかった。……まあそもそもソウジロウLOVEを理由に入ってきたメンバーが大半なのに、そこに良識を求めるのが間違っているかもしれないが。
「え~と、じゃあまずメインタンクはイサミさん。基本的には彼女を先頭に進みます。前衛はイサミさんに加えて俺、中衛はドルチェさんとひさこさん、後衛はくりのんさんとオリーブさん。周辺警戒は、俺が前方でオリーブさんが後方。ドルチェさんは中衛から全方位への警戒をお願いします」
イサミが考えごとをしているうちに話し合いは終了し、八幡の手により
(少なくとも普通に指揮は出来る人なのかな?まあ局長の友達みたいだし、やっぱり上手いのかな?)
少し八幡というプレイヤーに興味の湧いてきたイサミだったが、壇上に立ったソウジロウの姿にその関心を奪われる。
「はい、では皆さん、自分の部隊内での役割は理解出来ましたか?今から挑むレイドダンジョン、
ソウジロウの言葉、特に最後の台詞に団員たちは大いに盛り上がる。士気は最高潮、あとは出発を待つばかりかと思われたが……
「ちょいと待った!最後にレイドパーティー内での指揮系統の確認をするよ」
すっとソウジロウの横に進み出てきてナズナが、連携についての確認を始める。
(こんなの、本来なら各部隊内での話し合いの前にするべきことじゃないのかな?何でこのタイミングなんだろ?)
通常ならば指揮系統というのは上から順番に決まっていくものである。軍隊組織で言うとまずは将軍、次に師団長、その次に連隊長というように決められていく。レイドパーティーであればまずはレイドリーダー、次にパーティーリーダー、サブリーターといった順で決めるのが普通だ。
当然レイド経験のある数人のプレイヤーはそのことに気付いていたが、すでに各隊の隊長たちにより取り決められているのだろうと、特に気にしていなかったのだ。
思わず自分以外の三番隊員の顔を見回したイサミは、頭に疑問符を浮かべる隊長の八幡と、どこか納得ずくのような副隊長のドルチェ、それぞれの顔を見てさらに混乱する。
(え?やっぱり本当に何も決まってなかったの?でもドルチェさんはしたり顔だし……)
イサミ以外にも頭に疑問符を浮かべている団員は多数居た。
しかしナズナはそんなことを気にしている様子も見せずに話を進めていく。
「まず一番隊、これはソウジが指揮する。基本的に敵のターゲットはこの隊で持ってくれ。続いて二番隊の指揮は不肖このアタシ、ナズナが取るよ!一番隊に何かあった時は、この隊がターゲットを持つからね。お次は三番隊、ここの指揮は副隊長のドルチェに任せる。戦況を見つつ自由に動いてOKだから。最後に四番隊だけど、ここの指揮は
やはり話が通っていなかったのか、ナズナと詠の間でちょっとした口論が発生していたが、イサミにとっての問題はそこではない。
(ん~??)
なぜか自分たちの部隊は副隊長が指揮を取るらしい。
再び八幡の方を振り返ると、こちらもさらに疑問が深まったようで、人目も気にすることなく首を捻っていた。
「で、だ。肝心の総指揮官なんだが……」
再び響いた声に視線を戻すと、ようやく詠との口論が終わったナズナが話を再開していた。
「普通だったらギルマスであるソウジが指揮するべきところなんだが、今回はソウジ本人の希望もあって別の奴に指揮を取ってもらうことになってる」
そう告げるナズナの首はなぜかイサミたち三番隊のいる方角を向いており、その目は三番隊の隊長の顔を捉えていた。
この後の展開を悟ったのか、いきなり八幡はイサミの目の前で〈ハイディングエントリー〉を発動させる。どうやら逃走を図ろうとしているようだ。しかし……
「よろしくお願いしますね、八幡」
そこには、いつの間に移動していたものやら、がっちりと八幡の肩を掴むソウジロウの姿があった。はちまんはにげだした。しかしまわりこまれてしまった!
