年が明けて90日目。今日、4月1日。世間一般的には、エイプリルフール。そして、恋人のトシとデート中。人生最大の嘘をつこうと思います。
まぁ、総悟くんとかいるしすぐにバレると思うけど……。
「別れよう。」
「…………わかった。」
へぇ?嘘。受けちゃうの?えっ~と、これはトシからの嘘ってことなんですか?
その後、トシと別れて1人帰った。
なんか、もう少し怒るとかそんなこと想像してたんだけど、予想外って言うか……調子狂う。
総悟くんから聞いて、知ってたのかなぁ?今日が、エイプリルフールって……俺より先に、嘘つかれたとか?
でも、今日1日は嘘ついてもいい日だし……すぐに、アレは嘘でしたって暴露しなくてもいいか……。
そう、このときは思ってたんだけど……。
1週間後。そろそろ、嘘って教えようかなぁって思って屯所に来たんだけど……。
「副長なら、京に行ってますよ?旦那に言わずに行っちゃったのかなぁ?」
ジミー君に言われ、1週間前のデートの事を思い出した。アイツ、話があるっていつものファミレスに行ったんだ。なんの話したっけ?嘘をつくことに真剣になっていて、話の内容が思い出せない。
ヤバい、アイツ出張とか言ってたっけ?わかんない。
「いつ帰んの?」
「予定では、後2週間は帰らないかと……延びるのか、早まるのかもわかりませんし……。」
「そうなんだ。」
なんだよ。4月いっぱいは帰らないってことか……。
肩を落としながら、万事屋へと帰った。
薬局から貰った日めくりカレンダーを捲り、トシの帰りを待った。なんか、スゲー乙女になってるんですけど……ハァ~とため息が出る。こんな事なら、嘘なんてつくんじゃなかった。逢いたくても逢えねぇし……。
カレンダーも5月になり、街の奴らはゴールデンウィークに浮かれてる。本当なら、今年の誕生日どうする?休みなのって話したかったんだけど、アイツは未だ出張から帰ってない。
場所も山奥らしく、携帯通じないし、向こうからの連絡もない。
今年は、誕生日無理かぁと諦めてたら………5月5日。年が明けて124日目。
電話は、ジミー君からで……。
「旦那、副長の事なんですが…………落ち着いて聞いてくださいね。……………副長が……亡くなりました。」
「はぁ?エイプリルフールならさぁ、約一ヶ月前だったんですけど?それに、もうちょっとマシな嘘つけって。」
「嘘なんかじゃありません。今日、予定より遅れて帰ってきたんですが……拉致されたようで、そこで暴行を受けたみたいなんです。屯所の前に倒れてて病院に運んだんですが、先ほど息を引き取りました。」
ジミーが電話の向こうで何か喋ってるが、全く聞こえなかった。アイツが死んだ?だって、今日はアイツの誕生日で、仕事で一緒に居れる時間が少なくてもちょっとだけでも顔見れたらいいなぁと思ってたのに……。それに、まだ嘘だって伝えてないし……。
「今、何処に居んの?」
「屯所の副長の部屋です。これから、通夜と葬儀の話をしないといけないんで……旦那、来ますよね?」
電話を切り、慌てて家を出た。いつもはブーツだけど、履くのが面倒なので、
足が
いつも賑やかなだけに、シーンと静まり返った空気を余計に感じる。
アイツの部屋の前には、部屋に入りきれなかった隊士がシクシクと泣いてる。
ここまで来て、嘘でしたって言ったら叩いてやろう。
嘘にも程がある。
「来たか。顔見てやってくれ、顔だけは綺麗なままなんだぞ。」
布団に横たわり、眠っているようにしか見えないトシ。
「なに、寝てんだよ。起きてよ。」
ゆっくり近づく。
「二人きりにしてやろう。」
「トシ~、ねぇ~」
頬に触れると、冷たい。血が通ってないのがわかる。
「謝りたいのに………トシ~別れようなんて嘘だから、エイプリルフールで嘘ついただけだから……返事してよ。」
ただ、抱き締めることしか出来ない。
俺の温かい涙が、トシの冷たい頬を伝わる。
完