最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!?   作:問題児愛

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今回で〝ペルセウス〟は決着します。


第十四話 〝ペルセウス〟戦・後編

「あ、皆さん!」

「‥‥‥チッ。全員無事とか本当に使えない無能共だな」

 

 亜夜達の姿が見えて喜びと安堵する黒ウサギ。

 対照的に舌打ちと苛立つルイオス。

 だが十六夜は黒ウサギを睨んで言った。

 

「馬鹿言え。無事なんかじゃねえよ。姿を隠せない亜夜は、騎士に滅多打ちにされて重傷だ」

「え?―――――亜夜さん!?」

 

 十六夜の怒りの籠った言葉に、黒ウサギは慌てて彼に近づき、亜夜を見る。

 亜夜の容体を見て青ざめた。

 

「な、亜夜‥‥‥さん!」

「う、うにゃあ‥‥‥黒ウサちゃん。見事に、やられ、ちゃったよぉ‥‥‥」

 

 弱々しく笑う亜夜。頭からかなりの量の血を流している為、一刻の猶予もないことを悟る黒ウサギ達。

 一方、ルイオスは亜夜が重傷と聞いて高らかに嗤った。

 

「アハハハハハハ!なんだ、少しはやるじゃん無能共。だけど、そのメイドっ子以外無傷だし、やっぱアイツらは無能だな」

「っ!テメェ!!」

 

 嗤うルイオスに怒号と共に睨みつける十六夜。

 それを黒ウサギが止めると、ルイオスは笑って言う。

 

「―――まあ、あのクソ悪魔が治してくれるから別にいいんじゃない?無傷で手に入れたいらしいし、その子」

「何!?じゃあやっぱりサタンがお前らに何かしたのか―――!?」

「いいや。僕らに協力してくれたのはあの吸血鬼の奪還だけさ。力をもらったわけじゃない」

 

 肩を竦めながら言うルイオス。

 サタンが協力したのはレティシアの奪還のみだとルイオスが告げた。

 それは即ち―――彼は()()されていないことを意味する。

 亜夜を欲している割には、随分と消極的である。

 そして十六夜達は、

『これは何かあるに違いない』

 と警戒の手を緩めなかった。

 

「―――まあ、なにはともあれ、ようこそ白亜の宮殿・最上階へ。ゲームマスターとして相手をしましょう。‥‥‥あれ、この台詞を言うのって初めてかも」

「それはお前の部下が優秀だったからであろう?」

「はあ?あんな無能共の何処が優秀?〝名無し〟を全員僕の下に来させたんだから使えないよ、あんな奴ら」

 

 白雪姫の部下への称賛を鼻で嗤うルイオス。

 そんな態度のルイオスに、飛鳥が苛立たしげに言う。

 

「貴方って本当に最低な男ね。部下を褒めるどころか貶すだなんて」

「ハッ!使えない部下を貶して何が悪い!使えない奴は使えないなりに僕に踏み(にじ)られてればいいんだよ!」

「‥‥‥そう。なら貴方も使えない無能男ね」

「はあ?」

 

 飛鳥の挑発に一瞬額に青筋を浮かべるルイオス。

 だがこれは罠だと悟ったルイオスは、すぐに元の余裕な笑みに戻り言う。

 

「へえ。僕に挑発するとはいい度胸だね女。―――まあその手には乗らないし、戦うのは僕じゃない」

 

 そう言って首にかけたチョーカーを外し、掲げて告げる。

 

 

「目覚めろ―――〝アルゴールの魔王〟!!」

 

 

「ra‥‥‥Ra、GEEEEEEYAAAAAAaaaaaaaa!!!」

 

 刹那、耳を(つんざ)くような甲高い女の声が響き渡ったかと思うと―――褐色の光が参加者の視界を染めていった。

 石化のギフトに戦慄する亜夜達。

 だが飛鳥だけは鞘から聖剣を引き抜き告げる。

 

「聖剣よ、()()()()()()()!」

 

 飛鳥の一喝と共に聖剣・カラドボルグが光輝くと―――稲光と共に閃光が放たれ褐色の光を真っ二つに()()()()()

 

「―――――‥‥‥は?」

 

 その光景に一同が素っ頓狂な声を上げた。

 それもそのはず、アルゴールが放った褐色の光は―――〝星霊〟の一撃なのだ。

 全てを石化させるギフトを、幾ら聖剣と言えど不可能である。

 だが、それを可能にして見せたのは、飛鳥の〝威光〟によるものだった。

 飛鳥の〝威光〟が宿った聖剣の一撃が、星霊の一撃を切り裂いたのである。まさにデタラメなギフトだった。

 

「石化のギフトで私達を全員ゲームオーバーにさせようとしていたみたいだけれど―――そうはいかないわよ外道」

「―――チッ!」

 

 盛大に舌打ちしたルイオスは、ギフトカードから炎の弓を取り出して飛鳥を射抜きにかかる。

 だが、

 

「―――――フン。貴様の相手は飛鳥だけではないぞ!」

 

 白雪姫が水流を発生させ、炎の矢を吹き飛ばした。

 それを見たルイオスは再度舌打ちしてアルゴールに呼びかける。

 

「アルゴール!!コイツらを蹴散らせ!」

「ra、GYAAAAAaaaaaaa!!」

 