「くっそ、図りやがったなセタ!ナズナさん!!俺がバックレないように、わざわざ発表を後にしやがって!!」
ソウジロウの手から抜け出そうと、八幡はしばらく必死にもがいていたが、
「あ~八幡。別に逃げたければ逃げてもいいんだけど……コノアイダトオナジオシオキガマッテルヨ?」
近づいてきたナズナに何かを囁かれた瞬間、背筋を伸ばしてビシッと音のしそうな敬礼をする。
「…………謹んでお受けいたします」
まっすぐ前を向いた八幡の顔、特にその目は、イサミには負のオーラを漂わせているように見えた。
〈西風の旅団〉初となる
このレイドダンジョンは関連クエストさえしっかりとこなしておけば難易度がかなり下がる。今回のレイドを見据えて、〈西風の旅団〉では、初心者の訓練も兼ねてかなりの数の関連クエストを達成していたのだ。
とは言ってもメンバーの中にはレイド初体験の者も多く、レイドにおいて重要なチームワークもまだ醸成されるには至っていない。そして総指揮官はあのサブギルドマスター。クリアできないことはないまでも多少の苦戦を予想していたイサミだったが
「一番隊はそのままボスのタゲを保持、二番隊はそのフォローを。三番隊は雑魚の掃除を担当しつつ、適宜ボスに攻撃しろ!……四番隊は少し火力を抑えろ!このままだと途中でMPが切れる!!」
八幡に率いられた〈西風の旅団〉のレイドパーティーは、一度も全滅することなく城塞最深部までの突入に成功していた。ほとんど死者も出しておらず、初めてレイドに挑むパーティーとしては驚異的な進行速度である。
レイドパーティー全体の壁役を務めるソウジロウ、そのソウジロウの回復を受け持つ
「二番隊、一番隊からボスのタゲをスイッチ!一番隊は後方に下がって回復だ!三番隊は二番隊をフォローしつつ、雑魚もカバーしろ!四番隊は火力全開!一番隊が戻るまでボスを火力で抑えこめ!」
しかし最大の功績は総指揮官である八幡にある。イサミを初め、多くの〈西風の旅団〉のメンバーはそう感じていた。
まずは指揮能力。敵の動きと味方の動きの双方をしっかりと把握し、押すタイミングや引くタイミング、火力を上げるタイミングや火力を下げるタイミング。どこの隊に一番敵の圧力が行っているか、どこの隊なら援護が可能か。瞬間瞬間における指示が的確で、間違いがほとんどない。
戦場に響くその声は、いつしか部隊に落ち着きを与える物となっていた。
その上に凄まじいのがその攻撃力。レイドパーティーの指揮を取りながら、パーティー内でもトップクラスの
「ボスのHPが1割を切ったぞ!全隊、火力を集中しろ!一気に仕留めるぞ!!」
ついにボスの残りHPが残り僅かとなり、八幡の号令の元、部隊の全員がボスである〈ゴブリン王〉へと火力を集中させる。
ソウジロウが先陣を切って突撃し、〈ゴブリン王〉の攻撃を掻い潜りながら刀の斬撃を浴びせる。
誰かがダメージを負いそうになればすかさずナズナの障壁が飛び、誰かが手痛い一撃をもらえば
イサミもボスとの間合いを詰めて、残っている特技をありったけ叩き込む。
「〈火車の太刀〉!!」
イサミが最後に放った斬撃は、ボスのHPを数ドットだけ残したが
「〈アサシネイト〉!!」
直後に放たれた八幡の攻撃がその残りHPを吹き飛ばし、辺り一面に光の粒子を撒き散らした。
出来に大いに不満が残る第十話。レイドの部分は詳細が不明すぎて強引に省略せざるを得なかったし、そもそも区切りが悪い。あと、八幡がちょっとチートっぽい感じになってしまったwただ、何回か書き直しを試みてのこの状態なので、ちょっとこれ以上の物はひねり出せそうにもない感じです。
さて、当初予定ではイサミ視点の前・中・後編で一気に話を進めるつもりだったのですが、本来前編一話で済むはずだった過去話の文字数が伸びに伸び、あまりに長くて大変なことになったので潔く予定を変更。過去編を前(十話)・後(十一話)編として投稿し、間に別のキャラ視点の話をもう一話(十二話)、そして本来の中・後編を前(十三話)・後(十四話)編にして投稿しようと思います。流石に一話で一万文字超えは多すぎるやろ……。
後編にあたる第十一話は半分以上完成しているので、仕事から帰って残りを書き上げて0時回ったくらいには投稿できるかと思います。すごく半端な所で切って申し訳ないですが、少々お待ちくださいませ。