攻殻機動隊 -ヘリオスの棺-   作:変わり種

47 / 47
どうも変わり種です。
こちらの小説が連載終了してから数か月経ち、だいぶ落ち着いてきたのでここで執筆するにあたって固めていた設定などを公開します。原作に対する個人的な解釈も混じってる上に長いので、読むのはあまりお勧めしません。あと、変にイメージを壊したくない方も読まない方がいいかもしれません。
まあ、完全に誰得という感じですが、それでも読みたい方はどうぞ。


登場人物・用語・その他設定集

◇オリジナル登場人物◇

・赤蠍

3年前に突如彗星のごとく現れた傭兵。与えられた仕事は完璧にこなすものの、報酬は並みの暴力団では到底支払えない金額とされる。その実態は制御下を離れた原発制御AIヘリオスで、ネットでの成長過程において数年前(正確な年は不明。少なくとも3年以上前)に死亡した欧州連合兵士(作中では“特定の一人”の記憶として描いたが、実は数え切れない兵士たちの残留思念に近い)の記憶と融合した結果、変異を起こした。進化があまりに急速に進んだ結果、自らがAIであることすら忘却し、少佐に自己認識プログラムを注入されるまで人間だと思い込んでいた。

 

劇中(特にGITS)にて、全身義体である少佐が自分は本当は機械ではないかと不安に感じ、思い悩むシーンが数多く見られるが、赤蠍はその対極的な存在として描いた。自らを人間だと思い込んでいる哀れなAI。戦場で死に切れなかった兵士たちの思念が乗り移っているため、少佐が注入した自己認識プログラムを受け入れなかった。(状況次第だが、「実はあなたは死んでいます」と言われて素直に受け入れられる人間なんていないだろうとの考えから。つまりは激しい拒否反応を示したということ。赤蠍の記憶再構築過程で拒絶反応のトリガーとなった記憶は、まさに自分が”死んだ”という記憶だった)

 

・岸田シゲル

S.A.C.第13話でヘリポートにて9課のティルトローターに向けロケット砲を発射しようとしていた男の弟という設定。彼自身も非常階段から逃げるバトーたちを旅団の一団が追撃するシーンにて、バトーの放ったグレネード弾の爆発に巻き込まれて負傷。その後、組織を逃れて独立する。

 

個人的な予想では、第13話で『興国の旅団』は壊滅的な打撃を受けたのではないかと思われる。あの施設にいたメンバーが主力でなかったとしたら、余程の巨大テロ組織だろう。タチコマ無双で一体何人の団員が死亡したのだろうか。おそらく、SACの第1期の中では最も人死にが多い回だろう。それも踏まえ、旅団を抜け出して新たな組織をつくるという、このような設定に至った。

 

・三木

名前は決めていない。岸田の副官に当たる存在。登場機会少なめ。新大浜原発で駐車場に仕掛けた含水爆薬の起爆スイッチを押したのは彼。その後、突入してきた軽多脚戦車の銃撃を受けて即死。

 

・中野康 制御室長

現在、新大浜原発の制御室長を務めている。表向きでは会社の方針に忠実に従い、原子炉欠陥問題でも隠蔽工作に加担していたが、それはカムフラージュに過ぎず、原子炉を恒久的に動かせなくするためのテロ準備を進めていた。戦闘経験はなく、射撃の腕も素人(一応、実弾射撃演習場などで射撃訓練くらいはしているだろう)。岸田率いるテロ組織に裏切られても被害が及ばないよう、所内二酸化炭素消火設備および原子炉保護系を電脳に直結し、信号が途絶えた(死亡した)時に起動するようにしていた。

 

初期のプロットでは彼にはあのまま撃たれて死んでもらうはずだったが、それでは映画『チャイナ・シンドローム』の警察突入シーンと丸被りになってしまう上、事件解決が困難になるという結末になってしまうので避けた。執筆をつづけるうちに情が移ってしまったということもあるが…。

 

・加賀正樹 前制御室長

新大浜原発運転開始から3年前に至るまで制御室長を務めていた男。いち早く原子炉の欠陥に気づき、運転を停止するべく告発しようと試みるが、消されてしまう。しかし、それを予期して自らの記憶を原子炉制御AI『ヘリオス』の記憶野にコピーしていた。『チャイナ・シンドローム』の登場人物ジャック・ゴデルがモデル。

