これは人間が音を、想いを紡いでいく物語。
ーーーーとある場所に一人の人間がいました。
「はぁ、なんでこうなったかねえ」
ーーーーその人間は、とある事情で人生に絶望し、ただ死を待ち望んでいました。
"ですからー、お詫びなんですよぅ。あなたも暇だったしいいでしょー?"
「だからと言われて『私は神様です』なんて言ってくるやつを信用するわけないでしょう」
"いいですから、はやく望みを言ってください"
ーーーーしかしなんの巡り合わせか、神様と呼ばれる存在と関わることになりました。
「んじゃ、なんか適当に」
"えー......あ、じゃあ楽器と能力でいいでしょう。それを持って幻想郷に行ってきてください"
「幻想郷? 楽器? 能力? まぁ、なんでもいいが」
"それでは.....ああ、紫? この子を幻想郷に案内してあげて"
ーーーーそれは数奇な運命。死のうとしても勇気がなくて死ななかっただけの人間の物語。
くぱぁ.....
「うわ、なんだこの気持ち悪い穴」
"紫の能力のスキマよ。あなたにも能力あげたから、幻想郷についたら確認してね。あとこれが楽器"
「だから幻想郷ってなんだよ。能力あげたってかんだよ。楽器と言いながらなんでバイクなんだよ」
"そのバイクはねー、神曲奏界ポリフォニカって小説に出てくる楽器なんだよ。ピアノに変形するの"
「なんでだよ......」
ーーーー彼の運命がどうなるか、それは誰にもわからない。
"とりあえず行ってきてよ。音楽関係の知識とかあげるからさ。あ、注意するのはあまり戦闘能力がないことだね"
「まぁ、いいけどよ。どうやって行けばいいんだ?」
"その穴に落ちて"
「......嫌な予感しかしない。だが、まぁいいだろう。どうせ生きてても意味のない命だ」
ーーーー人間は進んだ。生きていない、死んでいないだけの人間は降って湧いたこの機会に死ななくともどうなるかわからない道をーー
"......後は紫に任せるかな。じゃあね◯◯君。いや、元ーー"
ーーーーそれはそんな物語。
ーーーーーーーーーー
「くそっ、やってられっか!」
俺は音楽を奏でる。それは全てを奮い立たせる、勇気の曲。
「はっはっは! そんな弾幕じゃ私に当てるなんて百年早いんだぜ!」
魔理沙が飛ばしてくる弾幕を展開したハーメルンと共に避ける。くっ、さすがにこの大きな楽器と共に動くのは辛い。だからといって魔理沙の弾幕を打ち消すなんてまだできない。
俺は逃げていた。笑いながら追ってくる魔女から。なぜか演奏していたら突っかかってきたのだ。
「さぁ、私にもっとその曲を聞かせてくれよ!」
「......やるしかないか」
俺は振り返り向き合う。改めてキーを確認し、その曲を演奏し始めた。
〜 恋色マスタースパーク 〜
「あははは! それいいな。なんか私に合ってる気がする」
「まぁ、そうだろうな。お前のために作られた曲なんだから」
俺はあの神様と名乗った存在にもらった知識を思い出す。
それは幻想郷についた時に与えられたもので、その中の一つにこんなものがあった。
『東方Project』
そこから引っ張り出したのがこの曲。
まぁ、まさか戦うことになるとは思わなかったけど。
「じゃあ、戦闘再開だぜ!」
「なんでそうなるかなぁ......」
俺は音に力を込めて弾とし、曲とともに放つ。
これからどうなるかーー
ーーーーーーーーーー
「また来たのね」
「ああ、相変わらず暇そうだな」
「うるさい。殴るわよ」
俺は神社にきていた。そこにはいつも通り縁側で正座しながら暇そうにお茶を飲んでいる巫女がいた。それでいいかと問いたいが、まぁいいのだろう。
「なにしにきたのよ」
「暇つぶし」
「決めた。あんたぼっこぼこにする」
そう言うや否やざっと立ち上がりこちらにお札を構える巫女。霊夢。
あー、もうめんどくさいなぁ....
