最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!?   作:問題児愛

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第六話 決闘勝利と魔王戦後の考察

 一方、飛鳥と黒ウサギを見送った白夜叉はいい加減に戻らないとギフトゲームが終わってしまうので空間跳躍で元いた場所に戻った。

 白夜叉が戻ってきたのを見た深紅の髪を頭上で結い、色彩鮮やかな衣装を幾重にも纏った幼い少女は白夜叉に尋ねた。

 

「お帰りなさい白夜叉様。どちらへ向かわれていたんですか?」

 

「うむ。ちと野暮用でな。いきなり席を外してすまんかったのサンドラ」

 

「いえ。用事が済んだのでしたらよかったです。丁度最後のひと枠をかけた決勝戦が始まるところです」

 

 サンドラと呼ばれた紅髪の少女は舞台の方に白夜叉の視線を促す。

 白夜叉は耀とメイドのレティシアの二人の姿を確認して「ほう」と感嘆の声を漏らした。

 

「〝ノーネーム〟が決勝まで残ったか。対戦相手は自動人形(オートマター)の石垣の巨人が属する〝ロックイーター〟のコミュニティか」

 

 白夜叉は笑みを浮かべてサンドラと共に決勝戦を観戦した。

 石垣の巨人と対峙した耀とレティシア。まずレティシアは黒い翼を広げて飛翔、耀も鷲獅子(グリフォン)のギフトで旋風を操り飛翔する。

 石垣の巨人は見上げると、耀とレティシアは巨人の周りを飛び回って翻弄する。

 石垣の巨人はそれを追うのを止めると巨腕を滅茶苦茶に振り回して打ち落とそうとした。

 その巨腕をレティシアが受け止めて動きを封じると、

 

「今だ、主殿!」

 

「うん!」

 

 耀に促した。耀は頷きレティシアが巨人の動きを封じている隙に巨人の背後に飛翔し、その後頭部を蹴り崩す。

 

「これで、終わり………!」

 

 さらに耀は瞬時に自分の体重を〝象〟に変え、落下の力と共に巨人を押し倒しにかかる。

 

「はっ………!」

 

 それに加勢するようにレティシアは掴んでいた巨人の巨腕を自分の方へグッと引き寄せて―――押しの力と引く力が合わさり石垣の巨人は倒れ落ちた。

 そしてこの瞬間、勝敗は決し割れるような観衆の声が起こった。

 

『お嬢おおおおおおお!うおおおおおお!お嬢おおおおおおおお!』

 

 セコンドで見ていた三毛猫も雄叫びを上げる。耀は三毛猫に微笑したあとレティシアに向き直り―――バチン!

 

「やったねレティシア!」

 

「ああ、そうだな」

 

 笑みを浮かべてハイタッチを交わした。

 宮殿の上から見ていた白夜叉は柏手一つで観衆を黙らせると、バルコニーから笑いかけ耀達に声をかけた。

 

「最後の勝者は〝ノーネーム〟出身の春日部耀に決定した。これで最後の決勝枠が用意されたかの。決勝のゲームは明日以降の日取りとなっておる。明日以降のゲームルールは………ふむ。ルールはもう一人の〝主催者〟にして、今回の祭典の主賓から説明願おう」

 

 白夜叉が振り返り、宮殿のバルコニーの中心を譲ると、テラスにサンドラが現れて玉座から立ち上がる。

 緊張した面持ちのサンドラに白夜叉は促すように優しく笑いかける。

 

「ふふ。華のお披露目だからの。緊張するのは分かるが、皆の前では笑顔を見せねばならぬぞ。我々フロアマスターは下層のコミュニティの心の拠り所なのだからな。私の送った衣装も、その様な硬い表情では色褪せてしまうというもの。ここは凜然とした態度での」

 

「は、はい」

 

 サンドラは大きく深呼吸し、鈴の音の様な凜とした声音で挨拶した。

 

「ご紹介に与りました、北のマスター・サンドラ=ドルトレイクです。東と北の共同祭典・火龍誕生祭の日程も、今日で中日を迎える事が出来ました。然したる事故もなく、進行に協力くださった東のコミュニティと北のコミュニティの皆様にはこの場を借りてお礼の言葉を申し上げます。以降のゲームにつきましてはお手持ちの招待状をご覧ください」

 

 

『ギフトゲーム名〝造物主達の決闘〟』―――以下省略。

 

 

 耀は駆け寄ってきた三毛猫を抱きかかえると、空いたもう片方の手でレティシアと手を繋いだ。

 