 

・木下美和子

フリージャーナリスト。加賀室長と接触し、欠陥に関する資料を受け取っていた。事実の発覚を恐れた企業側に消される。2児の母として離婚後、シングルマザーとして厳しい家計を支えていた。モデル、というか参考にしたのは同じく映画『チャイナ・シンドローム』のキンバリー・ウェルズ(映画ではテレビ局女性リポーターで、もちろん既婚者であるか否かの描写はない)

 

以上の2人は『チャイナ・シンドローム』から影響を強く受けたキャラクターであるが、映画ではジャックの立て籠もりによりある程度、世間に事故の存在が示唆されるのに対し(それでも肝心なところで中継遮断だが…)この作品では何も告発できないまま消されるという流れになった。このストーリー自体ある意味、あの映画の中で真実が明らかにできないまま闇に葬られてしまったら、というifの物語というつもりで執筆したので、必然と言えば必然ではある。

 

・木下タカシ

木下美和子の長男。18~19歳。彼女が殺害されるまでは新浜の進学校に通うごく一般的な高校生であったが、死とともに状況が一変。数日後の火災で住居も失い、親が親戚と疎遠であったこともあって弟とともに新浜のスラム街でストリート・チルドレンになる。母を殺したのは義体化した男だったためサイボーグに恨みを持っており、巧みな勧誘を受けて亡国の使者に入る。

 

・木下ヒトシ

木下美和子の次男。10~11歳。母が亡くなった当時のことはあまり深くは覚えていない。しかし、小学校入学祝いに彼女からプレゼントされた自転車だけはずっと大切にしていた。大事に持っていたお守りを終盤にてタチコマに渡すが、実はその中には彼の母が告発データの詰まったマイクロチップを入れていた。そのおかげで、関係者の告発に結びつく。

 

初期プロットでは彼に亡くなってもらうつもりはなかったが、その後の展開を考えたうえでやむを得ない結論となった。というより、中野室長と立場を交換したに近いかもしれない。初期プロットのままであれば、彼は生き残り、中野室長が死ぬという流れだった。しかしその場合、事件解決に困難を生じるためプロットの変更を余儀なくされた。また、最後の墓地のシーンを通じてタチコマの成長を描きたかったのもある。

 

◇人類解放戦線について◇

 

原作にも登場する義体化・電脳化に反対する過激派。現実における輸血・医薬品使用を拒む宗教の教義の延長線にあるものか。実際、2話の戦車事件で加護タケシは宗教上の理由から電脳化を拒み、亡くなっている。解放というのは義体や電脳などの科学技術からの解放を指しているのではないかと思う。それゆえ、本小説での主張もそれに準じたものになった。しかし、アニメや原作での登場頻度が少ないので何とも言えない部分もある…。

 

◇発電所関連◇

 

・大規模停電(ブラックアウト)

岸田達、亡国の使者が引き起こそうとしていた現象。電力は基本的に貯めることができないため、消費量と同じ量を同時に生み出す必要がある(同時同量の原則)。そのため、例えば供給に対して需要が多過ぎる場合には、その需要を支えるため残りの発電設備に大きな負荷が掛かる(過励磁)になり、過電流による異常発熱等で発電機内部を損傷する可能性が高くなってしまう。通常は過励磁を検知すると自動で発電機を停止(トリップ)させる訳だが、そうするとますます供給が足りなくなるという悪循環に陥る。

そこで、一般的にはUFR(不足周波数継電器)と呼ばれるリレーを用いて、強制的に負荷遮断を行い、需給バランスを安定させようとする。名前の通り、これは電源周波数を利用して作動するもので、ある一定の閾値より周波数が下がると動作する。これによって、連鎖的に発電所が停止するという最悪の事態を防げる(もっとも、このリレーが動作する時点でそれなりの地域で強制停電が発生しているが)

だが、このリレーで切れる負荷の量にも限界があるため、それを超えるほど需給バランスが崩れた場合には先に述べたような過励磁による発電機トリップが連鎖的に発生し、電力網につながる全ての発電所が停止し、大停電になってしまう。

また、岸田が目指したように発電所自体を破壊すると、特にタービンやボイラーなど複雑な大型構造物の製造には非常に長い時間がかかるため、完全復旧には相当長期を要することになる。

