最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!?   作:問題児愛

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約四ヵ月半ぶりの投稿です。長らくお待たせしてすみません。

では、どうぞ!


第三話 魔王の刺客達の乱入

 フードの少女の発言に十六夜は「は?」と疑問の声を上げた。亜夜も「え?」と驚いた表情で振り向く。

 フードの少女は亜夜に手を差し出して笑う。

 

「さあ、姫様。サタン様がお待ちしていますし早くお城に帰りましょう」

 

「「!?」」

 

〝サタン〟と聞いて十六夜は勢いよく立ち上がり臨戦態勢をとる。

 亜夜はカタカタと身体を小さく震わせ泣きそうな顔を見せる。

 フードの少女はキョトンと亜夜を見つめ、

 

「ど、どうかなさいましたか姫様!?まさか、サタン様が姫様に何かよからぬことをしたのですか!?」

 

「ああ。………亜夜はそのクソ悪魔に殺されかけたんだよ」

 

 震える亜夜に代わって怒りの籠った声音で答える十六夜。それにフードの少女は驚愕した。

 

「な!?それでサタン様が『俺は姫に嫌われたかもしれない』と仰り、気を落としていたのですね………」

 

  意味を理解したフードの少女はしゃがむと―――フワリと亜夜を抱きしめた。

 

「申し訳ありません姫様!ですが、どうかサタン様を許して欲しいのです。あの御方もずっと探し求めていた姫様が貴女様だったとは気づけなかったのです!」

 

「………え?」

 

「は?」

 

 フードの少女の発言に一瞬固まる二人。だが、十六夜はフードの少女を睨んで言った。

 

()()()()()()()、だと?野郎と顔を合わせたのは初めてじゃねえはずだ。それに亜夜が姫様って―――まさか!?」

 

「はい。貴方様とサタン様がお会いしたのは初めてではありません。そして御察しの通り、貴方様の義妹こそがサタン様の()()。即ち―――魔王(サタン)様の()()()です」

 

「なっ―――!?」

 

 十六夜は絶句した。自分の義妹が悪魔の―――サタンの娘だという事実に。

 だが、十六夜は首を振って〝ありえない〟と否定した。

 

「そんなのありえねえよ!確かに亜夜は俺の実妹じゃない。だが、亜夜は人間だ!悪魔から人間が産まれるわけがねえ………!」

 

「確かに悪魔から人間が産まれるなんてありえません。ですが、姫様のギフトカードに記された〝呪い〟以外にも〝消去〟〝複製〟〝復元〟の恩恵は全てサタン様が与えたものなのです!」

 

「何!?」

 

「嘘ではありませんよ。それは姫様が証明してくれるはずですから」

 

 フードの少女は笑って亜夜を見る。だが、肝心の亜夜は首を横に振って否定した。

 

「ち、違います!私の肉親は義理のお兄ちゃんだけです………!両親が誰かなんて、そんなの知りません!」

 

「………!?やっぱり姫様は記憶を………そうですか」

 

「………?やっぱり?」

 

「え?あ、いえ!私の独り言です………!」

 

 慌てて両手を前に出して振るフードの少女。小首を傾げる亜夜。

 十六夜はハッとして地を蹴りフードの少女に殴りかかった。

 

「亜夜から離れろッ!!」

 

「!!」

 

 フードの少女は亜夜を抱きかかえて亜夜の「うにゃっ!?」という声と共に霞の如く掻き消えた。十六夜の拳が当たる寸前に。

 十六夜が舌打ちすると、フードの少女の声は背後からした。

 

「―――危ないですね。姫様が、ご自分の義妹がいるというのに容赦がない人です」

 

「!?」

 

 十六夜はフードの少女が攻撃してくる前に急いで振り返る。だが、フードの少女は亜夜を捕らえたままでその場から動こうとしなかった。

 そのお陰で十六夜は考察の暇を得ることができた。

 

「………今のは瞬間移動みてえなものか?」

 

「はい。そんな感じで―――ッ!?」

 

 フードの少女が話している途中で十六夜は容赦なしの特攻をしかける。

 フードの少女は亜夜を抱えたまま、今度は後方に跳躍することで避ける。

 十六夜はさっきの瞬間移動の類いではない避け方に不思議に思いながらも、地を砕く勢いで跳躍して追いつく。

 亜夜もいるため十六夜はフードの少女の顔に殴りかかる。相手が悪魔の少女だろうと妹を連れ去ろうしている悪党だ。遠慮はいらないと云ったところだろう。

 だがフードの少女は溜め息を吐いて一言、

 

 

「―――〝拒絶(シェリダー)〟」

 

 

 そう口にした瞬間、十六夜の拳は虚空に硬い〝何か〟があるような感触に阻まれ―――()()()()

 

「なっ、」

 

