無口で無表情   作:マツユキソウ

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評価13件、お気に入り件数390件突破……(°д°)why?

とても驚きました。そして嬉しかったです。それはもう嬉しすぎて課長に絡みたくなるくらい……ごめんなさい嘘です。

でも、本当に嬉しいです。
お気に入り&評価&感想を書いてくださった方、本当にありがとうございます。

『今回のお話注意点』
・オリキャラ出現。
・このお話からザンク戦に突入しますが、少しだけシリアス? になるかもです。
・サブタイトルのネーミングセンスのなさ。


タツミと友達~ふんふふ~ん

何時もと同じ時間に起きて、何時もと同じようにカインさんが来て植物たちのお世話をする。

そんな光景を見ながら、私は自分の支度をする。

本来なら私もカインさんと一緒に植物たちのお世話をするんですが、生憎今日は大事なお仕事があるので彼に任せています。

 

「首斬りザンクの討伐ですか、それはまた面倒な任務を受けましたねエリア様」

『仕方がない。任務だからな』

「ははッ、貴女らしい意見です。しかし、貴女に限ってあるとは思いませんが……相手は帝具持ちです。油断なさらないように」

『わかっている』

 

アカメちゃんたちに襲撃されて数日が経ったある日、オネスト大臣の自室に呼ばれた私は首斬りザンクの討伐と、彼が持っている帝具の回収を命じられた。

初めての帝具持ち原作キャラとの戦い。

何ていうか、わかっていた事だったので対して何も感じませんね。

あっ、アカメちゃんと戦いましたが、アレは殺す気で戦ってないのでノーカウントです。

 

さて、私の標的であるザンクさんは元帝国の監獄で働く首斬り役人で、オネスト大臣のせいで毎日毎日命乞いする人間の首を切り落としていたら、首を斬るのがやめられない止まらない~っと、某えびせんのCMの様になり、狂ってしまい辻斬りになってしまったそうです。

その際に討伐隊が組織されましたがそれっきり姿を消してしまったそうです。

そして何の因果かはわかりませんが、ザンクさんは帝都に現れて夜な夜な首を切り取っているそうです。

まるでホラーですね。いえ、ホラーです。

勿論、そんな極悪人を改心オーガさん率いる帝都警備隊が黙っているはずもなく、討伐隊を組織しましたが被害は増える一方で……オーガさんも困り果てていると聞きました。

まぁーそれもその筈です、ザンクさんは獄長の持っていた帝具『スペクテッド』を盗んで所持していますからね。

帝具『スペクテッド』は五視の能力が使えます。

相手の表情を見ることで思考がわかったり、遠くの物が見えたり、筋肉の動きで相手の次の動きが見えちゃうものなんかもあります。

こんなんチートや……チーターやッ!!

 

こほん。

つまりですね、オーガさんたち帝都警備隊の皆さんには悪いですが……貴方たちでは力不足というわけです。

これ以上警備隊の皆さんに死なれると私の仕事が増え……じゃなくて治安維持に困るので、メインストリート辺りの警備を担当してもらうことにしました。

あの辺りなら宮殿から近いですし、深夜でも明るく、人もそれなりに居るのでザンクさんも避ける場所だと思いますからね。

 

あぁ、勿論ですがメインストリート以外の所は私がしっかり守りますよ。

何時もと違ってちゃんとしたお仕事ですからね。きっちりやらせていただきます。

そういえば……ナイトレイドの皆さんもザンクさんを討伐するために深夜、コッソリと見回りをしているようなので鉢合わせしないようにしないと……幸せなことに、今夜は満月になる少し前なので、ザンクさん対タツミ君&アカメちゃんの戦いは起きないと思います。

起きるとしたら明日かなぁ、それまでにザンクさんを見つけて殺したいけど……何分帝都は広いですかね。

見つかるかどうか……頑張ります。

 

『では、行ってくる』

「はい、お気をつけて」

 

カインさんも、私が真面目お仕事モードだとわかったのか何時もの生意気な態度ではなく、深々とお辞儀をしてくれました。

何だか、執事とお嬢様って感じです!! ちょっと照れくさいですね。

 

「その姿で首斬りにナンパされる……なんてことはないと思いますが、お気をつけて」

 