作中では亡国の使者がほぼ完全に政務官の手の内で行動していたため、限られた数カ所の発電所のみ攻撃が成功したものの後は全て失敗し、停電は比較的短期間のうちに収まった。

 

 

・新大浜原発

大戦時、当時首都であった新浜への電力安定供給のため建設されていた極秘の地下原子力発電所を利用したもの。終戦で必要性がなくなり建設途中で予算を切られたが、SCWR型炉の実用化に伴い新日本電力・エネルギー省が目を付けた。元々は送電線を含めて完全地下化する予定で建設が進められていたが、終戦後に工事を引き継いだ新日本電力側は莫大なコスト負担を避けるために一部施設を地上化した。ゆえに原子炉、タービン等は地下に位置するが、復水器冷却系設備や各種タンク類、高圧開閉所、変電設備類はすべて地上に位置する。500kV*1、275kV*2の計3系統の原発支線により送電網と接続している。中盤の防空網制圧作戦の際に生き残った1系統は戦時中に既に敷設され地下を通っていた送電線だった。残りはコスト削減のために地上化されている。

 

とまあこんな設定。初期プロットでは対レーダーミサイル攻撃の回で、高圧開閉所損傷により全系統が絶たれる外部電源喪失という事態を考えていた。しかし、そうなるとすぐに発電機トリップ、タービントリップとなり、自動的に原子炉スクラムに結びついてしまうため、ストーリーを展開させる前から破綻するおそれがあるので没となった。

新大浜地下原発というアイディアは劇中にて新宿地下原発が建設されていたことを踏まえ、そんな日本ならやりかねないということで発案。さすがに人口密集地の地下にはつくれないので、新浜から50キロ圏近くの辺境の地を建設地とした。地下原発のメリットとしては①大深度地下では揺れが弱くなるため地震に強い(断層直上の場合は例外)、②外部からの攻撃に強い(バンカーバスターとか使われなければ)、③存在を秘匿化できる(完全地下化する必要あり。また、排出される煙・水蒸気については偽装工場などでカムフラージュ、または液化して海水に戻すなどの対策が必要。それでも海水温度を計れば復水器冷却水の温排水でバレるが)、④事故時の封じ込めが容易である点などが考えられる。

一方、デメリットとしては、①建設費が莫大。②事故時には地上型施設以上に手が付けづらい。③外部からの攻撃に強いとはいえ、内通者による破壊工作には弱い。④メンテナンスしづらい。

特に営業用原子力発電所では経済性が重視されるため、政治的な理由がなければ地下化するメリットは何一つないので、現実世界ではまずあり得ないだろう。ちなみに、ストーリーのベースにしたPS版攻殻機動隊でも超高層ビル『エアロポリス2』にて、反応炉が地下に設置されていた。軍事施設ならともかく商業施設に原発をつくるということは、余程技術革新が進み原発が一般化した世界なのかもしれない。まあ、そもそもゲーム版の世界観は原作寄りなので、SACとは世界観自体が異なっているが。

 

 

・SCWR型原子炉

超臨界圧軽水冷却炉(Supercritical Water-Cooled Reactor)。スーパー軽水炉とも。実際に研究中の次世代原子炉だが、原発事故もあった現在の情勢も踏まえると実現するのかは不透明。原子炉容器と制御棒は加圧水型(PWR)に、格納容器と非常用炉心冷却系は沸騰水型(BWR)と似た系統を持つ。気水分離器や再循環系を持たないので炉の小型化が可能。また、タービンの数も減らせ、先に述べた炉の小型化も合わせて初期コストの削減が可能の上、熱効率も向上し、経済性は高い。ちなみにプラント材料の開発は○芝が行っているらしき情報もネットにはある。

 

執筆に当たってはまだ研究段階なので、冷却系も詳細は分からなかった。ATOMICAによればBWRと類似で高圧補助給水系と低圧注入系(残留熱除去系兼用)と逃し安全弁と自動減圧系となっているが、プラント系統図を見ると蓄圧タンクの記述もあり、PWRに導入されている蓄圧給水系も採用しているのか判断がつかない。とりあえず、本作においては系統図ではなく文章の説明を優先した。格納容器は改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)でも使用されている鉄筋コンクリート製のRCCV型を採用。サプレッションチェンバーを持つ。制御棒は先に述べた通りPWRと類似で上部よりの挿入となっており、通常時は電磁石で保持されているが事故等による電源遮断に際しては自重で落下し、炉内に挿入される。本小説ではこれを利用し、バトーたちがスクラムを行った。

