muv-luv the ∞ loop  『世界の負』と『狂戦士』の分岐点   作:光影陽炎

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今回は光州作戦と二機編成実践試験の間の期間のお話です。


番外編 とても大きくて、とても小さくて、とても大切なお伽噺の『日常』 その壱

1998年12月31日

 

月日の流れは予想以上に早い物である。

 

春が訪れたと思えばいつの間にか夏になり、夏の暑さが過ぎれば秋になり、風が冷たくなってきた頃には冬になる。

 

そう、今日は1年の終わりの日である。

 

「・・・・・・・・・」

 

縁側でのんびりとしている私、彩峰慧は今日から家に住む事になっている新しい人を待っている。

父さん、彩峰萩閣は軍の将校でそれなりの高い地位にいる。

父さんが言うには軍に入ればそれなりの汚い所も見えてくるらしいけど、この前きた家に来た人はまさにそんな人だった。

自分の保身のために動いて、危機的状況な人類は自分は知った事じゃないと言わんばかりの人。

父さんは小声で一言言ってその人を追い返した。帰る時のその人の顔は青ざめていたけど、私からしてみればお気の毒さまだった。

そんな父さんが今朝朝食の場でこんな事を言っていた。

 

「ああ、昨日言い忘れていたが今日この家に新しく来る子供がいる。慧、お前と同い年だから仲良くしてやってくれ。」

「・・・・・・・・・・・・うん。」

 

その新しく来る子供、詳しくは聞いていないけど仲良くしてやってくれと言われたからには仲良くするしかない。私は品定めも兼ねて出向かいをすることにした。

縁側でボーっとしてから約1時間、未だに来るようすもなく昼時になっても来ない様子なので私は近くの本屋に行くことにした。

 

 

母さんからお弁当―――とは言っても焼きそばがたっぷり入った弁当―――を渡されて本を一冊買える程度の小金を持って私は出掛けた。

 

外を歩いているとやはり目につくのは買い物かごを手に持っている大人達、子供は家でおとなしくしているみたいだ。

京都とは言っても大晦日はやはり買い物の特売日でもあって、一年の終わりの日だ。家族そろって年明けの食事をするのが日常的なんだろう。

 

さて、目的の本屋『月影』に辿りついた私を待っていたのは、店主とその息子だった。

 

「おっ!彩峰の嬢ちゃんじゃないか、らっしゃい!」

「姉ちゃんらっしゃい!」

「・・・・・・うん。」

「今日はどんな本を探しに来たんだい?」

「・・・・・え~と。」

 

店主に聞かれて買おうと思っていた本を思い出そうとしたのだが、今回買いに来たのは母さんが読んでいた本を買おうと思っていたため、あまり思い出せない。

とりあえず断片的に思い出してみる。

 

「・・・・・・語られざるおとぎばなし?」

「ああ、『歴史に消えた語られざるお伽噺』ね。それなら左から2番目の棚の右奥にあるよ。」

「・・・・・・ありがとう。」

「いえいえ、どういたしまして。」

 

店長に場所を教えてもらい、私はその場所に捜しに向かう。

ちなみにこの本屋、京都の中でも1番大きい本屋なのだが種類が多いのと本屋自体が大きすぎるためにあまり利用されていない。でも客が少ない時に店長に聞くとすぐに教えてもらえる。

教えられた場所で探す事数分、すぐに求めていた私は中身を開いて目次を見た。

覇龍と崩龍、贋作者、天の御使い、赤龍帝と白龍皇、虚無の使い魔・・・・・・

 

他にもたくさんあったが中々面白そうな噺ばかりだったので、これを買っていく事にした。

パラパラ中をめくっていると題名が擦り切れていて読めないのがあった。

 

「・・・・・・・?」

 

疑問に私は思い、そこから先のページをめくって見るがそこから先は白紙のままだった。

どうやら擦り切れた題名が最後の噺らしく、そこから先のページには何も書いていなかった。だが、裏表紙を見てみると言葉が書いてある、たった数行の言葉だがなんだか分からないけどふいに読み上げてしまった。

 

「『あなたはこの噺を知ってしまったからには知らなかった時間には戻れない。でも、知らなかった時間のまま過ごす事も出来ます・・・』!?」

 

私の口調に合わせるように紡がれたその言葉は、カウンター側の出口とは逆の方から聞こえてきた。

咄嗟に私は声が聞こえてきた方を向くと、一人の男の子がいた。外見的に年齢は私と同じぐらいだろう、でも普通の子供とは違う。そう、なにか気配ともいえる物が異質に感じた。

