最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!?   作:問題児愛

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プロローグなのに長い‥‥‥

何故か急に違う話を書きたくなって『問題児シリーズ』の二次創作第三弾が生まれてしまった(苦笑)


YES!ウサギが呼びました!
プロローグ


 五月晴れ。

 暖かい初夏の風に吹かれて、逆廻(さかまき)亜夜(あや)はふと目を覚ました。

 

「―――――ん、」

 

 亜夜は中学生の制服を着て、学校の屋上の日陰に寝そべっていた。

 別に、授業をサボっているどこぞの不良生徒ではない。

 昼休みの時間に屋上に着て(くつろ)ぐのが、彼女の日課である。

 屋上を頻繁に利用している彼女もまた、優等生とは言いがたいが。

 

 キーンコーンカーンコーン‥‥‥と学生ならよく耳にするチャイムの音が鳴り響く。

 亜夜は眠そうな目を擦って時計を確認して―――

 

「ゲッ!?今の予鈴じゃなくて本鈴ですか!?」

 

 亜夜は『しまった!?』と勢いよく起き上がって屋上の扉まで駆け足。

 扉を開け閉めすると階段を駆け下りて急いで教室に向かった。

 そして、教室の扉をそぉっと開けて中に入ると、

 

「五分遅刻だ逆廻ッ!」

 

 ゴンッ!!

 

「痛ッ!」

 

 英語の先生が持っていた分厚い教材を、亜夜の金髪頭に奔らせた。

 亜夜は打たれた頭を押さえて涙目になる。

 それを見た英語の先生は苦笑いを浮かべて言う。

 

「まあ逆廻が授業に遅刻するのは滅多にないことだから今日のところは―――もう一発で許してやろう!」

「ちょ、先生!?そこはやらないでお仕舞いが筋ですよね!?」

 

 亜夜のツッコミに教室にいた生徒達からどっと笑いが起こる。

 英語の先生も豪快に笑って返答する。

 

「ワッハッハ!冗談だ!席に戻っていいぞ」

「は、はあ‥‥‥」

 

『先生の冗談は、冗談に聞こえません!』

 と言いたかったが、これ以上は弄られるだろうからやめることにした。

 

 

 

 キーンコーンカーンコーン‥‥‥と放課後のチャイムが鳴り響く中、

 

「うにゃぁぁぁぁ‥‥‥」

 

 プシューッ!と音を立てながら、亜夜の金髪頭から白い煙が立ち昇る。

 机に突っ伏して金の長い髪を垂れさせていた。撃沈である。

 英数社と6時限目まで授業を受けたが、彼女の脳はパンク寸前にまで追いやられ、

 

「うにゃぁぁぁぁ‥‥‥」

 

 見事に撃沈したのだった。

 それを見た担任の先生は苦笑しながら歩み寄る。

 

「逆廻はしっかり者でも何故か頭は悪いんだよなあ。君の兄は賢いと聞いたんだが、何処で突然変異したんだか」

「私はヘンテコ動物ではありません!お兄ちゃんが私の賢さを奪ったんです!」

「奪ってはないだろ」

「うっ‥‥‥」

 

 担任の先生のごもっともな指摘に言葉が詰まる亜夜。

 一方、それにクスクスと笑う教室の生徒達。

 担任の先生の言った〝兄〟とは、亜夜の大好きなお兄ちゃん―――逆廻(さかまき)十六夜(いざよい)のことである。

 その十六夜は不良高校生の割には頭脳明(せき)という、亜夜とは正反対の性格をしている。

 

 亜夜はしっかり者・世話焼き・手本の(かがみ)

 反面、お馬鹿・兄好きのブラコンと残念な妹。

 十六夜は粗野・凶悪・快楽主義と三拍子揃った残念な兄。

 反面、頭脳明晰・妹に過保護の実は良い兄!?

 

 といった感じである。

 ちなみに亜夜の兄・十六夜曰く、

『―――が死んだから行く必要がない』

 と絶賛不良高校生をやっているのだった。

 

 

 

 ―――その帰り道。

 ふと小さな公園に立ち寄り、ブランコに座って夕日を眺める。

 身長が145㎝と小柄な亜夜には丁度いい椅子で、そのままブランコを漕ぎ始める。

 

「~♪」

 

 鼻歌混じりにブランコを漕ぐ亜夜は、勢い余って漕いだ状態から飛び降りて―――

 

「ふにゃっ!?」

 

 顔面から地面に綺麗にダイブした。それはもう見事に。

 亜夜は起き上がって制服についた砂(ぼこり)を払い、

 

「イッタタタタタ‥‥‥」

 