 

また、本小説では給水流量喪失時のスクラム不能事象(ATWS)を扱ったが、如何せん参考資料が乏しく、実際にそうなった際の正確な挙動は何とも言えない。ネットに転がっていたレポートによれば、給水停止と同時に主蒸気隔離弁が閉じはじめ、炉外への蒸気流出が止まる。同時に圧力が上昇し、ボイド率低下により炉出力は定格以上(およそ1.5倍)になるが、まもなく流量低下と温度上昇による反応度フィードバックで出力は抑えられ、そのうえ圧力も安全弁の起動で下がり始め、一定に保たれるという。つまり、簡単に言えば爆発などの急激な変化は起こらず、安定的に推移するらしい。本小説における事態の経過もそれに準じたものとしたが、赤蠍のせいで非常用炉心冷却装置が起動しないため、炉心冷却材流量はなお不足し、燃料被覆管温度が安全限界に近づく、という内容となった。

 

ちなみにここだけの話、終盤バトーとタチコマが原子炉区画に突入しているが、いくら義体化していても到底おすすめできない行為だろう(自分で書いておきながらだが…)。燃料被覆管温度が限界を超え、炉心損傷が始まった時点で周囲にはミリシーベルト(下手をすればシーベルト単位)の放射線が放出されるため、ものの数分で急性放射線障害になる可能性があるからだ。本作では露出しなかったのが幸いだろう。なおタチコマは機械だから大丈夫だろうという方がいるかもしれないが、機械も放射線障害を受けるためタチコマも危ない。(福島第一原発で投入されたロボットは半導体部品を中心に故障が頻発)。まあ、バトーたちは露出前に原子炉を止めることしか考えていなかったということにしてくださいな。

 

もう一つ、ベースにしたPS版攻殻機動隊では、なぜかメガテクボディ社が原子炉を開発したことになっていた。義体屋が原子炉を造るのか疑問なところだが、世界観が繋がっているとされる「紅殻のパンドラ」では「メガテク工業」として登場しているあたり、義体だけではなく重工業にも裾野を広げている可能性もあるので、これも何とも言えない。本編では結局、剣菱重工にした。(現実の三〇重工も原発に携わっているし…。)

 

◇SACの疑問と考察◇

この原発では燃料にウランを使っている(MOX燃料も使える)。ここで、筆者が前々から気になっていることがある。2ndGIGでは新宿地下原発でプルトニウムが発掘されていたが、原発に使っているという事はMOX燃料だと思われる。で、その燃料は最終的に難民の核武装騒動へと繋がっていくのだが、核物質をばら撒く汚い爆弾としてならともかく、MOX燃料として加工されたものをそう簡単に核爆弾にできるのだろうか、そこに疑問符が付くのだ。内庁の思惑としては、難民の核武装を既成事実化したうえで米帝の核ミサイルで出島を吹き飛ばそうとしていたわけだが、その内庁が持ち込んだ(九州電波塔に仕掛けた)のは新宿原発由来のプルトニウムだった。原子炉級プルトニウムを核爆弾に転用することはそう簡単ではない。できないこともないが、国家並みの設備が必要になる。

まあどのみち、劇中ではクゼ側にロシアからのプルトニウムが流れたことになっていた(実際は新宿原発のプルトニウムだが)。それが兵器級プルトニウムであれば辻褄は合うわけだが、そもそも論としてテロリストが核兵器を造るのは相当の困難を極めるという問題もある。核爆弾の中では単純な構造のガンバレル型原爆(広島と同型)にしろ、効率が悪すぎて必要なプルトニウムの量が数キロでは収まらない(出島を消し去る爆発規模のためには)。ウラン型原爆と違い、プルトニウム型原爆はプルトニウム240の過早爆発の問題あるからだ。よって、持ち込んでいた程度のプルトニウムでは到底足りず、プルトニウムの奪取=核爆弾の製造→核による自爆とするのはかなり難しい。一般市民がこの情報を掴んだのであれば、核爆発するかもしれないという恐怖に怯えることも理解できるが、仮にも専門家も多数いるであろう日本政府内で核爆発の危険性があるという議論が起こることが、やや不自然であるのは否めない。もっとも、攻殻世界において核爆弾製造法で何らかのブレークスルーがあったとすればこの限りではない。