「戦いのあとは腹ごしらえだよ、レティシア」

 

「ん?………それもそうだな。私も小腹が空いたところだし、何か食べてから〝サウザンドアイズ〟の支店に戻るか」

 

「うん」

 

 二人と一匹は会場を後にして、腹ごしらえへと向かった。

 

 

 

「………、よく食べるな主殿」

 

「パクパク………()()()()()()()()()?」

 

 クッキーをリスの様に頬張りながら小首を傾げて返す耀。それに『食べながら喋るな』と注意しようとしたレティシアだったが、この光景を微笑ましく思い苦笑で留めた。出店で買ったクレープを齧りながら。

 レティシアは視線を下に向けると、耀の細い腕にかかった袋の中には鯛焼き・焼きそば・たこ焼き・焼き鳥・肉まんetc………と様々な食べ物がごった返していた。

 呆れながらも苦笑いを浮かべたレティシアは、クレープを齧りながら〝サウザンドアイズ〟の支店に戻るのだった。

 

 

 

 

 

 ―――時を少し遡る。悪魔二人が去り、飛鳥と黒ウサギが亜夜達の下へ駆けつけた。

 

「十六夜君!亜夜さん!そっちの方は大丈夫だった!?」

 

「ああ、なんとかな。魔王が二体も現れたが白夜叉を警戒したのかついさっき去っていったぜ」

 

「なっ、魔王が二体もですか!?ち、ちなみにその魔王の名は何でございました?」

 

 黒ウサギが恐る恐る尋ねると、十六夜は頷いて答えた。

 

「襲撃してきた魔王はベルゼブブとルキフグスだった。この魔王の共通点はカバラにおけるクリフォトの魔王様だってことだな。ルキフグスは〝拒絶(シェリダー)〟を、ベルゼブブは〝愚鈍(エーイーリー)〟のギフトを使ってたからよ」

 

「………え?クリフォトって―――あの〝邪悪な樹(クリフォト)〟ですか!?」

 

「「「え?」」」

 

 黒ウサギの驚愕の声に疑問の声を漏らす十六夜・亜夜・飛鳥の三人。

〝邪悪な樹〟と聞いてジンと白雪姫の顔色も変わった。

 

「く、黒ウサギ!〝邪悪な樹〟って確か十一体の魔王が集う上層コミュニティの………!」

 

「〝邪悪な樹〟だと!?我が主神から聞いた話では十の魔王を束ねていた三桁の魔王は倒され封印されているはずだぞ!?」

 

 その表情に十六夜達は怪訝な顔で黒ウサギ達を見つめる。

 ジン達の言葉に黒ウサギは頷き、

 

「YES。そして〝邪悪な樹〟に所属する十一の魔王は―――」

 

「サタン・ベルゼブブ・ルキフグス・アスタロト・アスモデウス・ベルフェゴール・バアル・アドラメレク・リリス・ナヘマー………そしてルシファーの十一体のことか?」

 

「―――y、YES!って何で知ってるんですか十六夜さん!?」

 

 ギョッとした表情で十六夜を見つめる黒ウサギ。それはジンと白雪姫も同じだった。

 十六夜は誇るわけでもなくただ毅然とした態度で続ける。

 

無神論(バチカル)はサタン・愚鈍(エーイーリー)はベルゼブブ・拒絶(シェリダー)はルキフグス………ハッ、なるほど。一番目と二番目と三番目のクリフォトの魔王様が現れたってことは―――あと八体の魔王様が亜夜を奪いに俺達の前に現れるってことか………!」

 

「え?ちょっと待って十六夜君!」

 

「ん?なんだお嬢様?」

 

「十六夜君が先程言ったアスタロトという魔王に私達も襲われたわ!」

 

 何?と訝しげな表情で飛鳥を見つめる十六夜。

 

「………だとしたらこの北側に一・二・三・四のクリフォトの魔王様が襲撃してきてるってことになるな」

 

「な、四桁以上の魔王を四体も相手しろというのか!?」

 

 絶望的な状況を聞いて叫ぶ白雪姫。四桁以上となると、この北側に現れた四体の魔王と渡り合えるのは白夜叉ぐらいしかいないことになるからだ。

 あとは十六夜と強力な武具を手にした飛鳥が互角に戦えるかどうかの瀬戸際だ。

 十六夜が珍しく緊張していると、亜夜が十六夜の手をギュッと握って笑う。

 

