muv-luv the ∞ loop  『世界の負』と『狂戦士』の分岐点   作:光影陽炎

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ハーメルンよ、私は(ry

大変お待たせしました。謝罪は後書きでします。


extra story 『馬鹿な奴らと愉快な仲間』

 

 

立ち並ぶビル、大きな交差点、それを渡る人々。

 

今では当たり前の景色だが、何十年も前では見ることもできなかったであろう風景でもある。

今から十数年前、地球は未知の生物によって侵攻されていた。

その生物に感情はなく、人間としての機能が備わっているわけでもない、ただの生身の機械のようなものだった。

 

後々になって、ある人物たちによりその生物の存在意義と誕生の歴史の解明がされていくのだが、今ここで明かすようなことではない。

私が今いる場所、『日本』の第二都市「東京」にわざわざアメリカから飛んできたのには、理由がある。

それは、私の職業が新聞記者であることと、その取材対象が日本にいるからである。

 

その取材対象というのは、地球を救った救世主達の一員である、とある人物だ。

 

先ほど出てきた生物・・・・『BETA』と呼ばれる怪物と、地球人との壮絶な戦いに決着をつけたある国連所属の部隊・・・・名を『EW大隊』と呼ばれている部隊の一員だった当時19歳だった『リョウ スガワ』という名前の日本人が、今回の取材対象である。

我々があの戦争について取材したいと言ったところ、条件付きでOKサインを出してくれた。仕事に支障をきたさない日曜日を取材日とすることと、取材内容は一切捻じ曲げないことを条件にOKを出してくれた。

 

場所の指定はされていなかったので、彼の自宅で取材をとることになり、現在我々は彼の家へと向かっている。

 

彼の家は駅からそう遠くない場所に位置している。だが、マンションであるため高い場所にあるが。

歩いて十五分、彼のいるマンションに到着できた。一階の入り口で、部屋番号を入力し、ベルを鳴らす。

 

『はーい、須川ですー』

 

スピーカーから声が聞こえる、どうやら彼の家内のようだ。

 

「こちら―――新聞です。取材の件について参りました。」

『あ、記者の方ですね?今からそちらに迎えに行きます~』

 

と言って、ガチャという音を最後に何も聞こえなくなった。どうやら本当に迎えに来るようだ。

数分もしないうちにロビーの奥のエレベーターから一人の女性が現れた。どうやらスガワ氏の奥さんのようだ。

 

「すいません、お待たせしてしまって」

「いえ、こちらは大丈夫ですよ」

「どうぞ、部屋まで案内します」

 

彼女は片手を横に出し、こちら側に来るように合図した。幸い、スタッフの中に日本人が多かったのと、私自身日本語を嗜んでいたので日本語を聞き取る事には不幸はなかった。

彼女の案内によって部屋にたどり着いた我々を短髪の男性、スガワ氏本人が玄関で出迎えてくれた。

 

「こんにちは、今日はわざわざありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそ。よろしくお願いします」

 

簡単な挨拶を交わし室内に案内される我々は、普通の家庭と変わらないリビングに入った。

横がイス二つ分ぐらいの長さの机と、両側にイスが二つずつ。どこにでもあるような机とイスだった。

右側に我々、左側にスガワ氏が座り、取材を始める。

 

「さて、今回取材に応じていただきありがとうございます。これより先はオンレコになりますが、よろしいですか?」

「ええ、構いませんよ。」

 

彼の了承を得て、ボイスレコーダーのスイッチをONにする・・・・・

 

 

「スガワ氏、今回取材に応じていただいてありがとうございます。」

「いや、こちらも取材される身としてはなにぶん初めてですので、お手柔らかにお願いします。」

「そうでしたか!・・・・・失礼しました。では始めます。

あの大戦の中心にいたスガワ氏、とある武家の方からの紹介により軍に入隊したらしい、と言われていますが、本当ですか?」

「ええ、ただ武家の方、というのは間違っていますがね。」

「と、言われますと?」

「俺t・・・すいません。あの時の話になると、つい言葉が。」

「大丈夫ですよ。そのままお願いします」

「ありがとうございます・・・。俺達は武家の中でも上位、つまり斯衛の方から突然呼ばれました。」

「斯衛と言いますと、当時日本最強と言われていた?」

「はい。まぁ、斯衛とは言っても、本当は帝国陸軍の方に呼ばれたんですよ。」

「ちなみに、名前を伺っても?」

「本土防衛軍の、彩峰萩閣准将です。」

「確か、国連軍の『光州作戦』に部隊を率いて参加した隊長ですよね?」

「はい、その通りです。」

「なぜ、そんな方に呼ばれたか心当たりは有りましたか?」

「いえ、当時はまったく名は知られていなかったのですが・・・・あぁ、一つありましたね。」

「どんな話ですか?」

「あの時、俺は13の時でした・・・・・」

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

1997年3月3日

国連軍ALP直属衛士訓練学校

 

