とある花弁の無限迷路《ラビリンス》【完結】   作:ちひろん

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間違った道標

 『絶対能力進化《レベル6シフト》』

 

 それは一方通行《アクセラレータ》を絶対能力者《レベル6》とする計画である。

 それは、『超能力者《レベル5》である超電磁砲《レールガン》の御坂美琴を128種類の戦場で128回殺害する事』によって達成されるとされた。だが、御坂美琴は128体用意できないため、凍結されていた御坂美琴のクローンの作成を目的とした量産型能力者計画の妹達《シスターズ》が着目された。そして、再検証の結果、『妹達《シスターズ》を2万回殺害する事』で同様の結果が得られることが判明された。

 

 そんな上辺だけの情報だけだったが、その匂い立つような醜悪さは隠しきれない。

 その妹達《シスターズ》の画像に初春は言葉を失った。

 

 『御坂さんそっくり』

 

 クローンであるから当然ではあったが、実際に画像で見ると、その残酷さが浮き彫りになる。

 その感情のない顔は、知らない人がみれば、ただの中学生に見えることだろう。

 初春は軽い目眩を抑えて、資料の先を読み進める。

 そこには、、妹達《シスターズ》の最終個体であり、上位個体である打ち止め《ラストオーダー》の情報があった。

 上位個体である打ち止め《ラストオーダー》、妹達《シスターズ》へ強制命令を出すことが可能である。

 

 『こんな小さな子まで』

 

 その画像は小学校3、4年の女の子が写っていた。やはり御坂美琴のクローンであるため、よく似ていた。

 

 初春はその資料の中に、計画は半ばで中断されている旨が記載されていることに気がつく。

 つまり、計画は、半ばまで実行されていたことになる。

 その一方通行《アクセラレータ》は、考えられない数の妹達《シスターズ》を、殺害したことになる。

 

 「そんな」

 

 初春の中に否定したい気持ちがあった。このような殺戮が信じられないという気持ちと、ほんの少しの『そんな風に見えない』という一方通行への気持ちがあった。

 

 初春は、一方通行の中に、ある種の諦めのような感情を見ていた。

 進んで、何かをするような、しかもこのような残虐なことを能動的にするようには思えなかった。

 

 だが、資料には確かに事実として記録されているように見える。

 もう少し詳しい情報を取得するには、さらに深い箇所までハッキングを仕掛ける必要があり、恐らくその情報はネットワークから分断された場所である可能性が高い。ネットワークで分断されていようとなんらかの媒体を介してデータのやり取りは行っていることは想像がつくため、自作ウイルスなどで収集する方法はあるが、餌にかかるまでにはそれ相応の時間がかかる。

 

 ここで、初春は大変な勘違いをしていた。

 そもそも佐天のことが気になり、一方通行の繋がりを見出した初春は、そこから導きだした『絶対能力進化《レベル6シフト》』がその答えに一番近いと考えていた。本来は全く関係がないにも関わらずである。

 その程度には、初春の佐天に対する不安は膨れ上がっていたとも言える。

 どこか、すがりつけるような道標が欲しかった初春は、この間違った答えにすがりついた。

 

 初春は再度、一方通行の書庫《バンク》の情報を参照し、住所を確認した。

 

 『とにかく、もう一度会って話をしないと』

 

 そうして、初春は間違った方向へ走りだした。

 

 

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