白銀の来訪者   作:月光花

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すんごくお久しぶりです。

やばい……先々月辺りからコロナのせいで周りがグッチャグチャになってます。

皆さんも、どうか感染対策を怠らず、充分に気を付けてください。

では、どうぞ。


第18話 迫られる決断

  Side Out

 

 はやての容態が悪化して病院に運ばれた当日。

 

管理局の追跡を振り切るのに思ったより時間が掛かり、守護騎士達が家に戻って来たのはもうすぐで日付が変わる深夜のことだった。

 

それぞれが疲労の気配を漂わせながら戻ってきたが家の中には何故かはやての姿が無く、ゲーデ1人がリビングで守護騎士達の帰りを待っていた。

 

その後にゲーデからはやての容体悪化と入院のことを聞き、守護騎士達は激しく動揺した。

 

驚きが大き過ぎたせいで先程まで感じていた疲労は意識から消え去り、守護騎士達は今すぐにでもはやての元に向かおうとしたが静かな怒りを滾らせたゲーデに止められた。

 

「いい加減にしろ。今から面会なんて出来るわけないだろう。

 こんな時間になるまで戻らなかったことには文句を言ってやりたいが、全員今は休め」

 はやての見舞いは明日の朝だ」

 

一方的な命令に近い口調だったが、誰の目から見ても本気で怒っているゲーデの雰囲気に圧倒された守護騎士達は素直に従った。

 

最も動揺が酷く、声を荒げて今にもはやての元に飛んでいきそうだったヴィータでさえ顔を青褪めさせて無言で頷いたことからその恐ろしさは察せられるだろう。

 

翌日、ゲーデが用意した朝食を全員で食べた後に一同は病院へと向かった。

 

ちなみに、食事の際にゲーデが料理を作れることに守護騎士達は揃って驚いたが、この世界に迷い込んでから1年近くはやての手伝いをしていたゲーデにとって料理はもはや体に染み付いた技術である。

 

それを知って半年近くはやての手伝いをして未だに殺人料理しか作れないシャマルはショックを受けていたが、他のメンバーはちゃんとした食事が食べられることに安堵していた。

 

 

 

 

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 

 

 

 

 「はぁ、検査の為に一時入院か。

 みんな、迷惑かけてしもうてごめんな」

 

「迷惑などと思う筈がありません。

 何より、大事が無くて安心しました」

 

面会可能な時間になってすぐに病室に向かうと、お見舞いに来てくれた守護騎士達の姿を見たはやては嬉しそうに微笑んだ。

 

人間形態となって犬耳を隠したザフィーラまで一緒に来てくれたことが、迷惑を掛けてしまった罪悪感以上の嬉しさを感じさせてくれた。

 

部屋に入ってすぐさま体調を崩して倒れた時に傍にいられなかったことを詫びる守護騎士達を別に怒っていないと彼女は笑って許すが、昨晩のゲーデの怒りもあって守護騎士達は素直には喜べなかった。

 

その後、検査の為に数日間入院することをはやては申し訳なさそうに謝罪するが、柔らかく微笑んだシグナムは安堵の息を吐いた。

 

はやてが倒れたと聞いた時は盛大に慌てたが、一先ず今は体調も安定しているようだ。

 

「むぅ、先生の言うことやから訊かなアカンのは分かるんやけど……不安やなぁ。

 私が家におらへんかったら、皆のご飯はどないしたら……」

 

「心配無用だ。

 味は少し劣るが、ちゃんとした食事なら俺にも作れるよ。

 伊達に家事の手伝いをしちゃいないさ」

 

不安そうな顔で守護騎士達を見るはやての頭にゲーデの手がポンと乗せられる。

 

そのままワシャワシャと頭を撫でながら微笑すると、はやても楽しそうに微笑む。

 

「えへへ、兄ちゃんがそう言うなら安心やな。

 そしたら、少しの間やけど私は3食昼寝付きの休暇を満喫させてもらうわ」

 

「そうしてくれ。

 後で家から着替えと本を持ってくるが、他に何か欲しいモノは有るか?」

 

ゲーデの問いにはやては天井を見上げて考え込むと、何かを思い出したように声を上げる。

 

「そういえば……すずかちゃんが昨日メールくれるって言うとった。

 携帯家に置いてきてもうたし、病院じゃ使えへん……」

 

