土方×銀時。ほのぼのした一時。handwritingは直筆という意味です。

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handwriting~ハンドライティング~

「綺麗だね。」

 

「うおぉぉぉ~!!」

 

急に話しかけられ、慌てて目の前の書類を身体で隠す。

 

「そんなに、驚く事?折角さぁ、愛しの恋人が会いに来てんのに……」

 

「だったら、気配ぐらい出せよ。全く、気づかなかった。………。ってか、何が綺麗なんだよ?」

 

「いやぁ~、字がさぁ~綺麗だなぁって。」

 

「字?」

 

「うん、字が綺麗な人って心も綺麗って言うじゃん。」

 

「へ~。」

 

適当に相づちを打つも、重要書類のため身体が動かせない。

 

「そんなに隠さなくても、漏らさないし……ていうか、あんな一瞬で読んで理解なんか出来ねぇって。俺ってば、そんなに信用ないの?」

 

「別に疑ってる訳じゃねぇけど、身体が反射的に動くの。少し、離れろ。」

 

「まぁ、いいや。もう帰るし……」

 

“じゃあ”と右手を挙げ、俺の部屋をあとにする。

 

「なんしに来たんだよ?」

 

と、独り言を言って書類に目をやった。

まさか、あんなことになるなんてこの時俺は微塵も思ってなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、攘夷志士摘発や天人の護衛・総悟の壊したビルの始末書・近藤さんのお迎え(すまいるからの)など立て込んでて、銀時と会えない日々が続いていた。

 

今日は、3週間ぶりのまともな休みを貰い高級店のケーキを土産に万事屋へと向かっていた。

電話はしてないが、いつも家にいるし別にいいだろうと思っていた。

この橋を渡れば、すぐ家が見えてくる。

橋の中腹(ちゅうふく)に差し掛かった時、銀時が2階の玄関先で楽しそうに誰かと話していた。

黒髪に黒の隊服、それが同じ真撰組の山崎とわかるまでには時間がかかった。

隊の皆は、銀時のこと知ってるし俺と恋仲なのも知ってる。だから、別に話していても(なん)ら不思議じゃなかった。二人が抱き合いkissするまでは………。

 

 

 

 

全身から身体の力が抜ける。崩さないように慎重に持っていたケーキの箱を落としてしまう。

そんな訳ない、何かの間違えだと思う自分と、仕事優先であいつが寂しいって言う夜も一緒に居てやらなかったから、当然かと諦めてる自分。頭のなかで葛藤しながら、どうにかこうにか屯所へと帰った。

 

銀時が、浮気してるなんて信じたくない。けど、二人がkissしてたのは事実な訳で………。それから全く、仕事は手につかなかった。

 

「トシ~?居る~?」

 

銀時がやって来る。ここへは顔パスで……、俺のとこじゃなくて、山崎の所に行けばと思うが、自分のところに来てくれて嬉しいのも確かで………。

 

「なんのようだ?」

 

「なんか、機嫌悪くない?……やっぱり、別の日にしようかなぁ?」

 

別の日?なんの話をしてるんだ?

 

「別に機嫌悪くねぇよ。ちょっと、寝てないだけ。」

 

「あのね、ちょっと、大事な話があんの。」

 

遂に、来たか。銀時の浮気現場を見てから、いつかはこんな日が来るのではないかと思ってた。

 

「ジミー君には、すでに話したんだけど………。」

 

ハァ~、真撰組1のモテ男が聞いて呆れる。今、恋人に別れ話を切り出されてます。暫くは、立ち直れそうにない。

 

「いいよ。」

 

「へぇ?俺まだ何も言ってないよ?もしかして、先にジミー君に聞いてたの?」

 

「別に聞いちゃいねぇけど、だいたい想像は付くし……もうお前とは会わねぇから。」

 

泣くな。目頭が熱くなり、泣きそうになるのを必死に堪えて自分に言い聞かせながら言う。

 

「…………」

 

「早く、山崎所に行ってやれよ。」

 

笑顔で別れてやんなきゃ……。必死で笑って見せる。

 

「………(ぎゅ~)」

 

一瞬何が起きたかわからなかった。目の前が、暗くなり温かい。銀時に抱き締められてる。

 

