愉快な邪眼は月輪を越えて異世界に飛ぶ   作:きりがる

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いやはや、いつの間にやらお気に入りや評価が増えていて嬉しい限りでございます。この調子でこれからもよろしくお願いします!
もう一つの作品?なんか局所的スランプ…不安定な周期で来る突発性書けない症候群にかかりました。こっちは書けるのになんでだろう……。

あ、それと最後にもう一言。

黒歌sideなんだけどね、この黒歌……誰……?


第四話 黒猫は邪眼を想い続ける

 

 

 

 白音を助けるためにゲスな主を殺し、他の悪魔に追われて死に物狂いで我武者羅に逃げまわっていた私は、いつの間にか死にかけの状態で倒れていたらしい。

 

 私と白音の力を狙っていて危なかったから殺したとはいえ、これで私も立派な主殺しのはぐれ悪魔だ。だけど後悔はしていない…ただ、置いて来てしまった白音の安否だけが気がかりだけど。

 

 そんな私は気づけば本当の意味で死にかけだった。痛みすら感じなくなったお腹に物凄い違和感を感じて目を覚まして見たら、力切れで猫の姿になっていた私のお腹を食べているフクロウの姿があった。

 

 何故か目を瞑ったままの白いフクロウは、嘴を私の血で赤く染めて私を食べている。

 恐らく、死体だと思ったのかもしれない。そのせいで住処に持って来られて餌になっているのかも。

 

 あぁ…お腹を啄まれる感触すら、分からなくなってきちゃった……。

 

 動物の世界は弱肉強食、瀕死の姿だった私は恰好の獲物だっただろう。この状況も仕方がない…仕方がないんだけど………

 

「死にたくないよぉ………」

 

 声すら出ないと思った喉から絞り出すように、自然に声が出てきた。

 フクロウを見ながら勝手に溢れでた涙を流しながら、そう呟いた私の脳裏には白音の顔が浮かび続けている。こんな終わりは嫌だなぁ………。

 

 そして、この呟きが私の命を救い、これからの人生を変える一言であり……私が愛し、尽くす相手との出会いだったなんて思いもしなかった。

 

 私の呟きを聞き取ったのか、フクロウが食べるのをやめて何やら驚いた雰囲気で此方をじっと見つめてくる。でもなぜ目を瞑ったままなのだろうか…もしかしたら盲目なのかもしれない。

 

 そしてフクロウの首が動いたと思った次の瞬間、信じられない光景を目にした。

 

 それは白いフクロウが仙術を使って私のお腹を治す光景だった。仙術の腕前はまだ拙いものであったが、それをカバーするように自然から膨大な気を吸収して治療していた。

 

 いやいやいや、普通のフクロウが仙術とか使えるわけないじゃない! え、もしかして私が知らないだけで、実はいろんな動物が仙術使えてるとか?

 

 あれ、私の常識がおかしいの? 実はこれが普通なの? いや待って、世の中には不思議な事が沢山ある。なにせ悪魔とか天使とか色々あるからおかしな事じゃないのかも知れないじゃないだから落ち着くのよ私!

 

 体は動かないけど頭の中は大慌てな私だったけど…体の中の気でも操られたのか、凄く眠くなってきたのだ。

 

 食べられなくても本来死ぬしかなかった負傷した体、色々あって摩耗した精神にこの安心感やリラックス効果は抗い難いもので…なぜかふわふわの寝床で私は寝てしまった。

 

 そして次に目を開けた時はまたまた驚くべきことがあった。絶対にこのフクロウがおかしいのだ、断じて私がおかしい訳じゃない!

 

 魔力と気の、本来なら反発しあうであろう二つを器用に扱い、くっつけ、碁盤と碁石を作って遊んでいたのだ。

 

 しかし、余程集中しているのか、私が起きて座りながら見ているのにも気づかない。それに操作に集中しているようにも見えるし…なるほど、練習してるのかしら? 

 

 それと、この首輪とリードは何なのかしらね……リードの先はフクロウが咥えてるし。もしかして逃げないように付けられた?