 アルゴールと呼ばれた、体中に拘束具と捕縛用のベルトを巻いており、女性とは思えない乱れた灰色の髪を逆立てた女が両腕を拘束するベルトを引き千切り、飛鳥達に突進してきた。

 それに飛鳥達が身構える中、

 

「ヤハハハハ!俺を忘れてもらっちゃ困るぜ?魔王様!」

「Gya‥‥‥!?」

 

 獰猛に笑った十六夜が、アルゴールの顔面を殴り飛ばした。

 アルゴールは苦悶の声を上げて後方の壁に叩きつけられた。

 それを見たルイオスは血相を変えて叫ぶ。

 

「な、アルゴール!?」

「ヤハハ。魔王様の相手ならパワー自慢の十六夜様が引き受けるぜ!野郎のことはお前らに任せた!」

「え?ええ、頼んだわよ十六夜君!」

「おう」

 

 飛鳥の言葉に応えながら、嬉々としてアルゴールの下へ駆けていく十六夜。

 その背を苦笑いで見届ける飛鳥・耀・白雪姫。

 一方、怪我しているのにも拘わらず、興奮しながら亜夜が叫ぶ。

 

「うにゃー!お兄ちゃんカッコいいーーー!!」

「ちょ、亜夜さん!?大怪我をしてるんですから安静にしてくださいよ!」

「大丈夫大丈夫!お兄ちゃんのカッコいい雄姿を見たからコレくらい!」

 

 ジンの制止を振り切って勢いよく立ち上がるメイドの亜夜―――が、

 

「~~~~~ッ!?ふにゃにゃにゃにゃぁぁぁぁ!?!?痛い痛い痛い―――!!?」

「ほら、言わんこっちゃない!だから安静にしてくださいと言ったんですよ!?」

「う、うにゃぁぁぁぁ‥‥‥ごめんなさい、ジン」

「‥‥‥よしよし」

 

 勢いよく立ち上がったのが運の尽きか、全身に激痛が駆け巡り、ジンに倒れ込んでしがみつく亜夜。涙目で。

 そんなお馬鹿亜夜の頭を優しく撫でながらあやすジン。

 年齢は亜夜が年上なのに、ジンがお兄さんに見える光景に、黒ウサギはクスッと笑った。

 

「チッ。なら相手になってやるよ!」

 

 ルイオスは舌打ちしてギフトカードから〝星霊殺し〟の鎌・ハルパーを取り出し、ヘルメスの靴で疾駆して飛鳥に斬りかかる。

 それを聖剣で易々と受け止めた飛鳥は、凄まじい速度で剣を振るう。

 

「な、く、クソ!」

「ふふ。どうしたのかしら外道?まさか私の速度に着いてくるのはやっとなの?」

「―――――ッ!!舐め、るなぁああああ!!」

 

 ルイオスは怒りに任せてハルパーを振り翳す―――が、

 

「―――我もいるぞ戯け!」

「なっ!?」

 

 白雪姫が水柱を生み出し、ルイオスの一撃を水圧で弾く。

 堪らず上空に逃げるルイオス。―――だが、

 

「私も、いる!」

「ハッ!?―――ガッ!」

 

 ルイオスの背後に『グリフォン』のギフトで飛翔した耀が、踵落しで彼の後頭部を打ち抜き叩き落とした。

 ルイオスは苦悶の声を漏らすと地面に叩きつけられ、起き上がろうとするが、

 

「―――ふふ、そこまでよ。外道」

「―――ッ!」

「フフ。我が主の妹君を嬲った罰を受ける覚悟は―――出来ているだろうな?」

「は?待て!それは僕がやったんじゃない!」

「‥‥‥問答無用」

 

 倒れ伏すルイオスの首筋に聖剣をあてる飛鳥。

 胸の前で腕を組み、仁王立ちして見下す白雪姫。

 拳をボキボキならしながら某喧嘩不良少女みたいに立ち塞がる耀。

 

 ―――――そして。

 

 

「うぎゃぁああああああああああ!?!?」

 

 

 ルイオスの断末魔が白亜の宮殿に響き渡った。

 一方、十六夜は―――

 

「ヤッハハハハハハハハ!」

「RaAAaaaGYAAAAAAaaaaaa!!」

 

 愉しそうに笑いながら真正面からアルゴールと殴り合っていた。

 そして、十六夜の第三宇宙速度で繰り出された拳がアルゴールの顔面を打ち抜き、

 

「GYAAAAAAaaaaaa!!」

「ハハ、今のは本物の悲鳴に聞こえたぜ?魔王様!」

 

 アルゴールは再度壁に叩きつけられて悲鳴じみた声を上げる。

 だが、不意にアルゴールは不協和音を謳い―――

 

「RaAAaaa!!LaAAAA!!」

 

 石化のギフトを解放した。

 褐色の光は瞬く間に十六夜に迫り、

 

 

「―――――カッ。そいつは(ずる)いぜ?魔王様!!」

 

 

 それを十六夜が()()()()()跡形もなく破壊した。

 それに驚いたアルゴールは、十六夜に勝てないことを悟ってその場に崩れ落ちた。

 

 そして、決着が着いたのを見届けた審判・黒ウサギが右手を上げて宣言した。

 

 

「―――勝者、〝ノーネーム〟!!」




飛鳥がチート化してますがお気になさらず←

次回は前哨戦終了後ついにサタンが牙を剥きます。お楽しみに!
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