プリヤ世界にアーチャーがいたら   作:アヴァランチ刹那

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まずは一言目に謝罪をば。


まっことに!申し訳ありませんでした!!!!!!更新サボって!!!!!!

いやいくらテスト期間中でも一回ぐらい更新できるかな、と淡い希望を持ってたんですが、本当に淡い希望でした。アルコール一滴を1/100000000ぐらい希釈したぐらいには薄っぺらい希望でした。

本当に申し訳ありません。なぜこうなったかの詳しい事情はここでは省きます。また少し後に活動記録を更新しておきますのでそれをご覧ください。

申し開きも何もございませんが、とりあえず本編へどうぞ。




【4】魔力の残滓

日課のランニングを終えて、サッと朝食を食べてから家を出る。

 

今では懐かしい黄土色の制服。

 

昔ではこの制服の色もすっかり忘れていたのに、今では生前の記憶が手に取るように思い出せる。

 

守護者となり、殺し屋紛いのことをやり過ぎて摩耗した記憶がここ最近どんどんと内から湧いて出るように蘇ってきている。

 

それはきっと、あの激動の数日が近づいているからだろうか。

 

高校二年生の2月。

 

正月を過ぎて間もないころに、あの戦争は起こった。

 

戦争といっても、大人数で殺しあうわけじゃない。参加した人間の数は両の手で数えられるほどだった。

 

だが、あれは間違いなく戦争だった。

 

―――その杯を手にした者は、あらゆる願いを実現させる。

 

聖杯戦争。

 

最高位の聖遺物、聖杯を実現させるための大儀式。

 

儀式への参加条件は二つ。

 

魔術師であることと、聖杯に選ばれた寄り代である事。

 

選ばれるマスターは七人、与えられるサーヴァントも七クラス。

 

聖杯は一つきり。

 

奇跡を欲するのなら、汝。

 

自らの力を以って、最強を証明せよ。

 

 

 

人外とも呼べる過去の英雄を使い魔として現界させて殺しあう戦争。

 

その勝者には、あらゆる願いを叶えるという万能の願望機が与えられた。

 

参加するサーヴァントのクラスは7つに分けられて、使役される。

 

剣の英霊(セイバー)

 

槍の英霊(ランサー)

 

弓の英霊(アーチャー)

 

騎の英霊(ライダー)

 

魔の英霊(キャスター)

 

殺の英霊(アサシン)

 

狂の英霊

 

そして、そのクラスを使役するマスターも、クセはあるがどれもこれも強者揃い。

 

過去最強ランクの英霊が呼び出された戦争。

 

それが、第5次聖杯戦争だった。

 

オレはマスターの一人であり、剣の英霊を使役した。

 

といっても、その頃のオレは未熟の一言に尽きていて、きっと彼女が自分のサーヴァントではなかったら早々に脱落していただろう。

 

今でも、懐かしんで思い出すことがある。

 

たとえこの身が地獄に堕ちようとも、あの光景だけは、あの音だけは決して忘れないと誓った。

 

 

 

 

しゃらん、という流麗な音が暗い土蔵の中に響く。

 

自分にとって、あの戦争の始まりを告げた鈴の音。

 

目前に鳴り響いた音は、真実鉄よりも重く。

 

華やかさとは無縁であり、纏った銀の無骨さは凍てついた氷のようだ。

 

だが、銀色の無骨な鎧でさえ何物よりも美しく魅せた、彼女の姿を。

 

オレは一生忘れはしない。

 

 

『ーーーー問おう。貴方が、私のマスターか』

 

 

言葉は青空のように鮮明で。

 

他の記憶が薄れていく中、心へしかと刻んだ声。

 

死を彷彿させる闇を切り裂いた、透き通った声だった。

 

肌を柔らかく撫でる風がある。その不可視の風は、彼女の持つ一振りの剣から発せられていた。

 

 

『召喚に従い参上した。これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。

ーーーーーーここに、契約は完了した』

 

 

彼女はそう、あの頃と何も変わらない無表情で言葉を放った。

 

そう、契約は完了した。

 

彼女がオレを主と誓ったように。

 

オレもまた、彼女の助けになると誓ったのだ。

 

月光はなお冴え冴えと闇を照らし。

 

薄暗い土蔵は凜とした蒼の騎士に倣うかのように、シンと静けさを取り戻す。

 

