三つ巴の後刹那が一夏に転生したらというIf

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息抜きに


IS Dies irae

おや、皆様どうされたか、私のような残滓に目を向けるなどひどく奇特なことであると思うが。

残滓、そう残滓である。黄金()刹那(息子)と戦い、刹那(息子)に敗れ、女神の抱擁の中で息絶えた男の残滓が私だ。

私のような者(旧世界の遺物)がいつまでも残っているのは悪いが、注目されてしまったのならば仕方がない。このプロローグの語り部を務めるとしよう。

では皆様、これより歌劇を御観覧あれ。

この物語は消えさった神性(息子)IF(もしも)の物語である。記憶を継ぎ、渇望(願い)を継ぎ、そうして新たな生を全うする少年の話である。

物語はありきたりだが、役者がよい、至高と信ずる。故に、面白くなると信じているよ、

それでは皆様さようなら。これにて私は終焉を迎える(Acta Est Fabula)

歌劇は終わり(そして終点は)また新たな歌劇が始まる(始点へと至る)

では、新たな恐怖劇(グランギニョル)をはじめよう。

 

――――

 

幼いころから、夢を見た。それはおそらく前世の記憶というものだと思う。もしくは子供の妄想。

一人の男の目線で見せられる人生(物語)。別にそれが妄想かどうかなんてどうでもよくて、でも確かに彼の渇望(願い)に共感を覚えたのは覚えてる。そのときから胸にその渇望(願い)が渦巻いているのも否定しないし、できない。彼のようにありふれた日常(既知)こそを至高だと思うし、非日常(未知)なんて隠し味程度でかまわない。つまり今俺が何を言いたいかって言うと……ッ!

 

「こんな未知いらねぇ……」

 

見渡す限り視界は女だけ。360度全方位。気分は動物園のパンダである。

ここはIS学園。『IS《インフィニット・ストラトス》』という名称のパワードスーツの操縦者および整備士を育成する学校。それだけなら今年16歳になる俺が居ても問題がないのだが、ここで問題になるのがこの『IS』は女性にしか動かせないのである。そう女性にしか(・・・・・)。よってここは女子校であり、そして俺はれっきとした男である。

高校入試の際、変に前衛的な構造の建物で迷い、何の因果か入った部屋にあったISに触れてしまい、また何の因果かISを動かせちまったのである。

 

「りむらくん……織斑君!」

「うわ!?えっとはい、何ですか山田先生」

「つ、次自己紹介織斑君の番なのだからお願いできるかな?」

「あぁ、わかりました。

俺の名前は織斑一夏。

好きなものは夕焼けの浜辺と日常。得意なことは料理。一年間よろしくお願いします」

 

その後、イケメンだなんだと騒がれ、担任の最強のIS操縦者()の登場でまた騒ぎ、鼓膜に甚大なダメージを負いかけた。つ、疲れた。

 

――――

 

IS学園に入って一週間が終了した。幼馴染との再会や、代表候補生サマに喧嘩を売られたりいろいろあったが、今俺が居るのは……アリーナの控え室。そう、これから代表候補生のセシリア・オルコットとの試合だ。

 

「お、織斑君!届きましたよ、織斑君の専用機!」

 

との山田先生の声で俺は専用機を拝みに言った。

そこに鎮座するのは『黒』だった。終焉を連想させる『黒』。しかしこれは終焉は終焉でも、幕引きではなく停止のような……

 

「何をしている織斑。早く乗り込め。最適化(フィッティング)一次移行(ファーストシフト)は試合中に行え」

 

姉さんの声で我に返る。そして俺はこの機体に触れ――

 

―そう、これは君のためのもの、君が振るうべき刃である。なに、最初で最期の、我が子へのプレゼントというものだよ―

 

その、妙に癪に障る声を聞いた次の瞬間には俺の体にはISがまとわれていた。急所を最低限覆うような装甲と右腕の辺りに生えている鎌のような刃。それは夢の中に出てきた『■分()』のような姿だった。

 

「箒、行ってくる」

「あぁ、勝ってこい!」

 

その後、俺は空の上に立っていた。地面があるように、実際に宙に立っていた。

 

「あら、逃げずに来たんですか」

「あいにく、勝てる勝負から逃げるような趣味はなくてな」

「減らず口を……ッ!」

 

彼女の言葉の直後に試合が開始する。と、同時に彼女の持つライフルからビームが飛んできた。

 

「踊りなさい、私セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でるワルツで!」

「あいにく、踊りなんて習ってなくてな!」

 

―数十分後―

 

「すごいですわね。私を相手にここまで耐えるなんて、あなたが初めてですわ」

「そりゃどうも」

 

とは言いつつも、俺はかなり限界だった。救いはビットの弱点がわかったことだけど、あいつむしろそれを誘ってそうなんだよなぁ……

まぁいくしかないか……ピットを壊し、セシリアの懐に飛び込んだところで、彼女がミサイルを発射した。

直撃コース、避けれない、当たれば負ける。負ける?今、こんなやつにこんなところで?俺はまだ正しく『■成』すらしていないというのに?

 

―残り少ない燃料、普通であれば避けきれぬ攻撃。まさしく奇跡でも起こらなければどうしようもない絶望的な状況だが、君は忘れていないかね、本来奇跡とは、そのようなときに起こるから奇跡と呼ばれることを―

 

癪に障る声、目に映る文字列。引き伸ばされた思考の中で、俺は『Yes』を選択した。

ミサイルにあたる一瞬早く俺の機体が変化を始める。より装甲は少なく。より速く、より鋭利に。俺の口からは祈るように言葉が出ていた。

 

Yetzirah(形成)――

Verweile doch, du bist so schon!(時よ止まれ―――お前は美しい)

 

その瞬間、俺は自分の魂と身体の歯車が嵌まる音と

 

―おはよう、我が代替。さぁ君は自由だ、好きに生きるといい―

 

誰よりも癪に障って、誰よりも近い男の声を聞いた。

 

「余計なお世話だよ、勝ったのは俺だ」

「何を、言ってるんですの?」

 

怒ったような表情で俺を見るオルコット。別にお前に言ったわけじゃないんだが……

 

「なに、負け犬が余計なことしててな、ほらオルコット、これで俺は準備万端だ悪かったな待たせて、よ!」

 

その言葉と共に俺は疾走する。刹那()(刹那)が別人だってことぐらいわかってる。でも、魂は、魂に刻まれた渇望(願い)は同じだから。疾走する、疾走する、疾走する。自分以外の総てが停滞する感覚の中オルコットが放つ銃弾を全て避けきり、オルコットの装甲がない部分を連続で切り裂いた。

 




ちなみにちょくちょく出てくるニートはプロローグ以外は一夏の魂に混じった水銀の血液に宿った残滓です。人格的な影響はまったくありませんが、一夏のSAN値をたまに意味もなく下げます。
設定練りこんで連載にするかも?

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