「あ、それなら家に戻ったら私がお返事しておきます。

 入院のことも、伝えておきますね」

 

「ごめんな、シャマル。

 悪いけど頼むわ」

 

申し訳無さそうに頼むはやてに気にしないでくださいと微笑みを返し、シグナムとシャマルは病室を出ていく。

 

その途中、シグナムが病室の入り口で一瞬だけ立ち止まってはやて以外の全員に念話を飛ばした。

 

(すまない……皆、帰る前に一度屋上へ集まってくれ)

 

(……分かった。だが、少しだけ待っててくれ。

 少し、はやてと話がしたい)

 

(ああ……)

 

守護騎士全員が無言で頷きを返すなか、ゲーデだけが短い念話を返した。

 

特に異論も無く承知したシグナムはシャマルと共に病室を出ていき、ヴィータとザフィーラもその後に続こうとする。

 

しかし、ヴィータは部屋を出ようとしたところで立ち止まり、勢い良く振り返ってベッドに座るはやてに抱き着いた。

 

「毎日お見舞い、来るから。

 だから……元気になってね、はやて」

 

「ふふ、ヴィータはええ子やな。

 せやけど、毎日来なくてもええよ。

 すること無くて退屈やろうし」

 

不安そうな顔をするヴィータの頭を優しく撫で、安心させるように微笑む。

 

その笑顔を見て一先ず納得したのか、ヴィータは少々重い足取りで病室を出ていく。

 

「ザフィーラもお見舞いに来てくれてありがとうな。

 悪いけど、家のこととか皆のこと、色々見たってな」

 

「心得えました。

 どうか安心してご静養ください、主よ」

 

普段口数の少ないザフィーラが力強い声で返答し、はやてはニコリと微笑む。

 

その後ザフィーラは一礼して病室を退出し、先に出たヴィータを追い掛けていった。

 

結果、部屋にはゲーデとはやての2人だけが残り、その視線は窓の外に向けられている。

 

「結構冷え込んできたな~。

 もうちょっとしたら雪も降るんかな」

 

「クリスマス辺りに降る確率が高いとニュースでも言ってたな。

 街の飾り付けも豪華だったし、夜には雪の中でイルミネーションも見れるかもな」

 

「クリスマスかぁ……それまで退院出来ると良いんやけど」

 

「後で先生に聞いてみよう。

 退院が間に合わなくても、1日だけなら外出の許可が貰えるかもしれないぞ」

 

少し不安そうに俯くはやてだったが、ゲーデの言葉を聞いて嬉しそうに顔を上げる。

 

「ホンマ!? あんがとう、兄ちゃん!

 そしたら、そん時は皆で街歩いて美味しいモノでも……うっ!」

 

興奮してはしゃぐように話していたはやてが、突然苦しそうな声を上げて胸を抑える。

 

闇の書の侵食による苦しみだと理解したゲーデはナースコールを押そうとするが、はやての手が弱々しく伸びてきてそれを止めた。

 

「大、丈夫……やから……

 すぐ……収まるから……」

 

「はやて……」

 

胸を抑えながら絞り出すような声を出すはやての言葉を無視出来ず、迷いながらもゲーデはボタンから手を放した。

 

代わりに胸を抑えて苦しむはやての体を優しく胸元に抱き寄せ、少しでも苦しみが和らぐようにと頭を撫でる。

 

はやてはその行動に少し驚くが、耳元で聞こえるゲーデの鼓動音と自分の頭を撫でる温もりに安らぎを感じて微笑む。

 

そして、はやて本人が言った通り発作の苦しみはすぐに収まり、ゆっくりと深呼吸を繰り返して乱れた息を整える。

 

「……落ち着いたか?」

 

「ハァ……ハァ……うん、もう収まった。

 心配掛けてごめんな、兄ちゃん」

 

一番辛い立場だというのに発作による苦しみを隠し、心配を掛けてしまってごめんと口にするはやての微笑みが、ゲーデの目には酷く痛々しいモノに見えた。

 

だがそれと同時に、はやての微笑みを見て強い親近感も感じていた。

 

その理由が、ゲーデには直感的にすぐ理解出来た。

 

(昔の俺と……何処か似ている……)

 

