最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!?   作:問題児愛

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箱庭説明後からスタートです!


第一話 再会と新たな出逢い

「質問のある方はもういませんね?はい!それでは箱庭へ参りましょう!」

 

 ミニスカートにガーターソックスと扇情的な格好をしたウサ耳の少女―――黒ウサギ。

 彼女の号令の下、箱庭へ少年少女三名と猫一匹を案内しようと動き出した―――その時。

 

「うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 突如猫のような大絶叫を上げる少女の声が、四人と一匹の耳に入り込んできた。

 

「は?」

 

 黒ウサギ達はすぐさま上空を見上げると―――金髪の少女が真っ逆さまに綺麗なフォームで急降下していた。

 それに黒ウサギと少女二人がポカーンと口を開けて放心。

 一方、金髪ヘッドホンと紫の瞳の学ランを着た少年―――逆廻十六夜だけは笑っていた。

 そして次の瞬間。彼は第三宇宙速度を遥かに凌駕した俊足で湖まで近寄り、

 

「ヤッハハハハハハ!」

 

 豪快に笑いながら大地を砕く勢いで踏み込み、超跳躍。

 あっという間に落下してくる金髪の少女に接近して―――お姫さま抱っこしながら陸地に着地。

 これは僅か数秒の出来事だった。

 

「―――――うにゃ?」

「よう。我が妹」

 

 猫のような声と共に、うっすら目を開ける亜夜。

 それに気づいた十六夜はニヤニヤと笑いながら彼女の顔を覗き込む。

 すると、うっすら目を開けた状態で亜夜は呟く。

 

「‥‥‥白馬の王子様?」

「いいや。残念ながら俺だ亜夜」

 

 その呟きに首を横に振って否定する十六夜。

 今度はうっすらから半開きに変わった目で彼を見て、亜夜はもう一度呟く。

 

「―――白馬の王子様?」

「だから俺だって。いつまでも寝ぼけてると凸ピンかますぜ?」

 

 ニヤニヤとからかう十六夜。

 それに半開きからしっかりと瞳を開けて彼を見た亜夜は微笑みながら、

 

「寝ぼけてないですよ。私にとってお兄ちゃんは―――――白馬の王子様ですから」

「!?‥‥‥お、おう。そか」

 

 頬を赤らめて恥じらいながら言う。

 それには流石の十六夜も一瞬ときめいたらしく、頬を掻きながら照れくさそうに返した。

 そして暫く静寂が続き―――スッと真面目顔になった亜夜は、十六夜に質問攻めした。

 

「それはそうと―――お兄ちゃん怪我はないですか?風邪は引いてませんか?熱はないですか?ちゃんと毎日『衣・食・住』を心掛けてますか?生活習慣はキチンとしていますか?早寝早起きはしていますか?ちゃんと毎日歯を磨いていますか?朝食を抜いたりしてませんか?ちゃんと一日三食摂らないと駄目ですよ。私はお兄ちゃんの事が何時も何時も心配で心配で夜も眠れないんですからね!?」

「‥‥‥寝ろよ」

「うにゃっ!?」

 

 心配性のお母さんみたいに長々と言葉を並べる亜夜。

 十六夜は呆れ顔でそんな彼女の金髪頭に手刀を打ち込む。

 『寝ていない』というところに怒ってなのか、十六夜の手刀はかなり強力だった。

 短い悲鳴を上げた亜夜は、涙目になって頭を抱えて十六夜の腕の中で縮こまる。

 余程痛かったのか全身を小さく震わせていた。

 それに気づいた十六夜は、亜夜の頭を優しく撫でてあやす。

 

「あ、(わり)い。ちょっと強すぎたみたいだな」

「何処もちょっとじゃないですよぉ‥‥‥お兄ちゃん」

 

 ムッとむくれた亜夜は、十六夜を睨んで怒る。―――だが涙目だ。

 それに十六夜は苦笑いを浮かべながら彼女をあやしていると、

 

