子狐幻想記   作:d.c.2隊長

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紅魔館 起

 【紅魔館≪こうまかん≫】

 

 吸血鬼〝レミリア・スカーレット〟を当主とする、霧の湖の畔に建つ内外ともに紅い館の名前である。

 

 その紅魔館の主要なメンバーは以下の五名。

 

 

 

 当主、レミリア・スカーレット。彼女は〝運命を操る程度の能力〟を持ち、多少の未来予知や〝そうなる運命〟を捻じ曲げることができ、吸血鬼としての高い身体能力もあり、高いカリスマ性も持つ。ただ悲しきかな、見た目は子供、中身も子供のため、カリスマはよく破壊され、霊夢によく泣かされる。

 

 

 

 紅魔館のメイド長〝十六夜 咲夜≪いざよい さくや≫〟

 

 紅魔館唯一の人間にして紅魔館を支える完全で瀟洒なメイド。その能力は〝時間を操る程度の能力〟。彼女は文字通り、時間を操ることができるのだ。しかし、時間を止めたり進めたりすることはできても戻すことはできないらしい。紅魔館で働くメイド妖精をちゃんと仕事させるすごい人。でもレミリアを少々危険な目で見ている時があるのは気のせいだろうか?

 

 

 

 紅魔館にある大図書館に住む魔法使い〝パチュリー・ノーレッジ〟

 

 彼女は魔理沙とは違い、歴とした魔法使いという名の妖怪である。能力に関してはさまざまな魔法が使えるとしか言えないため、省略させていただく。レミリアからパチェと呼ばれ、自身もレミリアのことをレミィと呼ぶ親友というべき間柄。大図書館で本を読み耽り、たまに来る魔理沙に本を借り(盗)られていくのが日常。喘息持ちであり、小悪魔という従者がいる。

 

 

 

 紅魔館の門番〝紅 美鈴≪ホン メイリン≫〟

 

 中国風の名前と服装に身を包む紅魔館の門番。妖怪。〝気を使う程度の能力〟を持っており、用途は身体能力の強化。妖怪にしては人間に対して非常にフレンドリーの様子。門番という役職だがよく居眠りをしており、咲夜に見つかるたびに頭にナイフを投げつけられている。でも妖怪だから死なない。庭の整備もしており、それはそれは美しいという。でも居眠りする。

 

 

 

 悪魔の妹〝フランドール・スカーレット〟

 

 レミリアの実の妹。その能力は〝ありとあらゆるものを破壊する程度の能力〟。手に〝目〟と呼ばれるものを出現させ、それを握りつぶすことで対象を爆破するという能力である。この危険な能力故にフランは495年もの間地下に封印され、今もそれは続いているという。そのせいか気が触れており、常に情緒不安定になっているらしい。

 

 

 

 これは、紅魔館メンバーと氷狐が出会い、時に楽しく、時に危険に過ごす…そんなお話。

 

 

 

 

 

 

 よく晴れた昼下がり、紅魔館の門番である美鈴はいつものように居眠りを……していなかった。

 

 「……楽しそうですねぇ」

 

 そう呟く彼女の眼に映ったのは、霧の湖の向こうで弾幕ごっこをしている二人の青い妖精と妖怪。

 

 美鈴は妖精のほうとは面識があった。妖精の名は〝チルノ〟……霧の湖を縄張りにしている、普通の妖精よりも強い力を持った妖精である。そして少々おつむが足りないことでも有名である。

 

 だが美鈴は妖怪の方は知らなかった……いや、姿だけは何度も見たことがあった。よく今いる場所でチルノとともに弾幕ごっこをしている姿を見るし、たまに人里に買い出しに行けば、よく甘味処で団子を頬張っている姿を見た……勿論、魔理沙が団子を盗った姿も、魔理沙が霊夢に怒られる姿も見たことがある。

 

 しかし、直接的な面識は一切なかった。わかっているのは、霊夢や魔理沙、チルノといった面子と仲がいいということくらいである。

 

 「あ、そこはあぶない! そう、そこです! あ、あっ! あー……おしい」

 

 「何がおしいのかしら?」

 

 「うきゃう!? さ……咲夜さんですか。今、あの子たちの弾幕ごっこを見ていまして」

 

