最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!?   作:問題児愛

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今回はレティシア登場回です。
訪問理由は次回に持ち越しですが。


第九話 レティシアの訪問と消去の障壁

 本拠に戻った亜夜達七名のうち、十六夜・亜夜・黒ウサギの三名は談話室に集まっていた。

 十六夜が〝ノーネーム〟の元お仲間が景品に出されるギフトゲームに参加するのを知り、黒ウサギが舞い上がっていたが―――

 

「ゲームが延期?」

「はい‥‥‥申請に行った先で知りました。このまま中止の線もあるそうです」

 

 中止の可能性があると知った黒ウサギは一転して泣きそうになっていた。

 十六夜はつまらなそうに舌打ちするが、どうにも出来ないなら仕方がない。やりようがない。

 

「まあ、次回を期待するか。ところでその仲間ってのはどんな奴なんだ?」

「そうですね‥‥‥一言で言えば、スーパープラチナブロンドの超美人さんです。指を通すと絹糸みたいに肌触りが良くて、湯浴みの時に濡れた髪が星の光でキラキラするのです」

「へえ?よくわからんが見応えはありそうだな。―――ま、可愛さなら我が妹に何人も敵いやしねえけどな!」

「お、お兄ちゃん!‥‥‥もうっ!」

 

 十六夜のべた褒めに頬を赤らめながらプクッと膨れっ面になる亜夜。

 ―――まあ、内心ではこの上なく喜んでいるのだが。

 それに黒ウサギは苦笑して、

『亜夜さんは確かに可愛いですが、レティシア様だって可愛らしい方なんですよ!美少女なのですよ!』

 と、心の中で叫んだ。

 

「‥‥‥ん?」

 

 ふと何かに気づいた十六夜は、一瞬だけ窓の外を見る。

 だが、そこには誰もいない。

 不思議に思った十六夜は、不意にソファーから立ち上がる。

 それに黒ウサギは首を傾げて問う。

 

「?どうかなさいましたか十六夜さん?」

「ん?あ、いや、別に」

「‥‥‥?お兄ちゃん?」

 

 亜夜も十六夜の曖昧な返事に小首を傾げる。

 十六夜は亜夜を見てニッと笑ったあと、黒ウサギに視線を移して唐突に言った。

 

「あ、そういや無償に喉乾いてきたなあ。(わり)いが何か飲み物持ってきてくれねえか?黒ウサギ」

「へ?いきなりですね!?‥‥‥分かりました。お紅茶持ってきます!」

「おう。()()()()()構わねえからな」

「え?それはどういう―――ハッ!?まさか黒ウサギが部屋を出てる隙に、亜夜さんに〝あんなコトやこんなコト〟をするおつもりじゃ!?」

(ちげ)えよ。駄ウサギの思考回路はどうなってやがんだよ」

「誰が駄ウサギですか!」

「オマエ」

 

 十六夜に弄られてガクリと肩を落とした黒ウサギは、そのまま部屋を後にした。

 十六夜はそれをヤハハと笑いながら見送り、視線を亜夜に戻すと―――モジモジしていた。

 

「‥‥‥何でモジモジしてんだよ、亜夜」

「―――お兄ちゃん」

「何だ?」

「私なら何時でも―――――お兄ちゃんを()()()()()()()は出来てるから、ね?」

「は?」

 

 亜夜のとんでもない発言に、素っ頓狂な声を上げる十六夜。

 まあ、妹が兄と××なコトをしていいという以前に、この娘もまた勘違いしていたことに驚いたのだろう。

 亜夜はフリルのいっぱい付いたメイドスカートの裾を押さえ、もう片方の手を口元に持っていき頬を朱に染めて恥じらいながら言った。この少女は本気だ。

 それに十六夜は三日月の笑みを見ながら、

 

「ふにゃっ!?」

「そんなにしてほしいなら、ヤってやっても―――()()()()()?」

 

 亜夜の顎を持ち上げて吐息が触れ合うくらいの距離まで接近して、顔を覗き込む。

 その不意打ちに赤面しながら目を白黒させる亜夜。

 

「~~~~~っ!?!?」

 

 そんな亜夜の表情を見てケラケラと笑いながら十六夜は言った。

 

「ま、冗談だけどな」

うにゃぁぁぁぁん(ガーン)!?」

 

 十六夜の冗談に、亜夜は露骨に残念がる。もう一度言おう。彼女は本気である。

 十六夜はそれに苦笑しながら亜夜の頭を撫でて、スッと目を細めると窓の外を見て言う。

 

「おふざけは此処までにして―――()()()()()?入ってこいよ」

「―――へ?」

 

 亜夜がキョトンとしていると、不意に窓が開き―――

 

「む。気配を消したつもりだったんだがな。よくわかったな」

 