 

と、まあここが2ndGIGの中で最も引っ掛かるところだった。攻殻世界ならともかく、現実世界で同じようなことが起こるとすれば、既に核弾頭として製造されたものをテロ組織が強奪するというのが最も自然であろう。どのみち、ある程度精通した技術者が必要だが、核爆弾を作るよりは難易度は低いと思われる。また、もう一つ考えられるのが先に述べた『汚い爆弾』だ。こちらの方は通常爆弾で核物質を拡散させるだけなので、核物質さえ手に入れば最も簡単である。まあ、そもそも核物質を手に入れること自体難しいだろうが。

 

 

◇原発テロ◇

最後にテロ時の話だが、本編でも語っている通り、スクラム不能になっても自己制御性で原子炉は安定に向かうため、現実のテロでもチェルノブイリのように原子炉自体を爆発させることは難しいだろう。手っ取り早いのが、福島のように全電源喪失または冷却手段の破壊になってくる。近年の情勢を鑑みれば、テロもあり得ないものではなくなっているので、是非とも対策には力を入れてもらいたいものだ。ちなみに、日本で原発の警備は警察の原子炉関連施設警備隊と海上保安庁が主に行っているが、武装勢力への対処可能な人員が常駐しているわけではないらしい。もっぱらの警備は民間の警備会社が行っているとのことだ。一方海外では民間警備会社の武装警備員(自動小銃などで武装)が警備に当たっている国もあり、本小説ではそちらを参考にした。

※攻殻世界ではどうも民間警備員の武器所持が認められているらしいため(2ndGIG 10話ではトグサの銃所持は勤務外ではあるが警備員として職務上認められている)、戦後日本の情勢も考えてあえて警察ではなく民間警備会社を警備の主力とした。なお、有事の際の連絡役も兼ねて少人数の警官が常駐してはいるが、本作品では登場させていない。

 

◇原発制御用AI◇

正式名称は HELIOS: Heuristic Expert Logic for Integrated Operation and Safety。新大浜原発の統合運転、状態監視、安全管理、運転最適化を担う第2世代制御AIである。名称は太陽神ヘリオスと、炉心という人工の太陽を制御する存在であることにも掛けられている。

ニューロチップAIの進歩で、複雑な制御が必要な各種プラントでもAIが導入されているという設定。『ヘリオス』は原子炉制御に特化した制御用AIで、あらかじめ運転の流れのほか計算コード等により過渡現象時のシミュレーションデータも導入されているため、既にある程度は学習した状態で納入される(そうでなければ使えない)。運転時間が長くなれば、その炉の細かな特性を学習してより最適な制御を実現できる。冗長性を確保するため、2系統を同時に稼働させて相互に結果を参照するデュアルシステムによる運用が行われている。また、コールドスタンバイの予備系統もある。障害発生時には当該系統を切り離し、予備系統を稼働させてデュアルシステムを再構築する。回路規模が極めて大きい特殊なAIであるため、自我に近いものを持つに至った。

 

◇その他登場メカ◇

・軽多脚戦車

ドイツ製だがAIは日本製。大戦時に基地警備として使用されていた自律型戦車であり、搭乗スペースはない。武装は7.62mmチェーンガン*2、12.7mmガトリング砲、57mm榴弾砲。アイボールは正面に1個。コンバットタイヤ駆動の4本脚で、装甲は12.7mmまでの銃弾に対しては耐久性を保証。20mm機関砲に対しては損傷を受けるが、数発程度であれば問題ない。新大浜原発を警備するセキュリティ・フォースに、軍より払い下げられた中古品6機が配備されている。タチコマより大きい全高3.5メートルほど。ロジコマを武装化してもっとゴツくしたイメージ。

 

