俺だけ能力を持ってない   作:スパイラル大沼

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第82話

 

 

櫻田家。奏の部屋。その中を、岬と遥と修は覗いていた。

血走らせた目を全開に見開き、「エロイムエッサイムエロイムエッサイムエロイムエッサイム……」と延々と呟いてる奏を見ていた。

 

「………どうしたの、あれ」

 

「さ、さぁ……?」

 

「怖い……妹が怖い………」

 

 

 

 

一方、慶の部屋。布団の中で頭を抱えて、「ああああ!」と叫んでる様子を、茜、葵、栞が見ていた。

 

「何……何事?」

 

「わかんないわよ……」

 

「お兄様……」

 

 

 

 

と、いうわけで、家族会議が開かれた。

 

「奏と慶が壊れました。何か理由を知ってる人はいない?」

 

葵が聞くも、全員首を横に振った。だよね……と、葵は深くため息をついた。

 

「どうしよう……あのままじゃ、二人とも壊れそうよね……」

 

「ヤバいのは奏の方だよな。なんか呪文唱えてたぞ」

 

「けーちゃんの方がやばいって。『死ぬ、恥ずかし過ぎて死ぬ……もう死んじゃおっかなー、生きててもいいことないし』とか言ってたよ⁉︎」

 

「お兄様、死んじゃ嫌……」

 

「いやいや、落ち着きなよ栞。私達兄弟の中で一番、国民に嫌われてても何一つ傷つく様子を見せずにいたバカ兄貴がそんな簡単に死ぬわけないじゃない。だよね、遥?」

 

「ちょっ、なんで僕に聞くの」

 

「そうだよ!遥が占えばいいよ!ほら、能力使って」

 

茜が言うと、遥は嫌な汗を額から流した。気が付けば、全員の視線が自分に向いている。

 

「………えっ、これやらなきゃいけない感じ?僕が?マジで?」

 

『当たり前じゃん』

 

全員、声を揃えて言った。これは逃れられない、と早々に思った遥は、目を閉じて能力を発動した。

 

『櫻田慶が死ぬ確率98%』

 

直後、遥は慶の部屋に向かって走り出した。

 

「遥⁉︎」

 

「どうしたの⁉︎」

 

「なんで⁉︎」

 

「けーちゃんに何か⁉︎」

 

全員、その後に続いて走り出した。

先頭の遥は嫌な予感と共に慶の部屋の扉を叩いた。

 

「慶兄さん⁉︎慶兄さん!」

 

「遥、どうしたの⁉︎」

 

二番目に早かったのは、茜だ。

 

「慶兄さんが死ぬ確率が……98%……」

 

「⁉︎」

 

直後、二人の後ろの修の姿が消えた。慶の部屋に能力で突入したのだ。

 

「慶!」

 

「うーわ、狩られたわー」

 

中に入ると、慶はモンハンをやっていて、ミラバルカンにやられていた。

修は無言で、後ろから慶の脳天にカカト落としした。

 

 

 

 

「で、どういうことなの?大丈夫なの?」

 

葵、修、茜に囲まれて、尋問されていた。

 

「大丈夫だよ。ちょっと普通に死にたくなってるだけ」

 

「大丈夫じゃないわよねそれ」

 

「けーちゃん。なんかあったの?」

 

「いや、言いたくない。というか言えない」

 

「なんでだよ。お前があれだけ取り乱すなんてただ事じゃないだろ」

 

「いや、言えない」

 

目を逸らし続ける慶。3人はその反応に顔を見合わせると、頷いた。

 

「じゃ、奏に聞こっか」

 

「そだね」

 

「待て待て待て待って!ってかなんで奏が絡んでること知ってんの⁉︎」

 

「そりゃあ、」

 

「奏も凹んでるし、」

 

「同時期に凹んでる時点で、」

 

「何であの馬鹿凹んでんだよ……」

 

「で、何があった?」

 

修か聞き直した。だが、慶は首を横に振った。

 

「………言わない」

 

「あっそ。隣行くぞー」

 

「行けばいいだろ。多分、奏は俺以上に凹んでるし、答えられねえんじゃねえの?」

 

「ぐっ、こいつ……!また冷静になりやがって……!」

 

「もう吐きなよ!ボルシチ召喚するよ⁉︎」

 

「いいよ逃げるから」

 

「俺がいて逃げられるとでも?」

 

「俺が逃げられないとでも?」

 

直後、慶は窓から飛び降りてバイクに跨って逃げ出し、その後を修と茜が追った。

その様子を見ながら葵は別の方法を思いついた。

 

(そういえば、前にアイドルの米澤さんの件で悩んでたような……)

 

ニヤリと笑みを浮かべると、とりあえず葵は光を捕まえに行った。

 

 

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