 

 えー、私ってフクロウに飼われることになるの? なんか解せぬ…人型になって逃げてもいいけど、助けてもらったし、なんかこのフクロウが滅茶苦茶気になりだしたので、暫く飼われてみようと思う。

 

 このフクロウに治してもらって起きてから、とても穏やかで心地いい気分だし……フクロウとはいえ感謝はしてるから、少しは恩返しでもしようか。

 

 餌でも獲ってあげれば喜ぶかもしれないわね。

 

 そんなことを考えていると、突如フクロウが鳴き声を上げながら奇行に走りだした。

 

「キエエッ!」

 

 スココココッ! と嘴で黒い石を突きまくるフクロウは怒っており、執拗に突きまくっている。

 

「にゃぁ……」

 

 呆れた感じで声を出した瞬間、突然ぐりんッとフクロウの首だけが回転して、その光景にびっくりした私は首を縮こまらせる。

 

 いや、普通驚くに決まってるじゃない! 体は動かさずに目を瞑った顔をいきなり向けられたのよ? 誰でもビビるわ!

 

「うにゃっ!?」

 

 今度はリードを引かれて引き寄せられ、フクロウの横に転がされる。痛たたた…いきなり引っ張るから首が締まった。

 そんな私にフクロウは顎で指すように嘴で碁盤を指す。

 

 これは…私に相手をしろってことなのかな? 多分そうなんだけど……

 

 羽の一振りで消された石が再び創造され、おずおずと魔力で作られた石を魔力で操る。あれ? 何気に魔力で物質作るのって高等技術じゃ……

 

 んで、一時間…遂に勝負がついた。

 

「にゃんッ!」

「……キエエエエッ!!」

 

 圧倒的勝利! 完璧なる勝敗! ほぼ真っ黒! 

 

 にゃははと高笑いを上げると、フクロウは悔しいのかスココココッ! と碁盤を突き出した。なんて人間らしいフクロウなのだろうか…知能高すぎでしょう。

 

 あと私もなんかキャラ崩壊してきてるというか…あれ? 私ってどんな性格だっけ? 

 短時間でここまでするフクロウなんて世界で一匹だけよ怖いじゃないですかやだー!

 

 にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃー………コホン。 

 

 にゃーっ! もうちょっと落ち着く時間を頂戴ッ!!!

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 あれから一年ほど、私にとっては驚きの連続と楽しい日々だった……とか言ってるけど、別にこれから死ぬってわけじゃないわよ? 死亡フラグでもない。

 

 あれから数日経った時にミネルヴァこと空那はストーカー被害に遭っていることを知った。

 

 不覚にも、犯人と出会って何故か驚いて怯えている空那に萌えた私ガイル。……圧倒的コレジャナイ感。

 

 しかも犯人は超大物有名龍のオーフィスだった。私が驚いて警戒する前に空那が私を掴んで逃げ出してしまった。

 

 速い強い怖い。なんでオーフィスから逃げれるのよありえないでしょうフクロウ強い目を瞑ってるのに空中戦闘機動ってちょっとかめはめ波は駄目だってばもう!

 

 逃げきった後に私がゲロったのは言うまでもない……ゲロインとか言われたくないよー!

 

 とまあ今ではオーフィスは二等身で私達の愛の巣に住んでいる。梟の巣だけに! 

 

 …………キットカット! 今のは無かったことにしてもらってもいいかしら? 完璧に黒歴史だわ………orz

 

 ま、まあいいとして……この一年で私は何もしなかったわけじゃない。まずは空那に念話というものを覚えさせて話ができるようにした。

 少し時間がかかったけど空那と話せるようになった時は嬉しかった。

 

 そんな空那の頭の中は結構愉快な感じだったけど……貴方、何時も何処に念話送ってるのよ。相手いないのにちょっと怖いわよ?

