Stand up!リリカルプリキュア   作:電動ガン

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SOS!大海原で危機一髪!

「うわぁー!きれー!」

 

「ヨシコ?あんまり乗り出すと落っこちちゃうよ?」

 

今日は船に乗ってフェイトさんとクルージングです!すごーく大きな船で中にレストランやオペラホールまであるいわゆる豪華客船っていうやつです!フェイトさん、忙しいのにお休みとって先日寝込んでしまったあたしの為に連れてきたそうです。うう・・・罪悪感が・・・

 

「フェイトさん、今日は本当にありがとうございます。執務官のお仕事忙しい筈なのに・・・」

 

「いいの。いつもはなのはばっかりでしょ?たまには私とお出かけして欲しかったな。」

 

「じゃあこれからはフェイトさんともいっぱいお話します!それといっぱいお出かけもして・・・えっと・・・」

 

「大丈夫。焦らなくても。上層部から有給使ってくれって言われてるからもっとお休みとるから時間はいっぱいあるよ。」

 

「はい!」

 

「とりあえず、あと30分くらいでミュージカルが始まるみたいだから見に行かない?」

 

「ミュージカル・・・楽しみです。」

 

あれからプリキュアとして戦うようなことは無かったし常夜の住人っていうのも案外忙しかったりして?というか船が大きすぎて迷いそう。ちゃんと地図見て覚えておかないと・・・

 

「(ヨシコ)」

 

「(なにマクリル?)」

 

「(海初めてみたリル。あとでもう一回海をみたいリル)」

 

「(わかった。ミュージカルがどれくらいかかるかわかんないけど後でもう一回甲板に出るよ。)」

 

「(ありがとうヨシコ)」

 

一応マクリルもいっしょです。万が一も考えて、付いてきてもらいました。正直、何も無いことに越したことはないんだけどね。

 

「ヨシコー?こっちだよ-?」

 

「はーい!」

 

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「ヨシコいーなー今頃フェイトママと豪華客船の旅かー」

 

私はおうちのソファーで足をぶらつかせてヨシコから送られてきた写真を見ています。ひろーい海、キレイな空。私も行きたかったなー行きたかったなー!

 

「フェイトさんが有給取るってなったら本局は大慌てだったのよ。レティ提督は船旅のチケットまで用意しちゃって。」

 

「あはは・・・フェイトちゃん愛されてるねぇ。そういえばティアナはちゃんと休んでる?」

 

「はい。まぁ休むとき残った仕事はいつもフェイトさんがいつのまにか持っていってしまってたんで・・・なんとかしなきゃとは思ってましたけど・・・」

 

「そうなんだ。はいコーヒー、ヴィヴィオはココアね。今日のおやつはシフォンケーキでーす!」

 

「わーい。」

 

「ありがとうございます。・・・ふぅ。今回はほとんど書類関係は終わらせて来たので私もしっかり休めてます。スバルは休めなかったみたいですけど・・・それより、なのはさん。」

 

「なに?」

 

気がついたらティアナさんとなのはママの雰囲気が変わってる・・・仕事の話かな?私は部屋に戻ったほうがいいかな?

 

「最近流行ってる都市伝説・・・聞いたことありますか?」

 

「都市伝説・・・?」

 

「あー!知ってる!知ってるよ!」

 

知ってます。学校でもその話で持ちきりです。

 

「夜になるとオバケがやってきて人間を食べちゃうやつでしょ?」

 

「オバケ?」

 

「・・・はい。」

 

「ミッドチルダでオバケとか幽霊なんてそんなの・・・」

 

「この間の魔法の効かない怪物、あれは確かなのはさんも出動されてましたよね?」

 

「・・・うん。10メートルくらいの人型の怪物だよね。ディバインバスターも効かなくてすごく焦ったよ。」

 

「あれが都市伝説のオバケなのではないか・・・という話が本局で上がっています。」

 

「嘘・・・」

 

「ヴィヴィオ、都市伝説の話は一般人の噂のほうがより具体的に描写されてる筈だから教えてくれない?局内じゃあんまり信じてる人いなくて詳しい話は聞いたことないのよね。」

 

「はい、えっと・・・」

 

そういえばこの都市伝説、いろんなバリエーションがあったんだっけ・・・一番メジャーなのは・・・

 

