大和撫子も異世界から来るそうですよ?【更新停止】   作:夜明けの月

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更新遅れて本当に申し訳ありません。
まさか二ヶ月も開けてしまうとは……以後気をつけます。
では、本編をどうぞ。


少年目醒め、少女暴露す

箱庭の天幕内で、ジンに連れられてテキトウに話の聞ける場所ということで、六本傷の旗を掲げたカフェに来ていた颯人達三人。

そこで軽食をということになり、颯人はチキンライス、飛鳥は紅茶とフレンチトースト、耀はサンドイッチとオムライスに舌鼓を打ちながら談笑していた。

そんな最中、突如として颯人達の座っている机の一つ空いていた椅子にスーツを着用したガチムチの男が座る。

 

「やぁやぁ、これはこれはレディにジェントルマン。こんなところで何をしていらっしゃるのですか?」

 

「が、ガルド……!何をしに」

 

「俺の名を気安く呼ぶな、過去の亡霊が。俺はこの三人に聞いてんだよ」

 

「ぐ、ぬぅ…………」

 

その男にジンは目を剥くが、ガルドという男の入ったことが正論なのか、反論できずに黙り込んでしまう。

 

「何、と言われても、見て分からないの?」

 

飛鳥は颯人達と話していた時より声のトーンを落として問う。どうやら、楽しい時間を邪魔されてご立腹らしい。

 

「いえ、失礼」

 

「で、何の用かしら?」

 

「少し、あなた達に提案がありまして」

 

「提案?何の?」

 

耀がサンドイッチを頬張りながらガルドを見据える。ガルドは、ニコォと不気味な笑みを浮かべて気持ち悪い声で告げた。

 

「あなた方、黒ウサギ共々うちのコミュニティに来ませんか?」

 

 

 

 

 

♠︎

 

 

 

 

 

世界の果てのトリトニスの滝付近、水神なる大蛇を見事打倒した十六夜と初愛は、黒ウサギの案内のもと、ある程度安元な場所まで来ていた。

 

「さてと、まず私というより初愛のことについて話す前に、黒ウサギのことを聞こうか」

 

「え、私、ですか?」

 

「まあそうだろうな。お前、何か隠してるだろ」

 

ビクゥッと体を震わせ、冷や汗をダラダラと流す黒ウサギ。

十六夜はそれを好機と見たのか、ニヤッと笑う。

 

「沈黙は是なり、だぜ黒ウサギ」

 

「黙れば黙るほど疑われる。これは常識だぞ」

 

十六夜と初愛の金色の瞳が黒ウサギを射抜く。うぐっと声を上げてウサ耳を項垂れさせて黒ウサギは言った。

 

「……すみません。少し怖くて隠していたことがあります」

 

「ふむ……、話を聞いたあとで私で役に当てるならば協力するぞ」

 

「ま、お前の話次第だな」

 

「……分かりました。それでは面白オカシク話しましょう。私達のコミュニティの末路を」

 

 

 

(兎説明中)

 

 

 

つまりはこういうことだった。

 

・黒ウサギのコミュニティは三年前に魔王という凶悪な存在に潰された。

 

・コミュニティの強者達は魔王によって他の次元などに飛ばされたり、殺害されたため、復興が厳しくなった。

 

・コミュニティの旗や名前を取られたため、仲間が徐々に去っていき、今や子供達しかいなく、食べていくのも精一杯だという。

 

・そのため、初愛達、つまり異能を持つ者を召喚した。

 

それを話し終わった黒ウサギは、一縷の望みにかけて、頭を下げる。

 

「お願いしますっ!私を、私達を、コミュニティを助けてください!」

 

頭を下げているため黒ウサギの表情は見えないが、相当切羽詰まっている声だった。

その時、何かが煌き、地面に落ちる。

それは黒ウサギの流す涙だった。

それを見た十六夜と初愛の答えはーーー

 

「「分かった。なら助けてやる」」

 