 

「その本、どうよ?」

「・・・・・・え?」

 

突然少年から聞かれる感想、買う予定の物だったのだろうか、私はあまりにも突然だったためすぐに答えを出すことはできなかった。でもこの本を読んでいて思った事はある。

 

「・・・・・・現実味があるお話だった。」

「・・・そか、それならいいや、じゃあまたな。」

 

私の答えに満足したのか、彼は私の横を通ってカウンターの方へ向かう。

その後ろ姿にボーっとしていたが、その姿が見えなくなった頃にハッとなって後を追いかける。

カウンターから見える位置に行くと彼の姿は見えなくなっており、私は本を片手に佇んでいた。

 

 

 

既に昼を過ぎて近くの喫茶店でご飯を食べてお茶を飲み終わり、私は帰路についていた。

家に着いてから私は、母さんに擦り切れたページの事を聞こうと思っていて、珍しくほんの虫になっていた。

そもそも私は本を読むよりも体を動かすほうが好きなのだが、珍しく夢中になる本が見つかった。

今までに夢中になった本と言えば『世界の麺類の調理方法!』だったかな?

家の玄関について、私は鍵を開けて玄関ドアを開ける。

 

「・・・・・ただいま。」

「あら、おかえりなさい。今日は早かったのね?」

「・・・・・・母さん、この本、知ってる?」

 

肩掛け型のカバンから取り出したあの本を母さんに見せたら、意外そうな顔をしていた。

実際、私もこの本が見つかって買う事になるとは思ってもいなかったのだ。

 

「この本ね!もちろん知っているわよ?」

「・・・・・・最後のお話が、擦り切れていて読めない。」

「あぁ、そのことね。

実はこの本、出版社に聞いてみたんだけどね、最後のお話は擦り切れていて読めないようになっているらしいのよ。」

「・・・・・・なんで?」

 

擦り切れていて読めないという事はよく読まれている証らしいのだが、わざわざそんな状態にしておく意図が掴めなかった。

 

「なんでもね、作者さんが行方不明になっちゃったらしいのよ。それで、出版が決まっていたこの本の最後のお話だけ擦り切れた状態で出すことになった・・・というわけらしいわよ?」

「・・・・・・そうなんだ。」

「でもこの本、ちょっと擦り切れすぎているわね・・・確かここら辺に一行だけ言葉が書かれているはずなんだけど・・・」

 

母さんはちょっと待っててね?と言って二階に上がった。

1分もしないうちに戻ってきて母さんは全く同じ本を持ってきた、表紙は母さんの方が綺麗だが。

 

「ええっと・・・あった、ここよ。」

「・・・『それはとてもおおきくて、とてもちいさくて、とてもたいせつな、あいとゆうきのおとぎばなし』?」

「うん、どうやらこれが題名なんじゃないかっていう話が読者側から言われ続けているんだけど・・・」

 

母さんの持っていた本を読んでいると、そう言えば自分が買ってきた本にも書いてあった言葉があったこと思い出し、パラパラとめくる。

そして・・・見つけた。

 

「何を捜しているの?」

「・・・・・こっちにも一言書いてあった。」

「なんて書いてあった?」

「えっと・・・『あなたの護りたいものは何ですか?

あなたは何処から来て、何処へ行くのですか?

あなたはいつまで顔を背け続けるのですか?』・・・って書いてある。」

「何かの詩かしら?・・・母さん、後で探してみるわ。」

 

母さんが再度上に本を置きに行ってから戻ってくると、突然玄関ベルが鳴り響く。

 

「慧―、ちょっと出てくれないかしら~!」

「・・・・・・」

 

やっと来たのかなと思いつつ、私がドアを開けると・・・目の前には先ほど本屋であった少年と、同い年ぐらいの男の子がいた。

 

「今日からお世話になります、鉄光成と言います。よろしくお願いします。」

「同じく黒鋼克影と言います。今日からよろしくお願いします。」

 

 

それが私と二人・・・光成と克影のあまり予想をしていなかった出会いだった。

 

 

 

 

 

余談だが、あの本をその日の夜に詳しく読んでみると『萌えは死にますか?』と意味不明な言葉が書いてあった。

 




どうも、光影陽炎です。
なんとか2話投稿にこぎ着けた・・・
さて、前回は因子持ちと言う事で全員集めましたが
オリ展開かつ原作のモブキャラを使うとなると中々扱いにくい・・・
・・・gdらないように頑張ります!
感想意見、誤字脱字、ありましたらよろしくお願いします!
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