時間が止まっていたかのような錯覚に陥る。

 

オレを真っ直ぐと見つめる、穏やかな翡翠の瞳。

 

時間は永遠で、彼女を象徴する蒼い衣が風に揺れる。

 

今は遥か昔の遠い蒼光の下。

 

金砂のような髪が、月の光に濡れていた。

 

今でも、時おり彼女の名を声に乗せて読んでいる。

 

 

 

 

「ーーーーセイバー」

 

 

見上げた空は、あの時とは違い太陽が出ている。

 

だが、オレにはそれがあの日の白々とした月に見えた。

 

いつかの月下の夜。

 

一点の曇りも無い夜空に輝く星と同じ輝きを放つ彼女を。

 

オレはいつ追い抜けるのだろうか。

 

「……まぁ当分先か」

 

まだまだ未熟者だ。最優の英霊である彼女に勝つなど、今は星を掴むほどの夢物語だろう。

 

でもいつかーーーー。

 

憧れを自信に変えて挑めたのなら。

 

人はそれを奇跡と呼ぶだろう。

 

(かのじょ)に伸ばした手を握る。

 

今も心に残る、あの星を掴むようにーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり空港。

 

滑走路から新たな便が離陸しようとする中、彼女は先ほど到着したロンドン発日本行きの便から下りて、オートウォークを歩いていた。

 

後ろ手には赤いキャリーケースを引き摺っていて、眼にサングラスを掛けているからパッと見ると何処かのモデルのように見える。

 

だがそれも仕方のないことだ。

 

彼女はどこからどう見ても超が付くほどの美少女なのだ。

 

しかしその本質を底意地の悪い、猫かぶりのうっかり残念美少女だと誰が気付こうか。

 

赤い服と黒のミニスカートに身を包んだ彼女は、傍目から見ても不機嫌だとわかるほど、眉を顰めて誰に聞かせることもなく呟いた。

 

「ハァ、まさかたった一年でこっちに帰ってくる羽目になるとは思わなかったわ」

 

重苦しいため息は、今の彼女の心境をありありと表現している。

 

そしてそのため息を身近で聞いていたものが一つ(・・)

 

『久しぶりの帰郷ですよー?いきなりため息はないんじゃないですかねー』

 

その声は彼女が持つキャリーケースの中から聞こえた。

 

周りに誰もいないことをコレ幸いにと、言葉を続ける。

 

『ほら懐かしの自国ですよ?もっと感動的なことはないんですか、彼氏がお出迎えとかー』

 

「へぇ、殺されたいのかしら?ルビー」

 

気づけば彼女の額にはうっすらと青筋が。

 

ルビー、と呼ばれたモノはキャリーケースの中で、そんなにキレなくともいいじゃないですか。キレやすい十代はこれだから……などど好き勝手毒づいている。

 

かなり幅広い領域に地雷があってこれだけ怒りやすいというのに、猫かぶりも大変だろう。だからポロッとボロを出したり、肝心なところで致命的なうっかりをかますのだこのあくまは。

 

「それにね、ほんとになんとも思ってないのよ。別にこっちに思い入れがあるわけでもないしね」

 

『そんなものですかねー?』

 

ルビーの言葉にそういうものよ、と返答しようとした瞬間

 

「湿っぽくて雑多な国ですこと……。優雅さ(エレガンス)の欠片もない貴女にはお似合いですわね」

 

赤の少女の後ろから盛大なジャパンdisが野次のように飛んできた。

 

少女は額に青筋を浮かべて、自身の背後に目をやって

 

「そう思うならさっさと帰れば?師父からの依頼はぜーんぶ私がやっておくから貴女は大人しく

『実力不足でちたー、弟子入りはやめまちゅわー』

とかいって尻尾巻いて逃げかえりなさい金ドリル!」

 

青い金髪の少女にそう吐いて捨てた。勿論嘲りと侮蔑と苛立ちを瞳に浮かべて、口端は三日月のように釣りあがっている。

 

「なんですって!?こうなったのも元はと言えば貴女が…………!」

 

「自分のこと棚に上げてよく言うわこの縦ロール!」

 

騒動を聞きつけ、周りにチラホラと湧いてきた野次馬そっちのけで取っ組み合いを始める2人。

 

思わず青の少女が持っていたトランクケースから、2人に対して制止の声がかかった。

 

『公衆の場での喧嘩はおやめくださいマスター』

 

