最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!?   作:問題児愛

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第八話 三人はコスプレヒロイン!?とゲーム前の戯れ

『長らくお待たせ致しました!火龍誕生祭のメインギフトゲーム・〝造物主達の決闘〟の決勝を始めたいと思います!進行及び審判は〝サウザンドアイズ〟の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお務めさせていただきます♪』

 

 黒ウサギが満面の笑みを振り撒くと、歓声以上の奇声が舞台を揺らした。

 

『うおおおおおおおおおお月の兎が本当に来たあああああああぁぁぁぁああああああ!!しかも格好が純白ドレスだとおおおおおおおお!?』

 

『黒ウサギいいいいいいい!お前に会うため此処まで来たぞおおおおおおおおおお!!純白とか最高だなああああああああ!!』

 

『今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉおお!!恐らく純白ドレススカートの中も純白に違いなあああああぁぁぁぁあああい!!』

 

 割れんばかりの熱い情熱を迸らせる観客。

 純白ドレスを着た―――通称シンデレラウサギは笑顔を見せながらもへにょり、とウサ耳を垂れさせて怯んだ。

 それを見ていた飛鳥はどす黒いオーラを纏って観客を憤怒の瞳で見下ろした。

 

「私の黒ウサギをそんな眼で見つめるんじゃないわよこのウジ虫共ッ!!!」

 

「あ、飛鳥ちゃん!?そんなこと言っちゃ駄目ですよ!?」

 

 毒を吐く飛鳥を必死に宥めようとする亜夜。

 十六夜はヤハハと笑い、

 

「―――百合お嬢様は病みお嬢様に進化したな」

 

「………あら?誰が病んでるのかしら十六夜君?」

 

「お嬢様」

 

「………ッ!言ってくれるじゃないこのシスコン君!」

 

「あ?んだとゴラァ!」

 

「お兄ちゃん!飛鳥ちゃん!喧嘩はメッだよ!」

 

 いがみ合う飛鳥と十六夜を止める亜夜。飛鳥は「はーい」と返事をして、十六夜はチッと舌打ちした。

 白夜叉は自慢げに黒ウサギを眺め、

 

「フホホホ!いやはやシンデレラウサギとは良いものだのう!是非ともその純潔を穢し」

 

「何か言ったかしら?白・夜・叉?」

 

「い、いや。何も言っとらんぞ小娘。いいからその聖剣(エクスカリバー)を仕舞わんか!」

 

 白夜叉は慌てて手を振り飛鳥を諌める。飛鳥はフン、と鼻を鳴らして白夜叉に向けていた聖剣(エクスカリバー)をギフトカードに仕舞った。

 ちなみに一度〝武具創造(ウェポンズ・クリエイト)〟で黒ウサギが造った武具は、以降はギフトカードに仕舞っておけて何時でも顕現可能なのだ。

 その様子を亜夜が苦笑して見ていると、十六夜はニヤニヤと笑ってポンと赤いずきんを被っている亜夜の頭に手を置いた。

 

「しかし我が妹はコスプレは何でも似合うな。赤ずきんならぬ亜夜ずきんも中々だ」

 

「えへへ。お兄ちゃんにそう言ってもらえるなら着た甲斐がありましたよ♪」

 

 十六夜に凭れかかる赤いずきんを被った―――通称亜夜ずきん。ちなみにこの場でも亜夜は十六夜の膝の上である。

 十六夜は『亜夜は本当に甘えん坊だな』とニヤニヤしながら亜夜の頭を優しく撫でる。

 亜夜は「うにゃぁぁぁ♪」と気持ち良さそうに十六夜に身体を預けると、ウトウト眠そうに頭を上下に動かす。

 それに気づいた十六夜は―――

 

()()♪」

 

「うにゃっ!?」

 

 ―――亜夜の頭に手刀を落とし注意した。

 

「駄目だろ亜夜。これから春日部とレティシアの雄姿を目に焼きつけなきゃなのに寝ようとしちゃ、な?」

 

