『IS』
それは篠ノ之束が産み出した世界最強の兵器。その性能は今までの兵器をも上回り、人々を驚愕させた。
更に世界を震撼させた白騎士事件を切欠に世界はISの開発に尽力した。
しかし、その世界最強の兵器にも欠点はあった。
それは女性にしか扱えないという点だった。
そのインフィニット・ストラトスの登場でそれを操縦できる女性は一気に社会的地位を築き上げ世間は遂に女尊男卑の色に染まってしまった……
しかし、その世界に転機は訪れる。世界初の男性の操縦者である。
その名は『織斑一夏』
一夏の姉はIS世界最強を暗示するブリュンヒルデを肩書きにもつ織斑千冬ということもあってか織斑一夏の存在は一気に日の目を浴びることになった。
◇◆◇◆
織斑一夏がIS学園に入学してから暫く経った頃、全校集会が行われていた。
今現在、壇上でスピーチをしているのは生徒会長の更識 楯無。
話してる内容は普通のスピーチだったのだが表情が少し曇り始める。
「えーっと……私も今朝まで知らされてなかったんですが……」
楯無は言いづらそうに口を開く。
「IS学園と提携している姉妹校と異文化交流として生徒が数名IS学園に来ることになりました」
楯無の言葉にザワザワと生徒達が騒ぎ始める。
「しかも、その学校は……男子校です」
続いて出た言葉に騒ぎは加速する。
IS学園は女の園と呼ばれるくらいに女性しか居ない。そもそもISの機動条件は女性であること。
例外は一夏だが、それとは関係無しに男子校から生徒が来るとなれば騒ぎにもなる。
「ちなみにコレは学園長が決めたことなので……では入ってきて下さい」
楯無の言葉に男子が数名壇上に上がる。その姿を見た女生徒達は引いていた。
入ってきた男子生徒達は皆、学ランにボンタン。剃り込みを入れている生徒も居れば顔に傷の有る生徒も居る。
女生徒達が唖然とする中、男子生徒達は自己紹介を始めた。
「押忍。自分は男塾1号生筆頭『剣桃太郎』です」
「俺の名は富樫 源次」
「虎丸龍次じゃー!」
「ワシは松尾鯛雄」
「男塾1の天才、田沢慎一郎です」
それぞれが名を名乗るが女生徒達はちゃんと理解しているのかも怪しかった。
それと言うのも桃太郎達の風貌にあった。とても同年代には見えなかったからだ。同じ男子の織斑一夏と比べても、その差は明らかである。
そしてこの空気はヤバいと感じた楯無は彼等を一夏のクラスの隣に立たせ、全校集会の進行をする。
「で、では次に彼等の学校の塾長から御言葉を頂きます。どうぞ」
楯無に促され、男塾の塾長はユックリと壇上に上がる。
背は高く和服姿で大柄な体格、長い口ひげとハゲ頭が特徴の中年男性だった。
壇上に上がった塾長はスウッと息を吸う。
その仕草を見た富樫、虎丸、松尾、田沢は慌てて耳を塞ぐ。
いきなりの行動に一夏の居るクラスの面々は『何やってんだコイツ等?』といった目で彼等を見ていたが桃太郎が口を開いた。
「鼓膜潰されたくなかったら耳を塞いだ方がいいぜ」
クールに告げた桃太郎は自身も耳を塞いだ。
謎の行動に皆が首を傾げていた。その時だった
「ワシが男塾、塾長!江田島平八であるっ!!!」
クワッと叫んだ塾長。大気は震え、音となり、全校集会が行われていた体育館は地震が起きたかのように揺れた。
窓ガラスは割れ、校舎にヒビが入る。
生徒達は疎か、教師までも全員がひっくり返り、ピクピクと震えていた。
「やっぱりこう来たか」
「予想通りだったな」
いち早く耳を塞いで無事だった富樫と虎丸。
「しっかし予想以上に気絶しとるな」
「馴れてない上に女性なんだから仕方ないわな」
と女生徒達を気遣う松尾と田沢。
「よう、大丈夫だったかい?」
「あ、ああ……なんとか……」
たまたま近くに居た篠ノ之箒に手を差し伸べる桃太郎。
この騒ぎを引き起こした張本人の塾長は満足したのか既に壇上から降りていた。
「お久し振りです……塾長」
「織斑千冬か……久し振りだな。ワシが男塾、塾長江田島平八である」
壇上から降りた際に千冬に話し掛けられる塾長。
何故この二人が知り合いなのかと言えば白騎士事件まで遡る。
ISを使いミサイルを叩き落とす白騎士こと織斑千冬はその最中、有り得ない物を見た。
なんと生身でミサイルを叩き落としていく男が一人。それが男塾塾長江田島平八だった。
ミサイルは白騎士が全て落とした事になっているが実は白騎士4割、江田島6割の割合だったりする。
そしてミサイルを全て落とした後に千冬は江田島に名を聞こうとした。その時に
「ワシが男塾、塾長!江田島平八であるっ!!!」
クワッとISのセンサーを破壊する程の声量が返ってきた。
この後に千冬は男塾の存在を知り、江田島を塾長と呼ぶようになった。
「塾長……私の弟……一夏を鍛えてやって下さい」
「フフッ……任せるが良い。ワシが大和魂を鍛えてみせるわ」
千冬は出来ることなら自身で一夏を鍛えたかったが、それは江田島に任せることとなった。
生身でIS並みの戦闘力を持つ江田島に鍛えられれば一夏も自身の想定以上に鍛えられると判断したからだった。
これが始まり。
後にIS学園筆頭と呼ばれる『織斑一夏』が生まれる第一歩となるのだった。