2人はそれに反応することなく、その代わりに赤の少女のトランクケースから先ほどの声がソレに返答した。

 

『恥ずかしい人たちですねー。サファイアちゃんはあんな子になっちゃだめですよー?』

 

ひっそりと、宝石爺から受け渡されたランクA相当の魔術礼装は2つ同時にためいきをついた。

 

『ほんとわかってるんですかねーこの2人は。早く2人掛かりで任務に徹しないと、敵がどんどん強力になっちゃいますのにー』

 

赤い少女が持つ礼装がやれやれと言わんばかりに、肩をすくめるような動作をする。

 

しかし同時に堪え切れない笑いを漏らして、

 

『まぁ、これはこれで面白いからいいですけどねー。うぷぷっ』

 

目の前で丁度ゴングが鳴った赤金武術大会の観戦に徹した。

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

「よし、一成。修理終わったぞ」

 

オレは半田ごてを自身の工具箱に直して、生徒会室の外で律儀に自分を待っている義理深い友人に声をかけた。

 

「いつもながら悪いな、衛宮。頼んでいるのは此方なのに任せっきりにして、すまぬ」

 

そういって頭を下げながら教室に入ってくるのは、柳堂一成。

 

穂群原学園生徒会の会長を努める、自分の一年からの友人である。

 

「そんなに気にするな。こっちが好きにやっていることだからな。で、これで全部か?」

 

工具箱を手に、自分の横に置いてある修理したてのストーブを軽く叩いた。

 

この穂群原学園の部活予算の編成は少しおかしく、運動部がかなり予算を独り占めしている。

 

そのため文化部は、かなりカツカツな財政を行なっており壊れた備品を素直に買い換える、などという贅沢なことはあまりできない。だから時折修理のために、この生徒会のドンに頼まれて備品などを修繕したりしているのだ。

 

だが修理部分を特定するために解析の魔術をかけることがあるので、神秘秘匿のため一成には修理までの時間は外に待機してもらっていたのだ。

 

「あぁ、それで全部だ。衛宮、工具箱を直してくるといい。俺はこのストーブを文芸部の部室に持っていく。それが終わったら帰ろう、もう日も暮れているのでな」

 

「そうか、もうそんな時間だったか」

 

窓から外を覗くと、日はすっかり水平線に落ちていて代わりに宵闇と月が出ていた。

 

一つ一つの修理自体は早く終わるのだが、何分数が多かった。こんな時間になるのも無理はないだろう。

 

椅子に載せていた腰を上げて、工具箱片手に自分の教室へと向かう。

 

そしてロッカーの扉を開いて工具箱を奥に押し込んだ後、学ランに袖を通しカバンを手に昇降口へと足を向けた。

 

昇降口に着くとすでに一成は出口の前で暇そうに待っていた。

 

「悪い、待たせたか?」

 

「いや大丈夫だ。さ、急ぐぞ衛宮」

 

手に持った正門横の非常口の扉をチラつかせながら学内を出る。

 

いくら春とはいえまだ肌寒い空気が残るグラウンドはもうすっかり闇に飲まれており、学園内には全くと言っていいほど人気がしなかった。

 

おそらくは自分たちが最後なのだろうと思っていると、

 

「ーーーーーーーッ」

 

一瞬、言い知れない違和感を感じて足を止めた。

 

とっさに後ろを振り向いてみるが何もなく、怪訝に思い眉をしかめた。気のせいか、と断じようとしたが踏み止まる。

 

生前から自分のこういう勘は割と当たる、それも考えうる限り最悪の方向に。

 

そう思い、いつまでも足を止めているオレに訝しんだのか一成は、

 

「どうした?何か気になることでもあったのか?」

 

と聞いてきた。

 

だが、少し考えを張り巡らせてすぐに杞憂だろうと切って捨てた。

 

流石に思い違いだろう。何せ彼女がここにいるはずがない。

 

第5次聖杯戦争、間桐桜のサーヴァントを努めたゴルゴン三姉妹の末女

 

ライダーのサーヴァント"メドゥーサ"の魔力をここで感じた、などそんな馬鹿げた話あるわけがないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当は凛とルヴィアの空中戦まで書きたかったんですが、これ以上作品を楽しみに待っていただいている方をお待たせするのは大変心苦しかったので、予定を変更して投稿させていただきました。


楽しんでいただけたら幸いです。


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