「じゃあ演奏しにきた」
「早くしなさい」
さっきまでの殺気だった様子はどこへやら、また縁側に座る霊夢。やれやれ、幻想郷は娯楽が少ないせいか音楽が好まれるんだよね。それだけが理由で上級の妖怪とかにも殺されなかったし。
「よし」
俺は始める。それは才能に愛された少女のための曲ーー
〜 少女綺想曲 〜 Dream Battle 〜
「......綺麗な音ねえ」
「それはよかった」
演奏しながらでもはっきりと聞こえる賞賛に、俺は答える。
さて、集中しようかーー
ーーーーーーーーーー
「あやや、あなたが今噂の楽士ですね?」
「噂なのか......? まぁ、楽士なら多分俺だ」
風を切る音が聞こえたと思ったら、目の前に黒い羽をはやした少女が現れた。こいつは......射命丸か。
「いやですね、あなたの噂を聞いて探してたのですが中々見つからなかったんですよ。なので博麗の巫女のとこに行って聞いてみたらさっきまで居たというじゃありませんか。だからその周辺を探していたらあなたを見つけたわけですよ。いやぁ、本当なかなか見つからなくて苦労しました。それがどれくらいの苦労かと言うとーー」
「つまり?」
「ーーあなたのために苦労したのですから取材と噂の曲を聞かせてください」
「その理屈はおかしい」
しかし特に断る理由もなかったのでOKを出す。
うーん、烏天狗は捏造とかで有名なんだけど、大丈夫かな?
「そうですか。ありがとうございます。ではさっそくですね、曲を聞かせてください」
「はいはい」
どうやら曲を聞いた後に色々と取材するようだ。
射命丸か.......あれだな。俺はこの曲がけっこう好きだ。
それは空を翔ける少女の全てを元気にさせるような曲ーー
〜 風神少女 〜
「..........ほほぅ、予想以上にいいものですね。これは一面に出来そうです」
「褒めていただき恐悦至極」
その後に簡単な質問をしてから帰っていった。
あれ? 噂に聞いた烏天狗は根掘り葉掘りしつこく聞いてくるってのだったんだけど......所詮噂は噂か。
ーーーーーーーーーー
くっ、どうする。どうすればいいんだ!
「アハハハハ! もっト遊んでヨお兄さン」
「なぜここまで狂気に満ちている!? 情緒不安定どころじゃねえぞ!」
ちょいっと色々あってレミリアにフランを正気に戻してくれと頼まれた俺は紅魔館の地下にきていた。俺の知識では、フランはちょっと情緒不安定だけど普通の女の子(吸血鬼だけど)だったはず。しかし会ってから少し会話した後、フランはまるで壊れたかのように狂気を撒き散らし始めた。
「お兄さん、私トどこマでも堕ちよウ......?」
「残念だが、俺は外にいた時の俺じゃない! まだ生きていなきゃいけない理由がある!」
そう、俺は変わった。『死んでいない』じゃない、ちゃんと『生きている』んだ。
なぜフランがこうなったかはわからないが、元に戻してみせよう!
ーーーー死のうとしていた人間はーー
「いくぞ!」
「アハハハハ! 全テ受け止メてアげる!」
それは狂気に堕ちた孤独な少女の曲ーー
〜 U.N.オーエンは彼女なのか? 〜
「イイ曲だね! 壊シテあげル!」
「俺はそう簡単にやられないぞ!」
ーーーー今は希望を持って絶望と対峙していた。
「アハ、そンな物あっタラ避けレないヨ?」
「だけど、これは相棒だから離すわけにはいかないんだ」
俺は全力で奏でる。その曲に想いを乗せてーー
「アハハハハ!」
「くっ!?」
しかし、少女の放つ弾幕に俺はまともに太刀打ちできるはずがない。だが、
「あああああああ!」
「アハハハハ!」
俺は正面から行く。こんな孤独で泣いている少女を受け入れなくてなにが男か。
俺は弾幕を突っ切ってーー
「正気に戻れやああああああ!」
「..........アハ」
ーーENDーー
さてはてどうでしたでしょうか?
なんとなく『東方神アレンジメドレー』を聞いていたら思いついたので書いてみました。長編は今のとこ書くつもりはありません。余裕ありませんし。
このネタを持っていきたいと言う人がいれば是非。いないとは思いますが。
一応長編で書くとしたら東方系楽曲の他にも私の気に入ってる曲を入れるでしょう。まぁそんなに東方楽曲が多いわけでもないし、仕方ないね。
あー、でも前に東方と神曲奏界ポリフォニカとクロスしてた作品があった気がする。ネタ被りだった場合はごめんなさい。
あ、これは転生ではなく、主人公は幻想郷の外の世界の住民です。あの神様がどんな存在かは秘密。
あと、作中には書いてありませんでしたが主人公のもらった能力は『想いを奏でる程度の能力』です。