最強問題児の妹も異世界から来るそうですよ?―しっかり者だけど兄好き(ブラコン)!? 作:問題児愛
結局、白雪姫のギフトで水路を復活させた後、黒ウサギ・十六夜・亜夜の三名が不在、もとい先に屋敷に行っているという事なので、子供達に新たな同士の紹介は後日となった。
そして飛鳥達四名と一匹は〝ノーネーム〟の屋敷に踏み入れると、黒ウサギが祈るような格好をして椅子に座っていた。
「あ、皆さん‥‥‥」
「どうしたの黒ウサギ!?貴女顔が真っ青よ!亜夜さんの容体はそこまで深刻なの!?」
「は、はい。十六夜さんが付きっきりで看病しているのですが‥‥‥良くなる傾向が見られません―――ッ!」
泣きそうな表情の黒ウサギ。
そして彼女は頭を抱えながら震えて言った。
「黒ウサギが、黒ウサギがいけないのです‥‥っ!皆様のギフトを期待してしまったばかりに―――」
バシンッ!
飛鳥は黒ウサギの頬を平手打ちした。
それに驚いた黒ウサギは、平手打ちされた頬を擦りながら飛鳥を睨んだ。
「な、何をするんですか飛鳥さ―――」
黒ウサギが最後まで言い終わる前に、飛鳥は黙って彼女を抱き寄せた。
それに黒ウサギは目を白黒させて呆然と固まる。
飛鳥はこのまま黒ウサギを強く抱きしめながら言った。
「駄目よ。自分をそんなに責めては、一人で抱え込んでは‥‥‥」
「飛鳥‥‥さん?」
「私はね、亜夜さんが十六夜君が〝使っちゃ駄目〟と言った力を使ってしまったのは―――貴女のせいじゃないと思ってるわ」
「‥‥‥何故、そう思うのですか?」
「そう、ね。コレといった確証はないのだけれど―――亜夜さんは自分の意思でコミュニティを復元させようとしたんだわ」
「え?亜夜さんが‥‥‥?」
飛鳥の言葉に、首を捻る黒ウサギ。
だが構わず飛鳥は続けた。
「ええ。私は見たの。亜夜さんがまるで死を覚悟したような瞳で廃墟の街を―――」
「ま、待つのです!それじゃあまるで」
「そう。まるで自分に襲いかかる呪いの事を知った上でギフトを使用したみたいに、ね」
「な、じゃあやっぱり黒ウサギのせいで亜夜さんは―――ッ!」
「だからそれは違うわ。それに亜夜さんの性格上、貴女が期待しなくても同じことをしていたはずよ」
「‥‥‥性格上?」
黒ウサギはコテンと首を傾げる。
飛鳥は頷いて告げた。
「だって亜夜さん、しっかり者なのでしょう?それってつまり―――
「え?しかし、」
「十六夜君が過保護なのも解る気がするわ。見てて危なっかしいものね」
「あ、」
黒ウサギは思い出した。
亜夜がギフトを使用しているのを見て、十六夜が怒っていたことを。
それは即ち―――
つまり、亜夜は―――――勝手に一人で抱え込み、それを解決しようとしたのだ。
十六夜は身勝手な亜夜の行為に、それも命に関わる事だった為、怒りを露にしていたのである。
黒ウサギはそれに気がつき、自分の勘違いで飛鳥に迷惑かけていることに気づいて急に恥ずかしくなった。
「あう‥‥‥飛鳥さん」
「何かしら?」
「そろそろ放して頂けないでしょうか?」
「―――あ、あら、ごめんなさい。すっかり忘れていたわ」
「あ、飛鳥さん!?‥‥‥んもう!」
クスクスと笑いながら飛鳥は黒ウサギから離れる。
黒ウサギは顔を赤らめたまま俯いた。今の顔を見られたくないのだろう。
だが、飛鳥は可愛らしい表情の黒ウサギを青い双眸にしっかりと捉えており、ニヤニヤと笑っていた。
それを見ていた耀・ジン・白雪姫がクスクスと笑って、
『飛鳥と黒ウサギの組み合わせ‥‥‥案外ありかも』
と、密かに思うのだった。
一方、十六夜は絶賛亜夜の看病に励んでいた。
まあ、亜夜の服を脱がして汗ばんだ血色の悪い病人肌をおしぼりで拭いたり。
亜夜の額に載せている氷嚢を取り換えたり。
時折、亜夜の額に十六夜の額を当てて体温チェックをするなどをしているくらいだが。
‥‥‥十六夜が身体を拭く際に亜夜の前と下をやったのかは―――――ノーコメントにしておこう。
亜夜の容体は一向に回復の兆しを見せない。
それどころか、悪化しているようにも見えてくる。
十六夜は亜夜の小さな手を握って無事を祈る。
「‥‥‥‥‥亜夜」
「―――ハァ、ハァ。お、にぃ‥‥ちゃ、ん?」
すると、祈りが通じたのか、おぼろ気ながらもうっすらと目を開き、十六夜の姿を紫色の双眸で捉える亜夜。
それに気づいた十六夜は、
「亜夜!」
「ふ、にゃっ!?」
亜夜の小柄な身体を抱きしめる。
だが、亜夜は何故か顔をさらに赤らめて口元に手を持っていき言う。
「‥‥‥おにぃ、ちゃん」
「何だ?」
「‥‥‥‥‥お、にぃ、ちゃんの、顔がある‥‥‥とこ、ろ―――――私、の胸、が‥‥ある、ところ‥‥‥だよ?」
「‥‥‥ああ、悪い。亜夜の胸―――――
「まな、板言う、なあああああああ!!!」
ペシッ!‥‥‥‥‥ペシッ!
