最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!?   作:問題児愛

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今回は白夜叉との挑戦or決闘の決定までです。
一気に書いたら10頁いきそうなので(苦笑)


第四話 白夜叉の正体は魔王様

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、3345外門に本拠を構えている〝サウザンドアイズ〟幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

 投げやりに受け流す黒ウサギ。

 一方、耀がその隣で小首を傾げて問う。

 

「‥‥‥その外門、って何?」

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるんです」

「そして私のいる四桁の外門となれば、名のある修羅神仏が割拠する完全な人外魔境となるのだよ」

 

 耀の問いに黒ウサギが箱庭の図を描きながら答え、白夜叉が補足する。

 そしてその図を見た亜夜達は口を揃えて、

 

「―――超巨大タマネギ?」

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」

「タマネギは切ったら目が痛くなって涙が出ますし、バームクーヘンがいいです」

 

 うん、と頷き合う十六夜・飛鳥・耀と、一人話題が逸れてる亜夜。

 それに気づいた十六夜達は

『そっちか』

 と苦笑した。

 一方、身も蓋もない感想にガクリと肩を落とす黒ウサギ。

 溜め息を吐く白雪姫、苦笑するジン。

 白夜叉だけは哄笑を上げてうんうんと頷いた。

 

「ふふ、上手いこと例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は〝世界の果て〟と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティに所属していないものの、強力なギフトを持った者達が棲んでおるぞ―――トリトニスの滝の主である白雪などな」

 

 白夜叉は白雪姫を見て薄く笑う。

 それに白雪姫は照れくさそうに頬を掻く。

 

「して、誰にやられたのだ?隷属させられておるからには相当の試練を行ったのであろ?」

「は、はい!私の手加減無用の一撃を、其処の小僧に凌がれてしまいまして」

「なんと!?白雪は神格持ちだぞ!?その一撃を凌ぐとは、其処の童は神格持ちの神童か?」

「いえ、神格持ちの相手ならば素直に隷属なんてしません!それに神格持ちなら一目見れば分かるはずです」

「む、それもそうか。しかし神格を倒すには同じ神格を持つか、互いの種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはず。種族の力でいうなら蛇と人ではドングリの背比べだぞ」

 

 うーむ、と白夜叉が唸っていると、十六夜が挙手して質問する。

 

「なあ、その『神格』ってのはなんだ?」

「神格とは生来の神様そのものではなく、種の最高のランクに体を変幻させるギフトを指します。

 蛇に神格を与えれば、白雪姫さんのような巨躯の蛇神様に。

 人に神格を与えれば現人神や神童に。

 鬼に神格を与えれば天地を揺るがす鬼神と化します。

 更に神格を持つことで他のギフトも強化されますので、箱庭にあるコミュニティの多くは各々の目的のため神格を手に入れることを第一目標とし、上層を目指して力を付けているのでございますよ」

「へえ?そいつは素敵なもんだな」

「ですです」

 

 十六夜の問いに黒ウサギが説明する。

 それに十六夜が眼を光らせて笑う。

 

「ふむ。では私からも一つ、質問いいかの?」

「何だ?」

 

 白夜叉はスッと目を細めると、十六夜を指さして問いかけた。

 

「おんしは何故―――妹を膝の上に座らせておるのだ?」

「ん?ああ、そんなことか」

「そんなことか、ではない!私は気になってしょうがないのだよ童!幾ら自分の妹といえど、年頃の女子(おなご)を膝の上に座らせる兄がおるか!」

 

 ビシッと人差し指で逆廻兄妹を指さして言う白夜叉。

 確かに()()()兄妹なら、互いに恥ずかしがってしないだろう。

 だが逆廻兄妹は、

 妹がブラコン。

 兄もシスコン。

 と、もはや救いようのない兄妹にそんな羞恥心はないのである。

 

