同じ、人間の勇者に討ち倒された男は、永き時を経て一人の少年に取り憑いた
これは、そんな少年が辿る、魔王と共に覇道へと墜ちていく小さなお話──
※申し訳ありませんが例の如く単発です
「おまえの耳へんなのー!」
「鼻だっておかしいしさー」
「お、おかしくない……」
「おかしいよーだ!」
「うっ……」
「とーちゃんかーちゃんと髪も目も色ちがうだろー」
「で、でも……」
「あーもううるっさいなぁ!」
「うわっ!」
子供の頃、どういうわけか両親の容姿が全く反映されなかったおかげで、物心ついた頃から頻繁に虐められていた
真っ赤な髪、金色の瞳と褐色の肌
耳は尖って、鼻の形だって普通とは違う
そんな自分が嫌だった
俺のせいで近所から気味悪がられ、白い目を向けられる両親
そんな二人が、汚物を見るような目で見下す俺自身を
「う、うぅ……」
「うわっ、こいつ泣いてるぜ!」
「きもちわりぃー!ほら、さっさとどっかいっちゃえよ!」
「うあっ、や、やめ……!」
あの頃の俺は、ただ弱くて、理不尽に何も出来ないで、ただ泣いてるだけだった
「やめろよお前らっ!」
そんな俺を助けてくれたのは、お前だった
俺より一つ年下で、だけど、俺よりずっと強くて……格好いいと思った
正直、憧れた
「な、なんだよお前!」
「うるせぇ!よってたかって、だせーんだよ!」
「こ、このやろー!」
相手は何人もいたのに、お前は全然怯まなくて
囲まれてボロボロにされてたけど、あの時俺は、お前に心から感謝したんだよ
「いってぇ~……」
「……なんで、たすけたの?」
それも、心からの疑問だった
関わらなければ痛い目に遭わずに済んだのに
「だって、許せねーだろ?あんなふうに大勢でいじめをやるやつらなんてさ」
「……つよいんだね」
「そうか?まぁいいや。なんかあったら言えよ!」
「き、きみ」
「ん?」
「おれ……
「おれ?おれは兵藤一誠!よろしくな、ミカゲ!」
一誠、兵藤一誠
あの時、俺を助けてくれて、それから俺の初めての友達になってくれた男
お前はいつだって、俺の目標だよ
優しくて、誰とでも仲良くなれて、それで、芯も強い
お前みたいになりたいって思った
お前のピンチに駆けつけて、お前を助けてやれる男になりたいって思った
どんな時でも、お前を守れるように、強くなりたいって思ってた
なのに……
「一、誠……?」
「あら、見つかっちゃった?結界は完璧だったと思ったんだけど……」
……こんなのってねぇよ、一誠
彼女ができたって、本気で嬉しそうに報告に来て、俺も本気で嬉しかった
なのに、こんなのって……
「……テメェ」
「やだ、怒ってるの?アッハハハ!やだやだ、人間の友情ってばホンットに……」
「反吐が出るほど気持ち悪いわぁ」
……キレた
俺の中で、この女を許してはおけないと、何かが叫んだ
「……コロす」
「はぁ?」
「テメェは……コロすっ!!」
「ナマ言ってんじゃないわよ人間ごときがぁ!!」
頭の中で何かが弾ける
目の前のクズが投げてきたナニカ
それを、右の拳で思いっきり殴り壊した
「は……!?」
「死ねぇぇぇぇぇっ!!」
足を振りかぶって、その勢いで突っ込んだ
爪先から、どういうわけか紫色の炎が吹き荒れた
「げぶっ、ああああっ!?」
女の腹にめり込んだ爪先
もう一度拳を作って、その歪んだ横っ面に思いっきりぶち込んでやった
「ギャアアアアアッ!!」
耳障りな悲鳴と共に、女が吹き飛ぶ
見れば、俺の拳にはさっきと同じように紫の炎が走っていた
「なっ、なに……なんなのお前は!?」
「……少なくとも、テメェをコロす奴。ってことは確かだなぁ」
あぁ、一誠
今思えば、この時から俺はもう手遅れだったんだと思う
お前の敵になる
それが決まった瞬間だったんだ、きっと
◇◆◇
かつて、世界の全てを支配しようと企んだ、一人の人間を越えた人間がいた
「一誠……生きててよかった……!」
「ちょっ、ミカゲ!?」
「我望くん……だったかしら?あなた、この子の知り合いだったのね……」
「そういうお前は……リアス・グレモリー」
そして、その野望は、緑の衣を纏った勇者に阻まれ、その男の肉体は完全に消滅した
「悪魔、だと……?」
「ええ、そう。私達オカルト研究部は、悪魔の集いよ」
けど、滅びたのは肉体だけ
その力は封印され、その魂魄は粉々に砕け散って、方々に散らばっていた
「聖女、か」
「頼むよ、ミカゲ。俺、どうしてもあの子を……アーシアを守りたいんだ」
……なんで、その力と魂の一部が俺にあるのかはわからない
「また会ったなクソアマ。今度こそ……テメェはコロす」
「ナメるな人間……その顔、ズタズタにしてくれるわっ!!」
だから、知りたいんだ
「さがりたまえ、兵藤一誠くん。その男は、消えるべきだ」
「いくら部長のお兄さまでも、聞けない……ミカゲは、俺の親友なんだっ!」
「一誠……」
そして、ガキの頃からあった衝動……それを、果たしたい
「ミカゲくん……」
「……何故、俺なんだ姫島?」
「わかりませんわ……でも、私の全てが、貴方を欲しているの……」
この気持ちが何なのかはわからない
けど……きっとそれが、俺の生まれた意味なんだ
「ミカゲ……どうして……!」
「ミカゲ、くん……」
「……悪いな、一誠。朱乃。俺はやっぱり……こうなる運命だったみたいだ」
だから、俺はこの名を名乗る
「ついに……ついに見つけたぞ緑の勇者ぁっ!!」
「お前……お前かぁ!」
神、悪魔、堕天使……そして、龍すら畏怖した、大魔王の名を
「ミカゲぇ!」
「……間違えるな。我が名は……」
「大魔王、ガノンドロフだ」
ちなみに戦闘スタイルはスマブラ仕様で脳内補完オナシャス