……前言撤回。

コイツは何時でもムカつく奴でした。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

『今回の標的は、今帝都で噂の連続通り魔だ』

 

エリア将軍の情報収集任務から数日経ったある日、俺たちはナジェンダさんから『連続通り魔、首斬りザンク』の討伐任務を言い渡された。

首斬りザンク。

その名の通り深夜、無差別に現れて首を切り取っていく極悪人。

被害者の約三割は帝都警備隊員で実力は折り紙付き、しかも帝具を持っているらしいからまさに敵なし。厄介な奴だぜ。

 

「タツミ、アンタとアカメはここからが受け持ちの区画だから、ちゃんと覚えておきなさいよ」

「あぁッ! バッチリ下見して、ザンクの奴を俺とアカメでぶっ倒してやるぜ!!」

「おぉ~やる気に満ち溢れてるねぇタツミ。その調子で頑張ってくれたまへ」

「フン、やる気があるのは良い事だけど、アンタ馬鹿だから道に迷ってアカメに迷惑かけないことね」

「なっ……何イ!!」

「ププッ、それはあり得るかもなぁ」

「ね、姐さんまで……」

「まぁー、迷っても何とかなるって!! それじゃ、時間になったらこの場所に集合ね」

「おうッ!」

「わかったわ」

 

そして、帝都に手配書が回っていない俺とマイン、姐さんの三人は、各自今夜からの見回りの担当である区画の下見に来ていた。

 

「やっぱ、辻斬り怖さに人が殆ど出歩いてねえな……この分だと夜になったら皆、家に引き篭っちまうんじゃね」

 

マインたちと別れた俺は、自分の担当である区画の地図を見ながら道や建物を暗記するように目を配る。

こうやって目印になりそうな建物を覚えておけば、道に迷ったときに安心だからな。さすが俺、今日も冴えてるぜ。

しっかし、お昼過ぎなのに開いている店がないな……まぁ、こうも人が出歩いていなくちゃ、店を開けても客が来ないか。

 

ぎゅぅううぐるるるる。

……ハラ、減ったな。

昼前にアジトを出てきたから、昼飯を食ってないんだよなぁ。

でも、開いている店はないし……ちくしょう、こんなことなら弁当を作って持って来れば良かったぜ。

 

 

 

クソ、後悔したって腹が膨れるわけじゃないんだ。男だったら昼飯を抜いたくらいでウジウジしねぇ。

頑張れ俺ッ!!

俺は自分に気合を入れるために両手を上げようとすると。

 

「っきゃ」

 

右手に何か柔らかいものがぶつかった感触がして、後ろから女の子の声が聞こえた。

振り返るとそこには、茶髪の女の子が尻餅をついていた。

 

白か……ってそんな事思ってる場合じゃねぇ!!

 

「だっ大丈夫ですか?」

「大丈夫です。でも、気をつけて下さいね」

 

パンッパンッと、女の子はスカートに付いたホコリを片手で払いながら、微笑んでそう言ってきた。

クソ、何やってんだ俺は……周りを見てなかったせいでこんなに可愛い女の子に迷惑かけちまった。

 

「えーと、服はドコカ破れてる所は……無いみたい。良かったぁ」そう言ってクルクルと日傘を回す女の子は、どこかのお嬢様って感じだった。

服はマインが良く着ている様なフリフリが沢山付いた物で、髪型はアカメと同じくらい長く、目も赤色だった。

でも、アカメと違って表情がころころと変わる子で、何ていうか元気なお嬢様って感じだ。

 

ただ、あんまりお嬢様には良い思い出がないから警戒しちまうな……

そんな事を思いながら目の前の少女を見ていると、不意に彼女が質問をしてきた。

 

「そういえば、アナタはこんな所で何をしていたんですか?」

「え? えーと………… がっガッツポーズの練習をしてたんだよ!」

「ガッツポーズ……ですか」

 

何言ってんだ俺はぁああああああああああああ!!

いきなりの質問でビックリしちまって意味わからんこと言っちまった。

道のど真ん中でガッツポーズの練習とか、完全に頭がおかしい人じゃないかよ!!

何やってんだよ俺……

 

「ふふっ、アナタって面白い人ですね」

 

あ、あれ? 