 

 

「はぁ・・・・」

軽いため息をついて、俺はこれまでの事を考えていた。

 

俺がこの世界に流されて早4年半、時間というのは流れるのが速いものだ。

最初の頃ついて行くのがやっとだった俺も、今では中隊長という任に就いている。

 

『オーディン連隊』というオルタネイティヴ第四計画(ANP4)の主任、香月博士直属の部隊に配置されている俺は、当時は地獄の訓練を受けていた。

 

まったく、世界というのはとことん理不尽を突き付けるのがお好きならしい・・・・。4年前、学校から帰宅して【戦争】の疲れがドンとあった俺は、玄関でぶっ倒れそのまま睡眠に入っていたのだが、いつの間にか桜の木の下で熟睡なんていうシチュエーションに突入しており、たまたま通りかったお姉さまもとい女帝に捕まって、そのまま軍に入隊・・・・まさに誰得状態に陥っていた。

そこからは訓練、訓練、訓練の毎日だった。

 

娯楽と言ってもお手玉、将棋、おはじきなんていう旧式なお遊び。PCPやSOMY社の電子ゲームは存在せず、漫画もアニメも発展していない時代・・・・まさか20年以上のタイムスリップに合うとは

夢にも思わなかった。

 

だが、ロマンがそこにはあった。

 

どの時代を捜しても存在しない兵器、二足歩行型の戦闘ロボット・・・・戦術機だ。

分かるか?画面の向こう側の世界と思っていたロマンが、男の夢が、この世界には詰まっていた。

だが世界ってのは、本当に理不尽で、あくまでも現実主義(リアリスト)だった。

宇宙人・・・・生ける機械ともいえるBETAの襲来によって、地上は負に染まっていた。

絶望、この一言に尽きるだろう。ただ蹂躙を尽くし、立ち向かっていけば殺戮され、死人の数は多く、もはや世界の半分は奴らに殺されただろう。

 

当時格闘技術戦と、戦術機適正検査でトップを誇っていた俺は、慢心をしていた。

ある戦場で安易な決断を下し、部隊の仲間を危険な目に合わせ、数限られている兵器を減らしてしまった。だが結果は仲間を生き残らせる事に成功し、数限られている兵器も最小限に抑え切れていた。

結果だけ見れば十分と言えるほどだが、それでも俺は軍人として失格である。でも俺は、その選択を間違ったなんて、言わなかった。

 

それ以降、俺は世界に対して戦争をすることにした。不可能と言われていた救出戦を単独でこなし、危険な囮役もやって見せた。世界が【不可能】と判断した作戦を俺は【可能】にしていった。だが、それらの行動全ても無駄だった。

 

俺の心は磨り減って、体は限界をきたし、感覚は麻痺していた。もはや、ポンコツと化した精密機械となっていた。

ある日、そんな俺にも転機が訪れた。

そう、それは夏の日差しが強い日の夜の事だった・・・・・・

 

______________________________

 

 

1993年 9月3日

ユーラシア大陸 帝国大陸派遣軍

作戦名「九―六作戦」

 

 

 

 

夏の終盤の季節になった時、俺は突然の出撃を命ぜられた。しかもよくわからない奴と二機編成をさせられ、大陸に渡った。

何故、と言っても俺の飼い主様は何も答えちゃくれなかった。ただ一言、らしくもない事を言っていた。

 

『妹のためよ。』と

 

 

あんな冷酷極まりない悪の頂点とも言うべき人間のどこに情があったのか、俺の予想がとんでもない方向に行った。いつもはBETAに囲まれた兵の救出だとか、機体のテストパイロットだとか、素質がいいからって法律までガン無視してやがる。

 