グラニデに存在していた時、ゲーデは多くの負を取り込みながらも己を蝕む飢餓の衝動に苦しみ続けていた。

 

だが、ゲーデは憐れみも優しも不要だと言うようにその苦しみを誰にも告げず、世界に対する憎しみだけを原動力に怨嗟の声を上げながら走り続けた。

 

形や性質は大きく違うだろうが、誰にも自分の苦しみを告げられずにひたすら隠そうとするその姿が昔の自分に強く似ているような気がしたのだ。

 

だからだろうか……

 

「……はやて、苦しいことを無理に隠さなくていい」

 

「……え?」

 

……気が付けば、はやての頭を抱き寄せたままゲーデは呟いた。

 

そんな突然の言葉にはやては呆然とするが、聞こえてくるゲーデの声が何処か悲しそうだと感じてすぐに言葉を返せなかった。

 

「皆に心配を掛けたくないならそれでもいい。

 だが、せめて俺には本音を吐き出してくれ。

 辛いことを1人で抱え続けるのは、とても苦しいことだから」

 

頭を撫でながらそう言ったゲーデの言葉にはやては一瞬だけビクリと体を震わせるが、ゆっくりと顔を上げいく。

 

上目遣いでゲーデを見上げたその瞳は、怯えながらも何かに縋るかのように揺れていた。

 

やがて、その瞳から静かに涙が流れ、震え出した両手が縋りつくようにゲーデの体を強く抱き締める。

 

「……うっ……ぁあ……!」

 

そのまま顔を押し付けるように密着させた胸元から小さな嗚咽が聞こえてくるが、ゲーデは何も言わずにはやての頭を優しく撫で続けた。

 

 

 

 

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 

 

 

 

 「ホント言うとな、怖かったんよ」

 

嗚咽が止み、胸元に頭を押し付けたままはやてがポツリと呟いた。

 

ゲーデは何も言わずに頭を撫でながら耳を傾け、話の続きを促す。

 

「発作の苦しみが酷くなって、このまま死んでしまうんやないかって何度も思った。

 でも、その怖さを認めたらホントに潰れてしまうような気がしたんよ。

 それを知って皆が不安そうな顔するのも嫌やった」

 

再び震え出したはやての両手がゲーデの体を強く掴み、ゆっくりと顔を持ち上げる。

 

 

「……死にたくない……!

 もっと、皆と一緒にいたい……!」

 

 

真っ赤に腫れた目の奥に涙を溜めながら、はやては初めて心の不安を口にした。

 

泣きじゃくるはやての顔を虹彩異色の瞳で見詰め、ゲーデは右手で涙を拭き取る。

 

「ちゃんと言えたじゃないか。

 大丈夫、はやては死なない。

 俺もシグナム達も、変わらず一緒にいる」

 

胸元にはやての頭を抱き寄せ、安心させるように背中をポンポンと優しく叩く。

 

それと同時に、闇属性の魔法の1つである『ナイトメア』を最小出力で発動させる。

 

本来は対象者に強烈な睡眠効果をもたらす術だが、無詠唱かつ出力を最低限に抑えたことで紫色の仄かな光がはやてに緩やかな眠気を齎す。

 

「今はゆっくり休め。

 元気になったら、また皆でご飯を食べよう」

 

「……うん……ありがとな……兄、ちゃん……」

 

微笑ながらゆっくりと瞼を落とし、はやては眠りについた。

 

起きていた体をベッドに寝かせて毛布を掛け、ゲーデは静かに病室を出る。

 

そのままエレベーターに乗って屋上に出ると、守護騎士達が揃ってゲーデを待っていた。

 

「来たか……早速だが、主はやてのことで大事な話が有る」

 

「……ああ、俺も大事な話が有る」

 

胸元のヴァナルガンドを握り締めながら、ゲーデは真っ直ぐにシグナムと視線を合わせた。

 

その威圧感を漂わせるような雰囲気を感じ取り、守護騎士達は自然と身構える。

 

百戦錬磨の守護騎士達を警戒させる程の強者の風格が今のゲーデから放たれていた。

 

(シノン……俺は、決めたぞ)

 

冷たい風がマフラーを揺らすなか、ゲーデは心の中で呟いた。

 

 

 

 

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 

 

 

 

 時はシノンが休憩室で眠りに就いた頃から少し遡り、冬の訪れによって気温が冷え込んできた朝のこと。

 