「別にいいじゃねえか。なあ?亜夜」

「うん。お兄ちゃんが問題ないなら私も大丈夫ですよ」

「む‥‥う、うむ。互いに合意とあらば、これ以上私から言うことはないがの」

 

 十六夜が亜夜の金髪頭を優しく撫でながら言う。

 すると亜夜は首を後ろに倒して十六夜を見て微笑む。

 それに白夜叉が白髪頭を掻きながら苦笑いを浮かべていると、

 

「白夜叉様。僕からも質問があるんですが、いいですか?」

「む?何かのジン」

 

 ジンが挙手して質問してきた。

 ジンは白雪姫を一度見て問う。

 

「白夜叉様は白雪姫さんとお知り合いのようですが、どういったご関係なんですか?」

「うむ。白雪とは私が神格を与えた眷属関係だ。まあ神格を与えたのはもう何百年も前の話だがの」

「神格を!?そうだったんですか」

 

 小さな胸を張り、豪快に笑う白夜叉。

 それにジンが驚きの声を上げ、その隣で白雪姫は照れながら笑う。

 だがそれに十六夜が物騒に瞳を光らせて問いただす。

 

「へえ?じゃあオマエは白雪より強いのか?」

「ふふ、当然だ。私は東側の〝階層支配者(フロアマスター)〟だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)なのだからの」

 

 〝最強の主催者〟と聞いて、十六夜・飛鳥・耀の三人は一斉に瞳を輝かせた。

 そして飛鳥がクスリと笑い、

 

「そう‥‥‥ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

「無論、そうなるのう」

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

 十六夜達は剥き出しの闘争心を視線に込めて白夜叉を見る。

 白夜叉はそれに気づいたように高らかと笑い声を上げた。

 

「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え?ちょ、ちょっとお三人様!?」

 

 慌てる黒ウサギを右手で制す白夜叉。

 

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている」

「そ、そういう問題では―――って、どうして亜夜さんは十六夜さんを止めないんですか!?」

「うにゃ?それは―――お兄ちゃんが()()()()()()()ですよ、黒ウサちゃん」

「は?」

 

 亜夜の言葉に素っ頓狂な声を上げる黒ウサギ。

 それに亜夜は満面の笑みで言う。

 

「私はお兄ちゃんの楽しみを邪魔したりなんて絶対にしません!それが例え悪いことでも」

「悪いことなら止めましょうね!?お馬鹿様!!」

「うにゃっ!?」

 

 スパァアン!

 亜夜の金髪頭にハリセンを奔らせる黒ウサギ。

 その不意の一撃に短い悲鳴を上げた後、涙目で頭を抱える亜夜。

 それに気づいた十六夜は、亜夜の頭を優しく撫でてあやす。黒ウサギを睨みながら。

 一方、黒ウサギは、

『私は悪くない。間違いを正しただけなのです!』

 と、十六夜の鋭い視線に怯みながらも思った。

 そんなやり取りの中、白雪姫は十六夜に歩み寄り、

 

「―――フン、小僧」

「何だ?」

「我が主神は嘘偽りなく最強だ!退くなら今のうちだぞ?我が主」

「ご忠告感謝するぜ、白雪。だが俺は面白そうなことを前に、何もしないのは性に合わないんでな」

「そうか。―――フフ、後悔しても遅いからな?」

「‥‥ハッ、言ってろ」

 

 忠告する。

 だが十六夜は、

 『そんなのはつまらない』

 と言って白雪姫の忠告を蹴った。

 そして、それを聞いた白夜叉はニヤリと笑って、

 

「ふふ、そうか。―――しかし、ゲームの前に一つ確認しておく事がある」

「何だ?」

 

 着物の裾から〝サウザンドアイズ〟の旗印―――向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出して、壮絶な笑みで一言告げた。

 

 

「おんしらが望むのは〝挑戦〟か―――――もしくは、〝()()〟か?」

 

 

