愉快な邪眼は月輪を越えて異世界に飛ぶ   作:きりがる

7 / 10
今年はこれでおしまいです。
皆さんはコミケに行ってほとんど読まれていないでしょうが……私も行きたかった…!!
ごほんっ、まあそれはいいとして、皆様良いお年を!


第七話 邪眼の家が劇的ビフォーアフター

 

 

 

 

 

 キング・クリムゾンしてまたまた数年。そういえば今は俺がミネルヴァになって何年くらいなのか…林檎ちゃんが大人びてきて、恐らく綺麗な女の子になっただろうと思われる。

 

 ということは、もう十年は経っているのか? わからんが、林檎ちゃん、現在高校二年生でございます。賢く強いがチャットでは何時も通り昔と変わってない。

 

 俺といえば黒歌とフィアとのんびり何も変わらない生活を送っているが、少し前にフィアが暇つぶしとか言って組織経営し始めたらしい。

 

 なんだっけ…表向きはグレートマジンガー?を倒して静寂を手に入れるとかなんとか……。

 

 さよならと黒歌と二人で笑顔で見送ろうとした時のフィアは忘れられない…初めて泣きました! その日はフィア成長記念日として記録しているぜ。

 

 俺も時間経過とともにすっかりマイルドになっちゃって……マイルドミネルヴァは砂糖たっぷりの練乳増し増しだぞ。マッ缶みたいになってんぞ。孫を見るおじいさんみたいになってるんだぞ。

 

 いや、まぁ冗談だけどな? 世界一周とかしてきたし、世界遺産とか見てきたから。おかげで疲れたけどな! 途中からフィアをタクシーにしてたぜ。黒いトカゲになるから此処ぞとばかりに。

 

 で、今は帰ってきた山で追いかけっこ中なう。

 

『やばいよやばいよ! どれくらいやばいかってマジでやばい!』

「ねえ泣いていい? 泣いてもいいよね!? 誰にゃ! こんな乙事主様生み出したのは!!」

「マジワロス。ガンバ」

「『…ッ! テメェが食われてこいや!』」

「あーッ!」

 

 俺の上から振り落としたフィアを黒歌が魔力の篭った猫パンチで、背後の化け物に弾き飛ばす。すると、小さなフィアは鼻先でぺしりと弾かれてどこかに行った。

 

 哀れミニフィア! だがお前さんが苛つくようなこと言うからわりぃんだよ! 死んで詫びろ!

 

「死ぬかと思った……」

「ピンピンにゃん」

『汚れ一つ付いてねぇ、流石無限気持ち悪い』

「我の心、熱した針で刺された時のように傷ついた…」

「うわ、地味に痛いにゃ」

 

 そんなコントを繰り広げているが、後ろは凄いことになってるからね!

 

 俺の頭の上にフィアが戻ってきたが、そのまま首をグリンと後ろに向けるとあら不思議。いつか見たような猪の気配があるじゃありませんか! 

 

 ちなみに完璧に別物となっておりますですよ。気配が全然違うから。

 

 それよりこの山なんなの、どうなってんの!? 俺達が居ない間に何があった!? 山がジャングルってるんですがねぇ!

 

 植物が異様に成長し、動物が何やら変形している。特にボスらしい猪なんてシャバドゥビタッチヘンシーン!してるからな! マジで何がどうなってこうなりやがった!

 

 あれだよな? 俺の帰りを何年もこの山で待っていたというあの有名な忠犬のハチ公のような感じなんだよな? 嬉しくて襲い掛かってくるんだろう? なあ!? そうだと言ってよ!

 

『おい、シシ神様は何処にいんだよ! あの有り余った生命力吸い取って大人しくしてもらえよ!』

「それ死んじゃうパターンじゃにゃい!?」

『いいんだよ、あいつは死ぬくらい吸い取ってもらったほうが借りてきた猫のように大人しくなってくれんだから!』

「……ちなみに、今の状況、どう思う?」

「『凄く…危ないですッ…緊急回避ッ!』」

「あーッ!」

 

 倒れてきた木を避けたらフィアが余波で吹き飛んだ!? どうせ無事なんだから無視しようか。それがいい。

 

 しかしここで俺には作戦があるのだ! これを黒歌に伝えるために飛びながら念話する。

 