ちなみに俺は13歳で、大体中学2年生あたりの歳だが、こっちに飛ばされた時の実年齢は17歳であって、今は18歳である。

全く、頭が覚えている動きが足りないせいで入りたての頃はめちゃめちゃ大変だったわ・・・まぁ今となっては既に過去の話だがな。

 

さて、現状どうなっているのかを確認してみよう。

乗っている機体は赤のメインカラーに黒と黄色のラインが入った俺専用の陽炎である。

この機体、実は既に生産数を絞られており、乗り手も徐々に減っている機体だが、現段階で日本帝国軍の中では一番格闘に特化している機体である。

 

とある理由から跳躍ユニットを外しているが、脚部間接ユニットと腕部間接ユニットを格段に強化した。もちろんフレームも改造済みだが、装甲は通常の陽炎よりも薄くなっている。

 

さて、臨時の相方さんは撃震に乗っておられるのだが、武装は近距離にかなり徹している。

跳躍ユニットは付けているものの、装甲を薄くして各駆動部を強化したらしい。

お互いにブレードマウントにしてはいるが、俺は片腕に米軍機のA-10『サンダーボルトⅡ』が装備している『GAU-8 Avenger』を元に携帯性を目的とした新たなガトリングモーターキャノン、『GAU-9 bastard』を両腕に一基ずつ搭載している。実はこれが装甲を薄くしている一つの理由だったりもする。

 

Avengerは一基につき1万の弾数を誇っているが、それはA-10での話だ。今回は試運転ということで装備したが、マガジンを2つに分けることによって携帯性を上げることに成功した。だがしかし、マガジンの装填に時間がかかるというのと、反動も少なくはないのが難点だった。

 

だが、なんとか作戦までに問題を解決させる事ができ、マガジンをスライド開閉型にする事によって従来の装填速度を上回る事が出来たが、それでもリロードに5秒弱はかかってしまう。

 

反動は、連射速度を毎分500発から300発に変える事で反動を減らす事が実現できたが、弾幕が薄くなってしまうために二基装備することになって、結果的には装甲を予定よりもっと薄くする事になってしまった。

 

だが、GAU-9をパージする事によって、本来到達不可能と考えられていた速度に到達する事が出来るようになった。まぁ、装甲が薄いせいで逆に近接戦闘の幅が狭まったので、結果的にはマイナスだ。

とまぁ、俺の機体はこんなもんなんだが・・・・向こうさんは普通の撃震と外見に大差はない。胴体の装甲をペラッペラにしたおかげで、素早い対応ができるようになったぐらいだろう。装備に関しては、長刀がマウントしている以外にも手持ちで更に2本追加されている・・・・・なんとも異質な姿こと。

作戦開始は予測で明け方、それまで親睦でも深めようかと思って個人通信を開いたのはいいんだが・・・・なんとまぁ、ご丁寧に誰かも分からないようにヘルメットまでしているが、俺は気にせず話しかけた。

 

「よう、あんたもうちのあれに捕まったのか?」

『・・・・・・・・』

「あんた、もしかしてなんかの流派とかに入っていたのか?」

『・・・・・・・・・』

「お~い、聞いてんのか?」

『・・・・・・・・・』

 

あ、あるぇ?会話が一向に成り立たないんだが?こういう場合ってどうすりゃいいんだ?

 

『・・・・・・・私は』

 

あ、やっと口を開きやがったな。さて、なにを・・・

 

『作戦前には無駄な体力を使わないようにしているの。だから話しかけないでくれるかしら?』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

開口一番がそれかよ・・・!

まぁいい、そういうことには慣れている方なんでな、だったらこっちもやらせてもらうぜ!

 

「はーん、そこまで体力に自信がねえのか・・・・だったら後ろにでも隠れていれば?」

『言葉を間違えたわね、私はあなたみたいな人と話す気はないの。だから黙って頂戴』

 

・・・・・ここまで言われてくるとなんか腹が立ってくるな。

言い返そうとした瞬間―――――地鳴りが唐突に響いた。

 

『これはいったい何!?』

 

通信先で驚いている相方。だが俺にとっては、慣れ親しんだような感覚だ。

 

「2時の方向、奴らが来るぞ!とっとと構えろ!」

『!?』

 