「………なぁ、トシ。俺、お前の言ってる意味わかんない。」

 

「わかんない訳ないだろ?ちゃんと、別れてやるって言ってるんだよ。」

 

少し怒鳴り口調になる。

 

「だ・か・ら、なんで別れ話になってんの?」

 

「………なんでって、おまえが大事な話があるって……」

 

「それで、なんで別れ話になんのかわかんねぇけど、まぁいいか。今にもお前泣きそうな顔してるし、もしかしたら泣かしちゃうかもだけど………俺と一緒になってくれない?」

 

「??」

 

頭の上にクエスチョンマークが、浮かぶ。

 

「いっしょに?」

 

ゆっくり、声に出してみてやっと言葉の意味を理解した。

 

「銀時?」

 

「そりゃ、男同士だし、実際に婚姻届け書いて出せないことぐらい知ってる。けど、お前とずっと一緒に居たいし。お前、イケメンだし、いつ見合い話があるかわかんねぇから、だったら結婚したほうが早いかなぁって。俺と結婚してください。」

 

俺の目の前で土下座をして、頼み込んでる。結婚?だって、こいつは………。

 

「………ごめん、無理。」

 

銀時が、勢いよく顔を上げ、閉まっていた襖が開くというより倒れる形になる。

 

「なんで、ダメなんですか?副長。」

 

「そうすよ。」

 

「結局、ヘタレだったって事じゃねぇですか?」

 

山崎・原田・総悟・その他の隊士が、我先にと雪崩れ込んでくる。

 

「………」

 

銀時が、黙り込んだまま部屋を出て行った。

 

「何やってるんですか?早く、追ってください。」

 

「お前が、行けばいいだろ?」

 

机に向かい、仕事を始めようとする。

 

「どこまでヘタレなんだよ。」

 

総悟が、書類をくしゃくしゃに丸める。

 

「オイ。」

 

「行けって言ってるんだよ。バカ。」

 

「旦那、俺に相談してきたんです。副長にプロポーズしたいって………いつまで待っても副長が素振り見せないから。だから、逆でもいいかなぁって……。」

 

「相談?」

 

だって、浮気してたんじゃ……。気がつくと、俺は走り出していた。

 

 

 

 

 

「ぎんとき!!」

 

屯所の近くの川原に座っている、銀時に声をかけると立ち上がり去ろうとする。

 

「待ってくれ。」

 

腕を掴み、引き寄せた。

 

「離せ、俺のことフったんだからもう、関係ないだろ!」

 

「だって、お前浮気してんのに何がプロポーズなんだよ。訳わかんないし。」

 

「浮気?」

 

銀時の動きが止まる。

 

「山崎の事が好きなんだろ?だったら、プロポーズは俺じゃなくて山崎にすればいいだろ?」

 

「はぁ?俺、浮気なんてしてねぇし。なんで、ジミー君が出てくるわけ?」

 

「見たんだよ。山崎とkissしてたところ。」

 

「いつ?」

 

「この間の非番の日。3日前。」

 

「あぁ~、あの日。ジミー君に頼んでたのを受け取ったの。この指輪。」

 

そういうと、裸のままの指輪を取り出した。

 

「俺、kissなんてしてないし。この指輪、手作りなの。俺の。削って作ったの、で、宝石をねゴリが買ってくれるって言われて、ジミー君に指輪を渡してその日に受け取ったの。なに、勘違いしてるんだよ。………その、浮気と思ってプロポーズ断ったの?」

 

「だって……」

 

いい言葉が浮かばず、濁すしかない。

 

「だったら、改めて返事ちょうだい?」

 

「…………よろしくお願いします。」

 

頬にkissされ、俺の跡を付けてきた隊士たちから祝福された。

 

 

 

 

 

 

後日。

 

あの後、籍は入れられないが事実婚として万事屋で暮らすことになったのだが、相変わらず忙しく(銀時も忙しいんなら無理に帰ってこなくてもいいと言われ、その言葉に甘えて)未だに屯所での生活は続いていた。

 

「まだ、こんなとこに居たんすか?」

 

「なにしに来たんだよ?総悟。」

 