「うにゃぁぁぁ………ごめんなさいお兄ちゃん。お兄ちゃんの温かくて優しい手につい」

 

「ヤハハ、なら叩き続けてやろうか?」

 

「やぁ、だめぇ………お兄ちゃんの意地悪」

 

 ムスッと不機嫌そうな顔になる涙目の亜夜。しかし十六夜が苦笑と共に頭を一撫でしただけで嬉しそうな顔に戻った。

 イチャつく兄妹を見て白夜叉はニヤニヤと笑い、飛鳥は羨望の眼差しを向け、

 

「………私も早く黒ウサギとイチャつきたいわ」

 

 ボソリと呟き、黒ウサギに視線を戻したのだった。

 この時、十六夜・亜夜・白夜叉の三人に聞かれてニヤニヤしていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

「―――〝ウィル・オ・ウィスプ〟に関して、僕が知っている事は以上です。参考になればいいのですが………」

 

「大丈夫。ケースバイケースで臨機応変に対応するから―――それに」

 

 チラッとレティシアを見つめると、そのまま彼女に抱きつき、

 

「レティシアがいるから全然平気。負ける気なんかしないもの」

 

「ふふ、そうか。それならば安心して送り出せると言うものだ」

 

 安心したように頷く白雪姫。ジンは「あはは」と苦笑しながら、水色のエプロンドレスを着た―――通称不思議の国のレティに視線を向ける。

 レティシアは抱きついてきた耀の頭を撫でながら苦笑して言う。

 

「ああ。耀の期待に添えられるように頑張るよ」

 

「うん。よろしく、レティス」

 

「いや。私の名前とアリスを融合しないでくれないか?というより別の人物になってる気がするのだが」

 

「細かい事は気にしない。それじゃ行こ、レティシア」

 

「………そうだな」

 

 耀とレティシアは三毛猫・白雪姫・ジンの二人と一匹に背を向けて歩き出す。

 

『それでは入場していただきましょう!第一ゲームのプレイヤー・〝ノーネーム〟の春日部耀と、〝ウィル・オ・ウィスプ〟のアーシャ=イグニファトゥスです!』

 

 黒ウサギの紹介の下、通路から舞台に続く道に出る二人。

 その瞬間―――

 

「YAッFUFUFUUUUUuuuuuu!!」

 

「わっ………!」

 

「耀!」

 

 ―――耀の眼前に高速で駆ける火の玉が横切った。

 それに耀が堪らず仰け反って尻餅をつきそうになり、そんな彼女を咄嗟に抱き止めるレティシア。

 頭上を見れば、火の玉の上に腰かけている人物が、強襲した人物―――ツインテールの水色の髪と白黒のゴシックロリータの派手なフリルのスカートを着た少女・アーシャが、愛らしくも高飛車な声で嘲った。

 

「あっははははははははは!見て見て見たぁ、ジャック?〝ノーネーム〟の女が無様に尻餅ついて―――ない!?おい!ソコのオマエ!余計なコトすんなよな!」

 

「ふん。お前こそ私の耀に舐めた真似をするなよ若造がッ!!」

 

 レティシアが怒りを込めた視線をアーシャにぶつけると、アーシャはその気迫に怯んだ。

 耀は慌ててレティシアを宥めた。

 

「落ち着いてレティシア!私は平気だから………ね?」

 

「む、しかしだな耀。やられて黙ったままでは向こうの思うつぼだぞ?それでもいいのか?」

 

「ううん。やられた分はキッチリやり返すつもりだよ。………ギフトゲームでね」

 

「………ふふ、そうだな。それがいい」

 

 耀の提案にレティシアは笑って頷く。

 一方、怯んでいたアーシャはハッとしてレティシアを睨んだ。

 

「オ、オマエ〝ノーネーム〟の分際で生意気だぞ!私にこんな態度取りやがって………目にものを見せてやる!」

 

「ほう?それは楽しみだな。返り討ちに―――ん?耀?何を見ているんだ?」

 