 地面に打った鼻頭を指でさすりながら立ち上がる。

 亜夜は涙目で夕日を見上げると―――不意に光輝く『何か』が瞳に映り込んだ。

 

「‥‥‥手紙?」

 

 それが手紙だと悟った亜夜は、右腕を伸ばして掴んで封書の後ろを見るとそこには―――

『逆廻亜夜殿へ』

 と達筆に書かれていた。

 それを見た亜夜は目を見開いて驚くが、すぐに何時もの真面目顔に戻すと、

 

「‥‥‥変な手紙。お兄ちゃんに相談してから開封しましょ♪」

 

 封書を肩に提げたバッグの中に仕舞って寮には行かず、何処で何をしているか不明の兄を探す旅を始めるのだった。

 

 

 

 ―――そして兄・十六夜の捜索を開始してから数日後。

 

「結局此処に来てしまいましたね‥‥‥」

 

 亜夜は十六夜を見つけられず、最後の砦と、児童福祉施設・――――ファミリーホームに足を運んでいた。

 真っ白な塗装をされた無骨な建造物の前に立ち、見上げる。

 

「久しぶりですね、――――ファミリーホーム」

 

 フフ、と笑って門を開けて中に入っていく亜夜。

 すると―――

 

「あ、アヤ姉だ!ヤッホーアヤ姉!やっと来てくれたんだね!」

「あ!鈴ちゃんただいまー♪ん?‥‥‥やっと?」

「お帰りアヤ姉。それについては携帯確認すれば分かる」

「ほむちゃんもただいまー♪‥‥‥携帯?―――ああ!」

「「五月蝿い」」

 

 叫ぶ亜夜にピシャリと言う二人。

 健康的な褐色の肌とパイナップルのような髪型の少女―――彩里(あやざと)鈴華(すずか)と。

 ボサボサの頭に眼鏡をかけた少年―――西郷(さいごう)(ほむら)のものだ。

 一方、亜夜は急いで携帯(しかもガラケー)を立ち上げると、

 

「うにゃぁぁぁぁ!?」

 

 着信履歴に鈴華の愛称『鈴ちゃん』の不在着信がぎっしり並んでいた。

 その件数は―――ざっと1000通を越えていた。

 それを見た亜夜は大絶叫を上げたのである。

 

「『うにゃぁぁぁぁ!?』ってアヤ姉は猫なの?」

「違います!断じて違います!!」

 

 焔が呆れたような声音で問うと、亜夜は首をブンブン振って否定する。

 それに鈴華がクスクスと笑って、亜夜に駆け寄り、

 

「とう!」

「ふにゃっ!?」

 

 空中突撃抱擁(フライングボディーアタック)を亜夜に決め込んだ。

 強烈な抱擁を受けた亜夜はフラついてそのまま後ろに倒れ込んだ。

 鈴華は亜夜の金髪姫カットの後ろ髪を指先でクルクルと弄りながらはしゃぐ。

 

「アヤ姉の髪ってホントサラサラだよね!どうなったらこうなるの!?」

「フフ。日々の髪の手入れを欠かすことなく行えば鈴ちゃんの髪もサラサラになりますよ!」

「‥‥‥だけど胸の成長が残念なアヤ姉は、巨乳好きのイザ兄のハートを掴めない」

「う、五月蝿いですよほむちゃん!」

 

 水をさす焔に、ビシッと彼に指さして怒る亜夜。

 それに焔がムスッと不貞腐れたような顔をして言う。

 

「俺は男なんだから、ちゃん付けはやめてほしいよアヤ姉」

「嫌です♪可愛い愛称じゃないですか!ほむちゃん!」

「‥‥‥()()姉」

「な、誰がアホ姉ですか!誰が!?」

「アヤ姉」

 

 ざっくりと言い放つ焔に、胸を押さえてバタリと倒れる亜夜。

 効果は抜群である。

 そんな仰向けに倒れた亜夜にしゃがんで寄り添う鈴華。

 亜夜は鈴華に震えた右手を差し出して、

 

「‥‥‥鈴ちゃん」

「はい?」

「あとは‥‥‥頼み、ました‥‥‥‥‥ガクリ」

「あ、アヤ姉ぇぇぇぇ!!」

 

 ガクリと動かなくなった亜夜の手を掴んで叫ぶ鈴華。

 焔は痛い頭を抱えて『駄目だ早くあのアホ姉をなんとかしないと』と呟いた。

 そして焔は絶賛死んだフリ状態の亜夜に近寄り、

 

()()!」

「うにゃっ!?」

 

 彼女の金髪頭に手刀を打ち込んだ。

 亜夜は子供ながら強力な手刀を受けて短い悲鳴を上げた。

 焔はしてやったりの顔で亜夜を見る。

 一方、亜夜は涙目で焔を睨んで言う。

 