笑ってくれたってことはおかしな奴だって思われてないってことかな。

良かったぜ……

 

「もし良かったら、アナタの名前を教えて下さりませんか?」

「あぁ、いいぜ! 俺の名前はタツミって言うんだ。君の名前は?」

「申し遅れました。私、ティーンって名前です。タツミさん」

「タツミさんだなんてやめてくれよ、俺の事はタツミでいいぜティーンさん」

「はい、わかりましたタツミ。では、私のこともティーンと呼んで下さい」

「いいぜ、あとさ……その~、出来れば敬語もやめてくんないかな? 見た感じ同い年くらいだし、仰々しいのは無しってことでさ」

 

俺がそう言うと、キョトンとした顔で見つめてくるティーン。

何だ? 俺、変なこと言ったのかな。

 

「う……」

「う?」

「嬉しいッ!!」

「ぐはッ!?」

 

いきなりティーンに抱きつかれた俺は後ろに倒れそうになるが何とか耐える。

む、胸が……ティーンの胸が当たってるッ!! 

めっちゃラッキー、じゃなくて色々と不味い。あと、日傘の先の部分がちょくちょく頭に当たって痛い!

 

「てッティーン、離れてくれ……苦しい」

「あっ、ごめんなさい。何だか友達が出来たみたいで嬉しくってつい……ごめんね」

 

そう言って悲しそうな顔をするティーン。

友達……か。

そういえば、俺も帝都に来てから友達って呼べる奴と出会わなかったな。

俺は目の前で落ち込んでいる女の子を見る。

どこかのお嬢様みたいで警戒しちまったけど、今までの会話でこの子が悪い子じゃないって思えたな。

あ~いや、アリアの件で帝都の人を簡単に信じちゃいけないってのはわかってるんだが、この子は信じても大丈夫な気がする。

…………よしッ!!

 

「ティーンさえ良ければさ……俺と友達にならないか?」

「え……ホント?」

「あぁ! 男に二言はない! 俺と友達になろうぜ、ティーン!!」

「う、嬉しい……ホントに嬉しいッ!! ありがとうタツミ、よろしくね!!」

「よろしくな! ティーン」

 

帝都で初めて友達が出来た瞬間だった。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

太陽が沈み始め、街灯の明かりが、暗闇に飲み込まれる商店街を明るく照らす。

何時もならこの時間帯は夕御飯の買い出しや、仕事終わりの一杯を楽しむ人々で賑わっているのだが、今日は人の姿はどこにもなく、どの店も扉を閉めていた。

それもその筈、帝都には今話題の『連続通り魔』が出没するからである。

深夜、無差別に現れては首を切り取っていく悪鬼。

その悪鬼を討伐しようと帝都警備隊も見回りを強化しているらしいが、尽く打ち破られているらしい。

そんな噂を聞いてしまえば、帝都に住む人々は恐怖で家から出られないのは当然である。

 

しかし、そんな悪鬼が出没する確率が上がる時間帯に、二人の若い男女の楽しそうな会話が聞こえる。

 

「タツミと友達~ふんふふ~ん」

「そっそんなに嬉しいのか?」

「嬉しいに決まってるじゃん!! 友達だよ? と・も・だ・ちッ!! タツミは嬉しくないの?」

「俺も嬉しいよ」

「そうだよねぇ、ふへへ」

「ティーン、笑い方が危ない人みたいになってるぞ」

「えー、そうかな? そうかもッ!!」

「おっおう……」

 

「えへへ」とティーンが笑い、タツミもつられて笑う。

見る者が見れば嫉妬で爆発してしまいそうな何とも微笑ましい光景であるが、通り魔が出没しているというのに無用心に笑い合っているタツミたちの光景は異様にも見える。

そして、何故この二人は出歩いているのだろうと疑問に思う者もいるだろう。

 

しかし、タツミがここにいるのには理由がある。

ナイトレイドの任務として『通り魔、首斬りザンク』の討伐をアカメと二人で行う為、今夜からの見回りの区画の下見に来ていたのだ。

 

しかし、ティーンの方はどうなのだろうか?