亜夜は病人ながらも十六夜の金髪頭を叩く。
それにヤハハと笑った十六夜は亜夜の三発目の軽く握った拳を掴んで、
「もう休んでろ。呪いが悪化するからよ」
「‥‥‥うん、わか、ったよ。お、にぃ‥‥‥‥‥ちゃ、ん」
パタリ、とベッドに倒れ込んでやがて寝息を立て始める亜夜。
それを確認した十六夜は、亜夜の前髪をどけると―――
「―――――ん、」
「‥‥‥‥‥う、にゃぁぁぁぁ♪」
額にキスをした。オヤスミの挨拶なのだろう。
それを感じ取ったのか、亜夜は口元をニヤけさせていた。
十六夜はそんな亜夜に苦笑して―――
「―――――くぅ、すぅ‥‥‥」
亜夜の容体が安定したことに落ち着いてか、そのまま彼女の傍で眠りにつくのだった。
翌日。十六夜が「ふぁ、」とアクビをして目を開けると、
「‥‥‥おい、我が妹」
「‥‥‥すぅ‥‥‥すぅ」
「寝てるか。‥‥‥まあいっか、こんまま連れてっても」
十六夜の首の後ろに手を回してぶら下がりながら眠っている亜夜がいた。
それに苦笑した十六夜は、
「―――
「まったくね!‥‥‥って亜夜さん!?」
「え?亜夜!?」
「‥‥‥うにゃ?」
十六夜が大広間に着くと、早速飛鳥と耀が出迎えた。
そして亜夜の姿を確認するや否やで、声を上げる飛鳥と耀が十六夜と亜夜の下へ駆け寄った。
その騒がしい音に目を覚ました亜夜は―――十六夜を見て固まった。
いつの間にか十六夜にお姫さま抱っこされていることに、驚いたのだろう。
そして、格好が―――
「うにゃあ!?寝間着!?」
「おう。制服は汗まみれだったから替えといてやったぜ?」
「ふぇ?―――あ、ありがとう。お兄ちゃん」
「おうよ」
寝間着の裾をキュッと引っ張って恥ずかしそうにお礼を言う亜夜。
それにヤハハと笑って返す十六夜。
すると、飛鳥と耀がジトーと十六夜を睨んで、
「服、着替えさせたんだね。流石はシスコン」
「あ?」
「亜夜さんの裸―――見たのね。最低のシスコンね」
「んだとゴラァ!」
「お、お兄ちゃん!」
「‥‥‥‥‥チッ」
亜夜に止められて舌打ちする十六夜。
そして亜夜は、飛鳥と耀に振り向いて注意する。
「飛鳥ちゃんも耀ちゃんも、喧嘩は駄目ですよ?」
「「はーい」」
亜夜の言うことに素直に聞く飛鳥と耀。
それに十六夜が若干不機嫌そうな顔をした。
まあそれはそうと、
「亜夜さん」
「うにゃ?何ですか飛鳥?」
「‥‥‥貴女、寝間着のまま行くつもりかしら?」
「―――――‥‥‥あっ」
飛鳥に指摘された亜夜は、顔を真っ赤に染め上げると、
「い、急いで着替えてきます―――!」
昨日まで呪いで倒れていた少女とは思えない速さで部屋に入っていった。
《数分後》
「うにゃぁぁぁぁぁぁぁ!!お兄ちゃぁぁぁん!?」
「どうし―――――は?」
「「亜夜(さん)!?その格好は―――!!?」」
亜夜の大絶叫に振り返った十六夜・飛鳥・耀が、亜夜の姿を見て驚きの声を上げた。
そして亜夜の格好は―――
「う、うにゃぁぁぁぁ‥‥‥」
メイド服―――なのだが、何故かしっかり者の亜夜は着崩した状態で現れたのだ。
胸元は大胆に開き、スカートの裾ははだけて生白い病人肌が覗く。
それを見た十六夜はすぐさま亜夜の下へ駆け寄り、
「何で服乱れてんだよ」
「だって、私の服が消えてたんだよ!?だから、お兄ちゃんにそれを訴えようとしてそれで―――!」
「だからってんな格好で出てこなくていいだろ。ほら、ちゃんと服を整え」
「フギャアアアアア!!?い、い、十六夜さん!?な、な、な、何をしようとしているのですか!?」
「あん?」
黒ウサギが口をパクパクさせながら顔を真っ赤にして言う。
「い、い、い、十六夜さんの不潔うううううう!!!」
黒ウサギはとんでもない勘違いをして顔を押さえながら走り去る。
まあ、黒ウサギの目には、
『妹を襲おうとしている不健全な兄』
と映ってしまったのだろう。
「‥‥‥はぁ。―――めんどくせええええええ!!!」
それに十六夜はどういう意味かを察して、盛大に頭を抱えて絶叫するのだった。
飛鳥×黒ウサギの百合計画進行中です。
勿論、逆廻兄妹の愛も育ませていきますとも!