「・・・夜になると、どこからともなくオバケが現れて『うらめしやー』って声を掛けてくる。その時に恨みや妬み、嫉み、負の気持ちを持っているとオバケに食べられてしまう。オバケに食べられた人はまた新しいオバケになってしまう・・・ってやつ。オバケから逃げるにはシャツを裏表逆に着るとか靴を片方だけ脱いで逃げると逃げられるとかもあるよ。」

 

「そ、そんなのがあったんだ。まるで口裂け女みたいだね。」

 

「ありがとうヴィヴィオ。うん・・・私の知ってるやつは逃げ方なんては聞いてなかったわね。」

 

「あといっぱいバリエーションがあるよ。そのオバケは人間の悪意の気持ちが具現化した存在だとか別な世界から来た侵略者だとか。」

 

「それは・・・知らなかったわね。都市伝説なんてほんと聞き込みしないと調べられないから大変なのよね。」

 

「・・・そうなんだ・・・」

 

「学校でも放課後は寄り道しないで早く帰るように言われてるよ。」

 

「そうだね。ヴィヴィオも帰りは一人で帰らないで誰かお友達と帰ってきてね。」

 

「はーい。」

 

「それでその『オバケ』らしきものに戦ったなのはさんにお話を聞こうと思いまして。」

 

「それならフェイトちゃんも戦ってたよ?」

 

「あー・・・フェイトさんも都市伝説信じてない派なんで・・・どこかの違法実験生物だって言ってるんですよ・・・フェイトさんがそっち方面で調べるなら補佐官の私は別な方向から調べようと思いまして。」

 

「そうなんだ・・・まったくフェイトちゃん・・・じゃあね、あの怪物に遭遇したときはね・・・」

 

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「はぁー・・・どうしよう・・・」

 

時は逢魔が時、場所は火災があって封鎖された空港内、誰も立ち入ることが無い場所に男はいた。この男、船乗りの元管理局員。元なのは次元航行艦の退役によってリストラされてしまったからだ。

 

「まだ・・・船に乗りたかった・・・せっかく資格もとって階級も上がってくると思ったのに・・・あんまりだよ・・・なんで俺がこんな目に遭うんだ・・・もっとクビになってもいいやついるだろうがクソ・・・マークとかサボってばっかりで・・・ポーンもこないだ書類ミスして怒られてた役立たずじゃねーか・・・なんでだよ・・・なんで俺が・・・自分の船があれば・・・でっかい・・・でっかい船の船長になりたかったなぁ・・・」

 

「ナラバ、フネ、ウバエバイイ。」

 

「奪うなんてそんなの犯罪じゃ・・・んっ?えっ!?」

 

男が声のした方向に振り返ると、そこには巨大な牛の頭、牛頭はぬうっと闇から巨大な身体を乗り出して男に近づいた。

 

「オレ、ウシオニ。ホシイナラ、ウバエ、チカラデ、テニイレロ。」

 

「な、あ・・・あぅ・・・ひ・・・え・・・」

 

「オレ、チカラ、ヤル。オマエニ。」

 

牛鬼の口からぬらりと長い舌が出される。舌の先には黒ずんだ不気味な木の面、面はおびえる男の顔にすぅーと張り付くとゴボゴボとヘドロのようなものが溢れ始める。

 

「うあああああ!!!!んごっ・・・!?ごぶ・・・がぼっ・・・」

 

「イケ。テニイレロ。ウラメシーナ」

 

「ゴボゴボゴボボボボボボ!!!!!ウラメシヤーーーーー!!!!」

 

ヘドロでふくれあがった男は怪物と化し、悪臭を放つヘドロを撒き散らしながら海へと飛び込んでいった。

 

 

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「なかなか面白かったね。」

 

「そうですね!あの車がきりもみ回転しながら飛び出して来た時はドキドキしました!」

 

「しかも運転手、普通に出てきて踊り出すからアクターってすごいね。」

 

「ほんとですねータフさなら管理局員にも並ぶとも劣らない感じですね。」

 

「そこは、負けてられないかな。」

 

ミッドチルダのミュージカルは楽しかった。とにかくあたしの知っているミュージカルというものを木端微塵にぶちこわしてくれた。別世界の芸能だから少し不安だったけど心配がバカらしくなる。魔法の技術をふんだんに使った素晴らしいステージだった。魔導士って管理局員以外にもこんな仕事も出来るんだなぁ。こういう方向に行くのも楽しそう・・・