彼女はナイトレイドでもない、ただの一般人である。

そんな彼女がどうして通り魔がいる帝都を一人で歩いていたのだろう……疑問に思ったタツミは意を決して質問してみることにした。

 

「ティーンはさ、どうして一人で出歩いてるの?」

「え……?」

「あっ、いやぁー……ほら、今って辻斬りが出没するだろ? なのに一人でブラブラしてるなんて、何か大事な用事でもあるのかな~なんて思ってさ」

「えっえーと、通り魔も怖いけど……今じゃないと会えない人がいるからさ」

「会えない人?」

「うん、エリア将軍だよ」

 

エリア将軍。

その言葉を聞いたタツミは少しばかり驚く。

あの殺戮人形と言われているエリア将軍と、ティーンは何か関わりがあるのだろうか。

まさか……ティーンも軍人なのだろうか?

そうなってしまうと、表向きは帝都の敵であるナイトレイドに所属しているタツミとしては、ティーンの次の発言によっては彼女に対して態度を改めないといけないと思った。

 

「私ね、数ヶ月前にエリア将軍に助けられたの、だからそのお礼が言いたくって……今なら通り魔の討伐の為に帝都の見回りをしてるって聞いたからさ」

「そ、そうなんだ」

 

タツミは内心ホッとすると同時に、タツミの中でエリアの見方が少し変わった。

ティーンを助けてくれたんだ、やっぱりエリア将軍は誤解されているだけで本当は優しい人なんじゃないのか? と……。

 

疑問に思っていたことが解消されたタツミは、ティーンと一緒にエリア将軍を見つけるために街中を歩く。

人探しという目的があるが久しぶりの楽しいひと時、このままずっとこうしていたいと思うタツミであったが、楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、気が付けば任務開始まで残り三十分であった。

 

「うむむ、一日中歩いていたけど見つからないなぁ……悔しいけど、今日はもうエリア将軍を探すのは諦めるよ」

「それが良いよ。通り魔もいることだしな」

「そうだね。エリア将軍を探すのは明日にするッ!!」

「おう! 頑張れよ」

 

「また会おうね! ブイブイ!!」と、Vサインをして去っていったティーンは、夜の暗闇にも負けない程の明るい笑顔だった。

 

「あ……そういや、ティーンの家の場所を聞かなかったな……まぁ、また今度会った時でいいか」

 

一人残されたタツミは、ティーンが去っていった方向を一度振り返り、レオーネたちとの合流地点に向かうのであった。

 

余談ではあるが、合流地点に向かう途中に道に迷ったタツミは、任務開始のギリギリの時間に戻り、マインに罵られ、レオーネには爆笑されるのであった。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「うーん……やっぱり見つからないなぁ」

 

タツミと別れた私は、どうしても諦められなくて暗くなった商店街を歩いていた。

何時もなら活気に溢れている商店街だけど……こうも人がいないんじゃ、何だかお化けでも出てきそうな雰囲気です。

 

「こんばんはお嬢さん、こんな時間に一人でお散歩ですかな?」

「こんばんは、お散歩じゃなくて人を探してるん……え?」

 

私の後ろから声が聞こえ、振り向くとそこには耳あてを付けた変な男の人が立っていた。

 

「おじさんは誰ですか?」

 

私が男の人に質問すると、ニンマリと意地汚い笑みを浮かべた男はこう言った。

 

「おじさんよりも、こう呼んで欲しいなぁ……親しみ込めて、首斬りザンクと……」

「え……あ…レ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の何かが離れる……感じガ……………………シタ。

 

 

 

 




はい、オリジナルキャラクターの登場&ザンクさん(最後だけ)の登場回でした。
次の話から、本格的にザンクさんとの戦いを書いていきたいと思います。

え? オリキャラの退場が早すぎるって? 次回のお話で重要な役割を持っているので仕方ないんです。
…………ダッ(逃走)

『次話予告』みたいなナニカ(変更ありますので本気にしないで下さい)

「さっきのお嬢さんにも言ったが……オッサンよりもこう呼んでくれ、親しみ込めて……首斬りザンクと」

「お前がッ!! お前がティーンをッ!!!」

「タツミ! ソイツから離れてッ!!」

次回の無口で無表情もお楽しみに~です。

『私の出番……』
あ、エリアさんの出番もありますから!! そんなに落ち込まないで……
茶番失礼しましたm(_ _)m








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