「十六夜君。いつまでそうしているつもりかしら?というよりその子どなた?」

「ん?」

「ん?じゃない。仲睦まじい関係みたいだけど、その子、誰?」

「ああ、そうだったな。んじゃまあ取り敢えず」

「十六夜さん!?その子に『お兄ちゃん』と呼ばせてるみたいですが―――特殊な性癖でも御持ちなんですか!?」

「‥‥‥よし。取り敢えずオマエは黙って湖に飛び込め駄ウサギ」

「な、何故ですカ!?」

 

 少女二人と黒ウサギに問い詰められた。

 その中で、勘違いの駄ウサギこと黒ウサギにピシャリと言い放つ十六夜。

 それに〝何故?〟と首を捻って半泣きする黒ウサギ。

 一方、少女二人と黒ウサギを見回した亜夜は小首を傾げて十六夜に訊ねた。

 

「‥‥‥お兄ちゃん?そこの女性三名は誰なんですか?」

「うん?ああ、そうだな。右から順に、お嬢様こと久遠飛鳥。春日部耀。最後は―――駄ウサギだ」

「黒ウサギです!間違った紹介をしないでください!」

 

 うがー!とウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。

 それに十六夜はケラケラと笑っていると、

 

「十六夜君に紹介された久遠飛鳥よ。それでこちらで猫を抱えているのが、」

「春日部耀」

 

 黒い長髪を二つの赤いリボンで留めている青い瞳の学生服を着た少女―――久遠飛鳥と。

 茶髪ショートカットに茶色い瞳のスリーブレスのジャケットとショートパンツを着た少女―――春日部耀が、亜夜に挨拶する。

 それに亜夜は、十六夜の腕の中から降りて中学生の制服をはたいて直し、礼儀正しく一礼して言う。

 

「初めまして。私は亜夜。逆廻亜夜と申します。苗字からお分かり頂けますが、隣にいる逆廻十六夜は―――私のお兄ちゃんです♪どうかお兄ちゃん共々、逆廻兄妹を宜しくお願いします。飛鳥ちゃん、耀ちゃん、黒ウサちゃん!」

 

 そして笑顔で自己紹介を終えた亜夜を、驚愕の顔で見つめる飛鳥、耀、黒ウサギは―――

 

 

「「「リアルお兄ちゃんーーーーー!!?」」」

 

 

 絶叫に似た大音声を上げ、それに十六夜はヤハハハハハハと笑い声を上げるのだった。

 

 

 

 

「―――まさか本当に冗談抜きで十六夜君の妹さんだったのね、亜夜さん」

「おい待てコラお嬢様。そりゃどういう意味だ?」

「お兄ちゃん落ち着いて!喧嘩しちゃ駄目ですよ?」

「‥‥‥‥‥チッ」

 

 金髪姫カットで後ろ髪は腰まで伸びて紫の瞳にブレザーと膝下チェック柄のスカートを着た少女―――逆廻亜夜は、飛鳥に突っかかる十六夜を宥める。

 妹に宥められた兄は、バツが悪そうに舌打ちする。

 その光景に飛鳥達は、

『あの野蛮で凶暴そうな十六夜君が大人しくなった!?』

 と亜夜を驚愕の表情で見つめる。

 そして同時に、

『妹の存在って偉大なんだな』

 うんうん、と頷く三人。

 やがて、十六夜は金髪頭をガシガシと掻いて、

 

「ま、あれだ。立ち話もなんだし、続きは箱庭についてからにしようぜ」

「あ、逃げたわね」

「逃げたね」

「逃げたのです」

「お前らマジでいい加減にしろ」

 

 飛鳥達に図星をつかれたのか、青筋を浮かべながら危険な笑みで言う十六夜。

 それに苦笑いを浮かべながらも、喧嘩にならないかハラハラと見守る亜夜。

 彼女の視線に気づいた十六夜は、チッと再度舌打ちして歩き始めた。

 その背を追うように駆け足で亜夜が近寄ると、十六夜がピタリと歩みを止めて振り返り、

 

