Stand up!リリカルプリキュア   作:電動ガン

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みんなお友達!お母さんの器!

「芳子?」

 

再びあたしに声をかけてくるお母さん。あたしはもうどうしたらいいかわからなくて返事も出ない。プリキュアに変身出来るかどうかもわからない今、常夜の住人に牙を向けられたらひとたまりも無い。

 

「あ!リビングのみんなを見ちゃったのねぇ。びっくりしちゃったわよね。芳子にも紹介するわ。」

 

「え、あ、おかあ」

 

「ひのこちゃーん?」

 

いつもののんびりした口調でリビングの誰かに声をかけると。着物を着た女性がゆっくりと出てきた。

 

「ちゃんづけは辞めな頼子。・・・誰だい君は。」

 

「私の娘、芳子よ?前に話したじゃない?」

 

「ああそういえば・・・起こしてしまったか?」

 

「あう・・・あ・・・い・・・」

 

ひのこと呼ばれた女性はあたしの前に来てゆらゆらと焔を揺らめかせながら屈んで目線を合わせてくる。

 

「芳子、ご挨拶は?」

 

「まぁ待て頼子。見ろ、怯えてる。初めて妖怪を見たんだから無理もない。」

 

「私は平気だったわ?」

 

「頼子はそうでも他は違う。えーっと・・・芳子、だったか?」

 

「ひゃいぃ!」

 

ばつが悪そうに頭を搔きながらあたしから少し距離をとる女性。あたしはどうやって逃げようか、どうやって変身するかなどで頭がいっぱいで名前を呼ばれて驚いてしまった。

 

「私は妖怪・・・飛縁魔のひのこだ。妖怪を見てびびってると思うが・・・とりあえずはとって食ったりしないから落ち着いて欲しい。」

 

「は、え・・・」

 

「とりあえず中でお話しない?お茶が冷めちゃうわぁ」

 

「そうだな。」

 

「芳子もいらっしゃい?」

 

「は、はい・・・」

 

あたしはリリカルコミューンを握りしめてリビングへと足を踏み入れた。

 

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「主はやて、遅くなってしまい申し訳ありません。」

 

「ええってシグナム。やっこさんの動きが早すぎただけや。」

 

「しっかしはやて?ヴォルケンリッター全員を招集させなきゃならないなんて・・・」

 

「そうかシグナムとヴィータは任務中やったから知らんのか・・・二人はなのはちゃんの下についてもらう予定や。なのはちゃんに聞いといてくれへん?」

 

「わかりました。」

 

「りょーかい!」

 

「シャマルは?」

 

「私も・・・噂でのことしか。」

 

「そうかザフィーラは?」

 

「私は局員ではなくなったので何も・・・しかし門下生が不穏な噂に怯えているのは存じています。」

 

「むむむ・・・機密扱いにしたから動きづらくなっとるんか・・・それじゃあみんな!高町一等空尉とマクリル特務三等空尉とミーティングして情報共有せよ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

四人が早足で部長室から出て行くと入れ替わりにクロノが入ってくる。

 

「失礼する。ヴォルケンリッター集合か・・・頼もしい限りだが奴らに通用するかどうか・・・」

 

「クロノ君そんな後ろ向きなこと言わんといて。うちの自慢の家族やで?」

 

「・・・すまん。」

 

「ええで。・・・それで?随分顔色悪いけど、何かあったんか?」

 

「二体目だ・・・」

 

「・・・なんやて?」

 

「二体目が現れた。」

 

「なんでそんなのんびりしとるんや!緊急しゅつど・・・」

 

「待て!今回も様子を見るしかないんだ!」

 

「くっ・・・状況は?」

 

「クラナガン3番ストリートに巨大な半透明の蛇が出現した。しかしそこに存在は見えるが触ることも出来ず、ぴくりとも動かない。そして見える部分は胴体の部分だけで、遠方念写やサーチャーで観測しても頭と尾にたどり着かない。とんでもない巨大さだ。」

 

「・・・影響は?」

 

「今のところ無い。強いて言うならば市民が不気味がって三番ストリートに近づこうとしないので商業が麻痺している。」

 

「わかった・・・武装隊を送って監視させる。手を出さないよう厳命してな。」

 

「了解した。」

 

「これより標的Bをボアと呼称する・・・はぁ・・・いつからミッドはびっくりワールドになったんや。」

 

「もともと住んでいた側からするとたまったもんじゃないよ。では。」

 

「ほなな。」

 

クロノが出て行くと部長室に静けさが充満した。はやてはため息をひとつついて椅子に座り直す。

 

「妖怪・・・ね。・・・ん?妖怪?・・・もしかして!!!おーいクロノ君!!!待ってーなー!!!」

 