 耀に視線を向けて小首を傾げるレティシア。耀は火の玉を指差してポツリと呟いた。

 

「その火の玉………もしかして、」

 

「はぁ?何言ってんのオマエ。アーシャ様の作品を火の玉なんかと一緒にすんなし。コイツは我らが〝ウィル・オ・ウィスプ〟の名物幽鬼!ジャック・オー・ランタンさ!」

 

「何?」

 

「YAッFUUUUUUUuuuuuuuuu!!」

 

 レティシアが眉を顰めると、アーシャは腰かけている火の玉へ合図を送った。すると火の玉は取り巻く炎陣を振りほどいて姿を顕現させる。

 轟々と燃え盛るランプと、実体のない浅黒い布の服。人の頭の十倍はあろうかという巨大なカボチャ頭。

 その姿を見てレティシアの表情に焦りが浮かんだ。

 

「(最悪だ。もし私の推測が外れていなければあのカボチャは―――っ!)」

 

 レティシアの表情を見たアーシャがニヤリと笑ってからかった。

 

「はは~ん?もしかしてこのジャックに恐れをなしたのか?ハッ、所詮は名無しってことだな!」

 

「YAHO、YAHO、YAFUFUUUuuuuuuuu~~~♪」

 

 すっかり調子を取り戻したアーシャはジャックと共にレティシアを笑う。

 耀は小首を傾げながらレティシアの顔色を窺った。

 

「………?急にどうしたのレティシア?」

 

「………っ、済まない。あのカボチャが正体を現した途端、嫌な予感がしてな」

 

「え?あのカボチャがどうかしたの?」

 

「ああ。実は―――」

 

 レティシアは耀に自分の推測を耳打ちした。すると耀の表情も驚きに染まった。

 一方、至近距離で見ていた黒ウサギは、アーシャに注意した。

 

『せ、正位置に戻りなさいアーシャ=イグニファトゥス!あとコール前の挑発行為は控えるように!』

 

「はいは~い」

 

 小馬鹿にしたような仕草と声音で舞台上に戻るアーシャ。耀はレティシアから聞いた話を噛み締め、レティシアと共に舞台に上がる。

 耀は観客に目を向けてグルリと見回し、最後にバルコニーにいる飛鳥達に小さく手を振った。飛鳥もそれに気づき手を振り返す。

 アーシャはその態度が気に入らなかったのか、舌打ちして皮肉げに言う。

 

「大した自信だねーオイ。私とジャックを無視して客とホストに尻尾と愛想振るってか?何?私達に対する挑発ですかそれ?」

 

「うん」

 

 即答する耀。アーシャはカチン!と来たように唇を尖らせた。それにレティシアは苦笑を零す。

 黒ウサギはそのやり取りで溜飲が下がったのか、宮殿のバルコニーに手を向けて厳かに宣言する。

 

『―――それでは第一ゲームの開幕前に、白夜叉様から舞台に関してご説明があります。ギャラリーの皆さまはどうかご静聴の程を』

 

 刹那、会場からあらゆる喧騒が消えた。バルコニーの前に出た白夜叉は静まり返った会場を見回し、緩やかに頷いた。

 

「うむ。協力感謝するぞ。私は何分、見ての通りのお子様体型なのでな。大きな声を出すのは苦手なのだ。―――さて。それではゲームの舞台についてだが………まずは手元の招待状を見て欲しい。そこにナンバーが書いておらんか?」

 

 観客は一斉に招待状を取り出した。それを見つめながら白夜叉は続けた。

 

「ではそこに書かれているナンバーが、我々ホストの出身外門―――〝サウザンドアイズ〟の三三四五番となっている者はおるかの?おるのであれば招待状を掲げ、コミュニティの名を叫んでおくれ」

 

 ざわざわと観客席がどよめく。するとバルコニーから真正面の観客席で、樹霊(コダマ)の少年が招待状を掲げていた。

 

「こ、ここにあります!〝アンダーウッド〟のコミュニティが、三三四五番の招待状を持っています!」

 