普段通り学校への通学路を歩くなのはの隣には五体満足なフェイトの姿が有り、一緒に登校する時間を楽しそうに笑い合っている。

 

「体調、もう大丈夫?」

 

「うん。魔法はまだ使えないけど、体は平気」

 

フェイトは無人世界での戦いでリンカーコアを蒐集されてしまったが、幸いなことに外傷は殆ど無かったので日常生活に支障は無かった。

 

医者の見立てでは、以前のなのはと同様に2~3日休めば魔法も使えるようになるそうだ。

 

並んで歩く2人はスクールバスの停留所に辿り着き、バスを待つ他の生徒の耳に入らぬように会話の手段を念話に切り替える。

 

(当面の間、なのはと私は呼び出しが有るまでこっちで普段通りに過ごしてくれって)

 

(出動待ちっていうのかな、こういうの)

 

幾らAAAランクという破格の実力を持っていても、なのはとフェイトはまだ子供だ。

 

加えて、普段は学校にも通っている2人にこれ以上の無理はさせられないというのがリンディの考えであり、なのは達もその気遣いを理解している。

 

(今は武装局員の数を増やして、守護騎士達との接触を優先するみたい。

 こっちに交渉の意思が有るってことを伝える為だって)

 

(そっか……どうにか、お話し出来ると良いんだけど。

 シノン君とユーノ君も、その為に調べ物を頑張ってるみたい)

 

なのはは早朝から家を出て本局の方へ向かったシノンのことを思い出す。

 

彼が高町家で暮らすようになってから平日の朝は毎日シノンに起こしてもらっていたのだが、それが無かった今朝は少しだけ寂しさを感じた。

 

(無限書庫、だよね?

 私、まだシノンに砂漠で助けてもらったお礼言えてないな)

 

(どんなに遅くなっても午前中で切り上げて戻るって言ってたから、その時に言えば良いよ)

 

なのはの言葉にフェイトが頷きを返し、席に座って間も無くバスが発進する。

 

そこで自然と会話は途切れ、窓側に座ったなのははぼんやりと外の景色を眺める。

 

なのはにとってはもはや見慣れた光景なので目に留まるような発見は無いが、ふと脳裏に昨夜のシノンの姿が思い浮かぶ。

 

通信が届いて少し話してくると離れて程無くして戻って来たのだが、その時のシノンの様子になのはは何処か違和感のようなモノを感じた。

 

(あの時のシノン君、何だか元気無かったな。

 何か、力になれないのかな)

 

ジュエルシード事件だけでなく、高町家で一緒に暮らすようになってからもシノンには色んな形で助けてもらった。

 

何に悩んでいるのかは分からないが、彼の力になれないかとなのはは考えを巡らせる。

 

しかし、悩みの原因が分からなければ良い案が思い浮かぶわけもなく、考え込んでいる間にバスは学校前に到着してしまった。

 

他の生徒達がバスを降り始めたことに気付き、なのはも急いで外に降りたフェイトと合流して学校へと歩いていく。

 

幸い降車が遅れたことをフェイトは気にしておらず、心配されるようなことはなかった。

 

(こっちに戻ってきたら、ダメ元で訊いてみようかな……)

 

自分が今考えてもどうにもならないと判断し、心中で静かに決意を固めたなのはは再びフェイトと談笑しながら教室へと歩き出した。

 

 

 

 

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 

 

 

 

  Side シノン

 

 1時間程の仮眠を取ってから本局の転送ポートを使い、オレは海鳴に戻ってきた。

 

朝早くに高町家を出発してから無限書庫で5時間近く調べ物をして、今の地球の時刻はおよそ午後2時。

 

なのは達とは放課後に翠屋で合流する約束なので、先に行って待つとしよう。

 

心中で進路を決定して歩き出すが、頭の疲れが抜け切っていないのか視界が僅かに歪む。

 

「……流石に全快とはいかんか」

 

無理をした自覚は有るので驚きは無いが、なのは達には気付かれないようにしよう。

 

すっかり慣れた道を歩いて翠屋に到着し、カウンターに立つ士郎さんと桃子さんに挨拶を済ませた後は外のテーブルに座ってなのは達を待つことにした。

 

しかし、ただ空を眺めて待つわけにもいかない。

 

