『…………でさぁ、その時の山崎ったらさ……』
俺の隣で楽しそうに話してる。
いつからこうなったんだろう?トシと一緒に居ても楽しくない。いつものファミレスでお茶してる。今日は、非番だからってデートすることになった。
こんなことになるんなら、昔の方がよかったのかもしれない。まだ、単なる知り合いの方が………。
今から、半年前。
俺は、意を決死告白した。街中で出逢う度、喧嘩ばかりしていたけど……気が付いたら相手の事を探していて、ずっーと目で追ってた。
行きつけの呑み屋の親父に、相談したら“そりゃ、恋だろ?銀さん。”と言われた。
ジミー君にも協力して貰って、トシが非番で独りになる日を教えて貰って………。
すごく、緊張して一言だけ。“好き”と伝えた。
ただ、伝えるだけでよかった。別に付き合おうとかそんなこと考えてなかった。
そのまま、成り行きみたいな感じで付き合うことになった。
『で、近藤さんがさぁ~って聞いてんのか?銀時。』
身体を揺さぶられ、現実に引き戻された。
「あぁ、ごめん。」
テーブルに目線を落とすと、いちごパフェの中のアイスはドロドロに溶けていた。
「具合が悪いんなら、帰るか?一口も食べてないし……」
「ごめん。」
席を立ち、自動ドアをくぐる。
「待て、送るから。」
慌てトシが追いかけてくる。来なくていいのに……。支払いを済ませて、ゆっくり歩き出す。
無精髭を生やした親父やサラリーマンなんかがいても、どうしてもカップルに目が行ってしまう。
女の子が彼氏の腕にしがみついてる。少し歩きにくそうだが、怒る気配はない。
俺がやったら気持ち悪いよな。
「ねぇ~、好きって言ってよ。」
「はぁ?んなこと言わなくたって、良いだろ?わかれってば……」
カップルが、店の前で揉めてる。
俺だって、トシに訊いてみたい。1回も“好き”って言われた事ない。
なんで、こんな男勝りの可愛くもない俺と付き合ってるのかわかんない。
「二人とも、まだこんなとこに居たんですか?」
沖田くんが話し掛けてきた。
「どういう事?」
訳がわからず訊くと、トシに止められた。ん?なんで?
“ちょっと、待ってろ。”と言われ、沖田くんと路地裏へと消えていった。
独り取り残されて、仕方なしに甘味屋の外のベンチに座る。店員が店から出てくるが、食欲がなく断る。いつもなら真っ先にみたらし団子でも頼むのになぁ、と考えてるとトシと沖田くんが戻ってきた。
「早くいけばいいのに。」
そう言って沖田くんは、来た道を戻っていった。
「待たせたな。」
「なんか、用があるみたいだし一人で帰れるから。」
手を差し出されるが、受け取らず立ち上がるが、ふらついてしまう。
「全然、大丈夫じゃねぇじゃんか。」
トシが、身体を支えてくれる。“ちゃんと、送るから。”と再び歩き出す。
『本当はさぁ、ちょっと行きたいとこがあったんだ。
まぁ、ゆったりしてからでいいと思ってたんだけど、お前具合悪そうだし。別に、今日じゃなくてもいいかなぁって……。そんなに慌てることでもないから。』
トシの言ってることが、理解できない。何を言ってるの?
そこで俺は、意識を失った。
ゆっくりと目を開ける。さっきよりは気分が良くなってる。消毒の嫌な匂いで、ここが病院なんだとわかる。
扉が開き、真剣な面持ちでトシが入ってくる。
「目、醒めたんだな。」
そう言って椅子に座るも、表情は変わらない。俺ってそんなに重い病気なの?あっ!ついに糖尿とか?医者から控えろって言われてたしな。まぁ、いつか来るとは思ってたけど……。今日、甘いの食べなかったから低血糖起こした?
喋りたくても、思うように口が動かない。
「なんで、なにも言わなかったんだよ?俺はそんなに信用ないのか?」
今にも泣きそうな顔になってる。言ったって意味ないのに……。
「なんで、言う必要があるの?」
やっと出た言葉。
「ふざけてんのか?その子の父親は俺なんだろうが、なんで隠してたんだよ。俺がなかなか言わなかったからか?」
「なに言ってんの?父親って?」
「お前、気づいてないのか?………妊娠してたんだよ。」
「へ?」
妊娠?俺が………にんしん。
「その~流産したって。」
お腹を触る。この中に、トシとの子が………。
もう、居ないんだ………。
「銀時、ちょっと入院しないといけないって……。この際だから、ちゃんと休め。あんまり気にすんなよ。」
頭をなで、病室を後にした。
窓の外を見ると、サクラが綺麗に咲いていた。
To be continued?
この先、どうなるかはわからない。誰かリクエストくれたら気紛れで書くかも。