「おおお!」っと歓声が上がる。白夜叉はニコリと笑いかけ、バルコニーから霞のように姿を消し、次の瞬間には少年の前へ立っていた。

 

「ふふ。おめでとう、〝アンダーウッド〟の樹霊の童よ。後に記念品でも届けさせてもらうかの。よろしければおんしの旗印を拝見してもよろしいかな?」

 

 コクコクと勢いよく頷く少年。彼の差し出した木造の腕輪には、コミュニティのシンボルと思われる、巨大な大樹の根に囲まれた街が描かれていた。暫し旗印を見つめた白夜叉は微笑んで少年に腕輪を返し、次の瞬間にはバルコニーに戻っていた。

 

「今しがた、決勝の舞台が決定した。それでは皆のもの。お手を拝借」

 

 白夜叉が両手を前に出す。倣って全ての観客が両手を前に出す。

 パン!と会場一致で柏手一つ。その所作一つで―――全ての世界が一変した。

 

 

 

 

 

「(これは………白夜叉の………?)」

 

 バフン、と少し意外な着地音。見れば下地は樹木の上だ。否、しかしただの樹木などではなく―――

 

「この樹………ううん、地面だけじゃない。此処、樹の根に囲まれた場所?」

 

「そうだな。恐らく〝アンダーウッド〟にある大樹の根の中だろう」

 

 上下左右、その全てが巨大な樹の根に囲まれている大空洞だった。

 耀の独り言に答えるレティシア。耀が「〝アンダーウッド〟?」と小首を傾げていると、アーシャが小馬鹿にしたように耀達を笑う。

 

「あらあらそりゃどうも教えてくれてありがとよ。そっか、ここは根の中なのねー」

 

「……………」

 

 フイ、っと無関心そうにアーシャから顔を背ける耀。これにアーシャが苛立ち、レティシアは苦笑いを浮かべた。

 横に立つジャックと共に臨戦態勢に入るが、耀はそれを小声で制す。

 

「まだゲームは始まってない」

 

「はあ?何言って」

 

「勝利条件も敗北条件も提示されていない。これじゃゲームとして成立しない」

 

「ああ。耀の言う通りだ。お前達は少し冷静になれ」

 

 耀の言葉に同意するレティシア。ムッとするアーシャ。

 ツインテールを振り回し、呆れたように根の大空洞を見回してぼやく。

 

「しっかし、流石は星霊様ねー。私ら木っ端悪魔とは比べ物にならねえわ。こんなヘンテコなゲーム盤まで持ってるんだもん」

 

「それは………多分、違う」

 

「ああん?」

 

 耀は声には応えず首だけを振る。それにレティシアが頷いて答えた。

 

「ああ。これは白夜叉が用意したゲーム盤じゃない。お前達も聞いていただろ?白夜叉に選ばれた決勝の舞台は―――〝アンダーウッド〟のコミュニティだと。つまり此処は南側にある〝アンダーウッド〟の大樹の根の中………と私は推測する」

 

「は?じゃあ此処は北側じゃなくって、南側だってのか!?」

 

 驚愕するアーシャ。それに納得がいったように耀が頷いた。

 

「そっか!体感温度が北側のより明らかに低いのは場所がそもそも違っていたんだね………!」

 

「そうだ。白夜叉は星霊だからな。舞台上の我々だけ別の空間に跳ばすなど造作もないことさ―――と、」

 

 レティシアがそこで切ると、突如三人の間の空間に亀裂が入る。

 亀裂の中から出てきたのは、輝く羊皮紙を持った黒ウサギだった。

 ホストマスターによって作成された〝契約書類(ギアスロール)〟を振りかざした黒ウサギは、書面の内容を淡々と読み上げる。

 

 

『ギフトゲーム名〝アンダーウッドの迷路〟

 

 ・勝利条件

 一、プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る。

 二、対戦プレイヤーのギフトを破壊。

 三、対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)。

 

 ・敗北条件

 一、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合。

 二、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。                     』

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