 

「大分時間遅くなったし、ご飯食べに行こうか。この船は第77管理世界アシュトルム出身の有名なシェフが作る鷹狩りをする大型の豚、ホークダウンの料理が美味しいんだって。」

 

「その料理、地上部隊に好かれてそうですね。」

 

「なんで知ってるの?味は最高だって聞いてるから食べてみたかったんだよね。」

 

「じゃあさっそく食べに行きましょう!」

 

「あ、ヨシコ待ってレストランはこっち。」

 

「えへへ・・・すみません・・・」

 

「もう。せっかちなんだか・・・ごめんヨシコ、ちょっと通信が。」

 

そういうとフェイトさんが空間モニターを開いてどこかと通信を始めてしまう。なんか「休暇中申し訳・・・」とか「緊急事態・・・」なにやら物騒な単語が聞こえて来ると船に警報が鳴り響いた。

 

「ヨシコ!部屋に戻って鍵を閉めて待ってて!私は船長と話してくるから!」

 

「ええっと・・・なんかマズイ感じですか?」

 

「よくわからないけど・・・この海域にいる船が次々に何かに襲われてるみたいなの。海賊の可能性があるから部屋から出ちゃだめだよ。」

 

フェイトさんが言うと同時に船内放送で部屋に戻って、係員の指示に従って等の放送が流れた。せっかくの船旅が台無しだ。

 

「ヨシコ、絶対に、絶対に部屋から出ちゃダメだよ!私が守るから・・・お願いね。」

 

「あ・・・」

 

フェイトさんがバリアジャケットを展開して瞬時に駆け出して行く。・・・とりあえず部屋に戻ろう。

 

「ヨシコ!」

 

「マクリル!?カバンから出てきちゃダメ!」

 

「ウラメシーナが近づいて来てるリル!」

 

「うそでしょ!!?」

 

「早く変身するリル!」

 

「ここじゃばれちゃうでしょ!?ええっと・・・どこなら人がいないかな・・・」

 

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「くそ・・・!ミッドチルダで海賊だなんて・・・」

 

「船長・・・港との通信が途切れました!へんなノイズが走っていて・・・」

 

「呼びかけ続けるんだ!」

 

「船長!進路は!?」

 

「港へ引き返すぞ!到着港に戻るよりは早い!襲われた船のあるルートは避けろ!」

 

「アイサー!」

 

「船長!ハラオウン執務官が面会を求めています。」

 

「なに!?執務官だと!助かる・・・入れてくれ!」

 

「はい!」

 

「船長!フェイト・T・ハラオウンです。状況は?」

 

「港との通信が取れない。このまま到着予定港に向かうより引き返した方が早い。船内に警備隊を配備して厳重警戒する予定です。」

 

「船の武装は?」

 

「ありません・・・武装になりそうなものは消化用の放水砲くらいです。」

 

「レーダーなどに反応があったら・・・」

 

「船長!レーダーに感あり・・・これは・・・」

 

「どうした!?」

 

「船・・・です・・・船の残骸が・・・おかしい・・・船がいつのまにか航行ルートをかなりの距離引き返しています・・・!」

 

「なに・・・?」

 

船長達が船の窓から周囲を見渡すと、大小問わず真っ二つになった船や燃えさかる残骸が見えた。

 

「な、なんだこれは・・・いったいなにが・・・」

 

船長がつぶやいた瞬間船の電気が消えて船に大きな振動が走る。気がつくと船の周りは濃い霧に包まれていて10メートル先も見えなくなっていた。

 

「船長!機関停止!電力ダウン!」

 

「なにが・・・起きているの・・・!!」

 

「わかりません執務官・・・しかし今のでわかったことがあります。」

 

「船長・・・?」

 

船長の顔は血の気が引いて青ざめていた。そして窓の外を見つめて固まっている。

 

「これは海賊なんかの仕業じゃありません。」

 

フェイトが船長の見る窓の先へ顔向けると赤い目が輝く巨大な顔とこちらを潰さんと迫る腕が見えた。

 

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「きゃーーーーーー!!!!」

 

「リルウウウウウウ!?」

 

あたしは部屋に戻らず、甲板へ向かっていた。緊急放送で人が避難している今なら誰もいないと思ったからだ。しかし甲板に向かう途中船が揺れて驚いて転んでしまった。

 