 弾かれて着地した十六夜は驚愕するが、もう一度跳躍して今度はフードの少女の頭を蹴りかかる。

 だがまたしても不可視の壁のようなものに阻まれ弾かれてしまった。

 着地した十六夜はフードの少女を睨みつけながら思考を張り巡らせる。

 

「(なんだ?一体何がどうなってやがる!不可視の壁を出現させて阻まれるのは分かる。だが、()()()()仕組みが理解できねえ!)」

 

 十六夜は妹を捕らわれているため、ボリボリと乱暴に頭を掻き苛立ちを募らせる。

 そんな彼でも、フードの少女が呟いた言葉を思い出して頭を掻く手を止めた。

 

「(シェリダー、か。たしか〝拒絶〟を意味するカバラの―――ッ!!まさか、俺が今対峙している悪魔の名は―――)」

 

 そこで十六夜の言葉は遮られた。なぜならば、

 

 

「―――ルキ!姫の奪還が済んだならさっさと撤退するぞ!」

 

 

 フードの少女を〝ルキ〟と呼んだショートカットの灰色の髪に闇のような黒い瞳、全身黒ずくめな格好をした豊満な胸の少女の声によって。

 十六夜はその少女を見て、新たな戦いの始まりを予感させた。

 

 

 

 一方、飛鳥と黒ウサギは、

 

「―――ウフフフ、捕まえたわよ黒・ウ・サ・ギ?」

 

「フギャアアアアア!!!痛い痛い痛い痛いのですよ飛鳥さぁぁぁぁん!!」

 

 黒ウサギ―――もといメイドウサギは現在久遠飛鳥に捕獲されていた。

 メイドウサギのウサ耳を根っこから鷲掴みにして高々と右手を掲げていた。飛鳥のその細腕のどこにそんな力があるのやら。

 左手に猟銃を手にしていたのなら、今まさに狩った野兎を自慢げに掲げている猟師であろう。

 飛鳥は「はい」と野ウサギ―――ではなく黒ウサギのウサ耳を放して落とす。

 黒ウサギは地面に尻餅をついて「フギャ!」と短い悲鳴を上げたのち、立ち上がってお尻を擦りながら飛鳥をキッと睨んだ。

 

「ひ、酷いですよ飛鳥さん!黒ウサギの扱いが乱暴なのですっ!」

 

「あら?だって『O・SI・O・KI☆』というものは優しくしては駄目なのよ?それに―――私は黒ウサギを教育したりないもの」

 

「え?や、だ、駄目です!これ以上黒ウサギのウサ耳を苛めないでくださいっ!!」

 

「だが断る!」

 

 両手をわきわきさせてウサ耳を掴もうと黒ウサギに迫る飛鳥。後ずさる黒ウサギ。

 そして飛鳥が笑った。

 

「さあ、観念しなさい!黒ウサギ!!」

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

 

 黒ウサギは悲鳴を上げると、覚悟を決めて目を閉じた。―――だが、一向に痛みが襲ってこない。

 おかしいと思った黒ウサギは恐る恐る目を開けると、そこには―――

 

「………え?」

 

「ふふ、引っかかったわね?」

 

 ウサ耳ではなく黒ウサギの背に腕を回して抱きしめてきた飛鳥の姿があった。瞳の色も黄金ではなく青に戻って。

 キョトンとする黒ウサギに、飛鳥は優しく笑いかけた。

 

「私はどこぞの変態でシスコンな彼とは違うのよ?大好きな黒ウサギにこれ以上酷いことはしないわ」

 

「あ、飛鳥さん!」

 

「ふふ、いい子いい子♪」

 

「フキャアアアアア♪」

 

 先程引っ張られていたウサ耳だったために、飛鳥の優しく撫でる手はとても心地よく感じる黒ウサギ。

 その証拠に彼女の頬は朱に染まり、ウサギ尻尾はブンブンと元気よく振られている。

 飛鳥はふふ、と笑って黒ウサギの愛らしい顔に見()れていた。

 そんな二人は甘い時間(とき)を数分間味わい合ったあと、

 

「さ、私達もデートというものをしましょう?十六夜君と亜夜さんには負けてられないもの」

 

「そ、そうでございますね!私も飛鳥さんともっと仲を深めるためにもデート決行なのですッ!!」

 

 飛鳥の提案に黒ウサギは右手を掲げた。思ったより乗り気の黒ウサギに安心と嬉しそうな笑みを浮かべる。

 黒ウサギは上機嫌なまま飛鳥の手を握って、

 

「ではまずデートということですので、手を繋いでその辺を歩きませんか?」

 

「そうね。折角北側へ来たのだし、楽しまなければいけないわね」

 

「YES!そうと決まれば出発進行なのです♪」

 