「ちょっとほむちゃん!私の扱い酷くないですか!?」

「‥‥‥イザ兄に手刀かますと返り討ちに遭うけど、アヤ姉は仕返しにこないからやりたい放題」

 

 焔の言葉にガクリと膝をついて項垂れる亜夜。

 だが、それが亜夜の優しさなのだと、焔は笑って彼女の肩を叩く。

 

「ねえ、アヤ姉」

「‥‥‥何?」

「はい、コレ」

「‥‥‥‥‥?」

 

 コレは?と亜夜は小首を傾げて訊く。

 それに焔は頬を掻いて若干照れながら、ヘッドホンを亜夜に渡す。

 

「仲直りの‥‥‥印に受け取ってアヤ姉」

「え?でもコレってお兄ちゃんにあげるやつなんじゃ―――」

「イザ兄にはもう渡した。コレはアヤ姉の為に造った―――イザ兄とお揃いのヘッドホン」

「お、お揃い!?」

 

『お揃い』と聞いて跳び跳ねる亜夜。

 それに焔と鈴華は苦笑して、焔が頷く。

 

「おう。ただまんま同じなのは不味いから炎のエンブレムの色を蒼にした」

「いやいいですよ!はい!ありがとうほむちゃん!」

「うおっ!?」

 

 亜夜の抱きつきに、避ける暇もなく抱擁される焔。

 彼の頬が心なしか赤くなっている気がしなくもない。

 それをニヤニヤと見つめる鈴華だった。

 

 

 

「―――それで、お兄ちゃんは此処に来てませんか?」

「イザ兄にヘッドホン渡したって言った=来ていただよアホ姉」

「アホ姉言うのはやめてください!ほむちゃん!‥‥‥そうでしたね。―――――ん?()()()()?」

 

 焔の不可解な言葉に、亜夜は小首を傾げる。

 それに鈴華が封書を亜夜に手渡して言う。

 

「そうなの!イザ兄はこの手紙を読んで以来消えて戻ってこないの!」

「え?こ、コレって!?」

 

 亜夜は見覚えのある封書に、『もしかして』と自分の肩に提げたバッグの中から同じ封書を取り出した。

 

「‥‥‥やっぱり」

 

 封書の裏に記述されている名前以外、全て一緒の封書を手にとって確信する。

 一方、嫌な予感がした鈴華は、亜夜の制服を引っ張って引き止める。

 

「え?」

「やだよ!イザ兄に続いてアヤ姉まで消えちゃうのはイヤ!!」

「‥‥‥鈴ちゃん」

 

 心配してくれる鈴華をそっと抱きしめて慰める亜夜。

 

「大丈夫。私は消えたりはしませんよ。お兄ちゃんを―――取り返しに行ってくるだけですから」

「‥‥‥ホント?」

「はい。だから―――――信じて待ってくれますね?」

「うん!イザ兄を連れ帰ってきてね、アヤ姉!」

「了解!」

 

 涙を拭いながら笑顔で言う鈴華。

 それに『私もお兄ちゃんも幸せ者だなあ』と密かに喜びを噛みしめる亜夜。

 一方、焔が何やら遺書らしきものを手渡してきて、

 

「行く前に、―――先生の遺書に目を通して」

「―――お姉ちゃんの?」

 

 亜夜は―――の遺書を受け取って速読する。

 内容はやっぱり十六夜に宛てたものがほとんどだったが、

 

「――――――――――!!」

 

 遺書の最後の一文を見て、一縷(いちる)の涙を流す亜夜。

 そしてその言葉を胸に秘めて―――

 

 

「行ってきます!鈴ちゃん、ほむちゃん!―――お姉ちゃん!!」

 

 

「行ってらっしゃい!アヤ姉!イザ兄を頼んだよ!」

「‥‥‥行ってらっしゃい」

 

 亜夜は鈴華と焔に最後の―――もしくは()()()笑顔を振り撒きながら、消えていった。

 

 そして―――の遺書に書かれていた最後の一文は―――――

 

 

『亜夜ちゃん。十六夜君の事は―――()()()()()

 

 

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、

 己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 我らの〝箱庭〟に来られたし』

 

 

 

 

「うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 亜夜は大好きな兄・十六夜のいる異世界―――『箱庭』に召喚されるのだった。

 




焔の漢字が原作と違うのは―――私の携帯がお馬鹿だからです!

十六夜の家・不明。
亜夜の家・学生寮。
別々に住んでる設定です。‥‥‥何故か←

学生モードは真面目。
通常モードは‥‥‥うん。
ブラコンモードも‥‥‥うん。

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