「なになになに今の!?何が起きたの!?」

 

「ウラメシーナが現れたリル!急ぐリル!」

 

「もーせっかくのフェイトさんとの旅行が台無しじゃないの!!!」

 

「外が見えたリル!」

 

甲板は予想通り誰もいなかった。しかし目がしみるような悪臭が辺りを漂っていてとてもじゃないがいられない。

 

「くっさああああ!!なにこれ!?」

 

「うぐぅ・・・マクリルは鼻がいいからこれはしんどいリル・・・」

 

「ってでっか!なにあれ!?前のと違くない!?」

 

「あれがウラメシーナリル!いろんな姿のウラメシーナがいるリル!」

 

「こっちに近づいてくるよ!マクリル捕まってぇぇぇ!!!」

 

「ウラメシヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

ウラメシーナの咆吼と共に船に一際大きな衝撃が走ったあたしは振り落とされないようにするのが精一杯だった。

 

「臭いし怖いしううううもうやだあああああ!!!!マクリル!早く変身!!」

 

「わかったリル!」

 

マクリルがリリカルコミューンに変身するとあたしの手に収まる。

 

「みんなの楽しみを台無しにしてくれて・・・!絶対に許さない!」

 

《break open!》

 

「プリキュア!スタンドアーップ!」

 

《reload!》

 

リリカルコミューンは準備万端と言わんばかりに開いて中のピンクの宝石を光らせる。

 

《Go!Go!Stand up precure!》

 

まぶしく輝いたリリカルコミューンを勢いよく閉じるとあたしのからだがピンクの光に包まれる。身体にピンクの光の帯が巻き付きブローチの付いたピンクの差し色の入ったドレスに、フレアスカートに、ヒールブーツにと変わっていく。

 

「やっ!」

 

手を打ち鳴らして顔にバイザーが装着され頭と腰に大きなピンクのリボンが結ばれる。

最後にリリカルコミューンの収まるポーチが付いたベルトが巻き付き、浮き上がった身体が着地する。

 

「温良篤厚、春香る優しさの魔法!キュアリボン プリム!!!」

 

顔を上げて巨大なウラメシーナをにらみつけて物申す!

 

「他所のお家を荒らす悪漢!一罰百戒、恥を知れ!!!」

 

「ウラメシーナァァァ!!!」

 

「きゃーーーーっ!!!」

 

ウラメシーナが再び船を揺らす。流石にこれだけ振り回されると立っていられないよ!それにこのままだと船の中の人が危ない!

 

「この・・・やめなさいってのーーーー!!!!」

 

なんとか踏ん張って飛び出してキックを食らわせ・・・たがドロドロとした表面に足がめり込んでしまった。蠢いていてすごく気持ち悪い!

 

「きゃあああーーーーー!!!!くさいーーーー!!!きもちわるいーーー!!!」

 

「ウーラメシヤーーーーー!!!!」

 

「え・・・うわあああーーっ!!!」

 

ウラメシーナが顔面のあたしを振り払おうと手で・・・あたしサイズだともう壁が迫ってくると言った方が早い。ヘドロにまみれた壁があああ!?

 

「いぃーーーーやぁぁーーーーー!!!!」

 

ばたばたともがいても足は抜けない動けない。もうおわりかと思ったらリリカルコミューンが光った。

 

「プリキュア!スプリングシャワー!」

 

両手を突き出すと手のひらから無数の光弾が発射され、巨大なヘドロの手を吹き飛ばして腕はアタシの遥か下を通り過ぎていった。

 

「な、なんか出た!」

 

「プリキュアの技は一つじゃ無いリル!出そうと思えばいろいろやれるリル!」

 

「そういうの早くいってよね!!!」

 

「ウウウラメシヤーーー!!」

 

「きゃーーーーーーー!!!!」

 

うっかりしてた。腕は普通二本あるのである。

 

「アークセイバー!」

 

ウラメシーナの左手に金色の爆発が起こり腕ごと吹き飛ばす。この金色の魔力光・・・普段から見慣れているので間違いないと思うのですが・・・

 

「ッ!あなたは!」

 

「あはは・・・こ、こんばんは・・・」

 

やっぱりフェイトさんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




No.2ウミボウズウラメシーナ
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