 刹那、亜夜達の視界に爆発的な変化が生じ、気づいた時には白い雪原と凍る湖畔―――そして、()()()()()()()()()()()()()()()()

「「「なっ!?」」」

「うにゃぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 余りの異常さに、十六夜・飛鳥・耀は同時に息を呑み、亜夜も絶叫する。

 唖然と立ち竦む亜夜達に、今一度、白夜叉は問いかける。

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は〝白き夜の魔王〟―――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への〝挑戦〟か?それとも対等な〝決闘〟か?」

 

 魔王と名乗る白夜叉は、少女の笑みとは思えない凄味を見せ、それに再度息を呑む亜夜達。

 それに白雪姫はニヤリと笑って言う。

 

「フフ。星霊とは、惑星級以上の星に存在する主精霊を指していてな、妖精や鬼・悪魔などの概念の最上級種であり、同時にギフトを〝()()()()〟の存在でもある。我が白夜叉様から神格を戴いたことが良い例であろう?」

 

「‥‥‥ああ、そうだな」

 

 ニヤニヤと笑う白雪姫に、してやられたような顔で前髪の金髪を掻き上げる十六夜。

 そして、視線を白夜叉に向けて、

 

「水平に廻る太陽と‥‥‥そうか、()()()()。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤‥‥‥!?」

「如何にも。して、おんしらの返答は?〝挑戦〟であるならば、手慰み程度に遊んでやる。―――だがしかし〝決闘〟を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」

「‥‥‥‥‥っ」

 

 白夜叉の問いに、即答出来ずに返事を躊躇う十六夜・飛鳥・耀。

 一方、話についていけずに小首を傾げる亜夜。

 それ以前に、戦う意思表明をしていない彼女が巻き込まれていることにさえ気づいていないのである。

 暫しの静寂が続く中、十六夜が諦めたように笑いながらゆっくりと挙手して、

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるという事かの?」

「ああ。これだけのゲーム盤を用意出来るんだからな。アンタには資格がある。―――いいぜ。今回は黙って()()()()()()()、魔王様」

 

 苦笑と共に吐き捨てるような物言いの十六夜。

 それに白夜叉は堪え切れずに高らかと笑い飛ばした。

 彼の可愛らしい意地の張り方に、白夜叉は哄笑を上げたのである。

 一頻り笑った白夜叉は笑いを噛み殺して、他の三人にも問う。

 

「く、くく‥‥‥して、他の童達も同じか?」

「‥‥‥ええ。私も、試されてあげてもいいわ」

「右に同じ」

 

 苦虫を噛み潰したような表情で返事する飛鳥と耀。

 一方、呆然と立ち尽くす亜夜に、白夜叉が問いかける。

 

「おーい、おんし。ぼーっとしてないでどっちにするのだ?」

「うにゃ?えと、私は―――」

「早く答えないと〝決闘〟に決定するぞ?」

「へ?それは―――っとその前に、お兄ちゃんはどっちを選んだんですか?」

 

 唐突に十六夜に問いかける亜夜。

 それに一瞬面食らったが、すぐにいつもの軽薄な笑みを浮かべて、

 

「〝決闘〟だ」

「ふぇ?け、〝決闘〟!?」

「ああ、〝決闘〟だ。亜夜も勿論―――〝決闘〟だよなあ?」

「え、え、本当に‥‥‥〝決闘〟を選んだんですか、お兄ちゃん!?」

「嘘だよ」

「な、にゃ!?」

 

 まんまと騙された亜夜はプルプルと全身を震わせ、

 

「お兄ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁ!!」

「おお、よしよし」

 

 十六夜に泣きながら抱きつく。

 それに、してやったりの十六夜は、亜夜の金髪頭を優しく撫でながらあやす。

 それを見た飛鳥達は、

 『絶ッ対にわざとやってるわね十六夜君!?』

 と心の中で叫ぶのだった。

 




女性店員の登場が次回になってしまった‥‥‥
亜夜のギフトは四つの予定です。
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