何を思いついたのかはやては部長室を飛び出してクロノを追いかけていった。

 

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あたしはリビングに入った時点でもう死んだと思った。しかしこれはなんだろう。

 

「頼子殿!聞いてくだされ!頼子殿に言われたとおり昨日の逢魔が時に我が輩が華麗にとびはねて男の前に飛び出してやったらさぞかし驚いてくれおったわ!いやぁ愉快愉快!首も繋がって満足ですわ。」

 

「それは良かったわぁ」

 

「待て傘の字、お前さん首なんてなかろうに。」

 

「あれま!ほんとだ!がはははは!!」

 

「頼子さん、明日はわしが脅かしに行こうと思うのですがどういう兵法で行きましょうか?」

 

「そうねぇ・・・やっぱりシンプルに出会い頭にばあ!っていうのが良いわね。驚いたら高笑いしながらすーっと消えていくの。」

 

「提灯の!これがぞくにいうしんぷるいずべすとってやつだな!がははは!!!」

 

「傘の字・・・若干違うぞ。」

 

「だいたいあってるから平気よぉ。」

 

「どうした?芳子、眠いか?」

 

「ねぇー!芳子芳子撫でて撫でて!」

 

「う、うん大丈夫、です。」

 

「カルカルカル・・・気持ちいい~」

 

あたしは膝に小さな狐を抱えて優しく撫でていて目の前でひのこさんがお茶をすすってケーキを食べている。となりでは傘と提灯がお母さんと仲良くお話してて盛り上がる。

 

「ふふ・・・芳子も意外と馴染んでくれたようで良かった。まぁ頼子の娘だから平気だと思ってたがな!」

 

「おお!あんたが頼子殿の娘っ子か!!我が輩は傘化けのじんぺいだ!」

 

「傘の字、声がデカイ・・・お嬢が怯えているではないか。わしは化け提灯のたけみつだ。よろしくな。」

 

「は、はは・・・傘と提灯が喋ってる・・・」

 

「僕はねー!九尾の狐のしろかね!カルカルカル~」

 

「・・・。」

 

「ケーキって菓子は美味いな!人間は物作りがほんとに上手だ!」

 

やいやいと騒いで近所迷惑にはならないのだろうかと頭が回り始めたころにやっと思い出した。彼女たちに聞きたいことがあったのだ。

 

「ねぇ・・・」

 

「ん?どうした芳子。ケーキが欲しいのか?」

 

「ちがう!あなたたちは、常夜の住人はこの世界で何をするつもりなの!?もしみんなを恐怖に陥れるつもりならあたしは・・・!」

 

しろかねをテーブルにおいて立ち上がる。

 

「あたしは戦う!」

 

リリカルコミューンを取り出して、いつも変身するように力を込める。

 

《b・・・rea・・・k o・・・pen・・・!》

 

ノイズ混じりのボイスを唱えたコミューンの亀裂から光の粒子が吹き出してぎこちなくシリンダーが開く。

 

「これは・・・!!プリキュア・・・!?」

 

「なななな何事か何事か!?」

 

「なんとまばゆい光だろうか・・・」

 

「うえぇーん!」

 

「芳子!?何をするの!?」

 

「お母さんは黙ってて!こいつらは・・・こいつらは!」

 

「ふむ・・・私達を始末するならば好きにするがいい。今の私達はその不完全な力でも充分滅することが出来るだろうな。」

 

「ッ!?」

 

「常夜の住人・・・私達のその呼び名をどこで知ったかはしらんが・・・確かに私達はそう呼ばれていた。」

 

「芳子!やめて!!」

 

「お母さん!早く逃げて!」

 

「やめなさぁい!!」

 

コミューンに意識を向けていたら不意に頭に衝撃が走りコミューンを落としてしまう。落としたコミューンからは光が消えていて痛む頭を上げたら、お母さんにげんこつされたことがわかった。お母さんにげんこつされたのなんて小さい頃以来だ。すごい痛い。

 

「いったぁーい!」

 

「むぐぐ・・・お母さん何を・・・」

 

「ふーっ!ふーっ!いたたた・・・早速止めに入るなんて思わなかったわぁ」

 

「!?」

 

「芳子?ひのこちゃん達はね。帰る世界がもう無いんですって・・・」

 

「ど、どういうこと?!」

 

「芳子がプリキュアだとは知らなかったが・・・まぁ私達の呼び名も知っていたことだし、私達の友が何かしでかしたのだろう。私達に何が起きたのか話そう。」

 

「そう、だね・・・それに帰る世界が無いってどういうことなのかわからないし・・・」

 

「その前にだ・・・」

 

「・・・!なに?」

 

「ケーキのおかわりをもらえないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

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