 「あの子たち?」

 

 弾幕ごっこを見るのに夢中になっていたときに急に声をかけられてびっくりした美鈴だったが、相手が咲夜だとわかるとほっ、と一度息をつく。

 

 そして見ていた方角を指差し、咲夜もその方角を見る。そこには、勝ち誇るチルノと悔しそうな妖怪の姿があった。

 

 「あら、氷狐じゃない」

 

 「咲夜さん知っているんですか?」

 

 「直接面識はないけど、霊夢がそう言っているのを聞いたわ。まさかチルノと弾幕ごっこをしているなんてね」

 

 意外そうに、咲夜は呟く。それは氷狐が弾幕ごっこをしているからなのか、それとも霊夢から離れていることなのか……。

 

 二人は少しの間氷狐とチルノの二人を見ていたが、チルノはなぜか紅魔館を指差し……なぜか二人がこちらに向かってきた。氷狐は飛べないのでチルノに抱えられているが。

 

 「……こっちに来てますね」

 

 「……こっちに来てるわね」

 

 二人して不思議そうに呟く。やがてチルノと氷狐がやってきた。そして、チルノがいきなり美鈴に指を指した。

 

 「あたいと氷狐と弾幕ごっこをしなさい中国!!」

 

 「いきなりなんですか!? それから私は中国ではなく美鈴です!!」

 

 「うー」

 

 「はいこんにちは。私は十六夜 咲夜っていうの」

 

 「さーや?」

 

 「うーん……それでいいわ」

 

 突然のチルノの発言に再び驚く中国……もとい美鈴。

 

 その隣では氷狐が咲夜にお辞儀をしながら挨拶(?)をしていた。

 

 名前に関しては氷狐の霊夢や魔理沙への呼び方を知っていたため、咲夜は仕方ないかと苦笑を浮かべて了承した。

 

 「あたいと氷狐のこんぶろーしょんで今日こそ倒してやるんだから!」

 

 「コンビネーションの間違いでは?」

 

 「なんだか体に良さそうね」

 

 「うー?」

 

 「ん? 氷狐も戦うのかって? 子分は親分の言うことを聞いてればいいの!」

 

 「「今の通じるんだ……」」

 

 2対1の変則ルールの弾幕ごっこの結果は、美鈴の勝利に終わった。

 

 

 

 

 

 

 次の日の、魔理沙が氷狐を連れて紅魔館に侵入してきた。もちろん、美鈴は寝ていたので素通りである。

 

 「ようパチュリー、魔道書借りに来たぜ」

 

 「盗りに、の間違いでしょう。で、なんでその妖怪を連れてきたのかしら?」

 

 「暇だろうから連れてきた!」

 

 悪気の全くない魔理沙のセリフと笑顔に辟易しながら、パチュリーは魔理沙に担がれた不満げな表情の子狐の妖怪を見ながら問いかける。

 

 すると、魔理沙はかなりイイ笑顔で左手の親指を立てた。

 

 「あーうー!!」

 

 「怒ってるようだけど」

 

 「うーん、やっぱり団子を食べてる最中は駄目だったか……今度からは普通にっていててて! ちょ、氷狐痛い! 髪引っ張るのやめてくれ!」

 

 「誰だって怒るわよそれは……」

 

 担がれた体制で魔理沙の髪を力の限り引っ張る氷狐と本気で痛いのか涙目の魔理沙。そんな二人を見て呆れた表情で頭を押さえるパチュリー。

 

 しかし、パチュリーがどこか嬉しそうに見えたのはなぜだろうか?

 

 「氷狐……だったかしら? 今お菓子を持ってきてもらうからそれくらいにしてあげなさい」

 

 「うー……」

 

 「あー痛かった……助かったぜパチュリー。ついでに私ももらっていいか?」

 

 「駄目といってももらうくせに……小悪魔、お菓子と紅茶をお願い」

 

 「はーい、少々お待ちくださいね」

 

 パチュリーが紅い髪の女性、小悪魔に頼むとすぐ近くにいたのかすぐに返事が返ってきた。

 

 その小悪魔が持ってきたお菓子と紅茶に舌鼓を打ちながら、魔理沙とパチュリーは日常会話に花を咲かせる。

 

