高校を卒業し、大学も卒業した高坂穂乃果がニューヨークの路上ライブで歌い終わった時、ある少女と出会った話。

2回目の劇場版ラブライブ!を観た作者が書いた妄想の話

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2回目の劇場版ラブライブ!を観た作者が書いた妄想の話です。

一話限りで、続きはありません!


穂乃果、ニューヨークの路地で巡り合う

 パチパチパチパチッ!

 

 歌い終わった私を待っていたのはわざわざ立ち止まって歌を聴いてくれた通りすがりの人拍手だった。

私は、歌を聴いてくれた10人そこそこの観客達に随分慣れた英語で感謝の言葉を述べる。

 

 ・・・パチパチパチ!

 

 その中で、未だに大きく拍手をしてくれる人が気になり、チラッと見て、私はドキッとした。

 彼女は何処からどう見ても旅行中の日本人の少女で、背丈的に高校生位だった。

 ・・・だけど、私がドキッとした訳は彼女があの時の、

 

 

  ・・・μ’sのリーダーだった私高坂穂乃果に似ていたから。

 

 ドームで行われた「ラブライブ!」で私達μ’Sの本当に最後のライブを行ってから、絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃんは4月から引退して大学に進み、残された私達も、チームを結成する事は無くても毎日欠かさず練習して、春休みを過ごした。

 そして、入学式を迎えた私達を待っていたのは、雪穂や亜里沙を始め、「ラブライブ!」出場を目指そうと志す入部希望者と私達のファンで部室や廊下が溢れかえったりして皆で慌てたりもしたけど、それも数日で収まって、雪穂と亜里沙を中心に結成されたチームで本格的に練習を始めて、私達が歌や踊り、作曲、作詞を教えて、私達6人もソロの歌や踊りで偶にライブをやったりして、卒業までを過ごした。

 

 そして、卒業後の進路で大学受験を選んだんだけど・・・・勉強の事で海ちゃん達と一騒動あったけど何とか合格して私達はバラバラに、それでも休日には集まって遊んだり、歌ったりして4年が過ぎて、無事に大学を浪人せずに卒業した。

 

 そして、私は大学で必死になって覚えた英語で海外へ出て、転々と路上ライブやイベントで歌わせて貰ったりして更に数年の歳月が流れた。

 その時には、高校2年の春ニューヨークに行ったあの時にあの人から貰ったマイクとスタンドを使って。

 

 そして、なんとなく来たニューヨークで路上ライブを始めて一年以上が過ぎて、3月の上旬頃。

日本では卒業シーズンも終わった頃、そんな時、私は彼女に出会った。

 

 大きな拍手をしてくれた彼女はどうやら駅で地下鉄を乗り間違えてしまい、友達とはぐれてしまったと言った。

・・・まるで、あの時の私の様に。

 そして話を聞いていると、彼女は最近行われたラブライブの優勝校でこちら(アメリカ)のテレビ局がライブを行って欲しいとオファーを出してきて、彼女のチームはここに来たとの事。

 そして、観光して戻ろうとした時にはぐれたと。

 

「ねえ、どこの駅で電車に乗ったのか分かる?」

 

「それが・・・英語が読めなくて分かりません。あっ!だけど特徴なら分かる!」

 

「どんな特徴かしら?」

 

「ええっと、こんな位大きな駅でした!」

 

 と、両手を大きく広げながらとてもとてもざっくりとした特徴を言う。

まぁ、それでもこのニューヨークで大きな駅は多くないから絞れるけど。

 

「他にどんな特徴があった?」

 

「他には・・・、私達が宿泊しているとても大きなホテルがあります!」

 

 両手を広げて表現しようとする彼女。

 私はつい笑っちゃった。

 何故なら、あの時の私の説明の仕方もこんな感じで、昔の私を見ているみたいだったから。

しかも、その説明で止まっているホテルが多分だけど分かっちゃったから。

 

「ふふ、あなたの止まっているホテル、多分わかったから案内するわ」

 

 すると、彼女は目を輝かせて

 

「あ、ありがとうございます!」っと頭を下げていた。

 

「じゃあ、案内してあげるから、これ持ってくれるかな?」

 

 そう言って、私はあのマイクとスタンドが入ったケースを差し出す。

すると、彼女は「ハイ!喜んで!」と言って持ってくれる。

 

 そして、電車の中や途中の道で私は彼女から悩み事を聞く。

それは、かつて私が抱いた悩み事とまったく同じ悩みを。

 

そして、私は

 

 (ああ、これは運命なのかな?あの頃と同じ悩み事を今度は私が聞く立場になるなんて・・・。あの時、あの人は私にヒントをくれた。これと一緒に。・・・今度は私が!!)

 

 

「私から言えることは、一つかな?」

 

「なんですか?」

 

「あなたは何の為に歌うかって事かな?このヒントを頼りにあなたは答えに辿り着いてね」

 

 その言葉を聞いて答えをせがもうとする彼女は自分の名前を呼ぶ声に気が付いて振り向く。

あれが、彼女の友達なんだろう。

彼女が、ケースを持ったまま友達の所へ走って行くのを見届けると、私はそっと呟く

 

「頑張って答えを見つけてね、・・・・昔の私」

 

そして、最初からそこに居なかったかのようにスッとその場から消える。

 

 最初から分かっていた。

一目見た時に、あれが私だって事に。

 そして、私は昔の私にこのヒントを伝える為だけにこの場に呼ばれた私の意識だって。

 だって、本当の私は今、別の場所で歌っているのだから。

 

 

 




歌い始めを書かない理由は、ご覧の通り、穂乃果が歌い終わって気が付いたらニューヨークの路地だったからです。

ちょっとSF染みていると思います。


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