『黒歌、作戦がある!』

「ッ!? にゃに!?」

『まずはこうだ…お前はこのまま走り続けてくれ』

「わかった! それで次は何するのよ!?」

『お前はそのままでいい…俺が後は全部やる! 三秒数えるからそのまま走ってろ!』

「りょ、了解にゃ!」

『行くぜ…三…二…一ッ! そらよ!』

 

 バササッ!と翼を広げる。

 

 ここでお前らに聞いてほしいことがある。

 

 とある技術に『コブラ』という空中戦闘機動…ACMがあるのだが、これは水平飛行中に進行方向と高度を変えずに身体をピッチアップし迎角を90度近くに変え、そのまま水平姿勢に戻る機動を指す。これで失速出来るのだ。

 

 んで、クルピットとはコブラで失速してから身体を前に戻さず、そのまま後方に一回転させる。つまり、失速して止まり、そのまま自重と重力に任せて向きを変えるっつーわけだ。

 

 翼と身体の内側を前に向け、顔を上に向けることにより身体の腹のほうで風を受けて失速し、止まった所で後方に回転して今来た方に向き直り、ポテリと猪の背中の上に着地した。

 

『作戦成功! 頑張れー! 気張れ―!』

「空那!? アンタ何やってんのよ!? 私囮にして自分だけ楽したわね!?」

『何言ってんの? 俺はちゃんとこいつに接触して戦ってんじゃねーか』

「何もしてないじゃない!」

『よく見ろよ、テメーの目は節穴か? ほら、攻撃してるだろ? 足踏みして』

「それは攻撃とは言わないのよ!」

『ほら、化け物猪、頑張って追いかけろよ! 餌だか遊び相手だか知らないが、獲物は目の前だぞ!』

「ブルアァァァァァッ!!」

「どこぞの若◯みたいな叫び声出しちゃって…!! と言うかこの外道!」

『わはは! 最高の褒め言葉よ!』

 

 胸張って威張り散らすと、黒歌は叫び声を上げながら更にスピードを上げた。なんだ、やればできるじゃねえか。

 最近、お前は運動してなくて太ってきたとか言ってたからちょうどいいんじゃないか? 猫も太れば動き難くなろうさ。

 

 そして山中を駆けまわりながらついに黒歌が立ち止まってこっちに振り返る。

 

「こうなったら…やってやるにゃ!」

 

 そして二本脚で立ち上がったと思ったら、何を思ったのか尻尾の二本のうちの一本を掴み……ブチィッと根本から引き千切った。そして勢い良く血が吹き出すが、なんてことないような顔をして構えている。

 

『ちょ、お前何してんの!? 尻尾千切れてんぞ!? 血が出てますけど!』

「二本もあるんだから一本くらいいいじゃない。推して参るにゃ!」

『なんでブォンってなって直立してんだよ! どこのライトセイバー!? というかその理屈はおかしいことに気づけ!』

 

 切羽詰まって頭がおかしくなってんじゃねーの、あいつ! 尻尾を構えたと思ったら居合い抜きのように振りぬいて…

 

「ハァッ!」

「ブモォッ……!!」

 

 ズバンッと猪を正面からたたっ斬りやがった……何あの尻尾、何でできてんの? 最強じゃねえか…俺も欲しいわ、あの尻尾。

 

「また、詰まらぬものを斬ってしまった……」

『今回初めてだけどな!』

 

 血払い的なことをしてから尻尾をそのまま後ろに持って行き、血を止めるかのように刺した。

 

 こいつ、何事もなかったかのように尻尾を元の場所に差し込んでんですけど!? あれでくっつくn…くっついてやがる! 元通りゆらゆら揺れてるじゃん!

