「ふわぁぁ!?どうしよう!?早速見つかっちゃったぁぁぁ!!」
「今すぐそこを離れて!そいつには魔法じゃ有効なダメージが与えられない!」
「わ、わかってます!けど…」
「ウラメシーヤァァァァァァ!!!」
「きゃああああっ!!」
「あなた!」
金棒の直撃。余所見をしていたら振り上げられた金棒に気づかなかった…しかし以外と体に違和感はない。頭…冴えてる。腕…痛くない。足…走れる!土煙が晴れて自分の姿を見て驚いた!
「う、受け止めた?」
「し、身体強化も無しに!?」
「な、なら!よっしゃあー!今度はこっちの番だよーっ!!」
受け止めた金棒を…そのままあたしを軸にぶん回す!港じゃ被害が広がっちゃうから…
「海まで飛んでけーっ!!!」
「ウラァァァ!?」
「なんてパワー…」
面白いほど体が自由に動く。勝手に動いていてもそれはあたしの望んだ動きであってオートじゃない。戦える。これなら!
「プリキュアってすごい…!どりゃぁぁぁぁ!!!」
「ウラメシーヤァァァァァァ」
踵落とし!振り落とされたそれはウラメシーナの頭に直撃して大きくよろめいて顔の面に大きなヒビが入 った。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
「すごい…魔法も無しに…」
「フェイトちゃん!」
「なのは…」
「あれは!?誰が戦ってるの?!」
「わからない…でもあたしたちがどうあがいても足止めが精一杯だったのにあの子は押してる…魔法も無しでどうして…」
「とにかく!お話はあとで聞くとして今は怪物を倒さないと!」
「わ、わかった!」
海で格闘戦を繰り広げるあの子は飛行魔法も無しに空を舞い、身体強化魔法も無しに巨大な拳を受けとめ、攻撃魔法も無しに怪物を追い詰めている。悔しい…私たちは無力だ…今はそんなこと考えても仕方ない!あの子を守らないと!
「あなた!今から怪物を足止めします!その間に攻撃して!」
「へうぇ!?」
「今!あの怪物と戦えるのはあなただけなの!わかる!?」
「わ、わかりました!」
まだなんともあどけなさが残るあの子…バイザーで顔が分からないが誰なんだろうか…あの怪物となんの関係があるのか…どこかの機関からあの怪物の始末の為に送られたのか…それとも…
「航空隊!怪物にバインドを!」
怪物を再び拘束…身動きが取れない怪物にどんどん打ち込んでいくあの子は人間なのか。魔力の反応が無いということは人体に改造を施されているのではないか…魔力無しにあれほどの動きが出来るのを見ると…戦闘機人を思い出す。
「ッ…」
あれが。まだあの残酷な所業が行われているのか…そう思うと無力な私が憎い…
「っだぁぁぁぁ!!!」
あの子の拳が拘束のバインドごと怪物を吹き飛ばした。カートリッジ三発を使用したなのはのディバインバスター以上の威力があるパンチ…どういう原理なのだろうか…
「すごい…なんて威力のパンチ…」
「本当に…私達が拘束とか手助けする必要も無さそうだ…あの子はいったい…」
「魔力無しにということは戦闘機人…?」
「スカリエッティは逮捕したんだ!そんな筈は…」
「でも…」
あの子も…被害者なのか…時折誰かと会話しているような素振りを見せるからやはり自分のマスターと通話しながら…戦闘レポートを取りながら戦って本当に戦闘機人なのか…どちらにせよ
「私達が…何もしないわけには…!」
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
ウラメシーナは弱って来てるように見える。このまま殴って蹴ってを続ければ勝てるかも…!
「リボン!浄化技で悪意を浄化するリル!」
「え!?ど、どうやるの!?」
「気合いを貯めて出すカリル!」
「戦闘中にそんなこと出来るわけないじゃん!」
「いいからはやくするリル!弱ってる今がチャンスリル!」
「わ、わかった!むむむむ~!!出ろー!」
両手を広げてやってみるがプスンとも言わない。うっそー!!!