 「でさ、霊夢の奴どうしたと思う? 氷狐を抱き上げて一緒に風呂入ったんだぜ」

 

 「ふぅん……」

 

 「はぐはぐ♪」

 

 「美味しいですか?」

 

 「うー♪」

 

 「それは良かったです」

 

 その話の話題がほとんど霊夢のものと氷狐のものだったためか、パチュリーはどんどん不機嫌になっていく。

 

 その隣では氷狐と小悪魔が平和な時間を堪能していた。

 

 この日、魔理沙たちが帰った大図書館では静かに霊夢に嫉妬するパチュリーの姿があったそうな。

 

 

 

 

 

 

 日差しの強いある朝、レミリアは咲夜に日傘を持たせながらゆっくりと博麗神社に向けて飛んでいた。

 

 そして神社に着き、レミリアは挨拶もなくいきなり居間へと入り込み、いるであろう人物に声をかける。

 

 「霊夢いる……っていないわね」

 

 「そうですね……ああ、そういえば」

 

 しかし、目当ての人物はいなかったようで返事は返ってこず、レミリアは小さな肩を小さく落とす。

 

 その姿を見た従者が気づかれないくらい小さく肩を震わせながら思い出したように声をあげた。

 

 「なにかしら? 咲夜」

 

 「霊夢はここのところずっと朝は人里に行っているそうです」

 

 「そうなの……」

 

 自身の誇るべき従者の言葉に一切の疑問を持たず、それが真実だと受け入れるレミリア。

 

 内心ではぐうたら巫女の霊夢が……などと失礼なことを思っているのだが。

 

 「ただいまー」

 

 「うー」

 

 「あら、おかえりなさい」

 

 「レミリアに咲夜じゃない。なんで居間にいるのよ」

 

 そんなことを考えていると、待ち人である霊夢とおまけに氷狐が帰ってきた。

 

 なぜかいるレミリアたちに霊夢は特に驚きもせず、この場のいる理由を問いかける。

 

 「それは……」

 

 「さーや!」

 

 「久しぶりね氷狐」

 

 「あら、咲夜はいつから氷狐と名前を呼ぶ間柄になったのかしら」

 

 「ついこの間よ。そんなに怒らないでくれないかしら」

 

 「ねえ、ちょっときいてよ!」

 

 言葉を遮られ、声を荒げるレミリア。さっそくカリスマブレイクしてくれた。

 

 霊夢は氷狐に名前を呼ばれた咲夜を睨んでおり、咲夜は冷や汗をかきながら目をそらしている。

 

 「……で、用事は?」

 

 「……明日、紅魔館でパーティーをするの。霊夢にも是非きてほしいんだけど」

 

 「レミリア直々に誘われるなんて……明日は土砂降りにレミリアがうたれるのね」

 

 「それ遠まわしに私に死ねっていってるのかしら!?」

 

 少し不機嫌になりながらも用事を伝えるレミリアに、霊夢は驚いた表情を浮かべながらさらりと毒を吐く。

 

 吸血鬼にとって流水は弱点……雨なぞにうたれてはレミリアは大変なことになってしまう。

 

 あんまりな言葉にレミリアは泣きそうになるがそこは吸血鬼である紅魔館当主、なんとか涙目で済んだ。

 

 「……そうね、参加させてもらうわ。氷狐も連れていくけどいいわよね?」

 

 「ええ。美味しいお団子を用意しておきます」

 

 「うー♪」

 

 「ねえ、なんで咲夜が了承してるの?ねえってば」

 

 自分で良いと言おうと思っていたレミリアの意思を余所に淡々と進んでいくレミリア以外の会話。

 

 今日もレミリアのカリスマ性は粉々になっていた。

 

 交わりだす氷狐と紅魔館組の運命。

 

 それが今後どうなるのか……それは、レミリアにすら見えていなかった。

 

 

 

 

 

 

 「どうせ私なんて……グスッ」

 

 「れーあ、いいこいいこ」

 

 「うわああああん!!」

 

 「くっ、紫に続きレミリアまで……羨ましい……」

 

 「はぁ……頭をなでられながら泣くお嬢様……イイ」




ようやく更新できました。

本作のレミリアは大体こんな感じで行きます。

感想、評価、批評お待ちしております。
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