・森林伐採作業車

何だか機動警察パトレイバーの作業用レイバーを想起させる機械。多脚戦車や強化外骨格があるならこういう重機もあるだろうということで登場。実際、ネットで検索してみたところ多脚式の森林伐採作業車の画像がヒットしたので、それも参考にした部分もある。エンジン駆動。剣菱重工製。手元の大型丸鋸で木を掴むと同時に伐採し、そのまま持ち上げて別の車両に積載。林業用ではなく単なる伐採用なので、枝切りなどの加工機能は持たない。アタッチメントを交換すれば、そうした加工作業も可能となる。

 

・無人攻撃機(ステルス)

米軍のX-47似の全翼機のシルエットを持つ航空自衛軍の機体。もちろん非公式設定。対地、対水上攻撃を行う。対艦または対レーダーミサイル2発を搭載可能で、ミッション内容的には現用のF-2に近いものになると考えている。登場させたのは黒い機体だが、三沢とかには洋上迷彩の青い機体もいると勝手に妄想。モデルにしたX-47は残念ながら米軍に制式採用されることなく消えるそうな…。残念。

 

作中では新大浜原発での防空網制圧任務に登場。CIWSを破壊するために対レーダーミサイルによる飽和攻撃を行う。SeaRAMの射程はせいぜい10kmちょっとなので、ミサイルを迎撃可能な時間は十数秒程度と思われる。実際、どの程度までのミサイル攻撃を迎撃できるかは資料がないので判断できないが、元々対艦ミサイル防衛も主眼に入れて開発されている物なので、対レーダーミサイルも同様に迎撃可能であると推測した。

 

・原発の強化外骨格

基本無人運用の原子炉区画内に潜んでいたアームスーツ。放射線防護対策のために鉛入り複合遮蔽材が搭乗スペースを中心に仕込んである。小型のものは原子炉メンテナンス時に使用されるが、大型のものは事故時にしか使われない瓦礫撤去・その他重作業用の機体。

 

・セボット

タチコマの中に潜んでいたもの。原作では攻殻機動隊1.5に蜂型のものが登場している。まだまだ研究途上の技術。本作品では剣菱重工先端技術開発部が研究中だった。内部に腐食性の液体を詰めたガラス製タンクを搭載しており、侵入する機器の外部装甲・ハウジングを溶かして侵入用の穴を穿孔することができる。基板に取り付いて直接信号を傍受することができるほか、発信機としての機能もある。

 

・アンドロイド兵

SSS終盤にて多数登場したものとほぼ同じもの。原発警備に多数が使用されている。装甲強化型を戦闘用アンドロイドとして登場させてみた。

 

・2033式強化外骨格(改)

原作1巻またはSSSにて登場した聖庶民救済センターの警備兵が使用していたものとほぼ同じ。腕には埋め込み型の機銃を装備している。SSSではタチコマの装甲に1発で穴をあけているので、7.62mmではなく12.7mmクラスの銃弾だと推測される。頭部だけ生身で危なくないのだろうかという疑問は置いておく。陸自の特科隊が特注していたらしい。海自の303式とは全く違うので注意。

 

・18式戦車

新型のHAW206の導入に伴って順次廃車にされている旧型の思考戦車。無限軌道、俗に言うキャタピラ駆動の4本脚と長砲身の105ミリ滑腔砲が特徴的。登場シーンからアイボールが確認できるだけでも4つある。明らかに周囲の視界を意識した思考戦車黎明期の機体だと推測される(市街戦における戦車の脅威はゲリラのRPGやIED)。SACには2ndGIGにて標的機と国連軍所属機体が登場。標的機はジガバチの対戦車ミサイルで撃破された。PS2版の攻殻機動隊SACのゲームでもボスとして登場。本作では赤蠍が元陸自教導団所属の2機を強奪。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

同情するならチャクラくれ(作者:あしたま)(原作:NARUTO)

▼ ▼貧弱チャクラの転生者は、金と情報と仲間をもって忍界を変える。▼目覚めた先は、死があふれる忍の世界。▼与えられた現実は、「致命的なチャクラ不足」という残酷なものだった。▼正面突破が不可能なのならば、仲間と金を集め、現代知識をフル活用して生き残る道を探る。▼「チャクラが足りないなら、効率を高めればいい」▼「金が足りないなら、新たな経済圏を構築すればいい」▼…


総合評価:20206/評価:8.88/連載:57話/更新日時:2026年05月13日(水) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>