「出ないよー!うそつきー!!」
「気合いが足りないリル!リボン危ない!」
「へ!?うきゃあっ!!」
金棒が再び直撃!受け止めたけど下が海で沈んじゃう!!!
「ゴボゴボガボボボ!!」
「リ、リボンーーー!?」
「ぷはあっ!このぉぉぉぉ!!」
勢いよく飛び出してそのままアッパーカットを食らわせる!危ない危ない…このまま沈んでお魚さんとお友だちになるにはまだ早いよ~
「もう怒ったよ!!!いっくぞー!!!ってうわわわ!?」
これからまたもう一発お見舞いしてやろうとしたらリリカルコミューンが光を放ち出して!気合い貯まった?
「リボン!今リル!」
「よし!」
脇を絞めて肘を曲げて!いざ!
「プリキュア!」
また体が勝手に動き出す。腰を低くして左の拳をパワーを溜めるように引く、すると魔法使うときの魔方陣の様に前方に五枚の花びらが現れる。水面で踏ん張れるか心配だったけど何も問題ないみたい。
「プリムヴェールシャイニィィィング!!!」
左の拳をウラメシーナ目掛けて解放すると…ピンク色の光の奔流がウラメシーナを飲み込んだ。
「ナムサンンンンンンン!!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ウラメシーナが消し去られるまで光の放出は続いて衝撃波でたなびく頭と腰のリボンが静けさを取り戻すと…戦いが終わった安堵があたしを満たした。
「かっ…勝ったの…?」
「リボン、お疲れさまリル。」
「あなた!」
「ひぅっ!!!!」
頭の上から声がして振り向くと…そこにはなのはさんとフェイトさんと…たくさんの航空隊員。 フェイトさんがゆっくり降りて来て水面に立つあたしの手を握ると…
「お疲れさま…辛かったね…でも少しだけ、お話、聞かせてくれる?」
「え、えーっとぉ…」
わかるッ!!わかるぞ!!フェイトさんのこの顔は!!!何かあたしにすごい勘違いをしている顔!!!
「もう、嫌々戦わなくてもいいの…全部私たちに任せて…ね?」
「あ、あははは…で、出来ればそうしたいですね…」
「大丈夫!私がもうそんなことさせないから!だから…もう…いいの…」
うわあああフェイトさん抱きついて来て涙が!お胸が!…なのはさんも静かに見守られては…困る!!!このままではバレる!!!
「(マクリル助けて!)」
「(こういう言葉があるリル。)」
「(なによ!!)」
「(三十六計逃げるに如かず、リル。)」
「(うっそー!!!)」
やるしかない。バレるよりは…いい。今戦ってたのが芳子だとバレたら・・・バインドで捕まえられてサンダーレイジされる!!!!ごめんなさい。フェイトさんなのはさん本当にごめんなさい。心で唱えながらフェイトさんを…剥がす!
「あ、大丈夫…?」
「ご、ごめんなさい…」
「え?」
「ごめんなさぁぁぁい!!!」
「うわあっ!?」
「フェイトちゃ…うぐ!」
フェイトさんをなのはさんに向かってぶん投げて!力一杯逃げる!!!わぁおひと蹴りでデッカイ水柱が…それにあんなに離れて…というかキーンて音がしてソニックブーム?音速系女子?