視覚で奴らを捉えた俺は、迷わず二基のGAU-9のトリガーを引いた。

BETAは体中に穴を空けていき、そして倒れていったが、後ろからどんどん湧いてきて来る始末で、もはや津波を連想できるくらいだった。

もはやこうなってしまっては相方を出すわけにはいかない。近接戦闘に特化しているのでは、この場では邪魔にしかならない。情況的に考えて、本部はすでに陥落していると予測した方が妥当だろう。

 

「サンダー02!今すぐ4時の方向に向かえ!」

『!?何を言っているの!ここをあなた一人で残せるわけがないわ!』

「こっちは試運転に集中していんだからフレンドリーファイヤー(FF)する可能性が高い!こっち側は何とかすっから、お前は後方の新兵共の救援に向かえ!」

 

そう、今回の作戦には比較的に初実践の新米兵士が多い。死の8分を乗り越えることすら無理だろう。だがそうなってしまう前に、彼らが死んでしまう前に彼女を向かわせなければならない。

 

『・・・・分かったわ、後から追い付いてきなさいよ!』

「合点承知!そうと決まれば早く行けぇ!」

 

通信が切れて、相方が飛び立ったのを目視した俺は、再びBETAの大群と対峙することになった。

重光線級は見当たらないものの、光線級や戦車級、要撃級と突撃級、それと要塞級までお出ましとなれば、それはそれで大変な数になる。

 

しかも今回は大群、数的にも考えて全体で1万から2万と考えていいだろう。突撃級が突進してくるのを踏み台にして水平に飛んでGAU-9を撃ちまくる。マシンガン独特の射撃音、同時に肉の裂ける音が入り乱れる。

 

「畜生、どんだけこっちに溜まってんだコラ・・・!」

 

目視しただけでも2千は軽く居てもおかしくはない。大体6千がこちら側に偏っていると言ってもいいだろう。

 

俺がいるのは本部から大体10時半の方向であるから、本部から2時か3時の方向にも湧いていると考えるのが現状況での判断だが、後方に下がらせた相方はもしかしたら既についていて、戦闘を開始しているのかもしれなかった。

 

(間違えねぇ、今度こそ誰も死なせやしねぇ・・・・!)

 

俺は一人の戦場で、そんな事を考えていた・・・・・・

毎晩、夢のように現れる彼女の顔を思い浮かべながら――――――

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「・・・・それでその時に付いたあだ名が『殲滅隊長』っていうのでして。BETAを試験武装でなぎ払ったことから付いたんですよ。」

「そうだったのですか・・・」

 

私はその話を聞いて、驚きを隠せずにいた。

 

彼の話からすれば13の時からBETAとの戦争に参加しているという。だがそれは初の戦闘ではなく、時間外れるものの前から戦争に参加しているのだ。推測しただけでも11から12の時から戦争をしている。子供なのになぜ戦争に参加したのか?

 

復讐、当時の世界の情勢の影響での好奇心から、はたまた別の理由からなのか・・・・。

私はそれを聞かずには居られなかった。

 

「・・・・・・なぜ、そんな歳からあの戦争に参加しているのですか?あの時期は一番激戦を極めていたはずで、生きて帰れるかどうかも分からなかったんですよ?」

「そうですね・・・」

 

彼は少し考えるそぶりを見せたが、実際は既に答えがあるのだろう。だがどの答えを出そうか迷っている、そのように見えた。

 

そして彼は、口を開いてこう言った。

 

 

「あえて言えば、知ってしまったから・・・・でしょうか。」

「知ってしまった、とはいったい何を知ってしまったのですか?」

「世界の真実・・・・・ですかね。」

「真実?真実とは一体・・・」

 

私がその言葉の意味について問い詰めようとした瞬間、彼は続けざまにこう言った。

 

「っと、それに関しては何も話せません。」

 

鋭い視線、私はその視線に怯えてしまい何も言えなくなった。

 

そして彼は、テープの録音停止ボタンを押してこう言った。

 

 

「オフレコで申し上げるとすればあの部隊にいた誰しもが皆、世界一のどーしようもない馬鹿軍団だった・・・・そういう事です。」

 

・・・・・私には、まだ真実を知ることは出来ないようだ。

 




さて・・・・大変お久しぶりです、光影陽炎です。
現実の方がルナティックな忙しさを極めており、執筆作業が困難でした。
これからは2週に1回、行けて1週に1話投稿していきます。

そして最後に・・・・・
ハーメルンよ、私は帰って来たぁぁぁあああああああああ!


以上です。謝罪は活動報告でします。
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