「……………………ぇ?」

 

顔をくしゃくしゃに泣きじゃくっている黒ウサギは涙を流しながら、状況が飲み込めないといった風にぽかんと口を開けている。

 

「助けてやるって言ったんだ。魔王なんて面白そうだし、むしろそういう状態の方が楽しみがいがあるってんだ」

 

「私はこれでも感情移入をしやすい性分でな。その中で頑張ってきた黒ウサギが少しでも報われるのだったら、いくらでも協力させてもらうぞ」

 

その言葉を耳にした途端、感極まったという風にまた涙腺が崩壊する黒ウサギ。だが、そんな中でも微笑み、感謝の言葉を口にする。

 

「本当に………ありがとうございます!」

 

 

 

それから黒ウサギが泣き止むまで待つこと数分、十六夜は次はお前だと言いたげな視線を初愛に向ける。

 

「おぉ、忘れていた。"藤原初愛"のことだったな。それでは話そうではないか。まず、お前たちは藤原道長という偉人知っているか?」

 

「はいな。日本で昔、名を馳せていたお方ですよね」

 

「それがどうしたんだ?」

 

「彼には隠れた娘がいたのだ」

 

はぁ?といったように首をかしげる二人。初愛はそれが想定内のことなのか、無視して話を続ける。

 

「彼はその娘を可愛がった。だが、ある日悲劇が起きたのだ。初愛が突如、屋敷で大暴れしたのだ。意味もなく、な」

 

「それと藤原がどう関係あるんだよ?」

 

「お二人は"神降ろし"という偉業を知っているだろうか」

 

神降ろし、そのフレーズを聞いた途端、十六夜は目を見開き、黒ウサギは驚愕の表情を浮かべる。

 

「それを初愛は成した。しかも齢六の時だ。それを見た侍女たちは彼女を恐れた。それは他の貴族も然り。そして、他の貴族によって危害を加えられることを恐れた道長は彼女を森林の奥底にある離れへと移した。神降ろしを成した後でも、彼女を慕った付き人数人とともに」

 

「なるほど。つまり、藤原は結構な強さを誇っているってことでいいのか?」

 

「違う。初愛単体ではほとんど意味はない。私達のようなその身に降ろす神がいなければな」

 

「で、では、あなたは誰なのです?さっきから初愛さんじゃないとは分かっているのですが……」

 

黒ウサギが恐る恐る聞く。初愛は腕を組み、得意げな顔で答える。

 

「日本における神話にて太陽が神格化した神であり、天岩戸といえば確実に分かると思うが」

 

「天岩戸…………おいおい嘘だろ……」

 

「そ、そんな……」

 

「そう、天照大神とは私のことだ!」

 

バァァァンという効果音がつきそうなほどドヤ顔で告げる初愛もとい天照大神。その答えに開いた口がふさがらない二人。

 

「こ、これは………」

 

「ヤハハ、これは……」

 

「「マズイことになってきたな(ました)………」」

 

口を揃えて黒ウサギと十六夜が冷や汗を流す。これから見舞われる苦悩と災難を予想して。

 

「さて、それでは打倒魔王を目指して精進しようじゃないか!」

 

そんな中、天照大神だけがテンションが異様に高く、高らかに笑っているのだった。

 

 

 

 

 

♠︎

 

 

 

 

 

「ーーーということになります」

 

「ふぅん、ジン君のコミュニティは崩壊寸前、ねぇ……」

 

ガルド=ガスパーからジンのコミュニティについての話を包み隠さず全て聴き終わった飛鳥は、ジンを値踏みするような目線を向ける。それを受けて縮こまるジン。

だが、その視線にはある決意が含まれていることをジンはわからない。

その代わり、同じく話を聞いていた颯人と耀には分かった。「何か策がある」と。

 

「……で、それだけかしら?」

 

「それだけ、というと?」

 

「あなた、何か隠してるでしょう?あなたのコミュニティ"フォレス・ガロ"のことを」

 