「とりあえず人目の無いとこまで行って変身を解こう!マクリル置いてきてごめん!」
「いるリル。」
「え!?」
「ここリル!」
リリカルコミューンからにょきって…気持ち悪…
「気持ち悪…」
「本音出てるリル!どうして逃げるリル?プリキュアの正体は別にバレても一応問題はないリル。」
「あたしが問題あるの!うえぇぇぇん!どうしよお~!」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
「いたた…ごめんなのは…」
「ううん…大丈夫?フェイトちゃん…」
「うん…でも、逃げられちゃった…」
「すっごい速かったね…もう見えないよ。」
「・・・。」
「フェイトちゃん?」
「あの子…ごめんなさいって言う時、とても苦しそうだった。きっと何か辞められない理由があるんだ。家族が人質とか・・・」
「フェイトちゃん…!」
「なのはも見たでしょ?あの身体能力、最後の魔法も怪物を塵も残さず吹き飛ばす程の威力だった。限界を越えた改造を施されているに違いないよ…」
「あの子…戦闘機人なのかな…」
「わからない…わからないけど…あの怪物と一緒にあの子についても調べなくちゃ!」
無力な私でも力を発揮出来る場所はある!あんな、悲しいごめんなさいはもう二度と聞きたくないから…
「行こうなのは…今日は徹夜だね。」
「うん…一回家に帰ってヴィヴィオとヨシコちゃんの様子見に行かないとね。きっとヨシコちゃんはこんなの初めてだから怖がってるよ。」
「そっか…そうだね。まずはヨシコを安心させてあげないと…」
「私達はあの怪物には無力だったけどね…」
「・・・。」
そうだ…私達はあの怪物に対して無力だった…あの怪物もいったいなんなのだろうか。町を破壊するのが目的だったのか…魔法が全然効かないのは何故か…どこから現れたのか…生物兵器にしては…
「人型…怪物…まさかあの怪物も…実験生物兵器…!」
全身の毛が逆立ちそうだ。あの子は改造を施されても少女だった。怪物はどうだ。人型ということは人間に改造を施した結果…なのか。 なんて…なんて酷いことを…
「フェイトちゃん。とりあえず戻ろう?」
「あ、うん…ごめんなのは。航空隊の皆さんは残留物の捜索、お願いします。」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
「ふへぇ~えぇ~ただいまヴィヴィオ~・・・」
「おかえりヨシコ」
無事帰ってこれた。追跡は…されてないはず・・・たぶん…かなり遠くで変身を解いたから走った走った…
「もー汗だく…シャワー浴びてくるね…」
「じゃあ一緒に入ろ!私も入るところだったから!」
「いいねーそうしようか。」
コートをかけて部屋に着替えを取りに…タオルは…
「これかぁ…ふわぁああ」
「ヨシコ~先に入るね~」
「はぁーい。」
疲れた…変身が解けたあと、とてつもない疲労感がきた。まるでフルマラソン走ったみたいな疲労感だ。そこから走って帰ってくるんだからもう大変だった。もう動けない…
「むにゃ・・・ヤバイ…汗流さないと…ぐー…zzz」
「ヨシコ~?どうしたの~?ヨシコ~?」
ああ…風呂場からヴィヴィオ呼んでる…でももう動けないや…
「すや…」
ごめんヴィヴィオ…あたし寝るわ~
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
あの怪物との戦闘の後にも関わらず報告書は多くなかった。それよりも上が下した決断が納得の行くものではなかった。
「・・・公式には私が倒したことにするって…」
「あの子の正体がわからない以上仕方がないとは思うけど…いい気分しないね。」
「エースオブエースか…今回はそんな活躍してないのに…それに混乱に生じて海に落ちた人がいたのを救助しただけだし・・・」
とぼとぼと二人で帰路に着いたのは22時を過ぎていた。到着するとバタバタと少し家の中が慌ただしい。
「ただいまー。ヴィヴィオ?もうこんな時間に何してるの?」
「あっ!?ママ!?あの…えっとヨシコが!」
「ヨシコちゃんが…?」
「ヨシコがどうしたの!?」
ヨシコに何かあったの?私達がいない間に?実は怪物は複数体いたの?