 

 何年も黒歌と付き合ってきて初めて尻尾が取り外し可能だと知った一端だった。しかも刀になるらしい。これは武器になるので覚えておこうか。

 

 そう言えばフィアの奴は何処に行きやがった? それよりこの猪どうするか…食べたいけどデカすぎるしな。とりあえず空間倉庫に突っ込んでおくことにする。

 

 空間が歪み、そこに目がけて魔力で身体強化をした足で蹴り入れる。鈍い音を立てながら猪は収納されたので空間を元に戻す。これでオッケー。

 

 ふむ、動いたせいなのか腹が減ったな。足元の小動物でも食べるか。

 

 咥えてもごもごしていると、黒歌が背後から来てなにやら話しかけてくる。

 

「空那、何食べてるにゃ?」

『ん? ちょっとネズミでも食べようかと思って』

 

 くるりと振り返って見せてやる。

 

「そ、それフィアにゃ! ちょっと、ペッしなさい、ペッ!」

『エーボクシラナカッタナー。割と美味しい味がする不思議』

「我、空那に舐められてる…///」

「フィア!? なんでそんなに変態になったのよ! いつから!? いつからにゃ!?」

 

 黒歌は元気だなー。あんなことがあったというのに疲れていない。

 それにしてもこれはフィアだったのかー、吃驚だー。

 

 人化した俺がもしペロリストになってフィアを舐めた時はきっと歓喜するだろう。出来ることならそんな変態性は喚起して欲しくねーけどな。フィアprpr? んにゃ、むしろフィアmgmg。 

 

 黒歌に言われたとおりに唾を吐き出すかのように、噛み終えたガムを吐き捨てるかのようにペッと斜め下に吐き出した。

 

『そんなことより、この山の原因を見つけ出さねーとな』

「それもそうね…気配を探って大きな気のところにでも行くにゃ」

「ん、向こうに大きな生命力がある…」

『奇遇だな、俺もそう思っていたところだ』

「私もよ。でもなんでかしらね…あっちは私達の愛の巣のような気がするんだけど…」

「気のせい」

『ああ、気のせいさ』

 

 そう思っていた頃が、俺達にもありました。

 

 草を掻き分けて飛ぶこと数分、俺達の懐かしの我が家に辿り着いたんだが、そこは信じられないことになっていた。

 

『成る程…樹のせいか』

「ん…樹のせい」

「寧ろ大樹のせいね…」

『おおきって誰だよ、ビビる大木か』

「三丁目のおっぱい大好きお爺さん」

『本気で誰だよ』

 

 俺達が住んでいた木が、何倍にも太く、高くなって凄まじいことになっていたのだから。しかも内包する力が凄い…もはや俺並みに持っているかもしれん。

 

 なんだろうなぁ…神樹と言っても過言じゃないくらいの雰囲気なんだが。

 

『この~樹何の樹、気になる樹』

「不思議な山の樹ですから」

「不思議にした原因はこの樹なのね……」

 

 黒歌を掴んで高くなった俺達の巣穴まで飛んで行く。地上から既に数十メートルは離れているが、なんか入り口の穴がでかくなってんだけど……。

 

 中に入ってみて更に吃驚。穴は随分と広くなっていた。例えるなら1DKが1LDKにビフォーアフターしたみたいに。ぶっちゃけよう…人が暮らせるくらいに広い! ツリーハウスか。

 

 内装も何故か変わっているんだが…これ、成長にともなってこうなったのか? いや、成長とか言えるものじゃねえよ、これ!

 

 樹の床から丸太のような大きな机が真ん中に瘤のようにできていて、その周りには三つほど椅子がある。壁は滑らかに曲線を描いており、つるつると光沢を放っている。

 

 そして棚のように窪みが幾つかできており、その中に俺たちが今まで巣の中に入れてきたものが収まっている。他にも台とか本棚のようなものとか色々あるけど…。

 

 なにより目立つのが天井から生えている綺麗な球状の瘤と枝を上手く使って作ったシャンデリアのようなものに、以前拾ってきたダイヤだか水晶だかの宝石が五つ埋め込まれて光っていることだ。これだけで光が確保されている。

 

 おや? 向こうの窪み、小さな扉の向こうに水が流れてる気配がしない?

 

 これ、外見に似合わない広さだよな。まじで1LDK位ありそう…というかそれ以上ある。あれ? 俺って空間弄って広げちまったっけか? 最近ボケが激しくてなぁ…。

 

 …………………………………………………。

 

「「『なぁにこれぇ……?』」」

 

 我が家は何処へ? この劇的ビフォーアフターをしてくれた匠はどこに居るんだ? 出てきなさい、怒らないから。

 

 

 

 




思い出したかのように申し訳程度のACM。
来年もよろしくお願いしますね~!
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