「…………ッ!?」

 

凄まじい洞察力に目を見開いて驚愕するガルド。何か弁明しようと口を開くも、

 

「『口を閉じて黙りなさい』」

 

飛鳥の能力によってすぐさま口を閉ざされる。

 

「さてとジン君、普通のコミュニティが数年で一つの区画に知られるほどの知名度を獲得できると思うかしら?」

 

「え、あ、いえ、そんなのは不可能です」

 

「ならば、旗を奪うことは?」

 

「それの方がありえないと思います。旗はコミュニティにとってのシンボルです。そうやすやすと手放すとは思えません」

 

「でも、彼の言った話だと彼はコミュニティの旗をかけた勝負に連戦連勝って言ってたわよ?これ、どういう意味かしら?『そこに深く座って説明してくださる?できれば分かりやすく簡潔に』」

 

飛鳥の能力により、ガルドはドスンと椅子が割れそうな勢いで座り込み、口を開いて自白していく。

 

「た、対戦相手のコミュニティの女、子供をさらって不戦敗にさせた。で、それで大きくしていった。だが、さらったガキ共は言うことは聞かねぇは泣きわめくはでウザくてウザくて仕方がなかったから殺しちまったよ!だが、これが見られるとマズイと思ってな。とりあえず部下に食わせて、そっからはさらってきた奴らは速攻で殺させてーーー」

 

「『黙りなさい!』」

 

再度、飛鳥の能力によって黙らされるガルド。飛鳥の表情には静かな怒りがあり、颯人と耀もガルドを睨みつけている。

 

「まるで絵に描いたような外道ね。こんな人見たことあるかしら?」

 

「いえ、このようなのには会ったことがありません」

 

「そう、ならいいわ。早々にここから立ち去りなさい」

 

そう言って指をパチンと鳴らす。するとガルドを縛り付けていた何かが全てかっ消える。

 

「こんの……クソガキ共がぁぁぁぁぁぁぁなめるんじゃねぇぇぇぇぇ!!」

 

その瞬間、ガルドの着ていたスーツが弾け飛び、上半身だけが獰猛な虎へと変化する。大きな掌は強靭な爪を持ち、その爪で飛鳥を切り裂こうとする。

飛鳥は咄嗟のことで反応が遅れてしまい、迫り来る鋭利な爪を見ることしかできない。

ガルドが飛鳥へと爪を振り下ろそうとした時、颯人が飛鳥とガルドの間に割り込み、腕をクロスさせて形だけでも防ごうとする。

ガルドの鋭利な爪はそれを切り裂き、鮮血を撒き散らす、かのように思われた。

 

 

キィィィィン

 

 

鳴り響く金属音。甲高い音はあたりの音を無視してその場にいた者の耳に確かに届く。

その音の原因は、颯人の手にしているものにあった。

颯人は自分の手にあるものに驚愕する。

それは、中世のヨーロッパで使われたような銀色の盾だった。ただ、かすかに光っているということを除けば、完全に過去のものが再現されていたようなものだったが。

 

「なん、だ……これ?」

 

出した本人であろう颯人ですら頭の回転が追いついていない。

そう混乱している中、いつの間にかガルドの背後まで忍び寄っていた耀がガルドに関節技を決め、地に伏せさせる。

 

「ジン君、この箱庭にはこの外道を裁ける法律があるかしら?」

 

「いえ、ありません。告発するにしても少し時間がかかってしまいます」

 

「……そう」

 

「ですが、ギフトゲームならすぐに裁くことができます」

 

ジンのその一言に飛鳥はニヤリと笑う。

 

「なら、ガルド=ガスパーさん。私達とゲームをしましょう。私達の誇りと魂、そしてあなたの人生とコミュニティの存続を賭けて」

 

飛鳥は高らかにそう告げた。

こうして、"フォレス・ガロ"とのギフトゲームの火蓋は切って落とされた。

 

 

 




次回は駄神様の登場かな。
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