 美麗な金髪を特注のリボンで結い、紅いレザージャケットに拘束具を彷彿させるロングスカートを着た少女―――レティシア=ドラクレアが窓の桟に立つ。

 彼女の両サイドには鬼化させた木々が蠢いていた。

 それを見た十六夜は、確信したように頷き訊ねた。

 

「やっぱり〝フォレス・ガロ〟に手を貸したのはオマエだったんだな?」

「ああ。そのことについては隠す気もない」

「そうかよ。それでアンタは何者で何しに来た?黒ウサギの言ってた超美人な元・魔王のお仲間さんか?」

「‥‥‥その問いに関してはノーコメントだ。何せ私には―――()()()()()()()()

 

 レティシアは手を前に突き出すと、鬼化植物が一斉に十六夜に襲いかかった。

 十六夜は嬉々として拳を握り、木々を殴りつけ消し飛ばす。

 それを見たレティシアが驚愕していると、

 

「―――今度はこっちの番だ。ロリ吸血鬼!」

「―――――っ!」

 

 一瞬でレティシアに肉薄した十六夜は、拳を振り抜く。

 それをレティシアはなんとか躱すと、十六夜の拳が壁をゴッソリ打ち抜いた。

 壁には大きな穴が開くというデタラメ加減の一撃である。

 十六夜は追撃の拳をレティシアに繰り出すが、

 

「お兄ちゃん、待って!」

「うおっ!?」

「む?」

 

 亜夜がレティシアを庇うように割り込んで来て両手を広げた。

 それに十六夜は寸でのところで止めて、亜夜に怒鳴った。

 

「馬鹿!危ねえだろ駄妹!」

「馬鹿はお兄ちゃんだよ!こんなところで暴れたら屋敷が壊れちゃう!」

「‥‥‥あ、それもそうだな」

「もうっ!時と場所を考えてよねお兄ちゃん!」

 

 逆に亜夜に叱られて苦笑いを浮かべる十六夜。

 一方、亜夜に庇われたレティシアはフッと笑って、

 

「隙だらけだ」

「―――――え?」

 

 金と紅と黒のコントラストで彩られたギフトカードを取り出すと、(ランス)を顕現させ、亜夜を背後から串刺しにしようとした。

 それに十六夜は蒼白させながら叫ぶ。

 

「亜夜!」

「‥‥‥‥‥」

 

 十六夜の声に亜夜は目を閉じて、

 

「―――消去(デリート)モード・〝障壁〟」

 

 そう告げて目を開けると、紫の瞳は真紅に染まっていた。

 そして―――

 

「何!?」

 

 レティシアの槍は亜夜に届かず、紅い魔法陣のようなモノが阻むと同時にその槍を―――消失(ロスト)させた。

 それに目をいっぱいに見開いて驚くレティシア。

 そこへ、憤怒の如き怒りの表情を見せた十六夜が、レティシアの胸倉を掴んで殴りかかろうとした。

 

「テメェ!よくも俺の妹に手を出しやがったな―――!」

「‥‥‥‥‥っ、」

 

 そこへ、廊下を慌ただしく駆けてきた黒ウサギ達が現れて口々に言う。

 

「十六夜さん!亜夜さん!この騒ぎは一体―――ってレティシア様!?」

「十六夜君!?これはどういった状況なの!?」

「‥‥‥説明を要求する」

「まったく何だというんだ!五月蝿くて寝れんではないか!」

「黒ウサギ!?一体何が―――ってレティシア!?」

 

 黒ウサギ・飛鳥・耀・白雪姫・ジンの順に十六夜・亜夜・レティシアを見回して言う。

 その中で、レティシアの訪問に驚愕する黒ウサギとジン。

 十六夜に状況説明を要求する飛鳥と耀。

 寝ようとして騒がしくて眠れず文句を言う白雪姫。

 それを見た十六夜は、舌打ちしてレティシアを放すと、亜夜に近寄り言う。

 

「もう解除して平気だぞ、亜夜」

「‥‥‥わかった。―――消去(デリート)モード解除」

 

 十六夜の言葉に頷いた亜夜は、消去(デリート)モードを解除すると、瞳の色は紫に戻った。

 そして、十六夜は頭をボリボリ掻きながら言う。

 

「まあ、あれだ。取り敢えずレティシアの話でも聞こうじゃねえか」

 

 十六夜の提案に、黒ウサギ達が頷いて、レティシアの話を聞くことにした。




『消去』のもう一つの性能。
消去モード・〝障壁〟。
あらゆる干渉を無力化し、消失させる。
性能に関しては〝退廃の風〟と思っていただければOKです。

欠点
呪いによって継続時間は数分と短い。
最強の防衛機能のため、攻撃行為を行えない。←〝退廃の風〟と違う点

相手の干渉を消失させるモノで、自分からの干渉は意味をなさない。
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