「あー…えっと…その…」
「ヴィヴィオ、落ち着いて?ヨシコに何があったの!?」
「フェイトちゃんも落ち着いて!」
「そ、そう!ヨシコったらテレビで怪物見てびっくりして気絶しちゃったの!魘されてて汗が酷いから体を拭いてあげてたんだけど…」
「ヨシコ!」
家の中に飛び込んでヨシコの部屋に向かう。あまり物の多くない片付いた綺麗な部屋。端のベッドにうんうんと唸るヨシコがいた。私は手汗に濡れた手を握る…
「ヨシコ!・・・ごめん…怖かったね…そばにいられなくてごめんね…」
「フェイトちゃん。」
ヨシコはロストロギアの暴走で怖い目にあったから今回の事も案の定・・・すごく怖かったよね・・・なのはか私か家に残れれば良かった・・・
「ふわ・・・フェイトさん・・・?んん!?フェイトさん!?」
「ヨシコ?起きた?大丈夫?」
「はははい!大丈夫ですぅ!?」
「どうしたの慌てて・・・?それにまだ顔色悪いよ。」
「あ、いや、えへへ。そ、そうですか?」
ヨシコは顔色が悪い、それになんか汗もすごくかいてるし・・・それか落ち着きがない。
「ヴィヴィオはもう寝よっか?明日も学校でしょ?ヨシコはわたしとフェイトちゃんに任せてね。」
「う、うん!ありがとママ!ヨシコもお大事に!」
「ありがとヴィヴィオ。」
「ヨシコも、もう寝る?お薬とかいる?」
「あ、だ、大丈夫です。ありがとうございます。」
「そう・・・それじゃあお休み。お大事にね。」
ヨシコのこともっとしっかり見てあげないと・・・せっかく魔導士になるためにミッドに来てるんだから。なのはばっかりじゃなくて私も見てあげなくちゃ。有給・・・すごいたまってたっけ・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
危なかった・・・追求されてたら。あたしどんなボロ出しちゃうかわかんないからなぁ・・・フェイトさん・・・すごい心配してたなぁ・・・もしかしてバレてた?
「(危なかったぁ~ありがとヴィヴィオ~)」
「(ううんヨシコもお疲れ様。大丈夫だった?)」
「(すんごい怖かったよ・・・戦うって大変だね・・・私が負けたら、みんなやられちゃうと思うと、プレッシャーに潰されそう。)」
「(そうだよ。戦うっていろんな人の想いが重なり合うからすごく大変・・・覚悟が無いと潰されちゃうよ。)」
「(うん・・・というかヴィヴィオはなんか・・・達観してる・・・ね?)」
「(昔、ちょっとね。)」
魔法の練習はしてるけど、やっぱり戦うのはあたしには難しいのかな。なのはさんにもあたしは優しすぎるって言われちゃったことあるけど・・・でもマクリルにあたししか出来ないって言ってたし途中で諦めるのは嫌だ。
「ヨシコ。」
「ん、なぁにマクリル?」
「プリキュアの力は使うごとに強くなるリル。使うごとにくる疲労も慣れることで楽になるリル。最初はかなりしんどいと思うけど、頑張って欲しいリル。」
「うん。わかったよ。ありがとうマクリル。」
「ほんとは・・・マクリル達が戦いたいリル。でもマクリルのようなメグメルの妖精に戦う力は無いリル。ヨシコのような女の子が戦っているのに見ていることしか出来ないのはホントに辛いリル・・・申し訳ないリル・・・」
「ううん。良いんだよマクリル。あたしにしか出来ないんでしょ?出来る人がやらなきゃ。」
「ごめんリル・・・」
「マクリルももう寝よ?疲れたでしょ?」
「おやすみヨシコ。」
「おやすみ・・・」
そういえば・・・マクリルは常夜の住人達って言ってたっけ・・・これから何度も戦わなきゃいけないんだ・・・頑張らなきゃ。その為にも今はゆっくり休もう。
つづく