そういう感じで読んでください。大丈夫、被食者は死なないから!
あー疲れた……あれから帰って寝ても精神的に疲れが残ってるわ。
ちなみに、朝刊に載るどころじゃなくってテレビで放送もされていたぜ。今朝ヘリで行ったらしいんだが、なんともマスコミは野次馬根性がおばちゃんより凄いな。
商店街のテレビから見てみたんだが、なんつーか……あれだ、これは俺のせいじゃねえ! あの痴女のせいだ! そうさ、俺のせいじゃないもんね!
たとえ山が数個消し飛ぼうが関係ないったら無いんだよ!
イヤァ、スゴイネー。ヤマガキエチャウジケンカー。ナンデコウナッタンダロウネー。
………宇宙人の仕業かとか言われてるけど、俺は宇宙人じゃねえから俺の仕業じゃねえってことになるよな? ほら、俺は人じゃないから真っ先に犯人対象外だ。なにせ人じゃねえからな。
空を飛んで獲物を探しながら今朝のことを考えていると、丁度いい餌を発見した。大きさは猫ぐらいだが、気が雀の涙くらいになっていて死にかけだ。もうすぐ死ぬんじゃないかってくらい弱いんだから、食っても構わねえだろ。
相手が死にかけなので音を消すひつようもないからバササッと降り立った。傍らで傷だらけの獲物を嘴で突いてみるが反応はない……では、いただきましょう!
全ての食材に感謝を込めて…いただき「やった! 一ヶ月探してやっと見つけたぞ!」……ガキが近づいてきやがった。
やたら魔力が多い子供だが、なんでこっちに来るのか……あ、もしかしてこの獲物? もう死にかけだから諦めな。
「ッ!? フクロウ…お前ッ! 俺の黒歌から離れろ! 一番好きで助けたいキャラなんだよ!」
キャラ? 何言ってんのかわかんねーけど、こんな五月蝿いところで食事なんて出来やしねえ。さて、こいつ持って他のところにでも行こうかね。
首を脚で掴んで飛び立つ。空までくればこっちのもんだからなー、じゃあな少年! いい夢見ろよ!
「逃がすか…! 悪いけど……離してもらうよ」
その瞬間、俺は殺気を感じ取った。そして後ろから高速で飛翔してくるのは矢…なんでこの時代の少年が弓矢なんて持ってんの!? しかも上手いじゃねえか!
バサリと羽ばたいて身体を斜め下に向けて避ける。
「あっ…!」
そのまま人通りの多い道にゴー! 驚く人々の声と後ろから少年の声が聞こえてくるが、次第にそれも無くなった。撒けたようだな…じゃあいつもの山で食べるとしようか。
俺が初めて見たあの山の場所で獲物を下ろす。ここらへんの死んだ小動物は食われたのかもう居なくなっていた。
後はそうだな……ここで仙術や魔力の練習をしているからパワースポットみたいになっていることくらいか? 魔力の扱いより気の扱いの方が多いので此処は凄い綺麗で力強い場所。聖域? それは知らね。
ここらへんの山菜や木は育ちがいいけど、山菜は俺の腹の中へ行ったから結果オーライだよな。俺が育てた。
それにしても、猫は初めて食べるな…一説によると猫は美味しいらしい。そんなことをちょっと頭の可怪しい奴が言っていたのを覚えている。
今夜は猫鍋(物理)だ!とか言いながら野良猫をバレないように捕まえに行っていた。あいつ、マジで食べたのかな?
まあ食うか。柔らかい腹に嘴を押し付けた時、獲物の黒猫が目を開けたようの感じるが…目を開けただけ。抵抗もできないほどに弱っていたのか。関係ないけどな。
ぶちりと腹を噛み千切って咀嚼する。なるほど…猫はこんな味がするのか、美味い…のか? 鍋にしたら美味しくなりそうだけどな。
そろそろ内蔵にでも…と食べ進めていた時に、黒猫が泣いているのを見つける。あれ、猫ってこんなにボロボロ涙流すっけ……自分の腹が食われてるの見ながら、死にたくないよとか小さく呟くっけ!?
あれだよな、餌食べてマグロ美味いにゃ~とか言うのは知ってるけど、死を感じて死にたくないとかこっち見ながら懇願するっけ!? あれ、俺の常識が可怪しいの? これが普通なの?