「大丈夫ですよお兄ちゃん!お兄ちゃんならどんな魔王だって容易く蹴散らせる力を持っていますから!」

 

「………亜夜。ああ、そうだな。相手が四桁の魔王様だろうと関係ねえ!俺の可愛い妹に手を出すってんなら―――叩き潰すだけだッ!!」

 

 瞳に闘志を滾らせながら宣言する十六夜。亜夜は嬉しそうに十六夜を見つめる。

 十六夜の言葉に飛鳥・黒ウサギ・ジン・白雪姫はうんうんと頷き、

 

「「「「流石は頼れるシスコン(ね・ですね・だな)!」」」」

 

「オマエら一言余計だぞゴラァ!!」

 

「お、お兄ちゃん落ち着いて………!」

 

 暴れそうになった十六夜を慌てて宥める亜夜。十六夜はチッ、と舌打ちして下がった。

 飛鳥達はニヤニヤと笑って逆廻義兄妹を見つめる。

 

「………そういえば十六夜さん。〝邪悪な樹〟のコミュニティに所属する魔王達に狙われている理由は判明しましたか?」

 

「あん?………そうだな。分かったことは亜夜のことを〝姫〟って呼んでたことと、クソ悪魔―――サタンの姫君だって言ってたことだな」

 

「「―――………え?」」

 

 十六夜の言葉に黒ウサギとジンが固まった。

 飛鳥と白雪姫は首を傾げて問いただす。

 

「それはおかしな話ね。亜夜さんは人間なのでしょう?」

 

「ああ」

 

「………我が主の妹君は人間だというのに、サタンの―――悪魔の娘というのは変な話だな。実は己の娘と偽って手に入れようと企んでいるのではないか?」

 

「いや。それはまだ分からねえ。亜夜は正真正銘の人間だからな。考えられるとしたら―――サタンとその妻が実は悪魔じゃなくて、人間………って可能性がある」

 

 そう。十六夜は悪魔の名を騙った人間二人が亜夜を生んだ両親だと考えた。

 

「(俺の予想はとある神様が造った原初の人間―――アダム()イヴ()が怪しいな。悪魔と手を組んでるのは神にエデンの園を追放された逆恨み………そんなところか?)」

 

 もしアダムとイヴが亜夜の両親ならば、亜夜が人間だということも頷ける。

 だが、

 

「(そもそもアダムとイヴが楽園を追放されるきっかけになったのは、サタン(ヘビ)がイヴに『善悪の知識の木』の実を食べるように唆したのが原因だからな。むしろアダム達はサタンに恨みがあるかもしれねえな)」

 

 だとしたら亜夜の両親がアダムとイヴ説は考えづらいものとなった。

 考え込む十六夜。その一方で、黒ウサギとジンが顔を見合わせて話していた。

 

「く、黒ウサギ。〝邪悪な樹〟のコミュニティの魔王の姫君ってたしか………!」

 

「はいな。五年前に金糸雀様達が〝邪悪な樹〟のコミュニティの企みを阻止すべく魔王を倒しに向かい、帰ってきた時に抱きかかえていた―――()()()()()()()()()()()()()()()()()………!」

 

「ま、まさか!亜夜さんの正体って―――!?」

 

「いえ。亜夜さんは十六夜さんの義妹で()()()()()ですよ?それにその魔王の姫君も三年前に金糸雀様を始めとしたコミュニティの仲間達と共に魔王に()()()()()()()。その可能性はありえないのですよ、ジン坊っちゃん」

 

 黒ウサギはジンを諭す。が、内心ではかなり焦っていた。

 もし、亜夜の正体が〝     〟ならば、箱庭の運命を左右しかねない由々しき事態である………と。

 黒ウサギとジンが青ざめていると、十六夜達が顔を覗き込んで問う。

 

「………どうしたんだオマエら?」

 

「黒ウサちゃん?ジン?」

 

「―――へ?あ、はい!何でございましょうか?」

 

 ハッとして聞き返す黒ウサギ。十六夜は怪訝な顔で黒ウサギとジンを見つめたが、すぐに真剣な顔に変えて告げた。

 

「また魔王様が襲撃してくるかもしれない。その前に〝サウザンドアイズ〟の支店に戻るぞ」

 

「は、はいな!」

 

 十六夜達は再びサタン達が襲って来ないうちに〝サウザンドアイズ〟の支店に戻ることにしたのだった。




勇者の正体は金糸雀達でした。

サタンの企みは亜夜の力で………。

ディーンどうしよう………飛鳥とメルンの出逢いががが。
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