 

 それからはずっとおしゃべりを毎日していた。互いのことを教え合い、色んな事を知った。空那は面白いから話のネタが尽きない。

 それはそうと事故で記憶を覗いちゃったけども……あれは、なんて言えばいいのかしらね……

 

『悪夢の七日間in東京~邪眼が来りて目で睨む~ …完璧に黒歴史ですね有難うございます』

『なに悪魔が来りて笛を吹く的なことを…歴史の教科書にも乗るような黒歴史にゃ!』

『邪眼だよ! 全員集合ッ!』

『した結果が溢れる死体よ!? 集合しちゃ駄目!』

『もう終わったことなのに、なに言ってんだ? お前さん』

『うにゃ~ッ!!』

 

 猫パンチした私は悪く無い!!

 

 それでも番も死んでしまう邪眼のミネルヴァはかなり辛い過去だと思う…私と比べることすら出来ないだろう。

 

 だけれど空那は過去とは違うミネルヴァ人生を歩んでいる。目を瞑り、視界を犠牲にすることで殺すことを防いでいた。

 

 仙術や魔力の感知でどうにかなってるらしいけど、私が目となり手足になろうと思うのだ。白音関係を話して救われ、それ以外でも惹かれていった。

 

 もうただのフクロウじゃないとわかっているし、何れ私のように人化もするつもりらしいので好きになっても問題ないはず。

 

 オーフィスはよくわからないけど、ミニオーフィスとしていつもくっついて羽に埋もれているからねぇ…なんか住み込みで働いてる。

 

 主に空那の世話面で。貴女何しに来たんだっけ……え? 気にするな? まあいいわ……。小さいのに凄いわね…家事スキル高ッ!? 私より高いとか…落ち込むわ。

 

「ぶい」

「にゃー(ぐぬぬ)……」

「キエエ(m9。゚(゚^Д^゚)゚。プギャーッハハハハヒャヒャヒャヒャ)」

「その一言の中でどんだけ笑ってるにゃ!? 笑うにゃ!」

「クァ(おっと危ねえ)」ドスッ

「うっ!? う…ぁ……おぇぇ…」

 

 反撃喰らって吐いた……げ、ゲロインじゃないんだってばー!! 

 スタイル抜群の美人な私がアルアル言うチャイナ娘と同列になんて見られてたまりますか! 吐くのはまだ二回よ! それ以外は女として完璧なはず。

 

 猫だけど。

 

 他には魔法や仙術の扱いの練習とかかしらね。変化の術とか空間操作してる時点で使えるはずなのに変化しようとはしないのはなぜなのか聞いてみたら、割とくだらない理由だった。

 

『男らしい姿が想像できねぇんだよ…あきつ丸はもう嫌だー!』

『わけがわからないよ…』

『いっそ、人以外になればいい』

『『それだ(にゃ)!』』

 

 まあ結局小動物とか虫とかになって死にかけたんだけどね…虫は無いわー。私もあれから人化してないから不思議な猫としか思われてないけど、出来るなら空那が人化した時に一緒になりたい。

 

 理由は…まぁいいじゃないの。空那がちゃんと変化するまで何年でも待つわ。できれば早く触れ合いたいし、人化したらほぼ人間だからその…色々できるし、ね?

 

 私の姿も見て欲しいけど邪眼があるから……これもオーフィスと相談してどうにか対策を立てなきゃね。結界をすり抜けた時はびっくりしたわ。

 

『黒歌ー、餌取りに行くけど来るか~?』

『今日は店に忍び込む……我、きっと大活躍』

『行くから少し待つにゃー!』

 

 じゃ、今日のご飯でも取りに行きましょうか。店に忍び込むって…あのオーフィスがなんでこんなことに……色々教え込んでいる空那のせいだわ…。

 

 まったくもう…少しだけおかしい、こんなに毎日が楽しくて幸せなんて、昔の私は思いもしなかったでしょうね。

 

『お、飛行機だ。並んで飛んでみようじゃねえか!』

『おー!』

『にゃ~!! 高い高い寒い高い怖いにゃーーッ!!』

 

 白いフクロウに乗った小さな人形と掴まれて空飛ぶ猫が都市伝説に追加された瞬間だった。

 

 

 




だが、私はこんな黒歌が大好きだ!
あ、キャラ崩壊注意です…って、遅すぎたね。すまん。
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