「‥‥‥なあ。我が妹」

「?何ですか?お兄ちゃん」

「〝世界の果て〟へ―――――()()()しに行かねえか?」

 

『デート』の御誘いをした。

 勿論、この『デート』は兄好きのブラコン妹を釣るための口実だが。

 そして、そうとも知らずに亜夜はその餌にまんまと釣られて、

 

「うにゃ?‥‥‥‥‥デ、デ、デー―――むぐっ!?」

「馬鹿。声が大きんだよ駄妹」

むぐむぐ(駄妹じゃないです)!」

 

 思わず声を上げそうになる。

 すかさず叫びかけの妹の口を右手で塞いだ十六夜は、今一度問いかけた。

 

「―――で、どうする亜夜?俺とデートに行くか行かないか‥‥‥どっちを選ぶ?」

「お兄ちゃんとデートに行く方です!」

 

 即答する亜夜。流石はブラコン妹である。

 それを聞いた十六夜はニヤリと笑って―――

 

「ふにゃっ!?」

「ヤハハハ!そうと決まりゃ行きますか!」

「う、うん!レッツゴーです!」

 

 亜夜を再度お姫さま抱っこして、〝世界の果て〟へ『デート』しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 一方、そうとも知らずに黒ウサギは飛鳥と耀を連れて箱庭2105380外門の入り口に来ていた。

 

「ジン坊っちゃーん!新しい同士を連れてきたのですよー!」

「黒ウサギ、お帰り。そちらのお二人が?」

「YES!こちらの四名様が―――って、あれ?」

 

 黒ウサギが満面の笑みのまま振り返ると、そこには飛鳥と耀しかおらず、

 

「‥‥‥確かもう二人、金髪兄妹の方々がいませんでしたっけ?」

 

 逆廻兄妹の二人が姿をくらましていたのである。

 それに飛鳥が断崖絶壁を指さしながら、

 

「十六夜君と亜夜さんなら『世界の果てへデート』しに行ったわ。あっちに」

 

 と答える。

 それに黒ウサギが目を大きく見開いて驚きの声を上げる。

 

「デ、デートでございますか!?そ、それなら邪魔するわけには―――――なんて言うわけないのですよお馬鹿様方ぁぁぁぁ!」

「「やっぱり」」

「当然でございます!」

 

『デートだからなんですか!』と怒り心頭の黒ウサギに、ジンが苦笑しながら言う。

 

「黒ウサギ。たしか〝世界の果て〟には、」

「分かっております!‥‥‥それとジン坊っちゃん」

「何?黒ウサギ」

「ジン坊っちゃんには二名様のご案内をお願いします。黒ウサギは問題児兄妹を捕まえに参りますので!」

「あははは‥‥‥行ってらっしゃい」

「はい!」

 

 黒ウサギは艶のある黒髪を緋色に染めると、脱兎の如く森林を駆けていった。

 それを見た飛鳥は、感心したように呟く。

 

「‥‥‥随分と足の速いウサギなのね、彼女」

「黒ウサギは箱庭の創始者の眷属ですからね‥‥‥」

「此処の?‥‥‥そう。それは素敵ね」

 

 飛鳥の呟きに答えるジン。

 彼の話を聞いて益々黒ウサギに興味を持った飛鳥は振り返って、

 

「ふふ。黒ウサギについては後で根掘り葉掘り訊くとして―――先に箱庭へ入りましょ♪」

「はい。では僭越ながら齢十一になったばかりの若輩ですが、コミュニティのリーダーを勤めている僕が―――ジン=ラッセルがエスコートさせて頂きます」

 

 緑色の跳ねた髪の毛と蒼い瞳にダボダボのローブを着た少年―――ジン=ラッセルが右手を差し出す。

 その手を飛鳥が上機嫌のまま掴んで、

 

「ありがとうジン君。私は久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが、」

「春日部耀」

 

 互いに軽い自己紹介を終えた少年少女三名と猫一匹は、外門を潜り箱庭に入っていくのだった。




次回は逆廻兄妹デート中に蛇神が乱入です←
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