5月5日の誕生花、菖蒲の花言葉を知り書きました。
最近、身体の調子が優れない。階段を少し上がっただけで息切れ。目眩も酷い。神楽たちは怠けてるからって言ってるけど……今までこんなことなかった。トシと最後に出逢ったのはいつだったけ?1ヶ月前?もっとかなぁ?
トシから、“半日非番になったから屯所まで来い”と電話で呼び出された。具合悪くて行きたくなかったけど、久しぶりに会うからあまりケンカしたくないしなぁ~。
「いらっしゃい。姐さん。」
まるで店に来たみたいに、言うジミーに苦笑いしてトシの部屋に行った。私たちの関係はみんなが知っていて、マスコミは勝手に“いつ結婚するんだ”みたいなこと言ってる。私が、トシと結婚するなんてないのに………。
襖を開けると、そこにトシは居なかった。自分で呼び出したのに?眉間にシワを寄せてると、後ろから抱き締められた。
「トシ?」
振り向くと唇を塞がれた。ただ触れ合うだけのkiss。
トシはいつも舌を入れてこない。私から入れてあげないと………本当は嫌なんじゃないかと思ってしまう。
「呼び出して悪かった。こっちから行く方が近いから……出掛けようか?」
いつもの隊服じゃなくて、着流しを着ている。トシの首筋から石鹸の匂いがする、お風呂入ってきたんだ。トシは、私に汗くさい匂いを嗅がれるのを極力避けてる。そういう心遣いが嬉しいけど、トシの汗の匂いも嫌いじゃないんだけどな。
「ほら、行こう。」
トシが私の腕を引っ張る。“どこに?”と聞くと“いいところ”としか教えてくれなかった。
歩いていると、急にグラッと視界が動いた。
「銀子?大丈夫か?」
トシが何か言っているけど、聞こえなかった……いや、聞こうとしなかった。
「大丈夫。なんでもないから。」
すぐに笑顔で答える。不安な顔してるのがわかる。トシ、気付いちゃったかなぁ?最近、私の具合が悪いこと……。大変な仕事って知っているから、簡単には休めないの知ってるから、私のために休んで欲しくない。トシは気にすんなって、言うけど……気にしちゃうよ。単なる遊びだから………。
あの後、どうやって帰ったのか。トシと何話したのかわかんなかった。気が付いた時には、自分の家に帰ってて今手元には検査薬がある。そこにはくっきりと線が出ていた。なんで、検査薬を買ったのか覚えてない。
「妊娠?」
そう言って、自分のお腹に手を添えると何かがいるような感じがした。
その後、病院へ行くと正式に『妊娠』を告げられた。
病院からの帰り道、花屋で菖蒲の花を見た。5月5日のアイツの誕生花。花言葉は、『嬉しい知らせ』。アイツ、喜んでくれるかなぁ?一輪だけ買って屯所へと歩き出した。
完