いや待て…この世界には魔力とか痴女みたいな存在が居るわけだし…これが普通、なの、か……? なんか解せぬ。
そしてMK5。マジで、くたばる、5秒前みたいになっている俺の獲物だが…なんか、食欲が失せてきちまったよ。どうしてくれんだよ、全く。
はぁ…いいよ、いいさ、いいだろう。助けてやんよクソヤロー! はいはい、誰しも死にたくないもんね、俺の優しさに感謝しながら生きていけよ……
え? 逃がすわけ無いだろ? 俺が途中まで食べてた獲物なのに…これからは非常食として持ち歩くことにした。やっぱ生物として食事は必要なわけよ。
仕方ないので膨大な気を使った仙術でこいつを治していくことにする。急速に塞がる腹の食い痕と他の傷。それを驚いたように目を見開いただろう獲物だが、猫もこういうことには驚くんだな。
ついでに睡眠作用もつけといて…俺の住処であるこの大きくなった樹の穴に入れておく。中は街から取ってきた柔らかいものとかが入っているのでいつも安眠だぜ。
俺はフクロウにしては珍しい昼型である。なにせ今まで昼に動いてたからな…夜は眠くなっちまって。
よし、こいつが逃げるまでに首輪取ってこよう、首輪。非常食なんだから繋いでおかないと……よし、行くとすっかね。
◇ ◇ ◇
取ってきた首輪を頑張ってつけようとすること三十分…付けれなくてイライラしたので気とか魔力とかフルに使って付けてやって一息ついた。
この首輪はどこかの家の庭に落ちてたから拾ってきたんだけど、猫につけようとして嫌がられて諦めたんだろうから問題ねえよな?
赤い首輪で小さな鈴がついており、リードが伸びている。散歩させたかったのか…ドンマイ! 安心しろ、俺が別の猫でその夢、叶えてやるよ! この餌が暴れなければだけど。
リードの手持ち加えながら住処の中でクッションに埋もれながら起きるのを待つ。あれから二時間…一向に起きる気配はありませんことよ。…噛み付いて起こしてやろうか。
そして更に一時間。俺は暇だったので魔力で木の壁に盤を作って一人オセロをしていた。暇人とか言うんじゃねーよ…なにせ人じゃねえk…って、これはもういいか。
これでも気の扱いと魔力の扱いの練習してんだよ。魔力を細く木に貼り付けて気で固定。魔力の碁石を創り出して壁にくっつけて白黒変えまくる。
これがまた繊細な作業で…オセロしながらこれするのは凄い疲れるけど、いい練習になる。
一人二役並列思考による対戦…あ、端っこ取られた。あ、ちょっとまって俺! そこに置かれたら白がぁぁぁぁぁ……待てって言っただろうに!
「キエエッ!」
スココココッ! っと嘴で黒を上から怒りのままに連続で突きまくる。別々で思考しているために負けた俺は激おこなのだ。はたから見ればひとりオセロして怒っている阿呆にしか見えねえけど。
「にゃぁ……」
その時、背後から呆れたような猫の声が聞こえた。後ろを首だけ回して見てみると、首だけ動かしたことに驚いた猫が首を縮めていた。
どうやら起きたようで俺のオセロを見ていたらしい。その眼には戸惑いが色濃く映り込んでいる。俺の存在に、オセロに、自分の首輪とリードを見ているのだ。
だがそんなの関係ねえ! 一人でやって怒っているのを馬鹿にしてんなら喋れるほど賢いであろうお前が相手しろや!
「うにゃっ!?」
リードをぐいっと引っ張ると、猫はこっちまで引っ張られて俺の横に倒れた。怯えたように俺を見る猫だが、別に取って食おうってわけじゃない。今はな。
右の翼に羽先で盤を指す。そして撫でるように一振りすると石は消えて新しく両側に白黒の石が魔力によって作られた。それにさらに驚く猫だが、俺は魔力を操作して動かしていく。
よし、お前もやれ。そんなに言うなら相手してみろや。顎で指すように嘴で促すと恐る恐るという風に動かした。
この猫からも魔力が溢れでて石を動かしているようだし…お前も痴女みたいな存在なんだなぁ…世の中すごい。
フッフッフッ…元人間に猫如きが勝てると思うなよ! コテンパンにして泣かしてやんよ!!
「にゃんッ!」
「……キエエエエッ!!」
負けた、完膚なきまでに負けた………ッ!!!
この猫、ただの猫じゃねえ…只者じゃないぞこいつ!! 一時間の激戦が遂に終決した。
この非常食黒猫、強えぇッ!!
黒歌登場。しかし食われかけているというね。これから幸せになるから大丈夫だよね!