「何って、旦那が……」

 

「銀時がどうしたんだよ?」

 

「寂しいらしいですゼ。このまま行くと本当に浮気されかねますよ。………ってな訳で……」

 

ドカッーン。

後ろを振り向かずに、話しているといきなり撃たれた。あのバズーカで……………。間一髪、避けれたが俺の部屋は……半壊。屋根は壊れてないが、畳は捲れ上がり床板には大きな穴。箪笥も崩れ、机もさっきまで書いてあった書類は行方不明になった。

 

「何やってるんだよ。危ねぇだろ!!」

 

怒鳴り散らす。

 

「ちゃんと、避けれたじゃないですか。」

 

「ちょっと~何やってんの?ダメでしょ、総ちゃん。」

 

真撰組(うち)のお母さん的な近藤さんがやって来て、総悟に説教というか軽くメッと言ってる。利き目はあまりないかもだけど………。

 

「トシ~すぐに直すけど、時間かかると思うからさぁ万事屋の所に行って?」

 

まぁ、そうするしかないか……。少し焦げた箪笥から無事な下着を何枚か持ち、万事屋へと向かった。

出る際、近藤さんと総悟がクスクス笑っていたが気のせいか?

 

「銀時、今からそっち行っていい?」

 

行く前に電話する。

 

「なんで、なんか約束してたっけ?」

 

「そうじゃないよ。総悟の奴がさぁ、俺の部屋を爆破したんだよ。」

 

「え~と、一緒に暮らすってこと?」

 

「もう、着くから。」

 

「…………わかった。」

 

話しながら歩いていると、すぐに着いた。いつもは遠いって思っていたのに、不思議で仕方がない。

 

「いらっしゃい。お前んとこも大変だね。」

 

「まぁな。ガキ達は?」

 

玄関に靴がない。

 

「買い物と定春の散歩。」

 

「じゃあ、二人きりなんだ。」

 

抱きつく。嫌がりはしないみたいだな。

 

「久しぶりなのにさぁ、お前冷たくない?」

 

「……恥ずいこと言うな。」

 

耳まで真っ赤になってる。照れてるらしい。

 

「そんなことより、早くは入れし……」

 

玄関先で抱き合っているのも、変か。

銀時の奴は、先に奥へと入っていく。俺もその後をついていく。

 

「荷物、少なくね?」

 

「燃えた。」

 

「草かんむりの“萌えた”じゃなくて?」

 

「なんだよ。草かんむりって?」

 

「知らないんなら、トッシーに聞いて。」

 

「まぁ、これからこっちでお世話になります。」

 

一応、形式的な挨拶をする。

 

 

 

数日後。

 

俺は、山崎が運んでくる書類を銀時のデスクで目を通してる。

 

「トシ~、昼ごはん焼きそばでいい?」

 

「ん~」

 

適当に返事する。

 

「私、卵かけごはんがいいネ。」

 

「それも作ってやるから……」

 

………………暫くして。

 

「出来たよ。」

 

銀時が机に並べながら言う。

俺のいつもの席には、マヨネーズが置かれてる。銀時の料理はうまいから、かけなくても良いんだけど……。

 

「あれ?」

 

「おい、見んなって言ってるだろ。」

 

慌ててソファから立ち上がり、書類を裏返しにする。

 

「ちょっと、これに“報告書”って書いて。」

 

デスクの引き出しから紙を出して、俺に差し出す。

 

「なんで?」

 

「良いから。」

 

言われた通りに、書いてやる。

 

「やっぱり、違うんだ……」

 

「何が?」

 

「俺が、綺麗って言った字。トシのじゃないんだって。」

 

「へぇ?違うのか?」

 

綺麗と言われ、嬉しかった半面ショックが大きい。

 

「だって、あの時見た字。報告書しか読めなかったし……」

 

あの時の記憶を呼び起こす。……あの日は、たしか……?

 

「山崎のか。」

 

「あれ、ジミー君の字なんだ。」

 

攘夷志士の監察を頼んでいてそれの報告を受けた。

 

なんか、ムカつくがとりあえず腹が減ったので焼きそばを食べた。

 

 

 

 


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