 やたらとテンションが高い黒ウサギに、飛鳥は苦笑しながら並んで歩き出した。

 

 メイドの黒ウサギと飛鳥が赤窓の歩廊を歩いてデートしていると、周りの衆人達がざわめいていた。

 

「あ、あれってウサギじゃないか!?」

 

「ほ、本当だ!って何でメイド服着てるんだ!?」

 

「分からないが〝月の兎〟がメイド服着て人間の娘と肩を並べて歩いている………だと!?」

 

「なんだその羨ましすぎるシチュエーションは!?俺と是非代わってくれッ!!」

 

「黒ウサギィィィ!大好きだァァァァ!!結婚してくれエエエェエエ!!!」

 

 黒ウサギと飛鳥は注目の的となっていた。のんびり観光すらさせてくれないほどの賑わいである。

 飛鳥は黒ウサギに向けてくる男達を一瞥して、

 

「はぁ………。黒ウサギの人気は凄いわね。これは場所を移した方がよさそうね?―――あと最後の発言者は死になさい」

 

「そ、そうでございますね。すみません飛鳥さん。デートどころじゃなくなってしまいましたね―――って最後の発言はNOですよ飛鳥さん!?」

 

 物騒な発言と殺気を滲ませる飛鳥に黒ウサギはツッコミを入れる。

 飛鳥は再び瞳を黄金に染め上げると、

 

「きゃあ!?」

 

『おおおおぉぉぉおお!!?』

 

 黒ウサギの悲鳴と衆人達のどよめき。それは―――飛鳥が黒ウサギを()()()()()()したからである!

 黒ウサギは驚きの声を上げた。

 

「あ、あああ飛鳥さん!?」

 

「喋っては駄目よ、黒ウサギ。舌を噛んでしまうわ」

 

「へ?」と間の抜けた声を発した途端、飛鳥は一つの建物の壁に足をかけると―――一気に壁を垂直に駆け上がった。

 

『うおおおぉぉおおおおおッ!!!!』

 

 下で衆人達の歓声が上がった。まあ、人間の少女がウサギをお姫様抱っこした状態で壁を垂直に駆け上がればそうなるのは無理もない。

 とある建物の屋上に辿り着いた飛鳥は、黒ウサギを下ろしてふぅと息を吐く。

 

「ここまで来れば大丈夫ね」

 

「―――凄いのですよ、飛鳥さん!黒ウサギに追いついた脚力といい、今の壁登りの御技といい………人間技じゃないのですよ!」

 

「そ、そう?ふふ、ありがとう黒ウサギ。恐らくこのギフトのおかげかもしれないわね」

 

 飛鳥は自分のギフトカードを取り出して、〝威光〟の下に刻まれている〝武具使い(ウェポンズ・マスター)〟を指さして黒ウサギに見せる。

 黒ウサギは瞳を瞬かせながら声を上げた。

 

「〝武具使い〟ですか!?なるほどです。武具を十全に扱うには見合った身体能力が必要になる場合がございますからね。武具によって大きさや重量が多種多様ですし、支配できたとしても持つことが出来なければ意味ないですからね!」

 

「ええ、そうよ。そして黒ウサギの〝武具創造(ウェポンズ・クリエイト)〟で創造された武具を私が使う―――中々の最強コンビじゃないかしら?私達」

 

「さ、最強コンビだなんて!そ、そんな………!」

 

 黒ウサギは飛鳥に自分達は『最強コンビ』と言われて頬を掻いて照れる。そんな可愛らしい黒ウサギを見つめて飛鳥がニコニコしていると、

 

 

「―――へえ?それは確かに最強かもしれないねえ!」

 

 

 何やら愉しげに笑う少女の声が二人にかけられた。

 ハッと振り返る飛鳥と黒ウサギ。そこには―――蒼の長髪に紫の瞳、白と黒をベースにした魔術師を彷彿させるような衣装を着た幼い少女がいた。

 そして魔術師の少女は狂喜な笑みとは裏腹に無感動な瞳を飛鳥達に向けて告げた。

 

「お姉さんたち、良かったら――――私の死体(オモチャ)になってくれない?」




今回の話で恐らく魔王達の本当のコミュニティ名が浮き彫りになってしまったかもしれませんね(苦笑)

飛鳥のチート(?)ギフト
〝武具使い(ウェポンズ・マスター)〟
身体能力を増強させるギフト。
箱庭三桁までの武具を完璧に使いこなせるギフト。
箱庭二桁の武具も一度だけ使用可能だが、使用後このギフトは消滅する。

黒ウサギのチート(?)ギフト
〝武具創造(ウェポンズ・クリエイト)〟
箱庭三桁までの武具を創造可能にするギフト。
箱庭二桁の武具も一度だけ創造可能だが、使用後このギフトは消滅する。
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