無限書庫の調べ物はユーノに引き継いだが、現状で分かっている情報を頼りに解決策が無いかを考えることは疲れた頭でも出来る。

 

無限書庫の調査結果は管理局とは別にゲーデにも送ってあるので、少し時間が経てばアイツからも何らかの情報が手に入るかもしれない。

 

まず現状で分かっているのは闇の書……現在の夜天の魔導書は一定期間の蒐集を行わなければ主の命を蝕んでしまうこと。

 

主である八神はやての命が徐々に弱っているのはコレが原因だ。

 

だが、もし魔力の蒐集を終えて頁を完成させたとしても、その場合は集めた魔力を使い切るまで周囲を破壊するという暴走システムが発動する。

 

ならばその暴走システムを停止させれば良いのでは、と誰もが考えるだろう。

 

しかし、何とも悪質なことに夜天の魔導書は真の持ち主以外からのシステムへのアクセスを決して認めず、強引に外部からの操作を試みれば転生機能が発動する仕組みになっている。

 

 

八神はやての命を救うにはまず夜天の魔導書を完成させなければいけないが、完成させれば八神はやては大災厄となって死ぬ。

 

 

何とも最悪な話だが、コレが現状で分かったことの纏めだ。

 

一見すると明らかに詰みとしか思えないが、諦めるのはまだ早い。

 

こういう場合、考えるべきなのは正攻法による解決策ではなく、システムの抜け穴だ。

 

傭兵時代に培ったオレ自身の経験則のようなものだが、どれだけ厄介で理不尽な契約でも、そこには必ず何かしらの隙間が存在する。

 

そんな隙間は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(事前に手が打てないなら……いっそのこと……)

 

「あ、シノン君~!!」

 

自分の名前を呼ぶ声に反応し、思考が途切れる。

 

聞こえてきた方向に視線を向けると、仲良さそうに並んで歩くなのは達4人の姿が有った。

 

片手を軽く上げて返事を返し、席から立ち上がってなのは達の元に歩いていく。

 

「おかえり、なのは。

 皆も学校お疲れさん」

 

「うん、ただいま!

 シノン君、この後なんだけど……」

 

笑顔で返事をしたなのはに続き、隣に立っていたすずかが少し申し訳なさそうに手を上げた。

 

「あのね、友達が突然入院することになったの。

 だから、街でお花とか色々買ってお見舞いに行きたいんだけど……」

 

「そうか……オレは構わんよ。

 荷物持ちなら幾らでも引き受けよう」

 

「そうね。

 ここ最近付き合いが悪かった分、働いてもらいましょう!」

 

そう言いながらオレの肩を叩いたアリサの言葉になのは達も笑顔を浮かべる。

 

アリサの言う通り、守護騎士の襲撃からゲーデと再会してこれまで、何度か遊びの誘いを断ってしまったので埋め合わせは必要だろう。

 

「そういうことなら……なのは、士郎さんに言ってケーキでも用意してもらったらどうだ?

 今はちょうどお昼のピークが落ち着いてきた頃だし、余裕が有ると思うぞ」

 

「うん、わかった!

 ちょっとお父さんに聞いてみるね」

 

オレの提案に頷き、なのはは笑顔で翠屋の中へと入っていった。

 

なのはの到着を待つ数分の間、オレはふと小さな疑問が浮かび上がったので尋ねてみた。

 

「そういえば……その入院した友達って誰なんだ?」

 

「あ、そっか。ごめん、名前言ってなかったね。

 でも、シノン君も知ってる人だよ。

 この前メールで写真に写ってた女の子、八神はやてちゃんだよ」

 

軽い気持ちで尋ねた質問に対し、予想外の名前が不意打ち気味に叩き付けられる。

 

疲れたオレの頭は一瞬だけ処理が追い着かずにフリーズを起こして肉体ごと混乱し、直立したその場で派手にすっ転ぶこととなった。

 

 




ご覧いただきありがとうございます。

ちなみに、本編には出てませんがゲーデサイドにはすずかのメール経由でなのはとフェイトのことが守護騎士達に知られてます。

アニメ見てても思いましたが、ここら辺のタイミングの巡り合わせって最悪も最悪ですよね。

結構がんばっているのですが、シノンの心労はまだまだ収まりそうにありません。

では、また次回。
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